緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/30

ギョリュウ No,451

 ギョリュウ    ギョリュウ科

落葉小高木  「御柳」
別名=タマリクス  原産地=中国

ギョリュウの仲間はヨーロッパ、アジア、アフリカに約75種が分布します。

その中でも中国中部から南部原産のタマリクス·キネンシスを指して、和名でギョリュウと呼びます。


糸のように細かい小枝に小さく細かい葉が密生し、垂れ下がる様子は独特の樹形であり、水辺の風景によく似合う。

5月から7月頃の2度花をつけるが、結実するのは夏の花だけで、花の数も夏の方が多い。

盆栽としては、シダレヤナギとともに夏の涼風を感じさせる木として観賞される。

ギョリュウの仲間は、海岸や内陸の塩分を多く含む土壌など、本来植物が育ちにくい場所に自生する塩性植物です。

枝葉に「塩腺」と呼ばれる器官があり、余分な塩分はそこから体外に排出することができるので、そのような場所でも生きられます。

日本には江戸時代に渡来したとされる。

水を非常に好む湿地に適した数少ない庭木の1つです。




生育環境

日当たりのよい湿潤地を好むが、土質を選ばず海岸の塩分の入った土壌でも育つ丈夫な木である。

萌芽力も強く、大木の移植は思いきり切り詰めて行なう。


塩性植物の種類

マングローブに自生するオヒルギ(ヒルギ科)

クロマツ(マツ科)、ハマボウ(アオイ科)、ギョリュウ科などを例外として、ほとんどが草本類である。

日本で代表的な塩性植物

アイアシ(イネ科)、シオクグ(カヤツリ草科)、アッケシソウ(ヒユ科)、オカヒジキ(ヒユ科)、ウラギク(キク科)、ハマサジ(イソマツ科)、シバナ(シバナ科)


肥料

寒肥として堆肥、鶏ふんなどを施す。

せん定は2月から3月頃と6月から7月
植え付け、移植時期は11月から3月

殖やし方

前年枝を20cmくらい切って3月から4月頃に挿し木する。

新枝なら6月から7月に箱挿しする。
実生は3月頃に播く。


種類

テトランドラ
ヨーロッパ南東部、西アジア原産で濃いピンク色の花を咲かせる。

キネンシス
中国原産、単にギョリュウと言うと本種を指すのが一般的です。

ペンタンドラ(類似種)
南東ヨーロッパ、中央アジア原産で花付きがよい。


✣オーストラリア原産の花木「ギョリュウバイ」はフトモモ科の植物で「ギョリュウ」とは関係がない。

ギョリュウバイは、オーストラリア、ニュージーランドを中心に約40種が分布する常緑の低木で、鉢植えや生垣などに利用される。







2021/04/29

スギ No,450

 スギ スギ科 常緑針葉高木  「杉」

原産地=日本(本州、四国、九州、屋久島)

スギの名は、真っ直ぐな木という意味の「直木、すき」が語源とされる。

日本の針葉樹では最も樹高が高くなり、日本一高い天然樹は秋田県にある58㍍、日本一太いのは屋久島の縄文杉で、幹囲16.4㍍と記録されている。

山地に生え、主に太平洋側に分布するが、日本海側に分布するものは、多雪でも枝が折れずに垂れ下がり、着地した部分から発根するので変種とされ「アシウスギ」と言う。


                                   「アシウスギ」

屋久杉のスギはヤクスギの名で呼ばれ樹齢1000年を超える。

スギは日本特有の樹種で高さは40㍍以上にもなる。

常緑針葉樹の中でも春の芽出しが美しい。

生育環境

水はけがよくしかもやや湿潤な所が適している。

芽吹きがよいので強いせん定や刈り込みを行うことができるが、適期以外は避ける。

庭植えでは円錐形か円筒形に仕立てるのが一般的で、放任しておくと高くなり過ぎる。

強いせん定は3月から4月に行う。
植え付け、移植時期は3月から4月頃だがやや難である。

肥料、害虫、病気

12月から1月に寒肥を施す。
無肥料でも育つが病害虫にかかりやすく、また樹姿も美しさを失う。

病害では枝先から褐色に変わってくる枝枯れ病が目立つ。

害虫はコガネムシによる被害がある。
コガネムシ対策はデナポンを5月頃に散布する。

殖やし方

挿し木で殖やす。
春挿しと秋挿しの2時期があるが、活着率が比較的よい春挿しが一般的です。

実生も可能ですが園芸品種には不向きである。


種類

庭木として最も多いのがヨシノスギ」です。
新芽が鮮やかな黄色を帯びる「オウゴスギ」

葉が長く枝が八方に下垂気味に伸びる「エンコウスギ」などの変種もある。

八つ房性のスギは、新芽が2年枝の側面まで多数発生するために小枝が極めてたくさん伸びる。

枝変わりから挿し木繁殖されたもので、✫矮性種であることから盆栽に仕立てられることが多い。

✫矮性種(わいせいしゅ)
主に園芸分野において著しく草丈、樹高が低いことを指す用語として用いられる。

遺伝的に矮性を示す矮性品種、矮性種も存在するが、矮化剤処理や接ぎ木によって人為的に矮化を行う例もある。

イネ科穀物などは短稈(たんかん)と表現する。
例えば、短稈コシヒカリなどと呼ぶ。


主なスギの天然記念物、巨樹

杉の大杉      国の特別天然記念物
推定樹齢3000年

かつて、美空ひばりさんが「日本一の歌手になれますように……」と願をかけたと言われる大杉で、実際日本一の歌手になった逸話は有名で「出世杉」の異名がある。

所在地=高知県大豊町杉794  (八坂神社境内)


