緑のお医者の徒然植物記

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ラベル #害虫防除、#害虫天敵、#昆虫ウイルス、#顆粒病、#昆虫病原微生物、 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2021/02/07

天敵利用による害虫防除 No,366

 天敵による害虫の防除

春になると虫の活動が活発になり、被害も増加してきます。

害虫防除や駆除には、薬剤が使われる事が多いですが、天敵を利用して害虫防除する方法もあります。

例えば、アブラムシの天敵として
テントウムシが有名ですが、この天敵を害虫防除に利用することを、生物的防除といいます。

生物的防除は、天敵の導入によって害虫による被害を、ある程度一定の水準以下に抑えようというものです。

これは、虫をもって虫を制すと言う考えに基づくものです。

天敵にはどういうものがある?

天敵には害虫を捕食する昆虫や、害虫に寄生する昆虫がいます。

昆虫以外に、害虫に病気を起こし、死亡させてしまう微生物も天敵として扱われます。

その他にも昆虫に寄生する線虫がいます。

✿食虫性動物

害虫を捕食する天敵昆虫には、テントウムシ、オサムシ、アカヤマアリメクラカメムシなど捕食虫がいます。

捕食寄生する天敵昆虫には、寄生バチ、寄生バエがいます。

これらの寄生虫には、特異な行動により寄主である害虫を、最終的に死に至らせる。

寄生バエ、寄生バチなどのことを特に捕食寄生者と言う。

寄生バチは、産卵管を害虫の卵、幼虫に差し込んで産卵します。

孵化(ふか)したハチの幼虫は、害虫の体を食べて成長し、そのまま害虫は死んでしまいます。

この様な寄生バチの種類はかなり多く存在していて、害虫の天敵の主力と言える。

天敵に関する研究は大変盛んで、多くの害虫において個体数の変動に及ぼす日本の生物的防除も、柑橘類の大害虫である「イセリアカイガラムシ」に対する「ベアリアテントウ」による防除が、1911年から行われて成功して以来、多くの試みが行われてきました。

害虫の卵が成虫になるまでには、色々な要因で死亡するが、一般には天敵の役割が極めて大きい。

天敵保護と言う観点になった場合、殺虫剤の使用量をなるべく減らした方がよいのは言うまでもない。

これらの頻繁な散布は、✻圃場の天敵密度を低下させることになる。

✻圃場(ほじょう)
栽培する植物を植えてある畑
農園、農場など

また、天敵が生息しやすいような環境を作ることは大切であるが、天敵保護を圃場ごとに行うことは難しい。

地域を単位に行わなければ効果は上がりにくい事になる。

外部から天敵を導入し、それを定着させることによって、半永久的な防除効果を狙う方法は、果樹を中心にして行われてきた。

これまでに柑橘害虫の「ヤノネカイガラムシ」を対象にした「ヤノネキイロコバチ」と「ヤノネツヤコバチ」を用いた防除試験や、クリ害虫の「クリタマバチ」を対象にした「ウゴクオナガコバチ」を用いた防除試験などが積極的に行われてきました。

捕食、寄生するハチの種類では、コマコバチ、ヒメバチ、ヤドリタマバチ、タマゴヤドリコバチ、クロタマゴバチなどがいる。

ハエの種類では、ヤドリバエなどがいます。


✿昆虫病原微生物

微生物天敵とは害虫に病気を起こす微生物のグループのことで、昆虫病原微生物という。

昆虫に伝染性の病気を起こす微生物には、ウイルス、細菌、糸状菌(カビ)などがあります。


昆虫寄生性線虫は、分類学的には微生物ではないが、便宣的に微生物天敵として扱うことがある。


昆虫のウイルス病は600種以上の昆虫に認められています。

宿主となるのは大部分がチョウ目な幼虫で、他に一部のハチ目、ハエ目に感染する種も報告されています。

これらの天敵による補食や寄生は、自然界では害虫の大きな死亡原因となっている。

補食者は一般に広食性で多くの種類の害虫を攻撃するが、補食寄生者の多くは単食性や狭食性で、特定の害虫を攻撃するため、特定の害虫を防除するのに適しています。

✿ウイルス

昆虫に病気を起こす昆虫ウイルスで、防除に利用されているのは核多角体病ウイルス(NPV)、細胞質多角体病ウイルス(CPV)、顆粒病ウイルス(GV)です。

これらのウイルスは多角体あるいは顆粒体と言った、タンパク質でできたウイルス粒子の包理体を作る。

エサとともに昆虫体内に取り込まれた多角体や、顆粒体は中腸で消化液の作用で溶解し、その中に包理されているウイルス粒子が放出されて感染する。

ウイルスはアメリカやロシアで害虫防除に利用されている。


✿顆粒病

日本全土で発生し、活動時期は10〜30℃で棒状の形をしたウイルスで、特定の寄主にのみ感染する。

昆虫に強い病原性を示す細菌に、パチルス菌があり、この菌の生産する毒が昆虫を死に至らせる。

現在では、殺虫剤も進化し、天敵を殺すこともなく、人畜毒性も結晶性毒素を用いた殺虫剤が実用化され、蛾や蝶の幼虫の防除用に使われている。

それ以外の昆虫には毒素を示さないので、この様な色々なものが売られています。

これらを上手に使用すれば、自然に優しい防除が可能になるでしょう。