緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/31

柑橘類の名前につく「ポン」の意味 No,598

 名前に“ポン”のつく柑橘類

ポンカンはインドのスンタラ地方が原産で、インド、ネパール、東南アジア、中国南部、台湾、日本で栽培されています。

日本には1896年(明治29年)に台湾総督に就いていた樺山資紀大将が、苗木を郷里の鹿児島に送って移植したのが最初だとされている。


✪樺山資紀(かばやますけのり)は日本の海軍軍人で政治家、鹿児島の生まれ(1837=天保8年〜1922=大正11年)

薩摩藩士、橋口与三次の三男として生まれ、1863年、樺山四郎左衛門の養子となった。

幼いときの名前を覚之進という。


         「樺山資紀」


日清戦争(1894〜1895)では、海軍軍令部長として戦場に行き、手柄を立て、翌年には海軍大将となる。


その後、初代台湾総督、内務大臣、文部大臣を歴任し、86歳でこの世を去った。


名前に「ポン」がつく柑橘類には数種があり、その由来もさまざまです。

『ポンカン』は英語ではポンカンオレンジと呼ばれ、漢字では[椪柑または凸柑]と書きます。


         「ポンカン」

ポンカンの「ポン」は、原産地のインドの地名「ポーナ=pona」に由来します。

『デコポン』という愛嬌のある名前の柑橘類は、1972年に生まれました。

元々、デコポンの正式な品種名は生産が始められた地方の熊本県の「不知火=しらぬい」という品名で、デコポンの名前は商標登録したものです。


デコポンの「デコ」は「おでこ」のことで、突き出た状態を表しています。


         「デコポン」

おでこがポンと出ているという意味ではなくデコポンの「ポン」はデコポンの片親であるポンカンの「ポン」という意味です。

もう一方の親品種は『清見オレンジ』です。

清見(きよみ)オレンジは、温州みかんと外国産のトロビタオレンジの交配によって誕生したもので、日本で育成、公表された最初の『タンゴール』です。

品種名の「清見」は育成地にある清見潟、清見寺に由来する。

ところによっては「清見タンゴール」と呼ばれることもある。

産地として知られる愛媛県や和歌山県が、全国の出荷量の8割弱を占めている。

✪清見潟とは、静岡県中部、静岡市清水の興津、清見寺門前の海岸を示す。

清見オレンジの片親である』『トロビタオレンジ』はネーブルから生まれたオレンジの仲間。

オレンジは遺伝的にみかんに近く、進化の途中でみかんから枝分かれしたとされる。

ネーブルオレンジの原産地はブラジルで、バイア地方に導入したセレクトオレンジの、枝変わりによりできたと言われています。

この種がアメリカに渡り、1870年、アメリカ農務省(ワシントン)で育成され、これがネーブルオレンジ品種群の元となったワシントンネーブルである。



『ポンジュース』という飲み物がありますが、ポンカンのジュースではありません。

みかんの産地である愛媛県で、みかん産業の発展のために1952年に発売された、果汁飲料がポンジュースです。

ニッポンイチ(日本一)のジュースになるようにと思いを込めて、当時の愛媛県の久松定武知事によって、ポンジュースと命名されたと言われています。

ポンと出てくるポンジュースならええなぁ~😅

また他にも「ポン」という名前が選ばれた理由として、フランス語のボンジュール(こんにちはの意味)の「ボン」の響きに似ているからとも言われています。


オランダ語で、柑橘類の果汁を「ポンス=pons」と言ったり、果樹栽培法を英語で「ポモロジー」ということも一因にあるとされています。

調味料には「ポン酢」がありますが、ポンカンやデコポンの「ポン」を使用して名前をつけたと思われ、ポン酢はポンカンの果汁から作られたものではありません。


ポン酢の語源はオランダ語のポンスであり、「ス」に日本語の「酢」を当てたものです。


ポルトガル語に由来する説もあるが、その場合でもポンに酢をつけたということです。

ポン酢は柑橘類の果汁という意味なので、ポンカンと関係があるわけではありません。


 「ポンカンの発祥地の記念碑熊本県不知火町」








2022/08/28