                                     「杉の大杉」

三川村の将軍杉  国指定天然記念物
樹齢1400年

幹周り19.31㍍で日本一の太さがあるとされる。
所在地=新潟県東蒲原郡阿賀町岩谷2242


                                「三川村の将軍杉」


縄文杉  推定樹齢2千年〜7千2百年
屋久島では樹齢千年以上の高齢杉を屋久杉と呼び、数百年の若木は小杉と称している。

所在地=鹿児島県屋久島町宮之浦


                                   「縄文杉」






2021/04/28

イヌエンジュ No,449

 イヌエンジュ マメ科 落葉高木

「犬槐」

別名=オオエンジュ、エンジュ、クロエンジュ
原産地=日本(北海道、本州)東シベリア

山地の林縁や川岸、湿原の畔などに生える。

全国に分布し、街路樹や縁起木として植えられる他、材や樹皮はいろいろ使用される。

人家に植えられることも多い。

エンジュは中国原産で薬効がある事から、日本でも古くから植栽され、在来種のイヌエンジュはエンジュに似ていながら薬効が無いという事から「犬エンジュ」と呼ばれるようになった。

しかし、材は大変美しく床柱に使われていることから、決して役立たずではない。

北海道の林業関係者の多くは、イヌエンジュの事をエンジュと呼ぶ。


確かにエンジュと呼ばれる事もあるが、中国産のエンジュとは属が異なる。

樹高は10㍍程になるが、4㍍程の木をよく見かけることが多い。

若葉には白い毛がびっしり生えて、遠くから眺めても銀色に光って見える。

花は真夏に咲き、黄白色の蝶形の花をびっしり咲かせる。

秋になると、マメ状の果実が褐色に熟し、1つのさやの中に種が3〜6個入っている。




生育環境

日当たりを好むが、土には湿気が必要です。
樹勢が強くても枝の出方は少なく、あまり手がかからない。

枝先のせん定は行わず、間引きで整える程度で良い。
植え付け、移植時期は3月、9月頃

肥料

1月から2月に油かす、鶏ふん、化成肥料を寒肥として与える。


種類

イヌエンジュはカライヌエンジュの変種。
果実に羽のあるケハネミイヌエンジュやハネミエンジュなどの変種もある。

類似種にシマエンジがある。

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エンジュNo,273






2021/04/27

ソヨゴ No,448

 ソヨゴ モチノキ科 「 冬青」

常緑低木または小高木
別名=フクラシバ
原産地=日本、本州(新潟県以西、四国、九州)

ソヨゴとは「そよぐ、戦ぐ」と言う意味で、硬い葉が風に揺られてサラサラと音を立てることから名付けられた。

日本では冬青の字を当てているが、中国で冬青と言うと「ナナミノキ」を指す。

暖地の山地などに生え、高さは10㍍程になるが6㍍程の木が多い。

6〜7月頃に白い4弁の小花をつけ、雌株は秋に赤く熟した丸い実が垂れ下がる様子が美しい。

材は、ソロバン珠のほか小器具などに利用され、また樹皮から鳥もちがとれ、タンニンを含むので染料にも利用される。




生育環境

肥沃な砂壌土を好む。
あまりせん定はせず、自然樹形で楽しむ。

浅根性のため、台風などによって倒れやすい。
大きくなると次第に樹が傾きやすい。


肥料

5月から6月頃に油かす、化成肥料などを与える。


植え付け、移植時期は6月から10月頃に行う。

殖やし方は主に実生で、3月から4月に播く。



2021/04/26

カラマツ No,447

 カラマツ マツ科 落葉針葉高木

別名=フジマツ、ニッコウマツ
「唐松、落葉松」
原産地=日本

日本の固有種だが、葉を唐絵に描かれた松に例えて名前がついた。

中国にも似たものがあり、ヨーロッパやアメリカにも種の仲間がある。

日本の針葉樹の中では唯一の落葉樹で、そのため落葉松の漢名がある。

植林されたものではスラリと伸びたカラマツを見る事が多いが、風当たりの強い場所に自生したものには、地面を這い、蛇がのたうつ様な凄まじい樹形のものがある。

自生は深山の尾根や崩壊地などの乾燥した場所に生える。

樹高は20〜30㍍程で、大きなものでは50㍍に達するものもある。

新緑の時期には鮮やかな緑に彩られ、秋の黄葉時期もまた見事で見栄えがある。

庭園樹、公園樹、防風防寒林、盆栽としても利用される。




生育環境

土質は弱酸性で、適度に湿気を含んでいると同時に、通気性がよく柔らかい肥沃な土壌が最も適している。

耐寒性が弱いので東京以南では育ちにくい傾向がある。

肥料

油かす、化成肥料などの寒肥を施す。

病害虫

落葉病
葉身表面に黄色の小斑点が現れる。
のちに裏面にも黒色楕円もしくは円形の菌体を生じる。

羅病が発生した葉は黄褐色になり落葉する。

病葉上で越冬した病原菌が伝染源となり、子のう胞子が風や雨滴とともに飛散して伝播する。

特に、空気湿度が高く、陰湿な環境下で多発する。

防除として、落下した病葉を集め処分するとともに、感染期には降雨の前後を重点に銅製剤(ボルドーなど)を散布して蔓延防止を図る。


葉さび病
4月から5月頃に発生する。
病原菌は担子菌類に属する糸状菌で、中間宿主を有する異種寄生菌である。

さび胞子が飛散して中間宿主であるキク科植物に感染、移住し、6月から7月に病葉裏面に黄白色の胞子層を生じる。

その後、胞子の発芽によって生じる小生子が飛散して再び寄生する。

葉さび病は中間宿主が存在しなければ発生しないので、中間宿主植物を除去することが最も簡単な防除法となる。

周辺に存在する雑草などを夏期に刈り取り、伝染源を断つことが重要である。

薬剤による防除は9月頃を重点に、ジネブ剤、メプロニル剤、ビテルタノール剤、トリフルミゾール剤、マンゼブ剤、トリホリン剤などを2週間おきに2回〜3回、樹全体に散布し感染を防止する。


