緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/12/30

ダチュラ (エンジェルス·トランペット)の冬越しNo,342

 ダチュラ

エンジェルス·トランペット

✿コンパクにして冬越し
熱帯原産のため、耐寒性は余り強くありません。

霜が当たると枝先から枯れてきます。

特に寒い地域では、地際まで枯れ込んでしまい、翌年に枝葉が出てきても花の咲くのが遅くなったり、開花しなかったり、最悪の場合は枯れてしまいます。

その為、寒さが厳しくなる前に、
コンパクトにせん定する必要があります。

✪暖地では枝葉を切っただけで

冬越し

霜があまり降りることがない暖かい地域では、枝葉を切っただけで冬越しできます。

太い幹を地面から50〜100cmの高さで切り残して、細い枝葉は根元で切り落とします。

春になって気温が高くなってくる頃には、幹からたくさんの新芽が伸びてきます。

寒冷地ではせん定して残した枝を保護しないと枝から新芽が出ない。




◉保温材を使って冬越し

軽い霜が時々降りる程度の、0℃以下になる日が余りない地域では、寒冷紗で霜よけをするだけで冬越しできます。

0℃以下になって霜が度々降りる
寒さが厳しい地域では、太い幹を
50〜100cm程残して切り戻し、発泡スチロール等の保温材を利用して防寒します。

霜の心配がない5月中旬頃に保温材の囲いを外します。


❆掘り上げて冬越し

北海道のように寒さがとても厳しい地域では、外に植えたままでは

株全体が枯れてしまいます。


株を掘り上げて鉢に植え付け冬越しをします。


枝葉の混み合った部分を切り戻し
鉢のサイズ(直径)程度に掘り上げます。

鉢上げした後は、十分に水を与え
暖かくなり過ぎない玄関等に置いて管理します。

霜の心配がない5月中旬頃になったら、再び庭に植え付けます。

✪鉢植えの冬越し

寒さの厳しくない地域では混み合った枝を切り戻し、寒冷紗を巻いて軒下等に置いて管理します。

寒さの厳しい地域では、室内に取り込みます。

❆挿し木の準備
冬越しのため、せん定した親株の
冬越しに失敗した場合のために、
切り戻した枝を20〜30cmに切り
水を入れた容器に水差しして室内に置いて管理します。

水が減ったらその都度足します。


                         (12月30日水に浸ける)

水差しをしていた枝から春には、たくさんの根が出ている状態になります。



3ヶ月後白い根が出てきた状態ですが、2月頃に取り出して挿し床に挿した方が根の発育が早い。


✻4月頃に、5〜6号の鉢に根を傷めないように注意しながら植え付けます。


                                 (4月3日)
 

せん定後から、水に浸けておいたものを2月に挿し床に挿したものは葉も大きく、根の生育も早い。

春になると、ポット苗や開花株など様々なサイズのものが出回ります。

大きく育てたい人は庭植えにし、
大きくしたくない場合は、鉢植えにして楽しみます。

日光に当てないと徒長したり、花がつかないことがあるので、真夏以外は日差しをたっぷり当てて育てます。

真夏は暑さをやわらげるため遮光を行う必要もあります。

✪北国での主な管理、作業

❆北海道地方
10月中旬が切り戻す適期です。

太い枝を3〜4本残して切り戻し
水やりを控えて休眠状態で冬越しさせます。

生育期に入る前の4月頃になるべく、大きな鉢(直径30cm以上)に植え替えます。

春から秋の生育期には戸外に出して管理します。


❆東北地方
開花期は7月から9月です。
開花中は水切れに注意し、追肥を施します。

花が終わってしばらくした10月に地際から30cm程を残して切り戻します。

その後、室内に取り込み5℃以上で管理します。

冬の間は鉢土が乾かない程度に水やりをします。


❆南国での主な管理、作業

❆九州地方
11月中旬頃までは戸外で、満開を迎える時期です。

その花が終わった11月下旬が、切り戻す適期です。

切り戻したあと、鉢植えの株は日当りの良い軒下や室内へ移動します。

庭植えの場合は、11月下旬に切り戻して、冬越しの準備を行います。

✻関連ブログ
ダチュラ(エンゼルストランペット)
No,264


★昨年年末にせん定した樹がたくさんの花を咲かせていました。


       「2021年9月8日撮影」








2020/12/20

気象条件と植栽 No,341

 気象条件と植栽

植物が健全に生育するためには気温、雨量その年間分布、土壌が
その植物にとって好ましい状態にあることが必要であり、植栽地の
環境がどのような状態にあるのかによって、そこに使用できる職種
が限定されてきます。

植栽を行う上では事前によく把握し、その地に合った植物を選定する必要があります。


✿気温と植栽

植物は種類ごとに生育できる気温の範囲がほぼ決まっています。

一般的にいえば、熱帯性の植物は例外もありますが概ね気温が低い場所では生育生存できず、一方寒帯性の植物は高温には耐えられないものが少なくない。

寒帯性の植物では、種類によりこれ以上南では夏期の高温に耐えられないと言う南限があり、熱帯性の植物ではこれ以上北ではその寒さに耐えられないと言う北限があると言うことです。

南限や北限は人工的に植栽した場所と、自然に生育しているものとではかなり異なります。

南限や北限があるものを植栽分布自然に生育しているものを天然分布といい、植栽分布は天然分布より広いのが普通である。

日本は、アジアのモンスーン地帯に位置し、夏期には高温多湿になりますが南北に細長い島国であるので、冬期は太平洋側は低温で乾燥した気候になり、日本海側は降雪量が多く湿気のある寒冷気候になります。

冬期の気温は、北日本と西日本でかなりの違いがあるので樹木の植栽限界は日本の場合、気温特に最低気温によって左右される度合いが最も強いと言えます。

気温は地方、都市という大まかな地域だけでなく山の南側とか、暖かい海の風がよく吹く範囲とか大木の陰になっている場所とか、建物と建物との間のような所とか、塀の南側と言ったような細かい条件によっても変化し、樹種が育つか育たないかが決まる事もあります。

また、実際に安全であると思われる所に植栽されて育っている場合でも熱帯性の植物は、10数年に1回と言うような寒さにあった場合
枯れてしまうこともあります。

そのことから、その地域に自生している野生化している樹種以外の植物を植栽する場合は、事前に植栽地を調査するなど十分に注意する必要があります。





2020/12/09

エニシダ No,340

 エニシダ マメ科  

「金雀枝、金雀児」
     常緑~半落葉~落葉種あり

原産地=ヨーロッパ地中海沿岸一帯

日本には江戸時代初期(17世紀後半)にオランダから渡来しました。

名前はオランダ語、ヘニスタ(ゲニスタ)の発音がエニシダと聞こえた事に由来します。

原産地の土壌は石灰質の中性土壌ですが、マメ科の植物は空気中の
チッ素を固定する能力があり弱酸性の強い種も多く、今日では九州から北海道に至る各地で庭園樹や公園樹、環境緑化樹として栽培されるほか、切り花としても利用されています。

葉は小さく目立たず、花のない時期は細い枝が多数集まって生えて
いる様子がほうきを思わせる。

実際、英語名はほうきを意味する。
ブルームでかつては、エニシダの枝を束ねてほうきを作っていた地方もあったと言われています。

また、ヨーロッパの魔法使いが空を飛ぶ時に使うほうきも、エニシダ製だと言われています。

枝は葉緑素を含み冬でも緑色をしています。




❆品種

園芸種、近縁種は非常に多く、中でも特に名高いのが19世紀末に、
フランスのノルマンディー地方で発見された花弁の一部に、赤いボカシの入ったホオベニエニシダ(ニシキエニシダ)です。

❆白花が咲くシロバナエニシダ

❆黄白色または白色の花が数輪ずつ
群生して咲くシロエニシダ

❆花が小さく株自体も矮性で鉢植えに向くヒメエニシダ

❆シロエニシダの改良種で硬化して、帯状に幅広くなった枝に白色花をつけ、生け花、切り花によく利用されるセッカエニシダが人気の品種として知られています。


◉生育管理、環境

日当たり、水はけがよいと言う条件さえ揃えば、他の植物の生育に
適さないやせ地でもよく育ちます。

根が粗いので、植え付けは地上部の枝を少し切り詰め、水分の蒸散を防ぐようにします。

植え付け後は支柱を立て、株が動かないように固定します。

大株の移植はかなり困難になります。

マメ科の植物は移植を嫌います。

移植する場合は(3月~4月)半年程前から根回しを行い、地上部を思いきって切り詰めれば可能ですが
高度な技術を要します。

❆肥料(2月)

よほどのやせ地でない限り肥料は必要ありませんが、与えると場合は寒肥として、鶏ふん、油粕など有機肥料を株元にすき込みます。

ごく小さい苗を植えた時には、少量の油粕を混ぜ、根元に埋め込ん
でやりますが、多過ぎには注意!