さつまいもの花 No,597

 さつまいもの花

日本でさつまいもの花が咲くのは沖縄県

沖縄県を除いて通常の条件下では開花しません。

さつまいもの花は熱帯、亜熱帯でよく開花結実する。

さつまいもの花は「短日性」で日照が短くならないと咲かない。

アサガオと同じヒルガオ科で花もよく似ている。


       「さつまいもの花」


◉短日性とは、1日の日照時間がある程度短くならないと反応を起こさないことで、さつまいもは日が出ている時間が短くならないと花を咲かせない。

夏の日照時間が長い日本では、なかなか花を咲かせないため見る機会も少ない。

中には花をつけやすい品種もある。


気温が高いまま、日照時間が短くなれば花が咲きやすくなる。

日本で栽培されているさつまいもでは、収穫の早い品種のシルクスィートや紅はるかなどが、花をつけやすいという可能性はあります。

花を咲かせる場合では、実がならない場合が多いとされる。

さつまいもは根が肥大して実になるが、土の中で実ができず子孫を残せなくなると、花を咲かせる場合があるとされる。


花が咲いても実が生っていれば問題はありません。

また、干ばつ気味やネズミに食害されたり、病気に侵された場合などの条件下で、花が咲きやすくなるようです。


✪短日植物類
アサガオ、キク、オナモミ、コスモス、イネなど

夜の時間が長くなる頃に、花をつける植物を短日植物という。







2022/08/26

さつまいもの変色 No,596

 実が黒く変色する


加熱後に実の部分が黒く変色するのは、さつまいものアクでるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が変色したものです。


クロロゲン酸はあくの成分なので食べると「えぐ味」を感じることがありますが、食べても問題はありません。

変色を防ぐ場合は、切ってから水に5〜15分ほど浸けておくことでアクが抜けて変色を防げます。


クロロゲン酸はアルカリ性に反応して緑色に変色する性質があります。







料理に使う重曹や天ぷら粉にも反応します。

また、塩にも弱アルカリ性のため、場合によっては反応することもあります。

寒さが苦手な野菜を、冷蔵庫などで保存したときに起こる低温障害で、さつまいもでは4〜5℃以下で起きます。

切った断面が全体的に黒っぽくなっている場合は、低温障害を起こしています。


食べても問題はありませんが、味は悪くなってしまいます。

保存温度に気をつけ、5〜18℃の間で保存することが理想的です。


さつまいものアク(灰汁)は「ヤラピン」やクロロゲン酸、タンニンと呼ばれる成分で、さつまいもを害虫から守るために存在しているものです。

アクは渋味を感じ、食感を悪くする原因となります。

調理の際にはアク抜きした方が調味料が浸透しやいという良い面があります。


◉ヤラピンとは、さつまいもを切ると断面から滲み出るミルク状の白い液体の事で、さつまいもにしか含まれていない。

胃の粘膜を保護したり、腸内のぜん動運動に働きかけ、便を柔らかくする効能があります。

さつまいもは食物繊維が多いから腸に良いというわけではありません。

ヤラピンという栄養素と食物繊維の相乗効果で、整腸作用が促されているのです。


    「滲み出る白い液体のヤラピン」


✪タンニンとは、植物の葉や実、種子、根などに含まれるポリフェノール化合物の一種で、口に入れると強い渋味を感じることが特徴です。







2022/08/24

さつまいもの長期保存 No,595

 キャアリング貯蔵


収穫後の土がついたままのさつまいもを、35℃湿度95%以上の環境に50時間置くことで、皮下組織にコルク層ができ、収穫時についた傷を自然治癒(キュア)します。

これをキャアリング処理といい、病原菌等の侵入を防ぎ、最適な水分や美味しさを閉じ込めます。

その後、一気に12℃まで温度を下げ、湿度85%で貯蔵することで、最高の状態を長時間保つことをキャアリング貯蔵といいます。

長時間貯蔵されたさつまいもは、デンプンが糖に変わり更に美味しさを増します。
★さつまいもは出荷するまでは土が付いたまま保存します。
洗って保存すると腐りやすくなり、保存期間を確保できない。



