緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/23

タイサンボク No,283

タイサンボク

「泰山木、大盃木」

別名=ハクレンボク(白連木) 
モクレン科

原産地=北アメリカ南部、フロリダ半島を中心とする、メキシコ湾岸沿いの暖地帯で原産地付近のいくつかの州では州の花に指定されている。

日本には明治時代初頭に伝えられましたが、芳香を放つ大輪の花が人気を呼び、急速に全国に広まりました。

樹高が10~20㍍に達することから、多くは公園樹や広いスペースのある庭のシンボルツリー、記念樹として利用されています。

公害に強く、成分を多く含み耐火性があることから、暖地では街路樹、防火樹としても利用されています。

学名のマグノリア=モクレン属の総称で植物学者のマグノールに由来

※フランスの植物学者
ピエール·マグノール (1638~1715)
植物の分類体系を考案した人物です。


グランディフローラは「モクレン属の大きな花」と言う意味でその名の通り6月から7月にかけて、直径15~20㎝にも達する巨大な6弁の白色花を咲かせます。


              (タイサンボクの花)


果実は袋果が集まった集合果で10月から11月に熟す。

袋果には種子が二個入っていて、裂開すると赤い種子が顔を出す。

葉も20㎝と大きく、葉の裏は鉄錆び色(褐色)の柔毛が密生する。

大きなカップ状の花を盃に見立てて「大盃木」と呼んだのが和名の由来と言われています。

また、雄大な樹形を山に見立てて
(泰「大」山木)としたとする説もある。

タイサンボクは樹高がかなり高くならないと、花が咲かないので、小庭での栽培は難しいが、一般の庭でも栽培可能な近縁種が多数あります。

★品種
タイサンボクよりもやや小ぶりのホソバタイサンボク。

樹高が5㍍前後で、鉢植えにもできる落葉性のウラジロタイサンボク(ヒメタイサンボク)

落葉性で樹高が低く、積雪にも耐える程の耐寒性の強いオオヤマレンゲ。

園芸種として、樹高数十センチから花が咲く、矮性の「リトルジェム」がある。

◆生育環境

日当たりがよく腐植質に富んだ、肥沃なやや湿潤地が適しています。

痩せ地や乾燥地では生育がよくありません。

庭植えに向くのは、関東地方以南の暖地ですが、耐寒性の強い類似種が多数あります。

◉植え付け、移植

植え付けは4月から5月、または9月が適期です。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込んで植え、必ず支柱で保護するようにします。

根が太く柔らかいため、大木の移植は枯れやすく困難です。

やむを得ず移植する場合は、前年の春に根回しして、細い根を十分発根させてから乾燥に注意して素早く移植を行います。

◉肥料

冬に寒肥として油粕などの有機物を、株元に施します。

病害虫の心配はほとんどありませんが、まれにカイガラムシが発生することがあります。

冬期に石灰硫黄合剤を散布して防除します。

◉せん定

広い庭では、自然樹形を楽しみ楽しみたいものですが、花が高い所につくので適当な位置で芯を止める必要があります。

花芽は今年伸びた新梢の短枝の頂芽に夏頃分化し、翌年その位置で開花します。

通常のせん定は、花芽が分かる10月から11月に行います。

生長が早く、樹形は乱れやすい傾向にありますが、余り枝分かれしないので徒長枝や込み枝を、間引く程度で十分です。

切り口から枯れ込む事があるので、枝は必ず付け根から切り、太い枝を切った時はツギロウなどの保護剤を塗布します。

枝葉が密生して花芽が出来にくい時は、株元を掘って太い根を切り樹勢を抑えます。

◉殖やし方

11月頃に熟した種子を採り蒔きにし、乾燥に注意して管理します。

寒地では、低温貯蔵して翌春に蒔きます。

生長の早い品種は2年程で開花しますが、遅いものは10年以上かかる場合もあります。

早く開花されるには、4月に充実した枝を挿し木にする方法もありますが、発根率が悪く困難です。