✪病害虫

ごくまれにコガネムシの幼虫や、
テッポウムシがつくことがあります。

捕殺や殺虫剤を虫穴に注入して駆除します。

✿せん定

萌芽力が強いので生け垣仕立てにすることもできますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

株元から新枝が次々に伸びほうき状の株立ちになります。

放任しても樹形は整いますが、樹冠が大きくなりすぎると倒れる危険があるので、樹芯を適当な高さで止め、必要に応じて支柱を添えます。



                                                                        「エニシダのせん定」


通常のせん定は、混み枝や不定芽などの不要枝を間引くようにします。

4年から5年になった古枝は株元から切り、新枝に更新します。

また、夏場から秋にかけて暗褐色のさやがなり、次第に実が黒く熟しますが、見栄えが悪いだけでなく、樹勢が衰える原因にもなる。

実生で繁殖する予定がない限り、花後早めに切り取るようにします。

✭殖やし方

挿し木は春に充実した前年枝を、10〜15cmに切って挿し穂とし赤玉土や鹿沼土に挿します。


実生は、10〜11月に塾した種子を採り、冷暗所で貯蔵し、翌春に蒔きます。

70~80℃のお湯に入れ、そのまま一昼夜放置してから蒔くと発芽、率が高くなります。




2020/12/06

1月、バラ🌹の手入れ No,339

 バラの手入れ(1月)

1"大苗の定植
12月に続いて大苗を植え付ける適期です。

植え付ける場所にあらかじめ植え穴を作っておくといいでしょう。

この時期なら苗木もまだ購入できると思います。

通販の苗は裸根「はだかね」(ベアルート)が主体ですので、到着しだい苗を2〜3時間から半日ほど水に浸したのち、定植するか仮植えにしておきます。

✪ベアルートとは?

山採りの株でむき出しのままの根。

または、その状態の株や栽培株を
鉢から抜いて根が裸になった状態の株。

輸入などの植物は土つきの状態では輸入できません。

つまり、根が裸になった状態です。

乾燥地の植物の場合、細根が生きている状態であることはほとんどありません。

そんな状態でも腐敗したり枯死していなければたくましく蘇るのも植物です。




2"移植
これまで植えてあったものを他の場所へ移植するにはこの時期が最適です。

新しく植え付ける場所にあらかじめ、植え穴を用意したあとに移動する株を掘り上げます。

その際、強せん定を行い身軽にしておけば掘り上げ作業が楽に行えます。

今まで植えていた跡地に別の苗を植え付ける場合は、根の周りにこれまでバラが植わっていなかった所の土を10㍑程度(バケツ1杯)入れるようにしましょう。

3"鉢植えの土、鉢替え
土替えと鉢替えの適期です。

寒い時期なので、鉢が凍っていたら作業がやりにくいので、お昼過ぎから始めるとよいでしょう。


4"施肥(寒肥)
冬の元肥入れはこの時期の1月中下旬〜2月上旬に行います。

休眠期のため、根を切っても弱らないので、深く耕すことができます。




5"せん定、誘引
作業は3月上旬頃までの間であれば、いつ行ってもよいので早めに済ませたい方は行うとよいでしょう。

また、枯れ幹や古い幹をとりあえず除去しておき、後で高さを詰めてもよいでしょう。


6"病害虫の防除
この時期はマシン油乳剤を散布して、カイガラムシを駆除するのに最適期です。

これより時期が遅れるとあとで散布する石灰硫黄合剤が付着しにくくなります。


7"水やり
株は活動を休止しているため葉はついていても水分は蒸散しません。

鉢植えでも晴天がよほど続かない
限り、水やりは不要です。

8"繁殖
接ぎ木の適期です。

台木を購入出来ない時には自生しているノイバラを掘り上げ、その根に接げば殖やす事ができます。

9"除草と清掃
冬場でも雑草が生長しています。

早めの除草と落ち葉の清掃を行ってから、元肥を入れるとよいでしょう。






2020/12/05

12月バラ🌹の手入れ No,338

 


12月バラの手入れ

1’せん定と誘引
つるバラ、シュラブにせん定と誘引を早く済ませておくとお正月の庭がスッキリします。


❆ブッシュ系
ハイブリッドティー(HT)、フロリバンダ(F)、ミニチュア(Min)は急ぐ事はありませんが、古い幹を取り除いておくだけでかなりさっぱ
りして、仕上げが楽になります。

ブッシュローズは真っ直ぐ伸びる
性質が強いため自然樹形となりますが、観賞する場合に不都合とならないように、樹高をできるだけ
低く抑えます。




2’病害虫の防除
薬剤の定期散布は行いません。

この時期はやるとすればマシン油乳剤によるカイガラムシの退治です。

被害が少ない場合や被害がない時には散布する必要はありません。




3’大苗の定植、移植
鉢植えにしてあったものを庭に植えたりします。

4’鉢植えの土替え、鉢替え
まだ、土が凍っていないので早めに行う事に越したことはありません。


5’水やり
庭植えは基本的に不要です。

鉢植えもこの時期は葉からの蒸散量が落ちているので、雨が2週間も降らないようなことがない限り必要ありません。









キリ No,337

 キリ    「 桐」   落葉中高木

原産地=中国

朝鮮を経由して日本に伝わったのはかなり古い時代と推定され、東北から九州に至る日本各地で古くから栽培されています。

植物学的分類は、ゴマノハグサ科キリ属とする説と、ノウゼンカズラ科キリ属とする説があります。

この2つの科は極めて近い関係にあり、どちらも草本類(草花)が多く大木に生長するのは「キリ」だけで樹高は、10〜15㍍で幹の直径は30〜50cmにも達します。

草本類の仲間に分類されているだけあって、他種の大樹に比べて生長が非常に早く、東北の農村地方では女の子が生まれるとキリの苗木を植えて、嫁入りの時にその木を切り箪笥(タンス)などの家財道具を作る風習が各地で見られます。

当時の女性は十代で結婚する事が普通でした。

キリの樹木がいかに生長が早いかよくわかります。

枝を切るとすぐに芽を出し大きく生長するので「切る」が転訛してキリになったと言われています。

岩手県では県の木として指定されています。

幹は灰白色で滑らかですが、老木になると表皮がひび割れ灰褐色になります。

関東では5月、ゴールデンウィークに入る頃、東北では5月下旬頃に紫色の筒状鐘形の5弁花を枝先に多数つけます。




花には強い芳香があり、公園樹、庭園樹、環境緑化樹として幅広く親しまれています。

中国では皇帝の象徴である鳳凰はキリの木だけに巣を作り、竹の実だけを食べると言う伝説があり、霊鳥の宿り木として珍重された。

また、平安期の日本の皇族や貴族も競って、紋章や装飾にキリを用いたと言われています。


木材としてのキリは、材質が均一の変型や歪みが生じにくいこと、比重が軽く丈夫で水を通しにくいことなどが特徴で、精密な加工に適しています。

そのため、箪笥や下駄、箱などの他、琴などの楽器の胴材、人形の型金庫の内張り、家屋の床柱などに幅広く利用されています。

中でも、会津地方で栽培されているアイズキリ(チョウセンキリ)は第一級の木材として知られています。


葉はビロードのような質感で掌状に浅く3裂し、15〜20cm大きいものでは30cm程に達し時に五角形になる。

若枝や葉の両面には、粘り気のある軟毛が密生します。

つぼみは前年の秋に形成され筒状の花は大きく、ひとつの花の長さは6cm近くある。

春の花があらかた終わった頃5月〜6月に咲く。

卵形で先の尖った果実には翼のついた多数の種子が詰まっている。

❆生育管理、環境

日当たり、水はけのよい腐植質に
富んだ場所を好みます。

樹勢が強くかなり深い所まで吸肥力があるので、植え穴は大きく深めにし、完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込んで植えつけます。