出荷時に洗って出荷するものと、土が付いたまま出荷するものがあります。

日持ちするのは土が付いたままのさつまいもですが、見た目の良さから洗ってあるものが売れる。

洗ったさつまいもは約2週間、土が付いたさつまいもは約1ヶ月〜2ヶ月が家庭で保存できる期間だと言われている。

保管の仕方で違いは出る。

10℃を下回る状態で保管すると腐り始めるとも言われている。


貯蔵温度が高いほどでんぷんは早く減少します。

しかし、一方でホクホク感がなくなり、腐りやすい状態にもなります。

さつまいもの表皮かを黒ずんでくると、鮮度が悪くなっている状態だと言えます。

そのようなさつまいもは出荷後、日持ちせず、箱の中で腐ってしまう事もある。





また、アク抜きのため水に浸けて置くと鮮度の良いものは、水が青紫色になるが、よくないと思われるさつまいもは黄土色になり、焼き芋後の日持ちも悪い。


購入時にさつまいもの表皮が赤黒く見えるものは、その後特に注意が必要である。

注意が必要なさつまいも

低温障害を起こして黒く変色してしまったさつまいも

黒斑病に侵されたさつまいも

悪い部分を切り取ったとしても、全体に病気に侵されていると考えた方が無難です。


白いカビ、青いカビが発生したさつまいも

皮の水分が抜けてシワシワな状態のさつまいも

触るとブヨブヨしたり、明らかに腐って臭いがするさつまいも










2022/08/22

植物はいつ生まれたのかな? No,594

 植物の誕生

植物も動物も、最初から今のような形のものが突然地球上に誕生したわけではありません。


最初の植物はいつ頃誕生したのでしょうか?

1番古い化石は、南アフリカのトランスヴァ―ルという所の、34億年前にできた岩から発見されたものです。

この岩の中から発見された小さな化石はかなり小さいものですが、植物が残したものであると考えられています。

当時の植物は、現在のような花や茎のあるものではなく、顕微鏡でなければ見えないような極小さな、細胞の1つからできている簡単な作りのものでした。

40億年ほど前の海の中に最初に誕生した生物は、細菌のような小さいものでした。


そしてそのおよそ10億年後、二酸化炭素と水を使って酸素と栄養を作り出すことのできる植物が現れました。

植物と言っても根があるわけではなく、海の中を漂っていました。

地球が誕生したのは今から46億年前で、人類が誕生したのは400万年ほど前で、恐竜が現れたのはおよそ2億年前と言われています。

それと比べると、植物がいかに古いものであるかが分かります。

◉関連ブログ記事
地球誕生での最初の地上植物は苔植物No,230


植物は裸子、被子、種子植物に分類されています。


真の種子を持った最初の『種子植物』はシダ種子類です。

この名称は、その葉がシダの葉と類似していたことによるものですが、必ずしも大葉シダ植物と近い系統関係にあるわけではありません。


種子植物の最古の化石証拠は、後期✪デボン紀からのもので、それは前裸子植物として知られるグループから進化したとされています。

✪デボン紀(泥盆紀)とは?
約4億1600万年前から約3万5920万年前までの時期を指し、デヴォン紀と記載されることもある。

デボン紀は様々な地層をもとに設定された、地質時代の区分の1つである。

◉裸子植物の生き残りは4種類

裸子植物の種子は適応的だったため、裸子植物は繁栄し、多様な形態を持った種類が生まれました。

しかし、現在まで生き残った裸子植物はソテツ類、イチョウ類、マツ類、グネツム類の4類だけとされる。

裸子植物が単系統であるか、側系統であるかについては、分子系統学が発達した今日でも両方の立場があり、答えが出ていない。


裸子植物は種子植物のうち胚珠(はいしゅ)が心皮によって包まれず、むき出しになっているものを指します。

✪胚珠(はいしゅ)とは、成長し種子となるもの

✪被子植物とは、胚珠が心皮に包まれて子房の中に収まったものを言う。

✪心皮(しんぴ)とは、元々葉に剥き出しで付いていた生殖細胞をその葉で包んで保護をするように進化した葉のことで、一般に花葉(かよう)と総称される葉の変形のひとつ。

心皮が子房を作り、内部の胚珠を包み、種子が成熟するに連れて成長し果皮となる。

大胞子葉ともいう。


     「シダの胞子葉=ほうしよう」


✪グネツム類

グネツム類はグネツム属、マオウ属、ウェルウィッチア属の3属からなる小さな植物群です。


ウェルウィッチアはナンビアのナミブ砂漠にだけ生育しています。


       「ウェルウィッチア」

日本名はキソウテンガイ=奇想天外という。

単子葉植物に似た平行脈(平行して走る葉脈、対生)を持つ葉が2枚しかない。


✪グネツム属

グネツム科の唯一の属で、被子植物かをひしめく熱帯で被子植物のような姿で生育している。

西アフリカに2種、中央、南アフリカ大陸に7種、東南アジアに28種の合計37種ほどが分布する。


        「グネツム属」


かつては被子植物に近縁とも考えられたが、現在では被子植物とは異なり、他の裸子植物と共通の系統に入ると考えられています。

最近では、球果植物の系統に入り、マツ科に近縁と考える説もある。


✪マオウ属

マオウ科に属する唯一の属で、常緑低木でユーラシア(中国からヨーロッパの地中海沿岸)北アフリカ、南北アメリカ大陸の乾燥地に50種類が分布しているが、日本には自生しない裸子植物である。