すす病
主に針葉や枝梢に発生する。
病状が進むと針葉の一部または全身を覆うようになる。

針葉や枝梢に煤煙が付着したようになって、光沢がなくなるため美観を損ない、樹勢の衰弱を引き起こす。

吸汁性害虫であるカイガラムシ、アブラムシ類の寄生が主な誘因で発生するので、殺虫剤を散布し、駆除する事が最も重要となる。

すす病と害虫を同時に防除する場合には、マンゼブ剤、ベノミル剤、チオファネートメチル剤などのいずれかを、殺虫剤と混合散布すると効果的です。

風通しや日当たりをよくし、極端な肥料不足やチッ素質過多にならないように注意が必要です。

病枝梢をできるだけ取り除き処分し、伝染源を残さないようにする。


害虫はマツノオオキクイムシなどが発生する。
スミチオンなどを散布し、駆除する。

殖やし方

実生で殖やす。
秋に採種したものを低温貯蔵しておき、翌年3月頃に播く。

種類

フイリカラマツ、アカミノカラマツシダレカラマツなどの品種があり、類似種にグイマツがある。


主なカラマツの天然記念物、巨樹

権兵衛峠のカラマツ
市指定天然記念物で日本最大のカラマツとされる。
地元では、権兵衛峠のジャンボカラマツと呼ばれている。

所在地=長野県塩尻市奈良井字姥神沢


櫛形山(くしがたやま)のカラマツ
所在地=山梨県南アルプス市上市之瀬
裸山尾根




五霊神社の大カラマツ

所在地=福島県南会津郡下郷町高陦(たかしま)
五霊平地内


開進のカラマツ

所在地=北海道広尾郡大樹町開進






2021/04/25

モミ No,446

 モミ マツ科モミ属 常緑針葉高木

原産地=日本(福島県南部以西)朝鮮  「樅」

山麓などに多く自生する常緑高木で、樹高は40㍍に達する。

クリスマスツリーの木としても親しまれているが、大気汚染に弱く、車の排気ガスによって枯れてしまうこともあるので、都会地には向かない。

樹皮は灰色から暗灰色で皮目が目立ち、大木では鱗片状に浅く剥がれる。

                                       「モミ」

生育環境

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌が適している。

やせ地に移植する場合は元肥を入れることが必要である。

生長ははじめ遅いが10〜60年の間は早くなる。


肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。

殖やし方

実生で殖やす。
秋に採取した種を低温貯蔵して翌年3月から4月にまく。

種類

変種としてアオオオシラビソモドキ
品種としてコモミ、フイリモミ
国の天然記念物のシダレモミなどがある。

類似種として、高山に自生するシラビソ、オオシラビソがある。

オオシラビソ(大白檜曽)

アオモリトドマツともいう。
亜高山帯に生える常緑高木で、冬には樹氷の姿で越冬する。

                               「オオシラビソ」

シラビソ(白檜曽)

シラベともいう。
深山に生える常緑高木で、群生することが多く亜高山帯に黒々とした針葉樹の森をつくる。


垂洞(たるばら)のシダレモミ

国指定天然記念物
岐阜県中津川市付知町垂洞


                            「垂洞のシダレモミ」






2021/04/24

アスナロ No,445

 アスナロ ヒノキ科 常緑針葉高木

「翌檜」

別名=ヒバ、アテ

原産地=日本(本州、四国、九州の山地)

通説では「明日は檜になろう」の意味とされているが、古くは阿須檜(あすひ)または当檜(あてひ)と呼ばれていた。

「ヒ」はヒノキの意味である。
葉の厚い檜、気品の高い檜という意味だとも言われる。

学名の「ショプシス」はクロベ属に似ているという意味だともいわれている。

樹幹は直立し、大きいものは高さ40㍍直径1㍍にもなる。
針葉樹の中では最も耐陰性が高いとされる。

葉裏には幅の広い白い気孔帯があり、針葉樹の中では一番目立つ。

花は5月頃に咲き、球果は10月頃に褐色に熟す。


                             「馬曲七曲のアスナロ」

生育環境

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌が適している。
陰樹なのであまり日当たりの良い場所は適さない。

肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。

病害

てんぐ巣病が発生する。
病枝をせん定除去し、風を通しをよくする。

殖やし方

挿し木が最も一般的です。
実生や接ぎ木でも殖やせます。
接ぎ木ではクロベ属の台木を使う。


種類

変種に大形で球形の球果を持つヒノキアスナロ

品種に極細の葉で球果の小さいホソバアスナロ

園芸品種には多幹性の低木のヒメアスナロなどがある。


主なアスナロの天然記念物、巨樹

芝原轟口(しばはらとどろぐち)のアスナロ
県指定天然記念物
宮崎県西臼杵郡高千穂町

馬曲七曲(まぐせななまがり)のアスナロ
十島平村指定天然記念物
長野県下高井郡十島平村往郷(馬曲)


岩野辺の大アスナロ
県、市指定天然記念物
兵庫県粟市千種町岩野辺(西播磨)

津軽の名木「十二本ヤス」
市指定天然記念物
青森県五所川原市喜良市字相野山

天照寺のアスナロ
三重県伊賀市霧生2559番地

岩角山のアスナロ
県指定天然記念物
福島県木宮市和田東屋口






2021/04/23

クヌギ No,444

 クヌギ ブナ科  落葉高木

別名=ツルバミ 椚、櫟、橡

原産地=日本(岩手、秋田県以南) 朝鮮半島
東南アジア、中国、ヒマラヤ、台湾

丘陵地や里山に生え高さ15㍍程になる落葉高木で、雑木林を構成する代表的な品種の1つ。

伐採された木材は薪炭材料として、落ち葉は肥料や燃料に使われていた。

現在では椎茸栽培のほだ木(原木)として利用されている。

国木から転訛した名前だとされる。

古名を「ツルバミ」といい、古代には樹皮を染料にしたり、また薬用としても利用された。

切り倒しても株からすぐに萌芽してくるので、常に維持更新されてきた。

よく手入れされた雑木林は、明るく見通しもよく林床には、スミレ類やリンドウなど多くの草本植物が可憐な花を咲かせる。

薪や炭が使われなくなってからは、雑木林は手入れがされなくなり、笹などが生い茂り、場所によってはゴミ捨て場となっている。

生長は早く、大きくなると高さ30㍍、直径2㍍近くにもなるものがある。

葉は栗の葉に似た細長い楕円形で長さ7〜15cm、葉の先端は鋭く尖る。

実はドングリで球形、翌年10月頃に熟す。




生育環境

陽樹であるので日陰は適さない。
普通の土壌で十分育つが、適湿な肥沃地なら生育は良好となる。

肥料はほとんど必要ない。

クヌギ、コナラの仲間

アベマキ (木靑)

