緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

ラベル #バラ、#土質、#牛ふん、#有機物、#土壌改良、#肥料、#緩衝能、#土壌pH の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #バラ、#土質、#牛ふん、#有機物、#土壌改良、#肥料、#緩衝能、#土壌pH の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

日曜日, 11月 01, 2020

バラの好む土質と土の改良の仕方 No,316

 ◉特別な土は必要ない

バラを育てるには、特にこの土でなければと言う事はありません。

日本で生産されたバラの苗は、ノイバラの台木に接ぎ木しています。

ノイバラは有史以前から全国各地に自生していて今尚、繁栄しているのですから色々な土質に適応する能力を備えていると考えられます。

60年程前、バラ栽培が普及し始めた頃荒木田土が良いと言われて客土したり赤土が良いと言われて天地返しをしたりしてバラを植えるのはかなり重労働だったようです。

しかし、実際にはこのような面倒な作業は必要なかったわけです。

★荒木田(あらきだつち)
粘土質が高い水田の土。

★客土(きゃくど)
他所からの土を加えること。

★天地返し
1㍍も掘り、上層の黒土と下層の赤土を入れ替えること。


        (グラハム·トーマス)


◉土壌の性質を知る
土壌の物理性を表す固相、気相、液相と言う言葉があります。

固相(こそう)はその土壌が含む固体(真の土分)気相(きそう)は空気液相(えきそう)は水分の割合のこと、これらのバランスが良いと根はすくすくと伸びることができるのです。

また、水持ちがよく乾きにくいと言う保水性、水はけが良いとされる排水性、土壌粒子間の隙間が良いとされる通気性と言う言葉もあります。

これらの性質のバランスがとれたものが良い土と言うことになるのです。

◉土質

※土質を大別すると、火山灰が堆積してできた火山灰土。

※岩石が風化してできた砂質土

※雨によって河川に流れ込み氾濫して堆積した沖積土があります。

比較的新しい時期に堆積した沖積層で、層位の分化があまり進んでいない土壌のこと。


✪それぞれの特徴として

★火山灰土
代表的には関東ローム層、表土は黒土で深部は赤土

火山灰土は肥沃で通気性、排水性は良いが保水性に欠けます。


★砂質土(さしつど)
栄養分が乏しく、通気性と排水性は良いが保水性に欠けます。

★沖積土(ちゅうせきど)(粘土、荒木田)沖積土は肥沃で保水性は良いけれど、通気性と排水性に欠けます。

家の庭の土は有機物を施し、その欠点を補ってやればどの土質でもバラは元気に育ちます。

有機物はそれが持つ植物繊維によって、重い土の通気性をよくして空気を持たせ、排水性を改善します。

軽い土では逆に団粒化することによって保水性を高めます。

砂質土では、多すぎるすき間を埋めることによって保水性を高めます。

また、土中の微生物が繁殖しやすい環境に改善します。


         (アンネのバラ)


◉土壌酸度(pH)
土壌酸度(pH)は7.0が中性で、これより数値が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性となります。

日本の土壌は酸性に傾きやすいと言われています。

ホウレン草や豆類など酸性が苦手な作物については農家や家庭菜園では、1作ごとに酸性を中和する石灰を施すように指導されています。

ただしバラはpHでもかなり適応範囲が広いつまり鈍感と言う事で、それほど気を使う事はないようです。

土壌の緩衝能(かんしょうのう)と言う用語がありますが、これは土壌に酸、アルカリが添加されても土壌pH及び、土壌溶液のpH変化は酸、アルカリの添加量から予想されるよりも、はるかに小さい事が多い。

