イチゴノキ ツツジ科
常緑広葉低木
別名=ストロベリー·ツリー ※マドロナ属
原産地=南ヨーロッパ、アイルランド、南アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
約20種の同属種が確認されており、主に岩の多い森林地帯等に自生します。
欧米で「ストロベリー·ツリー」と呼ばれていることから、「イチゴノキ」と言う和名が付きました。
日本に伝えられたのは明治時代ですが、園芸店などに幅広く流通するようになったのは、ごく最近のことです。
尚、日本に同属の植物はありません。
低木に分類されていますが、ツツジ科の植物の中では大きく、欧米では樹高5~10㍍に達するものもあります。
生育環境の違いからか、日本国内では大きく生長しても2~3㍍程度です。
5月~6月にスズランに似た白やピンク、クリーム色の釣り鐘状の集合花を咲かせます。
ハチミツに似た甘い香りがあります。
秋には表面に細かいイボ状の突起がある、サクランボ程の球形果実が成ります。
この果実がイチゴの実に似ていることが、名前の由来と言われています。
果実は甘味があり、砂糖煮にしてジャムにしたり、果実酒、ワインなどに用いられます。
しかし、学名の「アルブツク·ウネド」のウネドは「一度」と言う意味で「一度食べたら二度と食べたくないくらいまずい」ことに由来していると言われており、属名の語源もケルト語の粗い果実、渋い実のなる木によるとの説があるなど、生食には適さないようです。
葉はタンニンを多く含む、そのため収斂(しゅうれん)、利尿、殺菌作用などがあり、薄く剥がれる淡褐色の樹皮とともに、薬用ハーブとしても利用されています。
花と実の双方が楽しめ、地際から多数の枝が出てよく茂ることから、家庭果樹、ガーデンツリー、公園樹などに利用されています。
◆生育環境
日当たり、水はけのよいやや火山灰質の、軽い肥沃な土が適していますが、半日陰でもよく育ちます。
土壌は中性から弱酸性を好みます。
★植え付けは3月から4月
用土にピートモス、腐葉土をよくすき込み高植えにします。
移植には弱いので、植え替えをしないでいいように、植え付け場所を選ぶ必要があります。
◉肥料
3月頃に油粕、骨粉を中心として有機肥料と粒状の化成肥料を、等量混ぜたものを株元に与えます。
また、ピートモスを4月から5月頃に株周りに少し厚めに敷いておくと、排水がよくなり肥料もよく効きます。
★病害虫
まれにテッポウムシ(カミキリ虫の幼虫)が発生することがあります。
食害を受けた幹穴に、スミチオン乳剤の20~30倍液を注入して駆除します。
◉せん定
株元近くからよく枝が出て、株立ち状の樹形になります。
日本では、放任しても円形に近い樹形にまとまるので、改めて整姿、せん定する必要はほとんどありません。
必要に応じて、飛び枝や徒長枝、樹冠内部の細かい込み枝を整理する程度で十分です。
樹冠が大きくなると、風の影響を受けて倒れやすくなるので、大きくなった場合は支柱をして保護するようにします。
◉殖やし方実生は秋(10月~11月)に熟した果実を採り、よく水洗いすると小粒の種子が取れるので、それをまき床に蒔いて管理します。
挿し木は、今年伸びた新梢を5~6㎝に切ってさし穂とします。
切り口を水に浸し水あげした後、鹿沼土のさし床にさし、十分に水やりして乾燥に気を付けながら管理します。
挿し木の適期は6月中旬から7月上旬です。