大木の移植は困難なので植え付けは小苗で行います。

葉が大きく、枝もよく張るので単植に向き、植え付けには十分な広さが必要です。

✪病害虫

強い樹種ですが、まれにてんぐ巣病にかかる場合があります。

枝が軟弱、小型化し、ほうき状に細かい枝が密生し、葉や花がつかなくなるサクラ類などに多く見られる病気です。

この病気の病因、治療法は見つかっていません。

放置すると樹勢そのものが弱ってしまうので、病気の枝は早めに付け根から切り取って処分します。


✿せん定、整姿

放任しても直立して伸び、樹形はよく整いますがあまり大きくなり過ぎると、庭木としての手入れが困難になります。

広い場所でない場合、通常は樹芯を適当な位置で止めてある程度の高さを保つようにします。

通常の手入れは、秋に軟弱化した枝や枯れ枝、逆さ枝、ひこばえ、徒長枝、込み枝などを整理する程度で十分です。


✭殖やし方
小苗を購入して植えるのが一番確実な方法です。

根伏せで殖やすこともできます。

根伏せは秋に元気のよいひこばえを土中に誘引して、発根させてから親株より切り離して別の場所に植え付けます。









2020/12/04

シャリンバイ No,336

 シャリンバイ バラ科常緑広葉樹

別名=ハマモッコク (車輪梅)

シャリンバイの樹高は2〜4㍍程度幹の下部から枝が分かれ、株立ち状に大きく生長します。

本州宮城県以西、四国、九州、沖縄の海沿いの岩場や山地に自生します。

シャリンバイの名は5月初旬から
6月にかけて、梅に似た5弁の白い小花を車輪状にぐるりと枝先につける所から命名されました。


また、モッコクに似た肉厚の葉をつけることから(ハマモッコク、浜辺のモッコク)と言う別名もあります。

またタチシャリンバイとも呼ばれる。

❆葉の縁はまばらな鋸歯があるもの
と全縁のものとがあります。


生長は遅く萌芽力もあまり強くありませんが、その分管理がしやすい。

耐潮性、耐煙性が非常に強く大気汚染にも強い事から、都市部の庭園樹、公園樹などとして観賞用に
広く用いられています。


10月から12月にかけてブルーベリーの実に似た紫黒色の果実が熟します。

また、黒褐色で滑らかな樹皮は有名な、鹿児島県奄美大島の大島紬の染料として使われる事も知られています。


                          (シャリンバイ)

✪品種

変種が多い。
✭葉先が丸く矮性のマルバシャリンバイ

✭葉が狭いホソバシャリンバイ

✭紅色の花をつけるベニバナシャリンバイ、ヒメシャリンバイなどがあります。

❆スプリングタイムなど外国で改良
された品種も出回っています。

密に枝葉が茂るシャリンバイは、庭の目隠しに利用したり、寄植えにします。

マルバシャリンバイは小ぶりで球状に樹形がまとまりやすいため、単植にして玉仕立てに作ったりします。

洋風の庭にもよく合います。

また、盆栽にも仕立てやすくよく
利用されている樹種です。


                 ( マルバシャリンバイ)

★生育管理、環境

やや砂質の肥沃な土質が理想ですが、日当たりのよい場所であれば
普通の土質なら毎年よく開花します。

日本海側の自生限界は山形県西部と言われており、寒さにやや弱い
傾向があります。

寒地では冬の寒風に当たらないようにし、株元にマルチングするなど管理に気をつけましょう。

◉肥料

2月と9月くらいに、株元に化成肥料を蒔く程度で十分です。

樹勢が衰えた場合は、根元の周囲を掘り、完熟堆肥を十分にすき込みます。

チッ素系の肥料が多いと花つきが
悪くなるので、控えめにします。


❆病害虫
カイガラムシによるスス病が発生する場合があります。

4月から7月にかけて、スミチオン乳剤などを2〜3週間おきに散布しておくと防除に繋がります。

✿せん定、整姿

生長が遅く萌芽力があまり強くないので、極端に手を加えないのが
原則です。

放任していても樹形はあまり乱れずよくまとまりますが、若木の間は伸び過ぎた新梢を切る程度で十分です。

しかし、長時間放置状態になると
ふところ枝などの不要枝が増えて
くるので、2〜3年に一度くらいは間引きせん定を行い、樹形を整える必要があります。

枝が車状に出るので、上手に間引く事が大切です。

大きくなり過ぎた株を小さくしたい場合は、6月から8月に枝の途中で切り戻しますが、基本的に葉のある部分で切り、短い枝と切り替えます。

古枝の部分で強く切り戻すと、樹勢を弱らせる原因になる場合があるので避けましょう。

玉仕立ての場合もあまり強く刈り込まず、若枝の部分を軽く刈り込む程度で樹形を整えます。

✪殖やし方
塾した果実を採り、果肉を除いて

採り蒔きにするか、冷暗所で保存して翌春に蒔きます。

挿し木は活着率が悪く困難です。









2020/12/01

シャクナゲ No,335

 シャクナゲ ツツジ科 常緑低木

別名=卯月花   (石楠花)

中国西南部からヒマラヤにかけての山深い地方が原産と言われています。

園芸品種は日本の高山に自生する、日本シャクナゲ(和シャク)と欧米で改良されて日本に渡った西洋シャクナゲ(洋シャク)に大別されます。

日本シャクナゲの代表的なものには
✪南畿以西、九州、四国の山地に分布するツクシシャクナゲ

✪愛知、長野、富山以西、四国に分布するホンシャクナゲ

✪山形、宮城以南、関東、甲信地方に分布するアズマシャクナゲやアマギシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲ、ホソバシャクナゲ、キバナシャクナゲなどがあります。

いずれも高地に自生するため、平野での栽培には高度な技術を要します。

そのため「高嶺の花」として古くから園芸愛好家の憧れの花となっています。




欧米では「アルペン·ローズ」と呼ばれる西洋シャクナゲは、品種改良が繰り返され千種類以上の園芸品種があると言われています。


総じて花が華麗で大きく、色も豊富で一般家庭でも栽培が容易なため、より広く親しまれているのはこの西洋シャクナゲです。

◉生育管理、環境

栽培が難しいと言われるシャクナゲですが環境がきちんと整っていればよく育ちます

開花時期は5月〜6月

基本的には午前中に日がよく当たり午後は日陰になるような所が最も適しています。

シャクナゲは西日を嫌う性質を持っている

ため、強い日差しが一日中当たるような所は生育に適しません。

また、乾燥を嫌うので冬場の北風が避けられるような所で栽培することも大切です。

他の樹木や植物の間に植えるのも
他の樹木や植物が蒸散した水分によって湿度が上がるので良い方法です。

根が浅いので乾燥する季節には敷き藁などで乾燥を防ぐ事も必要です。

✿植え付け、植え替え

2月中旬〜3月、9月中旬〜10月
土質は水はけがよく腐植質を豊富に含んだ酸性土を好みます。

赤土や火山灰質の黒土で腐植質を多く含む軽い土や、鹿沼土、軽石、ピートモスを混ぜ合わせたものなどが適しています。

植え付け、植え替えは根が細かいので根鉢を大きく取り、根についている土はある程度落として新しい土とよく馴染むようにすることが大切です。


❆肥料

寒肥として2月、花後のお礼肥として7月にそれぞれ油粕と骨粉を、等量混ぜたものを株元に蒔く程度でよいでしょう。


✪病害虫

葉枯れ病、褐斑病、カイガラムシなどが発生する場合があります。

葉枯れ病、褐斑病にはマンネブ剤などを散布します。

カイガラムシには発生期にデナポン乳剤を散布します。

越冬期にはマシン油乳剤や石灰硫黄合剤などで防除します。






✿せん定、整姿

5月、10月
放任しても樹形がよく整います。

ただし、花つきの多い種類はすべての花を咲かせると、樹勢が衰え隔年開花の原因になる場合があるので摘蕾します。

シャクナゲは花が付いている内から、新梢が伸びてその先端に花芽が分化します。


そのため、冬の間もつぼみをつけた開花枝ができる事になります。

そこで10月頃にその枝の真ん中のつぼみを取り除いておきます。

残したつぼみは翌春開花し、摘み取った後から伸びた新梢には翌年の花芽がつくので、隔年開花を確実に防ぐ事ができます。


また、花後の花柄摘みも花つきをよくするために欠かせない作業となります。


❆殖やし方

実生は採取したしゅしを冷暗所で保存し翌春に平鉢に入れた水苔に蒔きます。

ガラス板や新聞紙などをかぶせて保温し、日中はガラス板をずらして外気に慣らします。

翌年秋に水苔を切り取り、赤玉土3、腐葉土4、ピートモス3の割合の用土に植え、3年程管理した後定植します。

挿し木は5月頃に鹿沼土とピートモスの用土に挿し、冬場は日当たりの良い窓辺で管理します。








2020/11/30

苔で作ったクリスマスリース No,334-1

 苔リース



リースリングには土が一体化されている。


植物の植え付けができるように

作っています。





2020/11/26

エゴノキ No,334

 エゴノキ エゴノキ科

落葉小中高木 (斉敦果)