         「マオウ属」

地上部の茎を薬用とし、草麻黄、中麻黄、木賊麻黄等の種類の生薬がある。

マオウに似た植物はトクサ科のトクサ、シダ植物で同じ科にはスギナがある。

野原や道端、畑などに多く生える野草、雑草



          「トクサ」







2022/08/20

ドリアンで失神? ある?No,593

 世界一臭い果物 ドリアン

アオイ科ドリアン属 No,593記念オー臭


ドリアンはデュリウムと呼ばれる木で育ち東南アジア全体で見られます。



マレーシア、インドネシア、ブルネイ原産で主要な生産地です。

現在、生産量が最も多いのはタイの東、南部で栽培されています。

日本で販売されているもののほとんどがタイ産です。


果実は1〜5㎏と大きく、果皮に複数のトゲがあります。






かつて王様が精力を保つためにこの果物を食べていたことから「王様の果物」と言われており、転じて「果物の王様」と呼ばれるようになったとされる。


学名は「ドゥリオジベティヌス」で麝香(じゃこう)の香りを持つトゲという意味です。


麝香は良い香りの象徴とされますが、ドリアンの香りは「玉ねぎの腐ったような強烈な匂い」や「都市ガスの臭さ」などとさまざまに形容される、とにかく強烈に臭いと言う事で、鼻をつまんで食べている姿を報道で観ることがあります。


そのために「悪魔のフルーツ」「フルーツの魔王」「禁断の果物」とも呼ばれています。

匂いがとても強いので多くの空港、ホテル、公共交通機関では禁止された果物です。


しかし、匂いを気にする人も気にしない人もその果実を一度食べたら皆、病みつきになると言われています。



ドリアンでまさかの失神?

猫が匂いを嗅いでみたら、、、そのまま後ろにパタリ!

気絶しちゃった〜!

ドリアン臭恐るべし……。

記憶も飛ぶらしい?

熟してなければよかったのにねと思うなかれ、この果実は、皮が無傷で未開封であっても、多くの人が耐えられないほど強力な悪臭を放っています。

遠くからでも匂いがします。

この果物は様々な化学物質の混合物であることから、強い匂いを発生されるため非常に匂いがします。









2022/08/19

世界最小の花 No,592

 ミジンコウキクサ 

サトイモ科(旧ウキクサ科)の多年生植物

陸上植物、コケ植物、シダ植物、種子植物の中で世界最小とされる。

そして、咲く花も世界最小の花であり、実も世界最小とされる。

本属は世界に約10種あり、その中でもミジンコウキクサは最も小型の種である。


葉と茎の区別が無い葉状体のみからなり、植物体には根が無い。

ウォーターミールとも呼ばれる。


      「画像:国立科学博物館」


ヨーロッパ南部が原産と言われていますが、世界各国に帰化しています。

日本には明治の頃に帰化したとされ、関東以西の本州、四国、九州、沖縄のため池や水田、溝などで見られる。

ため池や水路などの水面に密集して浮く、雄しべと雌しべだけの小さな浮き草です。

1つが微細のため「藻」のように見えてしまう。

花の大きさは0.1〜0.2㍉程度ということなので、肉眼では小さな穴が開いている?ように見える。

実際はそれもわからないかもです。

ミジンコウキクサが開花するのは極めて稀な現象とされる。

開花期は8月から9月

ミジンコウキクサは国立環境研究所の侵入植物データにも載っている事から、日本の環境に適応する能力があると言えます。


✪将来人類へ大きく貢献するかも知れないミジンコウキクサ

下水処理や農地からの流出で、除去しなければならないリン酸塩や窒素を吸収する点で優れており、環境浄化の目的で期待されている。


また、下水や家畜の排泄物を食べても毒素を残さないとされ、飼料や作物の肥料などの資源として利用することができます。

ミジンコウキクサはタンパク質を約44%と多く含むなど、食用としても期待できる。







2022/08/18

スターフルーツ No,591

 スターフルーツ カタバミ科ゴレンシ属

原産地は熱帯アジアとされていますが、マレー半島やジャワ島、インドなどではないかと言う説もあります。

古くから熱帯アジア地域やインド地方などに分布しています。

日本には18世紀末に渡来したとされ、沖縄、宮崎、鹿児島で栽培されています。

和名は「五歛子=ごれんし」

五歛子という名前の由来は、カットした断面が星形であることから、5つの尖ったところ(稜=りょう)があるため「五稜子=ごりょうし」と呼ばれ、転じて、五歛子となったとされる。

