シナノキ シナノキ科
科の木
原産地=日本
北海道から九州にかけて山地に分布する。
落葉高木で、ヨーロッパなどに自生するボダイジュ類と混同して、「菩提樹」と呼ばれる事がありますが、和名としては「シナノキ」が使われます。
名前の由来は、樹皮が「シナシナしている」からとする説と、アイヌ語で「縛る、結ぶ」を意味する「シナ」からとする2説などがある。
長野県の古名である信濃は古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからではないかとも言われている。
よく似たボダイジュと同じく蜜源植物で、香りの良い花からハチミツが採れる。
山地に生え大木になるが、15年ほどのサイクルで伐採され、古くから樹皮の繊維などが利用されていた。
樹皮の繊維質が強いので昔は布を織ったり、縄を編んだりするのに使われた。
シナノキの樹皮は、古くから野良仕事着など、生活用品として利用され、古くは全国で生産された「しな布」の原料です。
三大古代織り布の1つで、その他に「芭蕉布」と「葛布」がある。
現在は、帯、のれん、バック、帽子など、工芸品として生産されている。
現在、主な「しな布」の生産地は、新潟県村上市や山形県鶴岡市の2地域のみとされる。
✣芭蕉布(ばしょうふ)
芭蕉布は多年草「イトバショウ」から採取した繊維を使って織られた布で「蕉沙」とも呼ばれる。
沖縄県及び奄美群島の特産品。
✣葛(くず)布
植物のクズの繊維を紡いだ糸から作られた織り布。
静岡県掛川市の伝統工芸。
✫類似種
オオバボダイジュは葉の径が10cmを超える大型の葉で、山地で見られます。
ヨーロッパ原産のフユボダイジュ、ナツボダイジュ類は、数品種が日本に導入されています。
✻生育環境
若木は日陰に耐えますが、高さ3㍍前後を超えると、日当たりの良い事が大切です。
やや湿り気がある土壌が最適で、水はけが良いことが大切です。
寒さに強い樹種で寒冷地にも適します。
風当たりが強い所では、葉が傷んで秋の黄葉が楽しめません。
❆病害虫
暖地では、カミキリムシ類に幹や枝を食害されやすい傾向があります。
ヨーロッパ系のボダイジュ類では、葉を傷めるハマキムシに注意します。
実生、挿し木で殖やします。