緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/01/23

コツボゴケ No,633

 コツボゴケ チョウチンゴケ科

和名=小壷
小さな中庭に植えられる苔としての意味でこの名がある。

茶室の露地庭、特に✪つくばい周りによく植えられる。

✪つくばい
身をかがめて手水鉢を使うところから「つくばい」と呼ばれ、茶室には入る前に手を清めるために置かれたもの






全国の低地から山地に分布し、林内の湿り気のある地面や倒木した上に生育する。

市街地では、建物の北側など直射日光の当たらない場所などによく見られます。

成長の仕方に特徴があり、茎の一部から出た芽は横に伸び地面に触れると仮根が生えて固着し、上に伸びて直立する新しい茎になる。


        「コツボゴケ」

直立する茎と這う茎が絡み合って密な群落をつくる。

美しい淡緑色、特に水を与えたときに葉がキラキラと輝く。


どんどん広がるので苔庭や盆景、テラリウムの苔としても人気がある。




2023/01/19

苔が徒長する原因? No,632

 苔の徒長

★徒長(とちょう)とは、植物が軟弱に伸び成長すること

テラリウムなどの容器に入れる苔は、気密の状態によって徒長の度合いが異なってくる。


       「容器の中の苔」


気密性の高いパッキンが付いているような容器ほど、気密性が高くなるので徒長しやすくなる。

ハイゴケ、シノブゴケなどの地面を這う苔や、ゼニゴケなどの葉状の苔類は徒長しやすい。

容器は通気性が高い方が徒長しにくい。

光線量が少ない、明るい時間が短いなどでは徒長しやすくなる。

温度が高い期間が長い状態でも徒長しやすくなる。

逆に、温度が低い期間が長い状態では伸びにくくなる。

苔の適温は10~25℃くらいとされるが、苔の種類によっても生長は異なってきます。


伸びすぎてしまった時には、元から切り詰めれば1~2ヶ月程で新芽がでてきます。

同じ環境下で育てると再び徒長してくるので、環境を変える必要があります。

また、使用目的に合った苔を選ぶことも考慮します。

テラリウムでは徒長しにくい種類を選ぶとよいでしょう。

容器の中の空気の入れ替え、換気をすることで徒長しにくくなることもあります。

容器の形、口が広いとか、狭い、容器の高さが高い、低いなどでも乾燥の度合いも変わってきます。


    「容器の中で伸び始めている苔」


容器の種類でも苔の育つ環境は違ってきます。

徒長する原因はさまざまですが、徒長して伸びた姿の苔を楽しむのも良いことだと思います。







2023/01/18

マンリョウ(万両)の種まき No,631

 マンリョウの種まき

サワラソウ科ヤブコウジ属

冬に熟す果実が美しい、特に名前がめでたいのでセンリョウなどとともに、正月の縁起物として栽培されている。

ナガバマンリョウ、オオマンリョウ、オオミマンリョウ、オオバマンリョウ、トガリマンリョウ、などの種類があり、ハナタチバナの別名もある。


       「赤く熟す前の果実」


寒冷地では軒下で育て、春から秋は半日陰で管理

強い直射日光に当てると、葉が黒ずみ実つきが悪くなる。

水やりの頻度は強弱をつけて、水切れや乾燥に注意する。


◉種まき

実から種を取り出し、よく水洗いして果肉を取り除きます。



種子が乾燥しないうちに、赤玉土(小粒)などの清潔な土を育苗ポットなどに入れて種をまきます。

まき終わったら屋外に置き、土が乾かないように水やりをして管理します。


       「1月18日撮影」


2ヶ月程で発芽する予定、樹高が10~15㎝に生長したら鉢に植え替えるか、地植えにします。


        「6月6日撮影」


2ヶ月ほどで発芽する予定でしたが、天候不良、気温が上がらない状況が長かったことが原因なのか、種まきして芽を出し始めたのは予定より倍の4ヶ月が過ぎてからでした。


       「6月10日撮影」


       「7月2日撮影」


★マンリョウ関連ブログ記事
マンリョウ(万両)No,10
マンリョウ(万両)の斑入りは遺伝しない。No,200








2023/01/17

スナゴケ(エゾスナゴケ) No,630

 スナゴケ(エゾスナゴケ)ギボウシゴケ科

全国の山地に普通に分布し、河原や林内の日当たりのよい砂地や岩の上に黄緑色の群落をつくる。


日当たり乾燥に強い


茎は直立し、高さ2~3㎝で、短い枝がわずかにでる。

体は小型だが葉は乾いても湿っても茎から90度程度開いてつくので、全体は太くずんぐりして見える。


星の砂のような姿をした小さな葉が特徴


         「スナゴケ」