『歛』は、集まるという意味なので、5つが集まった果実を表します。

『稜』とは、かど、多面体の面と面の交わる所

◉スターフルーツの記載文献

オランダの旅行家とされるヤン•ホイフェン•ヴァン•リンスホーテン(1563〜1611)が16世紀末頃にまとめた『東方案内記』

中国最古の薬物書
後漢=ごかんから三国(魏=ぎ、呉=ご、蜀=しょく)の頃に成立した中国の本草書
(25年〜220年)

『新農本草経=しんのうほんぞうきょう』
365種類の植物、動物、鉱物が薬として集録されている。





果皮は最初薄い緑色ですが、熟すと黄色になり梅に似た香りがする。

星の形をした果物ということで、料理やデザートの彩りにも重宝され、ピクルスの材料としても利用されます。


✪スターフルーツはどんな味?

実際に食べたことがあるという人が意外と少ない南国フルーツ

緑色の状態では酸味が強く、東南アジアの国々では春巻きやスープなどに入れる、野菜のような使われ方をします。

リンゴのようなさっぱりした甘みと酸味を感じる果物で、硬めの大粒ブドウのようなシャリッとした食感のある印象がある。


スターフルーツは腸の働きを活発にし、コレステロール値を下げる効果があり、食物繊維と水分が豊富に含まれています。


むくみ改善に期待できるカリウムや糖質、脂肪をエネルギー化する際に体の酵素を活性化させるために必要な成分である、ナイアシンなども含まれています。

また、ダイエットに適した食べ物の1つとされます。


栽培方法

越冬には5〜6℃以上必要なので、一般的には鉢植えになります。

赤玉土6、腐葉土2、川砂2の混合土に植え、春から秋は戸外の直射日光によく当て、冬は室内の日当たりの良い場所へ置いて管理します。

越冬中の夜間は室内でも温度が急速に低下する事があるので、温度計を置いて温度に注意する必要があります。

肥料は5月から9月の生育期に2ヶ月に一回、玉肥を2〜3個ずつ置き肥します。

幼木の時は、5〜6号鉢で切り詰めせん定を主にして主幹形に仕立てます。

成木になったら4月に8〜10号鉢に植え替えます。

果実は充実した枝につくので不要枝や乱れ枝を間引き、伸びた枝は切り詰めて分枝させ、良い枝を育てるようにします。








2022/08/17

世界一大きい果物 No,590

 ジャックフルーツ クワ科パンノキ属

常緑高木

波羅蜜=パラミツとも呼ばれ、ジャックフルーツは英名

東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで栽培され、原産はインドからバングラデシュとされている。