北海道から沖縄まで、ほぼ日本全国に自生する。

日本の代表的な樹種のひとつです。

秋に熟す果実の皮にはエゴサポニンと言う有毒物質が含まれており
食べたときにのどを刺激して「エグい」味がする事から「エゴノキ」の名が付いたとも言われています。

この果実や樹脂から★「安息香」と呼ばれる薬剤を作ったり、洗剤の原料などに用いていました。


★安息香=あんそくこうは別名ベンゾインとも言い、精神を落ち着かせてリラックスさせる効果に優れている。

青い果実は、有害のサポニンを含みかつては、その麻酔効果を利用して魚とりなどに使われていた。

この様な効果を含んだ植物はナス科🍆に多く見られる。

★ナス科の同類作用種
※ハシリドコロ

※アトロパ·ベラドンナ
(和名オオカミナスビ)

※チョウセンアサガオ
ダチュラ、マンダラゲ、キチガイナスビ
トランペットフラワー、ロコ草とも言う。

※イヌホウズキ(バカナス)

※ヒョス

◈その他では
ケシ科のケシの実から作るアヘン、麻薬

◈キンポウゲ科のトリカブト
(オクトリカブト)

◈セリ科の毒人参(ハムロック)
毒パセリとも呼ばれる。

昔はエゴノキの木材をロクロで細工して、玩具を作った事から「ロクロ木」と言う別名もあります。

白い木材は堅くて粘りがあり、家の床柱や薪炭材としても利用されます。

5月に桜に似た清楚な白花をこれ以上は無理と言う程、枝いっぱい
雪の様に咲かせます。

生長が早く花が美しい事から、公園樹としても利用されるようになった。

身近な平地や里山の雑木林や沢沿いなどに多く生えている。

全国に分布する樹種のため別名が
多く存在している。

チシャノキ、チャノキ、サボン、イツキなど、各地で様々な通称が使われています


万葉集にも「地左=ちさ」の名で登場しており、古くから多くの人々に親しまれていた樹木である事が
窺い知れる。

樹勢がたいへん強く、庭木としても育てやすい樹種で、園芸品種には枝が垂れるシダレエゴノキ、淡紅色の花が咲くベニバナエゴノキがある。


                          (エゴノキの花)


◉生育管理、環境

一日中日が当たる場所より、午前中によく日が当たり、午後の西日があまり当たらない半日陰の環境が最も適する。

水はけ、排水性、腐植質に富んだ肥沃な土質が理想的です。

樹勢が強いので、大抵の環境でも育ちますが、根元付近が乾燥しやすい場所では乾燥を防ぐ処置が必要です。

✿植え付け、植え替え

11月〜3月までの落葉期に行います。

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥を元肥として十分すき込み 、排水が良くなるようにやや高植えにします。

植え付け後は支柱をつけ、倒木を防ぐ。

◉肥料

樹勢をよく観察しながら、必要に応じて2月頃に寒肥として鶏ふんなどを、株の大きさに応じて株元にすき込むとよいでしょう。

❆病害虫

まれにカイガラムシやテッポウムシが発生します。

カイガラムシには冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤を散布し、テッポウムシには穴にスミチオンを注にした後練り土で穴を塞ぎます。

✿せん定、整姿

細かい枝や混み過ぎた枝、徒長枝などのふような枝を整理します。

枝は途中で切ると硬い樹形になるので、切る時は必ず付け根で切り取ります。

切り口には必ず保護剤を塗り保護する事が大切です。

シダレエゴノキの場合は、同じ様に枝を切るのではなく、しだれた枝を外に向かって広がるように枝向きを生かして、せん定する事が重要です。

せん定、整姿の適期は葉が完全に落ちた12月から新芽が動き出す前の3月中旬頃までです。


✪殖やし方
秋に熟した果実を取り、果肉をよく取り除いてから蒔きます。

ベニバナエゴノキ、シダレエゴノキは実生3年から4年の苗木を台木にして切接ぎで殖やします。






2020/11/24

トチノキ No,333

 トチノキ  トチノキ科 栃の木

別名=ウマグリ 落葉高木

栃木県の県木として有名ですが、本州四国、九州の各地に自生しています。

深山の渓流沿いなどの湿り気が多い場所生える。

老木になると樹皮が剥がれて模様がより鮮明になる。

5月初旬から6月にかけて、小花の集まりがロウソク状に盛り上がる独特の花を咲かせる。




日本の山野に自生するトチノキは
紅白の花を密につけ、マロニエの名で親しまれているヨーロッパ南部原産のセイヨウトチノキは、淡白色や紅色のやや大ぶりの花をつけます。

パリのシャンゼリゼ通りを模した
セイヨウトチノキの並木道が、日本でも各地で見られます。

北アメリカ原産のアメリカアカバナトチノキは、やや小形で日本ではあまり見られない。

街路樹や公園木としてもよく見かけるのは、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキの園芸交配種として、19世紀に作り出された紅色花をつけるベニバナトチノキです。

こちらは日本での歴史が30年余りで、比較的新しい園芸種といえます。

トチノキの「ト」は数字の(十)に由来しており、実が多い木の意味と言われている。

花から「蜜」が、種子からでんぷんが採れ食用とされます。

特に蜜は[トチ蜜]と呼ばれ、最高品質の蜜として珍重されます。

秋に熟す実「トチの実」はすりつぶして渋抜きしたものを[栃餅]にしたり、蕎麦に似た(栃麺=とちめん)を作ります。


縄文時代にはどんぐりなどとともに、重要な主食の一部だった事も知られています。

チョコレート色の模様がある種子は有毒だが長い時間水に晒して、飢饉の時には食料とされた。

木材は家具や楽器などに幅広く用いられます。

◉生育管理、環境
土質は特に選びませんが、日当たりがよく保湿性のある腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。

◉植え付け、植え替え

大木になるのでそれなりのスペースが必要、庭植えに向くのはやや小ぶりのベニバナトチノキですが、枝葉を大きく張るので混植を避け、独立木として広いスペースに植えるようにします。