本州以南に自生し、葉はクヌギに似ているが葉裏に毛が密生しているので、クヌギと区別ができる。

西日本では雑木林の代表的な木で、かつては樹皮からコルクを取るめに栽培された。


                                                「アベマキ」

ミズナラ (水楢)

日本各地の山地に自生する。
コナラとよく似ているが、コナラに比べて葉柄がごく短い。

材に多量の水分を含むのでこの名がある。


                                                  「ミズナラ」


カシワ( 柏、槲)

かしわ餅を包むのは柏の葉であるが、古くから食物を盛る炊葉として使われた。

日本各地の山地に自生し、波形の大きな深い鋸歯を持つ葉が特徴である。


                                                   「カシワ」


コナラ( 小楢)

コナラはクヌギと同じくブナ科の落葉高木で、雑木林の代表的な樹種で紅葉は特に美しい。


                                                      「コナラ」

病害虫

うどん粉病、すす病、黄さび病などの病気が発生するが致命的ではない。

害虫はドクガ、コガネムシ類、カミキリムシ類などの発生もあるが致命的な被害はない。


植え付け、移植、せん定時期は2月から3月頃
11月から12月


殖やし方

通常は実生で殖やします。
実は乾燥させないようにし、秋に採り播きをする。

主なクヌギの天然記念物、巨樹

小日向のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=長野県安曇野市明科東川手3369

阿弥陀堂のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=秋田県大仙市清水字下黒土1281

三之蔵のクヌギ
所在地=山梨県韮崎市穂坂町三之蔵
宮久保のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=山梨県韮崎市穂坂町宮久保


