緑のお医者の徒然植物記

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土曜日, 5月 09, 2020

西洋シャクナゲ(石楠花) No.209

西洋シャクナゲ 

ツツジ科常緑広葉樹

別名ロードデンドロン
(西洋種の場合)

中国西南部からヒマラヤにかけての山深い地方が原産地と言われています。

園芸品種は日本の高山に自生する日本シャクナゲ(和シャク)とヨーロッパやアメリカで改良されて日本に渡った西洋シャクナゲ(和シャク)に大別されます。

一般に栽培されているのは西洋シャクナゲの系統のものです。

日本シャクナゲは原種に近く、平地では育てにくいので庭植えとしてはあまり栽培されていません。

また、日本シャクナゲは花がつきにくいのが難点で、西洋シャクナゲはこの点で優位にある。

両系統とも耐寒性や耐暑性が弱く湿気を嫌います。

シャクナゲは高地に自生するため、平地での栽培には高度の技術を必要とします。

そのため、「高嶺の花」として古くから園芸愛好家の憧れの花となっていました。

欧米では、「アルペン·ローズ」と呼ばれる西洋シャクナゲは品種改良が繰り返され、何千種類以上の園芸品種があると言われています。

一般家庭でも栽培が容易なため、より広く親しまれているのは西洋シャクナゲです。


◉生育管理

放任しておくとあまり枝を出さないで、主幹ばかりが伸びます。

苗木の場合も含めて、主幹の頂点の芽を摘んで下の枝を伸ばすように手入れします。

基本的には午前中に日がよく当たり、午後は日陰になるような所が最も適しています。

西日を嫌う性質を持っているので、強い日差しが一日中当たるような場所は生育しにくいでしょう。

乾燥を嫌うので、冬場の北風が避けられるような所で栽培することも大切です。

他の植物や樹木の間に植えるのも、他の植物が蒸散した水分によって湿度が上がるのでよい方法です。

根が浅いので乾燥する季節では、敷きわらなどを行い乾燥を防ぐ配慮も必要です。

水はけがよく、腐植質を豊富に含んだ酸性土を好みます。

赤土や火山灰質の黒土で腐植質を多く含む軽い土や、鹿沼土、軽石、ピートモスを混ぜ合わせたものなどが適しています。




◆植え替え、植え付け

日当たりと排水のよい、肥沃な乾燥地に植えます。

土は弱酸性の火山灰質が適し、根張りが浅く湿気を特に嫌うので、盛り土をして植えるのが一番確実な方法です。


根が細いので根鉢を大きくとり、根についている土はある程度落として、新しい土によく馴染むようにすることが大切です。

夏は涼しく、冬の寒風の当たらない場所を選び、浅根性なので植え付けは大きめに穴を彫り、堆肥やピートモスをよく混ぜてすき込み根をよく広げて浅植えします。

支柱を立て、ぐらつかないようにします。

植え付けは春と秋にできますが春植え2月下旬~4月の方がよい。
9月中旬~10月

★肥料(施肥)

主に冬場の元肥として、1月~2月に株回りに溝を掘り、有機質を主体にした堆肥に油粕と骨粉を混ぜ、リン酸カリ分の多い化成肥料★を加えて埋め込みます。

★成木の場合の目安量として、油粕500㌘~1㎏、骨粉300㌘以内、化成肥料200㌘以内

花後のお礼肥として7月に、それぞれ油粕と骨粉を等量混ぜたものを一握り、株元にばらまきします。

◆病害虫

◈葉枯れ病
葉身の先端ないし葉縁から褐色に変化して輪郭不鮮明な病斑を生じ、葉枯れ症状になる。

病斑上には微小黒点が発生する。

病葉は落ち葉を集めて処分する他、6月から10月の降雨時前後を重点に銅製剤を散布する。

◈葉斑病(ようはんびょう)
シャクナゲ類の葉身に発生する。

当年生の葉に褐色、濃褐色の小斑点を生じる。

次第に拡大して5㎜~10㎜大の病斑となる。

日本シャクナゲや西洋シャクナゲに被害を及ぼす。

葉斑病は梅雨期頃から激しくまん延する。

冬には病葉や枯死枝を取り、落ち葉とともに集めて処分する。

春の新葉が出る前に病葉は摘み取るようにする。

薬剤防除は、新葉が出る頃の5月から9月まで、降雨時前後を重点に、マンネブ剤、チオファネートメチル剤、ベノミル剤、銅製剤などを用いて、月2回程度散布してまん延を防止する。

◈カイガラムシ
風通しが悪く、日当たりの悪い所を好んで発生する。

適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると発生が減る。

発生期にはデナポン乳剤、越冬期にはマシン油乳剤、石灰硫黄合剤などで防除します。

成虫は薬剤が浸透しにくいので、見つけしだい捕殺する。

◈グンバイムシ
4月から10月に多く発生します。葉の裏に寄生して養分を吸い取ります。

小さくて見つけにくい害虫ですが、発生すると葉が白っぽくなり酷いときには落葉します。

風通しの悪い所を好んでつくので、枝の手入れをして風通しをよくする。

乾燥を防ぐと被害が少なくなる。
薬剤は1~2週間おきに2~3回散布する。

スミチオン、マラソン、アセフェート、ホルモチオンなど

◈ハダニ類 
チャノホコリダニ、チャノヒメハダニ、チビコブハダニ

グンバイムシに似ています。

あまりにも小さいので、虫眼鏡でないと見えない害虫です。

高温期と乾燥を好みます。

薬剤は殺ダニ専用剤を用いる。

ケルセン、テデオン、アカール、オマイトなど多くの殺ダニ剤がある。

薬剤抵抗性系統が発現しないように、薬剤を連用しない。

数種類の薬剤を使用することが重要です。

乾燥を防ぐ対策を行う。

◈ハマキムシ
葉を綴り合わせて、その中に潜み葉を食害します。

葉を巻いて中に隠れているので、葉を開くか、葉ごと除去して捕殺する。

薬剤の効果は低いが、スミチオン、アセフェートなどは多少の効果がある。

※ミノムシ、ケムシ類も食害を起こすので、見つけしだい捕殺します。



◉剪定、整姿

一般に側枝の数が少なく主幹がよく伸びますので、苗木の時から頂芽摘みをして下枝を伸ばし、背丈を低く仕立てます。

花つきの多い種類はすべての花を咲かせると、樹勢が衰え、隔年(かくねん)開花(一年おきに開花)の原因になる場合があるので摘蕾をします。

シャクナゲは花のついているうちから、新梢が伸び、その先端に花芽が分化します。

そのため、冬の間も蕾をつけた開花枝ができることになります。

そこで10月頃、新枝の先端にある大きな頂芽を指で軽くねじって取り除いておきます。

真ん中の芽(つぼみ)だけを摘んで冬を越させます。

残したつぼみは翌春開花し、摘み取った後から伸びた新梢には、翌年の花芽がつくので、隔年開花を確実に防ぐことができます。

また、花後の花がら摘みも花つきをよくするために欠かせない作業となります。  
※芽摘み(9月~10月)
開花(5月)


◆殖やし方

実生、挿し木で殖やします。

実生は採取した種子を冷暗所で保存し、翌春、平鉢に入れた水苔にまきます。

ガラス板、新聞紙などをかぶせて保温し、日中はガラス板をずらして外気に慣らします。

翌年秋に水苔を切り取り、赤玉土3、腐葉土4、ピートモス3の割合の用土に植え、3年ほどなく管理した後定植します。

挿し木は、鹿沼土とピートモスの用土に挿し、冬場は日当たりのよい窓辺で管理します。