高さ1メートル程の2〜3年生の接ぎ木苗で開花する「カルネア·ブリオッティ」など小庭向きの矮性の園芸品種もあります。

植え付け、植え替えは11月下旬〜12月及び、2月下旬〜3月中旬に行います。

寒冷地での植え付けは春に行った方が良いでしょう。

◉肥料
やせ地でない限り、通常は必要ありません。

が状況に応じて油粕、鶏ふん、堆肥などを寒肥として2月頃に根元にすき込むと良いでしょう。

❆病害虫

クスサンなどの幼虫がつく場合があります。

幼虫が発生した場合は、捕殺した後ディプテレックス乳剤などを散布して予防します。




✿せん定、整姿

放任しても大きな球状に樹形を整えるので、若木のうちは落葉期にふところの細かい枝を切る程度で、せん定、整姿の必要はほとんどありません。


萌芽力があまり強くないので切る場合は、必ず付け根から切るようにすることが大事です。

ある程度の大きさに育ったら、大きくなり過ぎないように切り詰める必要があります。


花後伸びた新梢の先端に花芽が分化します。

花が終わったらすぐに開花枝を、大きめの定芽の上で切り戻すようにします。

✪殖やし方

園芸によく使われるベニバナトチノキは、あまり結実が良くないので接ぎ木で殖やします。

台木は2年生以上のトチノキの実生苗木を利用し、3月中旬から下旬にかけて切り接ぎにします。

活着率も比較的よい樹種です。

高接ぎ比較的容易に行えるので、
10年~15年生くらいの大きなトチノキの枝に数カ所高接ぎをすると、3年程で立派な苗木ができます。







2020/11/19

葉の部分、形、つき方に関する用語 No,332

 葉の部分に関する用語について

「葉」は植物学的には、根、茎とともに植物の栄養器官を構成し、通常茎のまわりに規則的につき、葉緑体を持ち光合成を行い呼吸、蒸散を行うものを「葉」と言います。


ほとんどの樹種の葉は、偏平な形である。

✿気孔❨きこう❩

気孔は葉の表面にあり、空気が出入りするための孔で開閉できる。

✿鋸齒❨きょし❩

葉の縁[葉縁=ようえん]につくノコギリ状のギザギザのこと。

✿全縁❨ぜんえん、ぜんふち❩

葉縁に鋸歯や切れ込みがないもの。

✿托葉❨たくよう❩

葉の付け根に生じる葉状、突起状
刺状などの構造物。
ドクダミなどに見られる。

✿葉腋❨ようえき❩

葉が茎にくっついている根元の部分のこと。

✿葉茎❨ようけい❩

葉と一体になった茎のこと。
草木類にみられる。

✿葉身❨ようしん❩

葉の本体とも言える部分で、普通は偏平で葉脈がある。

厚さ、光沢、質感、毛の有無や性質が樹種によって異なる。

✿葉枕❨ようちん❩

葉の付け根のやや膨らんだ部分。
内部の圧力を調節して葉を動かすことを可能にする。

✿葉柄❨ようへい❩

葉身と茎を繋ぐ柄のような部分。
葉身を適当な位置に差支える。

葉柄がない場合は無柄ある場合は有柄と言う。

✭図5葉の付き方参照

✿葉脈❨ようみゃく❩

葉身内を走る維管束。

中央の主脈、主脈から出て葉縁へ向かう側脈、網目状に走る網脈などがある。

✪図1=葉の部分


「葉」の形に関する用語について

樹種によって形は多様です。

◉複葉❨ふくよう❩

2枚以上の小葉が集まってできている葉の
事で、全体で一枚の葉と考えられるもの。

複葉がさらに集まっているものを
2回複葉と言う。
✭図2を参照

◉羽状複葉❨うじょうふくよう❩

小葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき、全体として1枚の葉を形成しているもの。


◉小葉(しょうよう)

複葉を形成する1枚の葉のこと。

◉鱗片葉❨りんぺんよう❩

魚の鱗(ウロコ)のような形の葉が重なっている形態のもの。
針葉樹に多く見られる。

✪図4=葉の切れ方参照


◉裂❨れつ❩

葉の切れ込んだもの。
切れ込みの形状により浅裂〜深裂などに分かれる。

✪図4参照

✭図=2主な複葉の種類



✭図3=主な葉の形


✪図4葉の切れ方


葉のつき方に関する用語について


❆互生❨ごせい❩

葉が一枚ずつ交互についている状態。

❆対生❨たいせい❩

葉が1つの節から2枚相対して
出るようなつき方。

❆輪生❨りんせい❩

葉が茎の1箇所から3枚以上出ること。

✭図5葉のつき方







2020/11/17

ミモザ(アカシア) No,331

 ミモザ マメ科アカシア属

原産地=オーストラリア、タスマニア
別名=ミモザアカシア 常緑中低木

日本には明治時代の初期に渡来しました。

ミモザはフランス語で和名はフサアカシアと言いますが、日本では北海道から九州まで自生が見られるハリエンジュ(ニセアカシア)を俗にアカシアと称する事が多く、園芸店では混同を避けてミモザと呼ぶのが一般的です。

アカシア属の植物は世界に500種以上あると言われていますが、日本の園芸店でよく見かけるのは「フサアカシア」と同じく明治時代に渡来した近縁種の「ギンヨウアカシア」の2種です。

海外ではネムノキの属名も「ミモザ」といい、混乱しそうですがいずれも30~40対の、二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようです。

ミモザは、2月から4月頃にふんわり丸い数十個の黄色い小花が、枝先に房状に咲き芳香を放ちます。


夏から秋にかけて8~10個の豆が入ったサヤができます。

日本ではあまり馴染みがありませんが茹でると食用にもなります。

他のマメ科の植物同様、空中のチッ素を固定して栄養分とする能力があり、痩せ地でもよく育ちます。

暖地性で寒さには弱い傾向がありますが大気汚染に強いことから、関東地方以西では、街路樹、緑化樹などに多く利用されている。

その他、生け花やフラワーアレンジメントの花材としても高い人気があります。


フランスのカンヌ地方では、ミモザの花束を投げ合う春祭りがあるほか、イタリアでも男性が女性にミモザの花を贈る記念日があるなど、欧米では最もポピュラーな春の花の一つです。




★1931年から開催されているミモザ祭りフランス、カンヌ映画祭が行われるコートダジュールの町、マンドリュー·フナープル毎年2月の約1週間、ミモザ祭りで町中が黄色く染まる。

ミモザの花を中心に春の花で飾られた山車によるフラワーパレードが行われる。

訪れた人々は、ミモザの街道を散策したりミモザの香水を作ったりと、春の訪れを告げるミモザを満喫します。


★イタリアミモザの日
3月8日の「国際女性デー」をミモザの日

と呼んで男性が妻や恋人、身近な女性に日頃の感謝の気持ちを込めて、ミモザの花を贈ります。

第二次世界大戦直後の1946年からの習慣である。

ミモザの花の香りは、咲き始めが最も強く、ヨーロッパの人々に春の訪れを知らせるものとして愛されてきました。


ミモザの香りは、イヴ・サンローランの「YSLパリ」、ジパンシーの「アマリージュ」など、有名な香水の原料に使われている。

原産地のオーストラリアでは「ギンヨウアカシア」が国花になっている。




◉近縁種として
花房、葉ともやや小ぶりで葉が白銀に輝くギンヨウアカシア、葉が三角形のサンカクバアカシアなどがあります。


◉成育管理、環境
日当たり、水はけのよい場所好みます。

土は多少の痩せ地でも問題ありません。

ミモザアカシア属の中では耐寒性がある方で、関東地方中部までは
庭植えが可能です。

冬の冷たい風が当たらないような
日溜まりができる場所が理想です。


◉植え付け、植え替え
植え付け、植え替えは完熟堆肥を十分にすき込みやや高植えにします。

生長が早く、生育環境が良ければ
10~15㍍大木に生長しますが、根は意外に少なく、樹冠が大きくなるので支柱を取り付けるようにします。

幼苗の移植は容易であるが、成木になってからは難しくなります。

適期は秋植えも可能ですが、4月中旬から5月上旬の春植えが適しています。


◉肥料
必要に応じて花後に粒状化成肥料を少量与えます。

追肥として秋に、骨粉や油粕などを与えると樹勢維持に効果的です。

◉病害
まれにカイガラムシやテッポウムシの被害を受ける事があります。

カイガラムシは冬期に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布して防除します。

テッポウムシ(カミキリムシ幼虫)は食害を受けた孔(穴)にスミチオン乳剤などの殺虫剤を注入して駆除します。


◉せん定
放任してもよく樹形を整えますが
生長が早く幹の太さに比べて樹冠が大きく広がるので、その都度枝抜きする必要があります。

花芽は枝先に形成されるので、花が終わったらすぐにせん定しないと、翌年の開花枝を切ってしまうことになります。

太い枝を思い切って抜いて樹冠を軽くし、混み合った枝も整理して風通しをよくします。

その後伸びる枝には基本的に手をつけないようにします。

◉殖やし方
夏以降に実ったサヤから種子を取り出し赤玉土、川砂など水はけの良い用土に蒔いて管理します。

実生そのものは簡単ですが、通常の花後せん定をすると種子は採れません。

実生を行う場合は、花後実らせるための枝を残しておく必要があります。







2020/11/13

トサミズキ No,330

 トサミズキ マンサク科

トサミズキ科

落葉広葉中低木 「土佐水木」

高知県の土佐に生えることから

この名がある。




蛇紋岩地質帯や石灰岩などの岩礫地に多く中国地方や、九州の同質地帯にのみ自生しています。


限られた地域にのみ自生する樹種ですが、花の美しさは江戸時代から各地の園芸愛好家に親しまれてきた名花である。


樹勢が強く蛇紋岩でなくてもよく育つ事から、暖地の庭木として各地に広まりました。


葉は互生で、裏に白味がかった短い毛が生えているのが特徴です。


葉の展開前の3月から4月にかけて、淡黄色の釣り鐘形の花を6~10個程穂状に下垂して咲かせます。


樹冠を覆う鈴なり花穂の様を、たわわに実った稲穂に例えて「満つ木」と呼んだものが、「ミズキ」に転訛したと言われています。


また、春の枝を切ると樹液を多く含むため「水木」となったとする説もあります。


秋には黄葉も楽しめることから庭の下植えや茶木、盆栽、生け花など幅広く利用されています。


トサミズキ属の植物は東アジア一帯に20~30種あると言われていますが、日本にはコウヤミズキ(高野水木)ヒュウガミズキ(日向水木)キリシマミズキ(霧島水木)があります。