大納言塚大クヌギ
奈良県大和郡山市箕山町

淡濃山の大椚
和歌山県広川町山本





2021/04/22

ニシキギ No,443

 ニシキギ ニシキギ科 落葉低木

別名=ヤハズニシキギ  「錦木」

原産地=日本各地、朝鮮半島、中国

紅葉の状態が錦のように色とりどりが美しいことから名付けられた。

山野に生える落葉低木で高さは2㍍ほどになる。
枝にコルク質の翼のようなものがつく特徴ある植物で、翼が出ないものを「コマユミ」と呼ぶ。

庭木や生垣、盆栽にされることが多い。
カミソリノキとも呼ばれるようだが、これは茨城県や栃木県の方言名であるとされる。

5月から6月頃に黄緑色の花をつけ、秋になると紅葉し小さな果実を1〜2個吊り下げ、裂開すると赤い仮種皮に包まれた種子が出る。

土壌を選ばず日陰地も強く生育する。

せん定にも耐えるので生垣や高木の下木等に用いられる。




生育環境

丈夫な木であるのでどこでもよく育つ。
移植は10月から11月と3月から4月が適している。

細根が多いので活着も良い。

肥料

あまり必要としませんが与える場合は、堆肥や油かすなどの有機質肥料を寒肥として与える。

病害虫

ハマキムシ、カイガラムシが発生しやすいのでカルホス乳剤や石灰硫黄合剤で駆除する。


せん定

せん定、整姿時期は11月から2月
あまり多く枝分かれしないので、3月下旬に間引きせん定をする程度で良い。

生垣にした場合は、落葉後に刈り込むがこの場合、花実は期待できません。

花実や紅葉を楽しむなら、日中よく日が当たり夜間冷涼な所であればよく紅葉する。






2021/04/21

ハゼノキ No,442

 ハゼノキ ウルシ科 落葉高木

別名=リュウキュウハゼ、ロウノキ「櫨の木」
原産地=中国、ヒマラヤ地方

日本 (関東以西)四国、九州、沖縄に分布

ハゼノキは中国から沖縄を経て渡来したので、リュウキュウハゼという別名がある。

日本で昔からハゼと呼んでいるのは、現在ヤマハゼと呼ばれるもので、日本原産のやや小形の木で葉や若葉に毛があることで区別される。

果実から蝋(ロウ)を採るのでロウノキともいう。

山の尾根や傾斜地、沿海の山野に生え高さは10㍍ほどになる。

本来の分布は四国、九州、沖縄だが蝋を採取するために各地で植えられ、それが野生化している。

ヤマハゼに大変よく似ているが、こちらは葉や枝が無毛なのが特徴である。

6月頃に黄緑色の小さな花を多数咲かせる。
葉は無毛なので触るとツルッとしている。

秋には美しく紅葉し、庭園や山野を彩る。



生育環境

水はけがよく日当たりのよい温暖地に植える。
丈夫な木なので栽培は容易である。

生育も早く3年から4年で結実し、特に土壌も選ばない。

病害虫はほとんど発生しない。

肥料

油かす、鶏ふん、堆肥などの有機質肥料に化成肥料を加えて寒肥として施す。

植え付け、移植時期は2月から3月頃と10月から11月
せん定の時期は11月から3月

殖やし方

実生と挿し木で殖やします。
実生は発芽処理を行ってから播く。






2021/04/20

ウルシ No,441

 ウルシ ウルシ科 落葉高木

原産地=中国、インド 「漆」

ウルシはかなり古い時代に中国から渡来した落葉高木で、日本の山地に自生しているウルシは、漆塗りに用いる事ができない「ヤマウルシ」と呼ばれ区別されている。

縄文時代の最も古い時期には日本列島にウルシの木が自生していたとされ、その歴史は9000年前に遡り、縄文時代の遺跡から漆を塗った容器が出土しています。

樹高は10㍍以上になり、5月から6月頃、黄緑色の花をつける。

毒性が強く、この木に触れたり近づくだけでもウルシオールという成分により、アレルギー反応が生じかぶれることがある。

接触後、数時間から1日〜2日後に遅れて発症することが多く、かぶれた後に発赤(ほっせき)し、激痛を伴う場合がある。

「ツタウルシ」という種の方がかぶれの成分が強い。

ウルシは毒性が強い事から、ウルシ液を採取する以外、庭木や公園樹のように一般に植えられる事はありません。

秋の紅葉は美しいが、山歩きなどでは不用意に触らないことです。




樹液から採取されるウルシ液は、良質の漆器用の塗料として古くから使われてきました。

中国には300万本以上のウルシの木が生育している。

日本では、漆採取のため全国に栽培が広がっていた時代もあったが、ウルシ液生産の減少とともに植栽地も減少し、現在では限られた地方でしかウルシ畑を見ることができない。

ウルシロウは木蝋とともに日本古来の天然ワックスで日常の灯明、神仏事には欠かせないロウソクの原料として珍重されてきました。

ウルシの果実の果肉部分に含まれる油脂が、ウルシロウの主成分でモクロウ(ハゼロウ)と非常に酷似している。

ウルシの実から採れるロウはハゼノキのものより良質です。

果実から抽出したままのオリーブ色のウルシロウを✫天日ざらししたものを白蝋と呼び、これは酸化され非常に✭povが高まり、臭気も強いものです。

現在は天日ざらしではなく他の方法で脱色、脱臭がなされている。

✫天日ざらしとは、日干しのことで、河原や草原などの上に麻布などをひろげ、時々水をかけて日にさらして漂白する原始的な漂白法です。

✭povとは過酸化物価のことで、食品に含まれる油脂が空気中の酸素により酸化し、生成した過酸化脂質の量を測定するのが過酸化物価です。
油脂の酸化の度合いを直接示します。

木蝋(もくろう)は主に和蝋燭(わろうそく)
の原料として用いられます。

また、ろうけつ染めのような染色の材料としても用いられます。

生育環境

日当たりの良い肥沃な土地を好みます。
自然のまま育てせん定などは行わない。


肥料

肥料は若干の油かす、鶏ふんなどの有機質肥料や化成肥料を与える。

殖やし方

実生または挿し木で殖やします。
挿し木は5月頃が適します。

実生は発芽処理を必ず行ってから播きます。

時期は3月から4月と10月から11月
果期は10月頃



発芽処理

灰汁、温湯、硫酸処理をしてから播く。

種類

ハグマノキはスモークツリーとも呼ばれ、ウルシ科に属する1種である。

原産地は南ヨーロッパからヒマラヤ山脈や中国北部にかけて分布している。

ウルシほどではないがウルシオールが同じく含まれているため、肌が敏感な人はかぶれるので避けたほうがよい。






2021/04/19

カラタチバナ No,440

 カラタチバナ サクラソウ科

常緑低木 ( 唐橘)

別名=タチバナ、コウジ、タチバナマンリョウ、百両

原産地=日本
(四国、九州、千葉県清澄山)
台湾、中国南部

従来の新エングラー体系、クロンキスト体系によって1997年時点での書物では「ヤブコウジ科」の種とされていました。


✫新エングラー体系は19世紀に提唱された植物分類体系で、クロンキスト体系は1980年代に提唱された被子植物の分類体系である。

1990年代にAPG体系が登場するまでは、最新の分類体系だったが、21世紀の現在では旧分類体系とされる。


小さな赤い実のなるカラタチバナはセンリョウやマンリョウと同じく、縁起木として植えられ、「百両」とも呼ばれる。


江戸時代の一時期には大流行したこともあるとされる。

常緑樹林下のやや薄暗い場所に生える。

高さは大きくなっても1㍍ほどである。

茎は単純で分枝せずに直立し、枝先に常緑の細長い葉が輪生する。

葉の付け根から花柄を伸ばし、7月頃に白い小花を10個ほど下向きに咲かせる。

果実は冬、10月から2月頃に赤く熟し、鳥に食べられなければ翌春まで残る。




生育環境

直射日光を嫌うので半日陰を保てる所が適している。

苗の移植は種をまいてから3ヶ月近くなった頃に行い、成木になってからの移植は3年目毎に行い、どちらもミズゴケを用いる。

植え付け、移植時期は3月から5月頃と8月

肥料

油かすを置肥として5月と9月に施す。

殖やし方

接ぎ木は5月から6月頃に地上30cmの台木に割り接ぐ。

挿し木は6月が適しています。

実生は主に台木を養生するために行う。

✭割り接ぎの方法については、ブログNo,387
割り接ぎ繁殖方法を参照。

種類
上巻鳳凰(あげまきほうおう)
赤麒麟(あかきりん)
富士の雪などと名付けられたものが多種あるが、正確な品種数は不明。










2021/04/18

ヒノキ No,439

 ヒノキ ヒノキ科 常緑針葉高木

別名=ホンヒ( 檜、桧)
原産地=日本(本州、四国、九州)

