緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2024/04/23

杉の大杉 No,688

日本の杉

日本の杉はヒノキ科スギ亜科スギ属に分類される常緑針葉樹

学名を「クリプトメリア ヤポニカ」といいますが、直訳すると「隠された日本の宝」と言う意味です。

杉は、日本のみに生育している固有種とされる。

秋田、富山、三重、京都、奈良、高知の6府県で県木に指定されています。

杉の大杉

日本一の大杉として有名な「杉の大杉」は神話の時代に、須佐之男命(すさのおのみこと)により植えられたと伝えられている、推定樹齢三千年の巨木です。

1924年に国の天然記念物に指定され、その後1952年(昭和27年)に国の特別天然記念物に指定されました。




❉所在地
高知県長岡郡大豊町杉794
八坂神社境内

美空ひばりと大杉

9歳だった当時(1947年4月)の美空ひばりは、公園旅行中に交通事故に遭って大豊町で療養していました。

その時、八坂神社へ参拝した美空ひばりさんは「日本一の歌手にしてください」と願いをかけたところ、日本一の歌手になれたという逸話は有名で、その事から「出世杉」の異名もある。

この大杉はそれぞれ南大杉、北大杉と呼ばれる二株の杉からなっていて、ニ株が根元で合着していることから、別名夫婦杉とも呼ばれています。

八坂神社へ訪れた時には、三千年に及ぶ太古からの歴史の鼓動を、聴いてみてはいかがだろうか。

❉杉の関連プログ
阿弥陀杉(あみだすぎ)No,350
スギNo,450
羽黒山の爺杉No,532
尾八重の一本杉No,564
巨樹の村の八村杉No,567








2024/04/20

ナガミヒナゲシ No.687

 ナガミヒナゲシ

ケシ科 一年草又は越年生植物

越年生植物(えつねんせいしょくぶつ)とは

一年生植物のうち、秋に初芽して冬を越し、翌春に開花、結実して枯死する草本植物のことで、大麦、ダイコン、アブラナなどが知られる。

見た目はかわいい花と思える様なナガミヒナゲシですが、他の植物に悪影響を与える植物でもある。

ナガミヒナゲシには「アルカロイド性」の有害物質が含まれていて、害虫や動物から実を守るための植物毒を持っています。

そのため、素手で茎を触ったり、折ったりするとかぶれてしまいます。

葉っぱがヨモギに似ているため、間違って触ってしまう危険性があるので注意が必要です。

繁殖力が強く、他の植物の成長を妨げる成分(アレロパシー)を放出するので、生態系に影響を及ぼす植物とされます。


     「ナガミヒナゲシ」

原産地は地中海地方、沿岸地域の外来種で1961年にはじめて東京都世田谷区で確認されました。

ケシ科の植物と言えば「ヒナゲシ」が知られています。

見た目はヒナゲシによく似ていますが、花や実の大きさが異なります。

ヒナゲシよりも花が小さめで、実が細長い形状をしているのが特徴です。


    「ナガミヒナゲシの花」

     「ヒナゲシの花」

花後は実を付けて種を蓄え、種子は風や車のタイヤに付着するなどして運ばれ、生息範囲を拡大していく。

開花後の未熟な種にも発芽能力があるとされ、結実から5年を経たものでも発芽することができる。

種がこぼれ落ちるのは梅雨期の6月頃

雨で濡れたタイヤや靴底に種が付着し、道路沿いのあちこちに落下し、やがて成長し群生することになる。


❉アルカロイド

アルカロイドは植物中に存在し、窒素を含む塩基性化合物、天然由来の有機化合物の総称、ニコチンやコカイン、カフェインなどのことで、人畜に顕彰な薬理作用を持つものが多い。

一部のアルカロイドには中性や弱酸性を示すものもある。

アルカロイドは炭素、水素、窒素の他、酸素や硫黄、その他稀に塩素、臭素、リンと言った元素を含む。


❉アレロパシー

植物が分泌する化学物質により、他の植物や虫に作用を与える効果のことで、化学物質に頼らない害虫除去や雑草の抑制をするなど、様々な場面で注目されています。

アレロパシーは、オーストリアの植物学者「ハンス•モーリッシュ」によって1937年に提唱された。

日本では、アレロパシーは「他感作用」とも呼ばれる。

この作用の効果は、良い影響、悪い影響のどちらの場合もあります。

ひとつの種類のアレロパシーのみでは効果が弱くても、他の種類の植物のアレロパシーと合わせることにより、効果が発揮される場合もあります。

同じような意味で「フィトンチッド」がありますが、現在ではアレロパシーの方が一般的とされる。

フィトンチッドはロシアの植物、微生物学者の「B.P.トーキン博士」によって、アレロパシーと言う言葉とほぼ同時期に造られたとされる。

フィトン(植物が)チッド(殺す)と言う語源はゾッとする言葉だが、人間にとっては多くの恵みを与えてくれる「森林の精気」と言えるだろう。








2024/04/15

金のなる木 No,686

 カネノナルキ

ベンケイソウ科クラッスラ属
多肉植物
原産地=南アフリカ南西部


正式名は『クラッスラ•ポルツラケア』といい、フチベニベンケイ(縁紅弁慶)と言う和名や花月(かげつ)と言う別名もある。

属名のクラッスラはギリシャ語で「厚い」と言う意味で、厚みのある丸い葉が特徴となっている。



クラッスラ•ポルツラケアが日本に伝わったのは、昭和初期の頃とされ、当時、栽培業者が若葉の枝先に5円硬貨の穴を通してそのまま成長させた姿が、お金がなっているように見えた事から『金のなる木』と呼ばれるようになり、縁起物とされ人気となった。

乾燥や低温などの厳しい環境に適応し、世界中に分布するベンケイソウ科に属する丈夫な植物であるが、高温多湿には弱い。

カネノナルキは「一攫千金、富、幸運を招く、不老長寿」と言う意味を持っています。

小さな株によく花をつける系統と、大株にならないと咲きにくい系統があります。

❄さし木
挿し穂は切り口を乾かしてからさし木する。




さし木後は約1ヶ月水は与えず、しばらくそのまま半日陰で育てます。

花が咲かない原因

①日照不足
②断水
③せん定
④品種と株の大きさ

1年を通して日照時間の確保と、夏場の水やりを控えめにする事が重要です。

この環境下の場合には、葉がシワシワになってしまいますが、花芽に栄養を回し、開花に備えることが出来ます。

水を与えすぎると葉がぷりぷりとみずみずしくなりますが、葉ばかり成長してしまいます。

葉が落ちる原因

根腐れや根詰まりが原因で葉が落ちる場合は、早めに植え替えを行います。

根腐れを起こしていると茎がブニョブニョしてくる。

根詰まりしていると水やりの際、水の吸い込みが悪くなったりするので、状況を見極める必要があります。

根腐れした場合は、出来るだけ古い土を落とします。

腐った根は取り除いてから植え替えを行います。

植え替え後は風通しの良い半日陰の場所に置き、しばらく水は与えずに新芽が確認できたら水やりを与えます。

また、植え替え後の肥料も必要ありません。


   「せん定後植え替えの新芽」


植え替えは3月〜6月/9月から10月の2年から3年に1回を目安に行います。

土の配合例として、赤玉土小粒3割、軽石または日向土(微粒)3割、腐葉土4割