いずれもトサミズキに似ていますがヒュウガミズキは花、樹形とも小ぶりで一房の花数が少なく、キリシマミズキは花房が斜め下に垂れるなどの特徴がある。





◉生育管理

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みますが、日陰にも比較的よく耐えるので、高木の下植えに適している。


ただし、日当たりがよい程花つきはよい。


◉剪定、整姿

放任しても樹形は株立ちの卵形状に比較的よくまとまります。


春に切ると樹液が多く出るので、せん定は5月から花芽の分化前の6月中旬までにとどめる。


強い刈り込みにも耐えますがあまり枝が密生しない性質なので、自然樹形で楽しむのが一般的です。


基本的には、徒長枝や込み合った枝を切り詰めます。


花後は不要な枝を切る程度に止め

樹形を整える剪定は、落葉中に行います。


葉芽だけの徒長枝は4~5芽を残して切り込み合う枝やふところ枝、弱い小枝は根元から切り取ります。


ひこばえもよく発生するので見つけ次第切り取り、5~6本の株立ちを保つようにします。


花芽分化期は7月から8月で、今年伸びた新梢の葉腋にでき翌春に開花します。


花芽は若木の頃は短い枝にのみつき、大きくなるにつれて長い枝にもつくようになります。





◉植え付け、植え替え

土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので植え付けの際は、やや湿気のある場所を選びます。


浅根性で横に広く根を張るので、植え付けた地面は強く蛇も踏み固めないよにします。

元肥には堆肥を十分施す。

植え付け、植え替えの適期は、葉がつく前の3月と10~11月です。


◉肥料

樹勢が強く耐寒性も比較的強い樹種です。


肥料は寒肥として油粕や鶏ふん、骨粉などの有機肥料を与え、樹勢を良くしておく。


花つきが悪い場合は夏に少量の化成肥料を株元にすき込むとよいでしょう。


◉病害虫

まれにカイガラムシやケムシ類が

発生する事があります。


カイガラムシは冬期の消毒、マシン油乳剤、カルホスで防除、ケムシは捕殺や殺虫剤散布で駆除し病葉、病枝などを処分して防除します。


◉殖やし方

2月上旬に充実した枝を一本取り

15㎝程の長さに切り分けて束ね、

日陰の土中に埋めて貯蔵します。


3月上旬~中旬に掘り起こし赤玉土もしくは鹿沼土の用土に挿します。


一ヶ月程で発根するので、そのまま乾燥に注意しながら管理し翌春に定植。


発根率はあまり高くないので、さし穂は多めに取っておいた方がよいでしょう。


実生は9月から10月に熟した果実から種を取り、そのまま取り蒔きにするか湿った砂で低温貯蔵してから翌春にまきます。





2020/11/12

スノードロップ No,329

 スノードロップ ヒガンバナ科

別名=ガランサス、ユキノハナ、マツユキソウ

スノードロップは英名で「雪のしずく」の意味です。

ヒガンバナ科ガランサス属の仲間の総称にも使われ、和名が付いているのはガランサス·ニワァーニス(ユキノハナ又はマツユキソウ)とガランサス·エルウエシー(オオユキノハナ)の二つです。


南ヨーロッパ、南西アジアが原産地とされ正月前にこの花を見つけると、翌年幸運に恵まれると言うスコットランドの言い伝えの存在や、英国の花暦で1月の花とされていること、ロシア民話に登場する事などから、ヨーロッパでは古くから身近な山野草として親しまれていたことが分かります。

草丈は低く7~20㎝、花径は2㎝程でひとつの茎に一つの白い花が咲きます。

開花期は12月~3月末

小球形の球根植物で耐寒性が強いが暑さは苦手なので、夏の高温には気をつける必要がある。

園芸品種は色々出回っていますが、いずれも内側の3枚の花びらに黄色や緑の斑点があるのが特徴です。

地味な姿なので、寄せ植えにするより単独の鉢に群生させると清楚な姿が際立ちます。




◉植え付け、管理

球根の植え付けは9月から10月に行う。

場所は水はけがよく、秋から春にかけては日当たりがよく、5月頃から半日陰になる所が理想的です。

落葉樹の下などが適しているでしょう。

球根が小さく、しかも1球にひとつの花しかつかないので、10球くらいまとめて1ヶ所に植えます。

発根温度は15~20℃で、植える前に球根を湿った土の上に置き、十分に水分を吸収させます。

土壌には、化成肥料を1㎡当たり一握り程施し、2~4㎝の深さに3~5㎝間隔で植え付けます。

霜柱が立つ所では深めにしておきます。

排水が悪く湿度の高い所は、夏に球根が腐りやすいので、植え付ける時には球根の下に2~3㎝の砂を入れ、くんたん、酸性白土を混ぜ、腐敗防止をすると効果があります。

★鉢植えの場合は、鉢の深さの中間深さ5㎝位の部分に球根を植え込みます。

5号鉢に5~7球の割合で、赤玉土の小粒に半量の腐葉土を加えた水はけのよい混合土に植え付けます。

半日陰に置き、発芽したら日当たりのよい場所で管理します。

水は11月~5月中旬までは1日1回たっぷり与え、夏は土が湿る程度に5~6日に一回与えるようにします。

植え込んだ年は、霜柱で球根が浮かないように鉢を土中に埋め、軽い霜除け程度をして寒さに十分遭わせます。

2月頃には葉が地面に現れ、間もなく葉の間からつぼみが見えるようになる。

暖かい日当たりに置くと10日位で
開花します。

鉢を涼しい所に置くと、花は長持ちしますが、暖かい室内に置くと長持ちしません。

★掘り上げは3年に1度で、葉が黄変した5月頃に行います。

(A)
葉をつけたまま球根を傷つけないように深く掘り、そのままで一週間ほど日陰に置いておきます。

この間に葉の養分はすべて球根に移動しやがて葉が枯れます。

その後は乾燥しないように少し湿らせたバーミキュライトに埋めて保管します。A,)





◉花後の管理、生育環境

花後は追肥を庭植え同様に施します。

花後には2~3回くらいリン酸、カリ分の多い化成肥料を与え、4月にカリ分が多めの化成肥料を与えます。

花後は花柄を摘んで、葉は枯れるままにしおきます。

花後は花柄を摘んで葉は見た目が悪くても切り落とさずにおいて光合成をさせます。

この時期に肥料を施すのは養分づくりを手助けするためです。

葉がなくなったら雨を避けた涼しい所に移動し、球根が乾燥しないように時々水を与えて貯蔵します。

植え付けから3年位はそのままで球根を充実させ、3年目以降には用土の更新を兼ねて、花後に古い土を落として新しい用土に植え直します。

夏の暑さは非常に苦手なので、午前中のやわらかい日差しのみ当て、午後の強い光や西日は避けるようにします。

また、表土の地温が上がらないようにワラや落ち葉を敷き詰めておきます。

◉病害虫
3月から5月にアブラムシの防除が必要乾燥に気を付けるとともに月に一回薬剤を散布しておきます。


◉殖やし方
掘り上げた球根の子球を外さずそのまま(A)のように保管しておき、植え付ける時に切り離して植えます。

手で軽く引っ張ってとれるもの以外は無理には外さないでおきます。

分球した球根がさらに殖え、花数が次第に多くなっていきます。






2020/11/09

コダカラベンケイソウ No,328

 コダカラベンケイソウ 

「子宝弁慶草」多肉植物(常緑性)
原産地=マダガスカル
別名=クローンコエ、シコロベンケイ

草丈は15~30㎝程で、多肉植物としては大きく生長します。

主に2月から5月に葉っぱの間から長い茎を伸ばし花を咲かせます。

大きくなった葉の縁にたくさんの小さな子株(新芽)がついて殖えることが特徴。

それぞれの子株は親株と同じ遺伝子を持つ事から「クローンコエ」と呼ばれています。


       (植え付けたばかりの株)