古代、ヒノキの材をすり合わせて火を起こしたので「火の木」が語源とされる。

日本の木造建築では最も重要な樹種で、植林される面積も広い。

自然分布は福島県の赤井岳から九州の屋久島までですが、自生のものより植林された木を見る方が多い。

樹高は30〜40㍍に達する。

樹皮は✫檜皮葺きの材料にされる。

✫檜皮葺き(ひわだぶき)とは

ヒノキの樹皮を成型した材料を使って、屋根ぶきする手法の1つで、日本古来の屋根技術工法です。

よく似ている「サワラ」は葉先がヒノキより鋭く、また葉裏の白粉の幅が広いためY線形(ヒノキ)には見えない。

サワラはX線形に見える点がヒノキと異なる。



生育環境

日当たりの良い場所で、腐植質が多い土壌が適しています。

植え付けする前にはあらかじめ、腐葉土などをすき込んでおくとよい。


乾燥地は不適である。
植え付けは2月から4月頃

移植は難しいので定植する所は十分に選ぶ必要があります。


生け垣の刈り込みは2月に行い、芽出し後のせん定は6月頃を目安にする。

主木には特にせん定の必要はありません。


肥料

12月から1月に寒肥を施せば、生長期の追肥は必要ありません。

病害虫対策にはダイセン、トップジン、ベンレートを9月頃に散布。

せん定

円錐形、円筒形が基本樹形ですが、玉づくり、段づくりなどにもできます。

円錐形では幹は伸ばし、重なる枝は間引き、樹冠を切りそろえます。

葉のない部分まで切り戻すとその枝は枯れてしまいます。


柔らかく仕上げたい時は、枝葉の真ん中のものを取り除く「みつ取り」を行うと良いでしょう。

                              「ヒノキのみつ取り」

殖やし方

実生と挿し木で殖やします。
庭木用に改良された園芸品種は挿し木で殖やします。
挿し木の時期は4月から6月頃

実生では本種に返りやすい(先祖返り)ので接ぎ木が必要です。
実生の時期は3月から5月頃

種類

ヒノキの園芸品種には斑入種も多く、庭木や盆栽として親しまれています。

代表的な品種

チャボヒバ
よく庭に植えられている矮性の園芸品種で、大木にならず高さは5㍍内外で枝や葉が密生するのが特徴です。

白い斑入りの品種や、葉が黄金色に変わる品種もある。
通常、花は咲かない。

クジャクヒバ
葉は濃緑色で密生し、クジャクの尾のように見える事から名付けられた。

葉が全葉黄金色となるオウゴンクジャクヒバもよく植えられている。

タツナミヒバ
枝が波状に斜めに生長するのが特徴で、高さは3㍍内外。

イトヒバ
枝葉が長く伸び、著しいものは地表にまで垂れ下がることから名付けられました。

枝葉が黄金色のオウゴンイトヒバはこのイトヒバの1品種です。

リョウメンヒノキ
小枝が密生し、葉は表も裏も緑色で区別がつかないためこの名がつけられた。

葉の表裏の区別がつかない似たような樹木に、別属の「コノテガシワ」がある。

ホウホウヒバ
葉が青灰色から灰緑色を帯びるのが特徴。
樹形は球形または円錐形。


主なヒノキの天然記念物、巨樹

沢尻の大ヒノキ
国指定天然記念物

地元では「大ヒノキ」と呼ばれていますが、樹種はサワラの樹です。

国内随一のサワラの巨樹とされ、推定樹齢は約800年とされている。

所在地=福島県いわき市川前町上桶売沢尻地内


大久保の大ヒノキ
国指定天然記念物(平成6年)

所在地=宮崎県臼杵郡椎葉村大久保


軽岡国有林のヒノキ

所在地=岐阜県高山市荘川(しょうかわ)町
六厩(むまや)軽岡


八幡人丸神社御旅所のヒノキ巨樹

所在地=山口県長門市油谷新別名人丸35
八幡人丸神社(やはたひとまるじんじゃ)


その他、ヒノキの巨樹は全国各地に多くある。






2021/04/17

コウヨウザン No,438

 コウヨウザン スギ科 常緑針葉高木

別名=リュウキュウスギ、カントンスギ
広葉杉、沙木

原産地=中国、台湾

江戸時代末期に渡来した常緑の針葉樹で、広葉杉の和名は杉に似ているが広い葉を持つところからきている。

樹高は35㍍、直径1㍍以上に達するものもある。

幹は直立し、下枝は生長するに連れて抜け落ちる。

葉は堅く羽状で先端は鋭く尖り、枝の周囲に2列につく。






生育環境

適度に湿気を含んだ砂質土壌が適している。
日当たりは生長にはそれほど影響しないが、寒風には弱い。


肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。
病害虫は少ない。


殖やし方

実生、または挿し木で殖やします。

実生は10月、2月に採り播きする。

挿し木は3月から4月に行う。
萌芽性は強い。

種類

品種に銀緑色の葉のギンヨウコウヨウザン
類似種に細くて短い葉を持つランダイスギがある。


✿主なコウヨウザンの天然記念物、巨樹

長泉寺(ちょうせんじ)のコウヨウザン
市指定天然記念物

所在地=福井県小浜市加茂101-3


永泉寺(えいせんじ)のコウヨウザン
県指定天然記念物

所在地=福島県須賀川市長沼字寺前


宝林寺のコウヨウザン(宝林禅寺ともいう)
巨樹

所在地=三重県いなべ市北勢町東貝野2491






2021/04/16

コウヤマキ No,437

 コウヤマキ コウヤマキ科

別名=ホンマキ 高野槇  常緑針葉高木

原産地=日本(本州、四国、九州)

コウヤマキは以前はスギ科に含まれていた。
1997年頃の書物ではスギ科と記載されている。

葉の形態の違いから独立したコウヤマキ科として変更されている。

真言宗の総本山として知られる和歌山県高野山に、多く見られることからこの名がある。

高野山では霊木とされている。

寺院に植えることが多く、日本の東照宮では神木とされている。

古代からの重要な樹種で「日本書紀」に棺に用いたとする記述があり、古墳から出土した木棺でそれが確かめられている。



大きなものでは樹高40㍍にも達する。

美しい樹形を作り広い庭の景観木に適する。


生育環境

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌を好む。
日当たりは生長にあまり影響しない。

耐寒性は強いが、午後の日が当たらない程度の場所が適します。

生長は遅く萌芽力もやや弱い傾向があり、栽培は容易であるが移植は難しい。


肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。

病害虫は少ない。
せん定は不適です。
植え付け、移植は3月から4月頃

殖やし方

実生によって3月、10月に採り播きする。

種類

変種に枝が垂れ下がるシダレコウヤマキ、葉の所々に黄色の斑があるフイリコウヤマキがある。

✿主なコウヤマキ 天然記念物、巨樹

石雲寺のコウヤマキ

県指定天然記念物
所在地=宮城県大崎市(旧松山町)