葉の先のほうが半透明になり、乾くと白っぽく見える。

乾燥にとても強く扱いやすいことから、苔庭や盆景に利用され、その他苔玉や屋上緑化、テラリウムなどの材料としても利用される。


園芸でスナゴケとして扱われる多くがエゾスナゴケとされ、生産されている苔としてはスギゴケに次いで生産量が多い。






2023/01/16

コスギゴケ No,629

コスギゴケ スギゴケ科

全国の低地に分布し、日当たりのよい道路わきや土手などに群生する。

朝鮮、中国、ロシアにも分布する。

新しい道路の側など、裸地に大きな群落が見られることもあるが、森林の中に生育することは少ない。


        「コスギゴケ」
 

オオスギゴケより小粒で、直立した茎を高さ2~3㎝程度で、先端に葉が集まってカップ状になったものをつける雄株と、マッチの棒の頭のように見える胞子体をつける雌株があり、この性質はオオスギゴケも同じである。

苔庭、盆景などに利用される。






2023/01/15

桜の剪定 No,628

 桜の樹を切る

桜切るバカ、梅切らぬバカと言うけれど、、

桜の木は切り口が乾きにくいので固まらない。

剪定すると芽吹きがないばかりか、傷口から病原菌(胴枯れ病菌など)が侵入することが多いので、基本的には剪定は行わない。


 「管理が悪すぎる花見会場となる桜の木」


切り口が塞がるまで何年も必要で、その間に腐ってしまう。

剪定を行った時には、切り口に塗布(保護)剤を塗っておくことが大切です。

どうしても切る必要がある場合は丁寧に作業することです。

ノコギリなどの道具から感染することもあるので注意が必要です。

切り口は雨水が溜まらないように、枝は付け根から切り落とすのが基本です。

我が家の桜は植樹してから20年、そろそろ管理するには厳しい樹高になった。

そこで剪定を決定剪定といっても、大きくなった枝幹を切ってしまうので大変である。

休眠期に行わなければ、樹勢も衰えてします。




      「1月12日剪定」


切り口にトップジンM塗布剤を塗って保護
その後の管理、観察を続ける。


    「6月4日撮影、剪定後の桜の状態」

勢いのある立ち上がり枝が無数にでるので、将来的な樹形を考えて、芽吹いた不要な小枝は全て切り取る。

        「6月8日撮影」



植樹してから数年後に株元に空洞ができた。

これは接ぎ木した苗木だったことから、接ぎ木の状態に問題があったと思う。


樹幹内で気根を出させる環境を作り、空洞を塞ぐ処置をして、数年かけてかなりいい状態になってきました。

アリが巣を作る事が多く、根気よく治療しなければなりません。

空洞化した部分は早期の治療が必要です。


幹に穴を開け潜り込む害虫もいるので、定期的に薬剤も使う必要もあります。

やはり一番大事なのは日々の観察です。

早期発見が重要です。


      「剪定前の桜の開花」

きれいな花を咲かせる事ができるように

また数年後が楽しみです。


       「剪定後開花した桜」


      「剪定後開花した桜」


    「2023年3月25日撮影」



◉剪定後満開となった桜
2023年4月1日撮影

★今後も経過状況を載せていきます。









2023/01/14

胞子の発芽 No,627

胞子の発芽

 菌類胞子の発芽は、★吸光度の減少や耐熱性の喪失などで明確に規定できる細菌胞子(芽胞)の場合と異なり、厳密な定義ができていない。


★吸光度(きゅうこうど)
光学濃度、光学密度とも呼ばれ、溶液に吸収される光の量の事を指します。

ある物体を光が通った際に強度がどの程度弱まるかを示す。

なぜ吸光度を求めるかと言うと、溶液中の光を吸収する成分は吸光度と比例するからです。

その吸光度が分かると濃度が分かるという仕組みです。

どの物質の濃度をどのような手順で測るかは、JIS規格によって定められています。


一般的に胞子の発芽過程は①休眠打破②吸水③胞子細胞の膨潤化④発芽管の出芽⑤発芽管の伸長の5段階に分けられているが、発芽管伸長は生理、生化学的に菌糸伸長と共通性が高いことから、第5段階はすでに発芽が終わって栄養成長過程に入った段階であると言える。


①休眠打破

菌類胞子の多くは、適当な温度と水分が存在するとただちに発芽するが、種類によっては何らかの刺激をあたえて休眠を破らなければ発芽しないものがある。

休眠打破の方法には、高温、低温、光、湿潤、乾燥、有機溶媒、界面活性剤、フルフラールなどと、ともに植物起源の物質があげられる。


②吸水

菌類胞子の発芽には、水分が必須であるが必ずしも自然(自由)水を必要とせず、湿度が高ければ発芽できる。

その程度は菌の種類によっては異なる。


③膨潤化(ぼうじゅんか)