このpH変化に抗する作用を土壌の緩衝能と呼ぶ。

土壌が遊離炭酸塩を含むなら、添加された酸はその溶解によって完全に消費されるので、土壌pHはほとんど不変である。

これは肥料などにより土壌の性質が急激に変化して植物に害となることを防ぐ能力を表し、緩衝能の低い砂地に有機物などを施してやれば、緩衝能を高めることができる。


有機物を適度に施すことによってバラは、どんな土質でも適応できるので、他の草花や野菜、樹木が育つ所なら十分バラも育ちます。

有機物を使えば土質を改良できる。

✿有機物は土壌を改良するもの

有機物とは肥料分をあまり含まず、主として土壌の物理性を改善する資材で、植物繊維の豊富なものを指します。

腐葉土、堆肥、ピートモス、牛ふんなどです。

これに対し肥料は、植物に栄養を与えるためのものです。

家畜の排泄物は肥料として扱われる事が多いですが牛ふんだけは例外的に有機物となります。

有機物は土壌の物理性、微生物性の改善だけでなく発酵分解の過程で、土中のバクテリアを増殖されると共に、腐植酸と言う物質を生成し、根の生育を促進します。

すなわち、有機物はゆっくり分解して土に戻るので毎年補給する必要があります。

ただし、土壌改良材でもパーライト、バーミキュライトなどの鉱物性のものは分解しないので、腐植酸を生成しません。

また、有機物は土の容積に対して与えるものなので容量(L、㍑)で表されます。


         (ブルームーン)

◉有機物の施し方

有機物は冬のバラが休眠している時期に元肥と一緒に与えます。

株の周りに撒いてスコップなどで、上下を反転するように土の中に埋めるように混ぜ込みます。

バラは休眠しているので、深く掘り返して根を切ってしまっても大丈夫です。

施す分量は、普通の庭植えの株の場合は、有機物を約5㍑程与えます。

分解の早い牛ふんとピートモスを組み合わせてそれぞれ等しい量を、2.5㍑位ずつ与えればよいでしょう。

有機物の施肥量は神経質になる必要はありません。

その他の腐葉土や堆肥を使う場合も、使用量はこれに準じます。

新規に植え付ける場合は、分量を増やす必要があり合計で10㍑与えればよいでしょう。

◉牛ふんの使用量制限

草食獣の排泄物なので、肥料要素含量は低く植物繊維に富むため有機として扱います。

含量が低いと言っても肥料要素も含まれているので大量に与えると、肥料を与え過ぎた場合と同じ問題が起きます。

バラは肥料を与え過ぎた土壌では
うまく育ちません。

使用量が多すぎると好ましくない成分も蓄積するのです。

※牛の飼料に含まれる塩分などが蓄積する。







火曜日, 2月 12, 2019

土の基礎知識  No,129

よい土とは、どんな土なの?

通気性がよい事が重要

よい土の条件として最も大切なのが通気性です。

根は空気(酸素)を吸って、二酸化炭素を出しています。

みじん(微小の粉塵)が多く、土の粒の間にすき間がないと、新鮮な空気が土の中に入らないので、残った二酸化炭素で根が酸欠を起こして、窒息する。

この状態が長く続くと根腐れを起こす原因になります。

土の通気性をよくするには、気相率の高い腐葉土、パーライトなどを少し多めに配合します。

特に粒子の細かい黒土、真砂土は腐葉土などを必ず加えて、通気性や排水性を改良する必要があります。

通気性がよい土とは、主に乾きやすい土のことです。

その分、水やりの回数は増えますが、新鮮な空気をより多く土中に送り込むことができるので、根の生育は促進されます。

◉植え付けや植え替えでは、鉢が大きすぎると土が乾きにくく、通気性が悪くなるので、根鉢よりも一回り大きな鉢(直径で3㎝程度)を目安にします。

草丈が低く、根の張りが浅い草花類は水が停滞し、水はけも悪くなるので深鉢は避ける。

排水性に富むこと

与える新しい水には、空気(酸素)が多く含まれているので鉢土の表面が乾いてきたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えることが基本です。