祇劫寺(ぎこうじ)のコウヤマキ

史跡名勝天然記念物
所在地=宮城県大崎市田尻大貫

如法寺のコウヤマキ

県指定天然記念物
所在地=西会津町野沢字如法寺

シダレコウヤマキ

県指定天然記念物
所在地=栃木県宇都宮市下岡本町

栃原の高野槇

市指定天然記念物
所在地=島根県益田市匹見町石谷(栃原)


甘泉寺(かんせんじ)のコウヤマキ

国指定天然記念物
所在地=愛知県新城市作手鴨ケ谷
(甘泉寺境内)
コウヤマキとしては日本国内で一番の巨樹とされ、推定樹齢400〜600年以上。

平成21年(2009年)10月に台風の被害を受け、木の上部を大きく欠損した。

コウヤマキ

市指定天然記念物
所在地=大田原市小滝1103-3





2021/04/15

生物群系の種類(バイオーム)No,436

 バイオームとは

植物を外から見たときの外観上の特徴を相観と言い、相観の特徴を分類したものを「バイオーム」と呼び、生物群系とも言う。


バイオームは気温と降水量によって決まる。


                               A図「降水量と平均気温」

熱帯多雨林の代表的植物

つる植物、ヒルギ、マングローブ林
年間平均気温20℃以上
年間降水量2000㍉以上の高温地帯


                               「オヒルギ」

ヒルギ科マングローブ植物、マングローブという名前の植物はいません。

マングローブというのは、熱帯の海や川が繋がる気水の干潟のような場所に生息する植物の総称です。

マングローブの代表的な種類はヒルギ類で、国内に生息するのは全部で3種の①ヤエヤマヒルギ②メヒルギ③オヒルギです。

主な生息地は沖縄です。


亜熱帯多雨林の代表的植物

ビロウ、ヘゴ、ソテツ、アコウ、ガジュマル
年間平均気温18℃以上
年間降水量1300㍉以上


                                     「ヘゴ」

ヘゴ科の常緑性大形の木性シダで、世界の熱帯から亜熱帯に約800種類が分布し、大きなものは野生では高さが最大7〜8㍍にも達します。

山仕事で、弁当のお箸を忘れた時によく代用としてヘゴ箸を作っていたものです。


雨緑樹林の代表的植物

チーク、タケ
雨季には葉をつけ、乾季には落葉する。
雨季と乾季のある熱帯、亜熱帯地域である。


                              「チーク」

チークはクマツヅラ科の落葉広葉樹で、チークはマホガニーと並ぶ優良高級材として、様々な用途に用いられる。

病害虫にも強く、天然の油性分があり、オイルやニスで手入れしなくても耐久性がある銘木です。

タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアの地域に分布しています。

チーク(teak)というのは英名で、タイではマイサック(maisak)ミャンマーではチューン(kyun)フランスではテック(teck)と呼ばれるなど、広い地域で親しまれていることがわかる。