花芽は植え付け後、2年から3年でつくのが一般的で、12月から1月頃に花芽が伸び始め、2月から5月頃までにたくさんの花を咲かせます。

スズランの様な釣鐘状の形をした花で、繁殖力の強さとは裏腹にとても可愛らしい花をつけます。

日当たりのよい場所で、乾燥気味に育てるようにします。

湿度の高い環境だと根腐れを起こして枯れてしまいますが、水が足りないと葉っぱが萎れたりしますので、育てながら水やりのコツを掴むのが重要です。


          (つぼみのつき始め、11月撮影)

◉植え付け、植え替え

寒さに弱いので地植えには不向きです。

4月から6月か9月から10月に株よりも一回り大きな鉢に植え付けます。

植え付け後は、半日陰で水を与えずに管理し、一週間してから水やりを始めるようにします。

植え替えは2年から3年に一回を目安に行い、一回り大きな鉢に腐った根や枯れた根を取り除いてから植え付けます。

植え替えから一ヶ月程は、週に一回程度少量の水やりをして、その後は通常通りの管理を行います。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合した土や市販の観葉植物用の用土に植え付けます。

水はけを良くするために排水性の良い改良材などを混ぜるのも効果的です。


◉水やり

3月から10月頃までは土が乾いたらたっぷり水を与えます。

夏の水やりは少し控えめに行い、水が葉っぱにかからないように注意します。

冬場に水分が少なくなると、葉の全体がピンク色に変色します。

変色してもすぐに枯れてしまうと言う事ではありませんが、水やりをするサインとして覚えておくと良いでしょう。

一般的に多肉植物は冬越しをするために水やりを一切しない場合が多いですが、コダカラベンケイソウは冬場でも一ヶ月に2回程度の水やりを必要とします。


ただ、与え過ぎると根腐れの原因になるので注意しなければいけません。


◉肥料

肥料はなくても育ちますが、春から秋までの間は液肥などを施すと子株がよくつくようになります。


      (11月、葉の縁についた子株)

肥料の与え過ぎはよくないので注意します。

★殖やし方

株わけや葉についた子株がこぼれ落ちて一年中増えます。

葉からこぼれ落ちた子株をそのまま土の上で育てても良いですが、2~3日程水に浸けて発根を促した方が確実に育ちます。



                                (子株の挿し木)


※挿し木
4月から6月、9月から10月頃が適期、茎を10㎝程に切り、土に1㎝程埋めておきます。

一週間に1度少量の水やりをしていくと根と新芽が生えてきます。

★害虫はハダニ、ナメクジが発生見つけ次第、捕殺や薬剤などで駆除します。

コダカラベンケイソウは蒸れに弱い植物なので、特に多湿になりやすい梅雨や夏場には風通しの良い場所に置いて管理します。

暖かい地域に自生する植物なので寒さには弱く、霜に当たると枯れます。

冬場はなるべく、10度以上の気温を保てる暖かくて明るい室内へ移動し管理します。

また、部屋の中でも冬の窓辺などでは夜や明け方に気温が下がるのでなるべく避けるようにします。


        挿し木後3ヶ月が過ぎた子株
        ❨2021年2月21日撮❩



「切り詰めて新芽が出てきた状態」


間延びした場合、上部を切り詰め下部に新芽を出させる。








2020/11/07

アセビ No,327

 アセビ ツツジ科 常緑中低木

原産地=日本

アセビ属の植物は東アジア、北アメリカに10種類程ありますが、日本では本州(山形県以西)四国、九州のやや乾燥した山野に自生しています。

大きなものは5㍍にも達するが、普通2㍍程の樹木が多い。

乾燥が強いと低く、弱いとより高く生長する。

群生して林を形成することも多く、そんな場所では枝が混み合って容易に人を近づけない。


古くから親しまれてきた樹種で、万葉集時代から多くの和歌に詠まれています。

アセビと呼ぶようになったのは、平安時代後期からで、それ以前はアセボ、アシと呼ばれていました。

アセボトキシン、アセボチンなどの有毒成分があるため、馬に食べさせると酒に酔ったように、足を引きずることから、アシヒキ足が痺れるのでアシシビレ等と呼んでいたものがアシビ、アセビに転訛したと言われています。

「馬酔木」と言う漢字もこれに由来します。

★アセボトキシン、アセボチンなどは苦味物質である有毒成分で、
昔から葉を煮出して水で希釈したものを農作物の殺虫剤や、家畜の寄生虫駆除ウジ虫の駆除などに利用されていた。

近年でも特に羊や山羊の中毒が多数報告されている。

トルコでツツジ属の花からとった蜂蜜を食べた人から、中毒事故が起きているとの報告もあります。

2月下旬から4月にかけて、スズランやブランデーグラスを逆さにした様な釣鐘状の白、または紅色のたくさんの小花が房状に下垂して咲きます。

花は下を向いて咲くが、果実は上を向いて熟す。

5月頃の新芽も淡紅色で美しく、
樹形も整えやすいことから庭木として、古くから幅広く利用されている。

その他、盆栽や鉢植えでも楽しまれてきました。




枝葉、花、果実とも有毒物質を含みますが、接触しても食べない限り心配はありません。

江戸時代から園芸品種の改良が行われるようになり、江戸後期には欧米でも観賞用に栽培されるようになりました。

園芸品種には、葉の縁に白い斑がある矮性のフクリンアセビ、淡紅色の花が可アケボノアセビ、小ぶりの花を細長く鈴なりに付けるオナガアセビ、純白で大ぶりの花をつけるリュウキュウアセビ、
桃色の花をつけるクリスマス·チアなど多くの品種が栽培されています。

植え付け、植え替え

排水性、保水性ともによく半日陰の腐植質に富んだ場所を最も好みますが日陰、日向、乾燥地などでよく育ちます。

ただし、西日の強い場所や極端に乾燥する場所への植え付けは避けた方が無難です。

また、他のツツジ科の植物と同様
酸性土壌を好むので、アルカリ土壌での生育には適しません。

移植は比較的容易です。

植え付け、植え替えの適期は3月から4月と7月から10月です。


細い根が横に浅く広がる浅根性なので高植えにし、土はあまり踏み固めないようにします。

高植えにすることで、水はけをよくすることもできるでしょう。

◉肥料

植え付け時に堆肥や腐葉土、ピートモスなどをすき込むだけで、肥料は特に必要ありませんが、花つきをよくするためにはリン酸、カリウムを含む肥料を春先に根元にばら蒔きます。

★病害虫
葉裏にハダニ、グンバイムシなどが発生する事があります。

多数発生すると葉が変形して、美観を損なうので発生初期に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3週間おきに数回散布します。

◉剪定、整姿

刈り込みにも強く、仕立て物にする事も出来ますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

生長が比較的遅く、樹冠もしまってよく整うので、あまり強い剪定は必要ありません。

基本的には4月頃に太い枝や長い枝をある程度切り詰め、小枝を出して仕立てます。

胴吹き芽や不定芽は早めに切り取りますまた、花後はすぐに花房を摘み取ります。

花芽分化は7月で夏にはすでに、
花房を形成し始め、冬には今にも花を咲かせることが出来る程の状態になっています。

長い期間をかけて花を準備する植物なので、秋に剪定を行うと花つきが悪くなります。

◉殖やし方
実生、挿し木、とり木で殖やせますが生長が遅いため実生はあまり適さない。

挿し木は前年枝のつぼみを除去して穂木にします。

春さしと、花後に伸びた本年枝を使う夏ざしがあります。

さし床には鹿沼土、ピートモス、腐葉土の混合土を用いて、半日陰で乾燥に注意して管理します。










2020/11/05

盆栽樹形の大きさを調節する No,326

 盆栽樹形の大きさを調節する

盆栽の大きさは、自分のイメージする完成樹形に合われて決めていくのが基本ですが、設置スペースの条件などによっておのずと決まってくる場合もあります。

樹芯(幹の先端)をこまめに切り詰めて、樹高が伸びるのを抑える方法は一般の植木と同様ですが、丹念に切り詰めて枝と枝の間隔を短くしていきます。

ただし、これだけではまだ樹勢が強いので一年に1回、主根(幹から地中に向かって真下に伸びる根、直根とも言う)=主根の先を切り詰めて、植え替えるようにします。


根を切り詰めることで、土から吸収する養分が調整されて、樹高が高くなり過ぎるのを抑える訳ですが、同時に側根、主根から横に分かれて伸びる根が生長して「根張り」の具合がよくなると言う意味もあります。