膨潤化とは、個体高分子が◉溶媒を吸収し体積が増大して★ゲル状態になることを言う。

◉溶媒(ようばい)とは、物質をとかして溶液を作るのに使う液体のこと

★ゲルとは液状からゼリー状に変化凝固すること


胞子の膨潤化が進み、直径で1.25培から3倍に増大し、その内部にさまざまな変化が起こる過程である。


④発芽管の出芽

細胞壁の合成が1箇所に集中するようになり、発芽管の芽生えが形成され、胞子外壁を破って出芽する。

出芽は無方向性に破れて行われるものと、発芽孔を通して行われるものとがあり、胞子によって異なる。







2023/01/13

胞子形成(sporulation) No,626

 胞子形成

胞子とはシダ植物、コケ植物、藻類、菌類(キノコ、カビ、酵母など)あるいは、原生生物のうちの変形菌などが形成する生殖細胞を指します。

親の体から離れてオス、メスに関係なく、それがそのまま発芽して繁殖の役目をする。


    「シダ植物、葉裏に付いた胞子」


病原菌の繁殖には無性と有性とがある。

無性繁殖では、栄養器官である菌糸の一部がちぎれて胞子になる。

これを分生子(分生胞子)という。

有性繁殖では、雌雄相対する核の融合によって胞子が形成され、糸状菌の種類によって接合胞子、卵胞子、子のう胞子、担子胞子などと呼ばれている。


分生子の形成は、1年に何回も繰り返して行われ、また一度に多数の胞子ができるので、病原菌の伝搬に重要な役割をしている。


これに対して、有性繁殖によって形成された胞子は、1年に1日のみで主に病原菌の越冬や越夏などのために作られ、病気の伝染源として重要な役割をしている場合が多い。

胞子形成に関係する条件として

病原菌の多くは、人工培養条件で普通に培養していても胞子の形成が見られるが、胞子の形成が少ないかあるいは、全く見られないものがある。

このような病原菌では培養条件を変えることによって、胞子の形成を促進する事ができる。


胞子形成に関係する主要な条件


①光線
光線の作用は光質、強さ、照射時間によって異なるので、詳細にはこれらの要因を考慮する必要があります。


一般には病原菌に対して紫外線または★青色光が胞子形成に大きく影響する。

★青色光(短波長光)ブルーライト

人の目に見える光(可視光線)の中に含まれ、紫外線の次に波長の短い光で、目の奥まで届く非常にエネルギーの強い光で、パソコンやスマートフォン、薄型テレビ、タブレットなどのデジタルディスプレイは、青色光と呼ばれる光を多く発している。


②栄養

一般に、糸状菌が菌糸を盛んに伸長している栄養生長から養分を使い果たして、生殖生長と変化したときに胞子形成は起こると考えられるから、培地中の炭素源の濃度を低くした時、あるいは★グルコースよりも多糖類の方が胞子形成が盛んになります。

★グルコース(砂糖代用品)
ブドウ糖とも呼ばれ、果汁や樹液などに多く含まれている物質のことで、人間にとって血液を通じて脳や体を動かすエネルギー源として利用している重要物質。