マホガニー、チーク、ウォールナットは世界三大銘木とされている。


硬葉樹林の代表的植物

オリーブ、コルクガシ
夏に雨が少なく、冬に雨が多い地中海沿岸地域
葉が小さく硬いのが特徴である。

硬葉樹林は非常に微妙な位置にあり(A図)だいたい照葉樹林と夏緑樹林の間の下の辺りである。


                                    「オリーブ」


オリーブはモクセイ科の常緑高木で、実が食用油の原料や食用、化粧用になるため広く栽培されている。

海外ではイタリア、日本では小豆島がオリーブの産地として知られている。

夏緑樹林の代表的植物

ブナ、ミズナラ
夏に葉をつけるが秋には落葉する。
年間平均気温5〜15℃
年間降水量1000㍉の冷温帯


                                   「ミズナラ」

ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹
温帯の落葉広葉樹林の代表的な樹種である。

材に水分が多く含まれ、燃えにくいことから水楢と呼ばれる。


針葉樹林の代表的植物

シラビソ、コメツガ、トウヒ、エゾマツ
トドマツ

年間平均気温、−5〜5℃
年間降水量1000㍉前後の亜寒帯


                                「コメツガ」

コメツガはマツ科ツガ属の常緑高木
小さな葉を米に見立ててこの名がある。

亜高山帯では純林を作り、背丈が高いが高山帯では、ハイマツなどとともに1㍍程にしか育たない。


サバンナ(熱帯草原)の代表的植物

イネ科の草本、木にならない植物。
樹林は点在し、大木も存在する。


イネ科はおおよそ700属と8000種が属する被子植物単子葉類の大きな科である。

世界中で広く分布し、古くは禾本(かほん)科
又は、ホモノ科とも呼んだ。


オオムギはイネ科の穀物、中央アジア原産で世界で最も古くから栽培されていた作物の1つです。

小麦よりも低温や乾燥に強いため、ライ麦と共に小麦の生産が困難な地方において、多く栽培される。


                                「燕麦、エンバク」

エンバクはイネ科カラスムギ属に分類される一年草で、その種子は穀物として扱われる。

「円麦」という漢字や「えんむぎ」という読み方は誤りで、英語名の「oat」からオートムギ、オーツ麦、オートとも呼ばれ猫草、ウサギなどの食草にも利用されている。




ステップ(温帯草原)の代表的植物

イネ科の草本
夏は乾燥し、冬は低温になる温帯。
草本が主で大木はない。

砂漠(乾燥荒原)の代表的植物

サボテン 多肉植物
年間降水量200㍉以下の極端に乾燥している地域


                           「サボテン」

サボテンはサボテン科に属する植物の総称。
北アメリカと中央アメリカを中心に200種以上ある。

その多くは多肉植物であるため、多肉植物の別名として使われることがあるが、サボテン科以外の多肉植物をサボテンと呼ぶのは誤りである

棘(とげ)の部分は葉や茎が変化したものであると考えられている。


ツンドラ(寒冷荒原)の代表的植物

地衣類(ちいるい)、コケ類


                                         「コケ」

コケの体には根がなく、水分や養分は体の表面から吸収します。

コケは普通、たくさんの個体が集まって生えており、それが水分を保持するのに役立っている。

体の作りは簡単で水分や養分を運ぶ構造や水分の蒸発を防ぐクチクラはない。

地球で地上に最初に誕生した植物とされる。



照葉樹林の代表的植物

シイ、カシ、クスノキ、ツバキ、タブノキ
年間平均気温13〜20℃
年間降水量1000㍉以上の温暖地
✫クチクラ層が発達した光沢のある葉を持っている。

✫クチクラ層とは
一般的に動植物の表面を覆う層(丈夫な膜)で、水分の蒸発を防いだり内部の保護の役割を果たしている。

英語でキューティクル、日本語で角皮とも言う。


                                       「ツバキ」

多くの園芸品種はヤブツバキが基本種となっていて、ツバキと呼ばれることも多い。

日本の照葉木を代表する樹木の1つで、主に東北地方以西の海沿いの地域や、山地に幅広く自生している。   


   


             

2021/04/14

エゾマツ、アカエゾマツ No,435

 エゾマツ、アカエゾマツ

マツ科トウヒ属  (蝦夷松 )常緑針葉高木
原産地=サハリン、千島
日本(北海道、本州)シベリア

蝦夷(エゾ)とは北海道の古称、北海道に多いのでこの名がある。

代表的な針葉樹で、アカエゾマツと共に北海道の木に指定されている。

山地に生えるが沢沿いなどに多く、寒冷地では庭木として植えられることがある。

樹高は40㍍にも達し、細長い枝が密生し、左右の枝を斜め下におろしたような傘形の樹形となる。

葉は線状で長さ2cmほどで、先端が尖っている。

5月から6月頃に花が咲き、球果は秋に熟して垂れ下がる。


                                                 「エゾマツ」


✣生育環境

土質は選ばないが、水はけの良い所が理想的である。

空中湿度の高いことが大切で、根が浅いので風に弱い。
実生で殖やす(時期は3月頃)

✻肥料

油かす、化成肥料などの寒肥を施す。

✫害虫

ハバチ、アブラムシ、カイガラムシなどが発生する。

対策としてスミチオン、カルホス、デナポンなどを散布する。

❆種類

 変種にトウヒがある。本州中央部と紀伊半島に分布する。

類似種にアカエゾマツがあり、庭園や公園樹として利用されている。

✣せん定は不敵である。

✿アカエゾマツ

エゾマツに似て幹の赤みが強いのでこの名がある。
樹林の中では、スラリと伸びたものがあるが、曲がったり、幹が曲がりくねったり、風に傷めつけられて変形したりと言った樹形のものが目立つ。


エゾマツの葉は長く柔らかいが、アカエゾマツは葉が短く、やや曲がりびっしりとつく。


                                                「エゾマツの葉」


                                              「アカエゾマツ」






2021/04/13

アワブキ No,434

 アワブキ アワブキ科  アワブキ属

別名=アブクタラシ、ヤマビワ、トーフノキ
原産地=日本(本州、四国、九州)
朝鮮半島、中国

インドから日本にかけてのアジア地域と中南米の熱帯にかけて分布しており、日本にはアワブキ属の①アワブキ②ヤマビワ③ミヤマハハソ④フシノハアワブキ⑤ナンバンアワブキの5種と、アオカズラ属のアオカズラの2属6種が自生する。

また、伊豆諸島には、フシノハアワブキの変種である「サクノキ」が分布している。

アワブキやミヤマハハソのような「落葉性」は稀で、多くの種類は常緑性である。





この木を燃やすと、切り口から盛んに泡を出すのでこの名がある。

産地に生える落葉高木で、樹高は10㍍程になる。

6月から7月に枝の先に大きな円錐花序を出し、淡黄緑色のちいさな花を多数つける。

秋の黄葉は目立つが、庭に植えられることは稀である。

✣生育環境

日当たりの良い場所に適していますが、木漏れ日が当たるぐらいでも育ちます。

やや湿り気のある土壌が最適です。

せん定は12月から3月で強せん定は避ける。
自然樹形を基本に、斜上しがちな枝を切り戻すぐらいの樹形を維持します。


移植は3月頃が適している。

✫肥料

寒肥として油かす、鶏ふんを与える。

✭殖やし方

実生で殖やします。
採り播きするか、貯蔵して翌春3月に播きます。

✣種類

類似種に葉が薄く小さい低木型のミヤマホウソがあり、地方によってはこれもアワブキと呼んでいる。







2021/04/12

アーチ=門扉の製作、取り付け No,433

 アーチ部分の製作



①材料は耐久性を考え、ステンレスの板金で製作。

ステン用の板金バサミで切断するが、経験者以外ではとても扱い難い材質と言えるだろう。

必ず手袋をして作業しなければならないが、それでも手を切りやすく扱い難い。

板金の厚みは強度も必要なので0,4㍉ですが、とても硬いので手作りであるならば、この厚みが限界と思う。



②門の幅が1.2㍍なので、幅に合わせて加工。


③穴をあける。
この穴は何?



④だんだん形になってきました。
アーチ部分の曲りはフリーハンドで卵型、半円ではない。



⑤左右、同じものを作る。



                     「基礎部分を改造」

                    「骨組部分が完成」

                 「 門扉の製作取り付け」

                        「貫抜式」


                 「自作ポスト取り付け」


                     「門扉完成」



アーチ中央に吊り下げたランプも自作、サーモスタットで点灯、消灯する。