緑のお医者の徒然植物記

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ラベル #アカシデ、#シデノキ、#ソロ、 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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土曜日, 10月 03, 2020

アカシデ No,295

 アカシデ カバノキ科クマシデ属

別名=シデノキ、コソネ、ソロ 「赤四手」

原産地=日本

北海道空知郡以南の各地の山野に幅広く自生するほか、朝鮮半島から中国にも分布している。

アカシデは新芽が赤く、また秋には紅葉もするのでこの名がある。

シデの仲間は黄褐色に色づくものが多いが、本種は赤く紅葉する。


        (アカシデの紅葉)


山野の川岸など、湿った肥沃な所を好む。

「シデ」と言う名称は、垂れ下がって実る果穂(かすい)の様子が、神前に供える玉串やしや、縄して下げる細長く切った白い紙に似ている事に由来します。

(四手または垂、幣=シデ)

9月から11月に一斉に垂れ下がる果穂を見れば、すぐにシデの仲間だと見分ける事ができます。
(一見ミノムシの様にも見える)

古くから雑木林や庭園、公園の植栽、盆栽などによく利用されている樹種です。

4月から5月にかけて、新葉が展開するのと同時期に、下垂した穂状の花序を付けます。


         (アカシデの花)

雌雄同株ですが、雌花と雄花が別々に咲きます。

葉は表面が鮮緑色、裏面は淡緑色でともに粗毛(伏毛)で覆われ、細かい鋸歯があります。

樹皮は暗灰色でなめらかで、隆起した皮目が多く老木では筋状のくぼみが目立つ。

果実は8月から9月に熟し、果穂は長さ4~10㎝で、クマシデやサワシバに比べて果苞がバラバラした感じで付く。

葉状の果苞がまばらに付き果苞の基部には堅果が一個つく。

★果穂=かすい(中に種子がある)
種子を抱いた果苞が房状になったもの。

★果苞=かほう
つぼみを包む様に葉が変形したもの。
     
シデ類は盆栽樹としては、「ソロ」の名で親しまれ、新緑と黄紅葉の美しい雑木盆栽として知られています。

シデ類は同属の近縁種が多く、日本各地に分布しておりいずれも庭木や盆栽樹として親しまれていますが、中でも特に人気が高いのが「アカシデ」です。

初夏の新芽が赤味を帯びて美しい事に加え、秋の紅葉も他のシデ類が黄褐色に黄葉するのに対し、アカシデは美しく紅葉することから、盆栽界ではアカメソロ(赤芽曽呂)の名で珍重されています。

◆品種
園芸種は特にありません。

近縁種として
北海道から九州までの山間の水辺を中心に分布するサワシバ(サワシデ)

本州から9月の山野に分布するイヌシデ(シロシデ)

クマシデ、イワシデなどがあります。


        (熟した果穂と果苞)


イヌシデは緑白色の新芽に、アカシデと違った味わいがあり、クマシデは大柄で緻密な葉脈を持った、葉と長く垂れ下がった果穂でそれぞれ人気がある。

昔々の話で、おじいさんは柴刈りにと言う語りがあるが、この柴とはサワシバをはじめとするシデ類の樹木の事です。

カシ類と同様に、薪炭材として古くから庶民を中心に幅広く利用されていた。

傘や農具、器具類の柄の材料、ろくろ細工の材料として用いられるなど、多岐に渡り生活に密着している樹種です。

◉生育環境
日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

土質は特に選びませんが、株元が乾燥すると樹勢が弱くなります。

★植え付け、植え替え
植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥を十分ににすき込んで高植えにし、必要に応じて支柱で支えます。

植え付けの適期は2月~3月と10月~11月です。

◆肥料
樹勢が強く、特に土質が悪くない限り必要ありません。

枝の生育が悪い場合は、3月または9月に油粕や粒状化成肥料などを株元に施します。


★病気
カイガラムシ
樹冠内の日照、通風が悪いと発生します。

冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤の散布で防除します。

テッポウムシ(カミカリムシの幼虫)
成虫を見つけたら捕殺します。

幹に食入口(虫穴)を見つけたら、穴にスミチオン乳剤などを注入して土などで穴を塞ぎ駆除します。

◉せん定、整姿
強せん定、刈り込みを嫌うのでせん定は最低限に止め、自然樹形で育てますが一般的です。

枝の途中で切らず、必ず付け根から切るようにします。

自然の柔らかい姿を保つためにも、枝抜きによる整姿、せん定が基になります。

単植でも美しい樹木ですが、何本かを寄せ植え風に列植すると味わいが増します。

その場合は、一律に樹形を整えるのではなく、それぞれの木の個性を生かして、多少異なった樹形にした方が趣が出ます。

◆殖やし方
9月下旬から11月上旬の実熟期に果穂を採り、2~3日陰干しします。

これを手でよく揉むと中から種子が出てくるので、すぐに蒔きます。

乾燥に注意して管理すれば、翌年の4月頃に発芽します。