培地の表面に植物体の一部(葉片、枝などの天然物)を置いて培養すると、それが分生子、分生子殻や子のう殻を形成する支持体になり、盛んに胞子形成がおこなわれます。


③混合培養

疫病菌などでは、異なった系統のものを同一の培地に混合して培養すると、卵胞子ができやすくなる。

他の糸状菌でも同様な事が確認されています。


疫病菌は、植物を宿主とするphytophthora属の病原糸状菌の総称であり、疫病菌の多くは農作物に感染して被害を与える。

雌雄の器官が同一の菌体にできる時には、雌雄同株=しゆうどうしゅといい、(一家花=いっかか)ともいう。

別々の菌体でできる時は雌雄異株=しゆういしゅ、または雌雄別株ともいう。


④温度、湿度

一般に、胞子の形成に適する温度は菌糸の生長に適した温度とほぼ一致しています。

多数の病菌では、胞子の形成には低湿度よりも高湿度の方が適しています。

しかし、うどん粉病菌では分生子及び子のう殻の形成とも、空気湿度が低い時に盛んである。











2023/01/12

ハイゴケ No,625

 ハイゴケ ハイゴケ科

這苔

ほふく性の性質から和名「ハイゴケ」と呼ばれ、他にカバー·モスヤネゴケ、屋根苔、苔玉苔とも呼ばれる。


北海道から沖縄、シベリア、朝鮮、中国、台湾など、北半球の広い範囲に生息しているシダ植物です。


明るい植木の下や建物の影など、半日陰の場所に施工する苔として最適とされ、苔玉作りの苔や山野早、盆栽の下草、庭や★テラリウムなどにも利用される。

マット状に群生する姿が美しく、広い面積を覆うように育てるのに適しています。


      「ハイゴケ」


茎は約10㎝に達し、規則的に羽状に枝を出し、葉は鎌形に曲がる。

乾くと茎の先端や枝が上に巻き上がることが特徴である。

日当たりのよい場所に生えるものは黄緑色、日陰のものはより濃い緑色になる。


★テラリウムとは
ガラスなど光が通る密閉された透明な容器、ケースの中で、陸上の動植物を育てる方法の事で、密閉された容器の中では水分が循環するので、長期間水を与えずに植物を育てることができます。


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2023/01/11

ギンゴケ No,624

 ギンゴケ ハリガネゴケ科

乾燥すると表面が銀色に見えることからこの名がある。
苔の中でも繁殖力、耐久性が強い


植物群落全体は灰緑色から白緑色になる。

かつては南極大陸に生育しているとされたが、これは後に「オオハリガネゴケ」の一型であるとされた。


茎は直立し、高さ1~2㎝程で多数の個体が集まって薄いマット状になる。

茎には少量の仮根をつける。

★仮根(かこん)とは
真の根ではないが、根のように植物体を地上に固着し、あるいは水分の吸収を行う細長い細胞こと。


         「ギンゴケ」


全国各地に分布し、低地から高山まで日当たりのよい場所に密な群落をつくる。


市街地で最も一般的な小型の苔で、コンクリート壁やブロック塀、敷石の隙間などに生育している。

葉の先の方は葉緑体がなく、半透明になるので銀色に見える。


盆栽や盆景にも利用され、類似種に「ホソウリゴケ」がある。









2023/01/10

オオスギゴケ No,623

オオスギゴケ(大杉苔) 

スギゴケ科

日本庭園に使われる代表的な苔で、ウマスギゴケ(馬杉苔)とよく似ている。

肉眼ではほとんど区別でない。


        「オオスギゴケ」


全国の低地から高山まで普通に分布し、森林や崖などやや日陰の腐植土上に背の高い群落を作る。


茎は高さが5~20㎝程になり分枝しない。

葉は湿ると広がり、乾燥するとつぼまる。


        「ウマスギゴケ」


★日本には約1700種の苔があるとされ、種類により好む環境も違います。








2023/01/04

ウジカンダ(イルカンダ)No,622

ウジカンダ マメ科(絶滅危惧種)

マメ科のツル植物で大型のツルになり、大きな紫の花を房状につける。


イルカンダの別名もある。

イルカンダは沖縄、奄美、徳之島、沖永良部島の森に自生する生命力の強い植物で、チョコレート色の硬い種を森から川、そして海を漂いながら海辺に漂着する。

 海流散布で子孫を広げる植物であるとされるが、海水での浮遊能力はなく、疑問が残る。

花は周りのハゼノキなどに巻き付いて成長し、ブドウの房のように連なった花を咲かせる。



     「イルカンダ」

2月中旬から5月の連休頃までに花を咲かせ、およそ20~40㎝の種さやをぶら下げるが、結実することは珍しいとされる。



海流散布について

海を渡る植物
このような植物は、汎熱帯海流散布植物と呼ばれ、種子を海流によって運ばせることで、赤道付近を中心に地球を一周するほどの分布域を獲得した植物の総称である。


地球表面の約70%を覆っている海は、多くの陸上植物にとって分布拡大の妨げとなっている。


しかし、逆にその海を利用して信じられないほど広域分布を得た植物が、汎熱帯海流散布植物である。

代表的なものは、ヒルガオ科のグンバイヒルガオやマメ科のナガミハマナタマメ、アオイ科のオオハマボウの3種である。


いずれの分布域は、年平均の海水温が20度以上の地域と、おおむね一致している。

また、暖流と寒流の流れが分布地域に大きく影響していると考えられ、暖流の流れ込むアフリカ大陸や南米大陸の東海岸では、南回帰線以南にも生育している。


しかし、寒流の流れ込む西海岸では南回帰線以南には生育していないなどの影響がある。


グンバイヒルガオの種子は、種子の表面に短い毛が一面に生えていて、水をはじくのに役立っていると考えられ、種子は少なくとも3ヶ月以上は生きたまま海水に浮かんでいる事ができると考えられ、海流をうまく利用することで、広大な分布域を得ていったと思われる。

しかし、どのような経路でどのくらいの時間をかけて世界中に分布域を拡大して行ったかは、解明されていない。