これは新しい水を土に供給するとともに、古い空気を新しい空気に入れかえるのが目的です。

このような水やりを続けることで根の量が増え、植物の生育がよくなります。

水やりしてもなかなか水が染み込まず、鉢底で停滞して水はけの悪い土は、新鮮な酸素を供給できずに根腐れの原因になります。

排水性をよくするにはみじんを除き、土の粒の大きさをなるべく均一にします。

基本用土に赤玉土小粒を使用する場合は、有機物(腐葉土、ピートモスなど)は粒子ではないので別ですが、軽石やパーライト、鹿沼土、日向土などの改良用土も、赤玉土小粒に粒を揃えます。

6号鉢以上の鉢では、鉢底に鉢底石を敷きます。

適度な保水性があること

軽石や川砂のような石の粒では、赤玉土のような粒の中に水を含まないため、すぐに乾燥してしまいます。

土が乾燥して植物が萎れて、慌てて水を与え過ぎることを繰り返すと、根(細根)が傷んでよくありません。

通気性や排水性がよく乾きやすいが、急激に乾燥しない土がよい土です。

ベランダなどの乾燥しやすい場所では、急激な乾燥を防ぐために、保水性のあるバーミキュライトや腐葉土などを配合します。

土の上に水ゴケなどを敷き詰めても水分の蒸散を防ぐ効果があります。

保肥性があること

せっかく肥料を与えても、水やりや雨で鉢底から肥料分が流れ出てしまっては、根から栄養分を吸収することができません。

土が肥料を保持する性質を保肥性といいます。

保肥性の高い赤玉土などは、肥料成分をつかむ手が多くあります。

反対に、保肥性の低い砂などは手の数が少ないので、肥料成分をつかみにくい。

ただし、赤玉土や鹿沼土、黒土のような火山灰土は、肥料のリン酸成分を根から吸収しにくくする性質がある。

そのため、火山灰土を基本用土として使用する場合は、リン酸成分を多く含む緩効性の元肥を使うようにします。

真砂土も火山灰土ほどではありませんが、ある程度リン酸を固定するので、リン酸を多く含む元肥を入れます。

有機物を含むこと

赤玉土の基本用土に混ぜる腐葉土や堆肥などの有機物は改良用土といわれます。

油粕や鶏ふんなどの有機質肥料とは異なり、土の通気性、排水性、保水性、保肥性を改良する働きがあります。

さらに、土の中の微生物の働きを活性化し、間接的に根の生育に役立つため植物の肥料ではなく、土の肥料と言うべきものです。

◉特に、腐葉土は保肥性が高く誤って濃い肥料を与えてしまっても、高濃度によるショックを和らげる働きもあります。


重すぎず、軽すぎない土

土が軽すぎると株が倒れやすく、特に植え付け直後は水やりなどで株が安定しません。

初期の根の生育も悪くなります。

重すぎる土は細かい土が多く、通気性、排水性が悪くなり、やはり根の生育によくありません。

一般に、1㍑につき400㌘~600㌘が適度な土の重さの目安になります。

バンキングバスケットの土はそれよりも少し軽くします。

野菜やバラのように草丈のある植物は少し重くします。

弱酸性であること

サツキ、アジサイ(青色)ブルーベリーなどの酸性の土を好むもの、アジサイ(紅色)のように中性から弱アルカリ性の土に植え付ける植物もありますが、一般に多くの植物は弱酸性(pH5.5~pH6.5)の土が生育に適してます。

アルカリ性が高い土は、土の中に鉄やホウ素などの微量要素が含まれていても、根から吸収されにくく欠乏症を起こしがちです。


反対に酸性が強すぎると、根が生育障害を起こしやすくなります。

また、鉢やプランターの古い土は酸性になっている場合が多いので、再利用する場合は、石灰を混ぜます。

アルカリ性の土には、酸度未調整のピートモスを混合して調整します。

清潔であること

病原菌や害虫、害虫の卵、雑草の種などが混ざっている土は、植物の生育障害となります。

室内で育てる観葉植物などの土も、カビや小バエなどが発生しないように、ほぼ無菌のピートモス、バーミキュライト、パーライト、赤玉土などを混合して、元肥も有機質肥料を避け、化成肥料を使用します。