希望する樹高になったら、樹形を整えて観賞用の鉢に植え替えます。

また、樹形を作る段階までは幹の健全な生育に重点を置き、横枝は伸ばしたままにしておくのが通例です。

これは、樹形を作る時に必要な枝を足りなくなると言う事態を防ぐとともに、幹の生育を促す効果もあります。

※根を切り詰めることで生長を抑える。


2020/11/04

クロッカス No,325

クロッカス アヤメ科 球根草花

別名=ハナサフラン

クロッカスの名は ギリシャ語の「糸」の意味で、その細かい雌しべの様子から名付けられたようです。

原産地は地中海を中心にヨーロッパ、中心アジア

(アフガニスタン産のクロッカス.コロルコウィイ)

など75種を数え、薬用や香辛料として栽培されるものを含め150種以上の園芸品種があります。

黄色、白色、紫色など豊富な花色のクロッカスは春の季語にも使われますが、実はサフランに代表される秋咲きの品種もあります。


春咲きの中でも、2月~3月中旬に咲く寒咲きと、3月~4月上旬に咲く春咲きの2タイプがあります。

※早咲き種は、バルカン半島から小アジアに自生する黄色系の原種から選抜、交配されたものでラベンダー色の「ブルーバード」

※白い花弁と黄色の雌しべのコントラストが可憐な「ミスヴェイン」

※濃い黄色の「ゴールディロック」

※花弁の基が薄茶の「クリームビューティー」などがあり、小輪で変化に富んだ花びらが特徴です。

※春咲き種は、ダッチクロッカスと呼ばれ、ヨーロッパの山岳地帯に自生するものが基になっています。

※白い花弁に紫の筋が入る「ジャンヌダルク」

※ふっくらした「マンモスイエロー」

※紫のストライブの「キングオブストライブ」など大きめの花を咲かせます。

いずれも草丈が8~10㎝と低く、花径は3~5㎝なので、まだらに植えるよりもまとめて植えた方が魅力が発揮します。

同一の品種で群植し、一斉に咲かせるようにします。

クロッカスはやや高温多湿に弱いとされるが、日当たりのよい場所であれば土質は選びません。

また、夏は日差しを遮る場所を選ぶと3年~4年はよく咲きます。

花は日に当たらないと開かない性質があるので、置き場所は日の当たる所を選びます。




◉生育管理、環境、特徴、性質

クロッカスは冬の寒さに当たらないと開花しない。

1ヶ月半以上の低温に遭わせる事が大切です。

早く咲かせる場合はその後に温め
通常に咲かせる場合は、土中に埋めて鉢土の凍結を防ぎます。

※鉢植えの群植を作るには、10号鉢に市販の培養土を入れ、球根同士触れ合うくらい2~3㎝の深さにぎっしり植え付けます。

※庭植えの場合は30㎝程の深さまで耕し、緩効性肥料を1平方㍍当たり100g~130g施し、球根の直径の2~3倍の間隔を空けて8~10㎝の深さに植え付けます。

高音多湿を嫌うので春は日当たりよく初夏は、日陰になるような落葉樹の下で水はけのよい場所に植えます。

また、新しい球根が古い球根の上に出来るので浅植では、球根の生育が不十分になってしまいます。

花後に新しい球根が土から出ていたら上に用土を足します。


更に霜柱で持ち上げられてしまうことがあるので、その場合は植え直します。

その他、ネット植えで楽しむ方法もあります。

ネット袋に水を含ませた水ゴケをゴルフボール大にして複数入れ、そこに球根を入れて袋の切れ目から花の先端を外へ出しておくと、開花した花が球状になって花のボールになります。

特徴と性質
葉は花と同時に開き、花の観賞時にはあまり葉が目立たず、鉢植えに適していると思います。

花後に伸長し球根を肥大させ分球して植えます。

一花の開花期間は短いですが、1球から数個の花を次々に咲かせ、まとまって植えると観賞期間が1ヶ月位あります。

秋咲きの種の葉は、冬を越し梅雨頃までと長いですが、春咲き種は2~3月から梅雨までで葉のある
期間が短い。

その間に球根を太らせ来年の花を作ります。

耐寒性は強いのですが、秋植え球根の場合生育中の乾燥を嫌います。

排水性と同時に、保水性のある土を混ぜた用土を用いれば丈夫に育ちます。

◉肥料

開花期の肥料は、日当たりがよければ月に1~2回カリ分の多い薄めの液肥を与える。

水は1~2日に1回、表土が乾いたら与えます。

花弁が繊細なので水がかからない様にします。

花が終わると葉が伸びて養分を蓄えます。

花柄を基部から抜き取り、そのまま葉を切らずに化成肥料を、ばら蒔いて球根を太らせるようにします。

球根の太りをよくするには、鉢から地面に植えて肥培します。




◉植え付け、時期、栽培のポイント

6月頃葉が茶色く変色してきたら引き抜きます。

路地植えは植えたままで自然に球根が殖えますが、殖えすぎてスペースがなくなったり花の数が減る。

花が小さくなるなどの現象が起きたら、堀り上げの時期です。

葉が枯れた頃に球根を掘り上げ、枯れ葉と根を整理して日陰で2~3日乾燥させます。


その後ネットなどに入れ、風通しのよい冷暗所で秋まで保存します。

植え付けの時期として、秋咲き種は8月下旬から9月下旬までに行う。

冬、春咲き種は10月中に植えると結果かよく12月に植えても花は咲きますが、球根の肥大はよくありません。

クロッカスは連作を嫌うので、アヤメ科の植物の跡地は避けるようにします。

球根は大球になると分球しやすくなり、分かれた球根は1~2年肥培しないと花数が少ないか、もしくは咲きません。


1つの球根を毎年咲かせるのは難しく、肥培養成と観賞を繰り返すようになります。

芽が出るまでは日陰でもよいが、芽が出たら日向に置きます。

つぼみが出たら必ず日に当てます。

◉殖やし方
球根が分球して殖えます。

球根を掘り上げた時、親球に子球が付いている事がありますが、外さないでそのまま保管します。

この子球は植え付ける時に手で軽く引っ張って取れるものだけ外します。

この時、小さな球根は思い切って整理します。









2020/11/03

盆栽の樹形 (9) 筏吹き No,324

 筏吹き(いかだぶき)樹形

自然災害で幹が横倒しになり、枝が新たに幹として生長した様子を表した樹形です。

横倒しになった幹が根の働きをします。



         (筏吹きの樹形)





盆栽の樹形 (8) 斜幹 No,323

 斜幹樹形

幹が斜めに傾いている樹形です。

海岸の傾斜地などで強い横風に耐えながら、生長した樹木の様子を表現しています。


          (斜幹樹形)






盆栽の樹形 模様木 (7) No,322

 模様木樹形

幹が前後左右に曲がりながら、上に向かって伸びている樹形です。

四季があり、樹木を取り巻く環境が変わる日本では、最も馴染みのある樹形と言えます。



         (模様木樹形)


曲がり(模様)を持ちながら、立ち上がりの根元と樹芯(幹の先端)の位置が、同一の垂直線上にあるのが理想的な形とされています。






盆栽の樹形 (6) 寄せ植え No,321

 寄せ植え樹形

盆栽用語では、単に「寄せ」とも言います。

ひとつの鉢に何本もの木を植えて、群生している様子を表したものです。


        (寄せ植え樹形)


同一種を寄せ植えする場合や、複数の樹種や下草まで植えて雑木林の雰囲気を出すものなどがあります。






盆栽の樹形 (5) 根上がり No,320

 根上がり樹形

根が大きく地表に露出している樹形です。

強い風雨や波などで、根元の土が洗われて根が、地上に顔を出している樹木の様子を表現しています。


        (根上がり樹形)