大きな卵型で緑色や茶色の硬い皮で覆われ、約70cm以上重さ40kg以上にも大きく生長するため「世界最大の果実」とも呼ばれています。




最も太い果実部分の直径は20〜30cm以上にもなります。

ラグビーボールの両端が丸みを帯びたような形をしていて、表面に直径8㍉くらいの小さなツブツブがたくさんあります。

果実は枝ではなく、幹に直接ぶら下がるようにつきます。

同じクワ科のアコウも同じように幹部に実をつけますが実は小さい。


✪アコウ関連記事
奈良尾のアコウの樹 No,360


        「アコウの実」

このような実を『幹生果=かんせいか』といいます。

太平洋戦争の末期には、◉ビルマの密林の中で食糧難に瀕死していた多くの日本兵が、ジャックフルーツの実を食べて飢えをしのいだと言われています。

果肉だけでなく、果実の中にたくさんある大きな種子も煮て食べていたそうです。

      「ジャックフルーツの種子」

◉ビルマは現在のミャンマーの事で、太平洋戦争当時はイギリス領ビルマで、イギリスから独立した1948年から1989年までの国名はビルマ連邦で通称ビルマと称した。


✪ジャックフルーツの効能
ビタミンCが大量に含まれ、カロテノイドは炎症を抑え、Ⅱ型糖尿病や心臓病などのさまざまな慢性疾患のリスクを軽減する事がわかっています。

ドリアンとともに食べ過ぎに注意が必要な果物です。

特に空腹時では食べない方が良いと言われ、また蜂蜜と一緒に食べてはいけないとされています。







2022/08/16

ドラゴンフルーツ No,589

 ドラゴンフルーツ サボテン科

別名=ピタヤ、ピタハヤ、ピターヤ

メキシコ南部または、中南米エルサルバドル周辺の熱帯雨林原産

栽培地の中央アメリカ、南アメリカ北部では数属のサボテン類を総称して「ピタヤ」という。

これは、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテン等の果実を指します。

その中の果実で龍のウロコのような果皮をしているものを、ドラゴンフルーツと称します。


日本では2000年以降、奄美大島、宮崎、長崎、熊本、沖縄で栽培されています。

日本に輸入される際に『火龍果=ホーロンコウ』と書かれていたとされ、これは中国語で英語に訳されるときに、ドラゴンフルーツの名前になったとされています。


また、夜に大きな白い花を咲かせることから「ムーンフラワー」や「夜の女王」という別名を持っています。


ウロコ状の果皮に包まれた果肉には、白色や赤紫色のものがありますが、いずれもゴマのような種子が散らばっていて味わいはさっぱりとした甘さです。


品種は、赤い果肉に白色の果肉のホワイトピタヤ

赤い果肉に赤紫色の果肉のレッドピタヤ

黄色い果肉のイエローピタヤに分かれます。




赤い色素は「ベタシアニン」というポリフェノールの一種で、赤い色を表すケルト語のベタ(beta)が名前の語源です。

ビートの学名「ベタ•ブルガリス」から名付けられています。

また、オシロイバナ、ブーゲンビリア、マツバギクなどの赤い花の色素です。

学名「ベタ•ブルガリス」英名「ビート」
ビートは草本のニ年生植物、または稀に多年草植物で葉の多い茎をもつ。

ヒユ科の植物で今はBe toideae亜科に含まれる。

ドラゴンフルーツはサボテンですが、砂漠の植物ではありません。


✪ドラゴンフルーツの効能

ドラゴンフルーツはビタミンB1、B2、ビタミンC

ビタミンEに葉酸、ポリフェノールも含まれる。

中でも、豊富に含まれるカリウムには体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。


その作用はむくみ、高血圧の予防に繋がります。


健康や美容に良いとされる栄養素が多く含まれているため「ミラクルフルーツ」とも呼ばれています。







2022/08/14

太陽の卵 マンゴー No,588

 太陽の卵

マンゴーは「世界三大美果」の1つで『太陽の卵』と言われるウルシ科の植物

インド原産で菴羅(あんま)菴摩羅(あんまら)とも言う。

世界三大美果には他にチェリモヤ、マンゴスチンがある。


マンゴーの栽培は古く、紀元前のインドで始まっており、「聖なる果物、木」、「フルーツの王」とも称される。

品種は多いが、フィリピン産のカラバオ種とメキシコ産のアップルマンゴーが日本では主流です。


日本には明治時代に伝えられ、国内でも生産されています。


ウルシ科の植物であるため、果実を食べるとウルシと同様にかぶれてしまう人もいます。


生食用果物として栄養に優れ、果肉は多汁で甘味や風味に富み、東南アジアや熱帯アメリカで広く栽培されています。


特にカロテン、葉酸、高血圧予防に働くカリウムが多く含まれ、更にビタミンAやビタミンCなども豊富なので「天然ビタミンの宝庫」とも言われています。



収穫後、食べ頃になるまである程度の日数をおくと熟してきます。

追熟という過程で、果実の中のデンプンが果糖やブドウ糖、ショ糖に変わることで甘味が増してきます。


食物繊維であるペクチンが、不溶性の状態から水溶性のペクチンへと変化するため柔らかくなります。


花は前年枝につき独特の芳香があります。

生育適温は25℃から30℃とされ、15℃以下になると生育休止に入り、耐寒温度は8℃であるので一般には庭植えにできません。

◉チェリモヤ バンレイシ科

ミルク色をした柔らかな果肉を持ち、スペインでは森のアイスクリームやトロピカル•デライト=熱帯の栄光といわれる。

アメリカでは、カスタード•アップルと称されている。


ペルーでは✪有史以前から栽培され、インカの住民に親しまれてきた果物です。

✪有史以前とは、人類が文明を持って生活を始める前の時代の事で、原始時代、太古の昔などの表現もします。


チェリモヤは「冷たい乳房」と言う意味です。

追熟していない緑色で硬いチェリモヤは、甘さがなく美味しくありません。

硬いものは1つずつ紙に包んで、数日から1週間ほど室温に置いて追熟させます。

追熟温度は20〜25℃とされ、必ず常温で追熟させ、冷蔵庫はよくありません。


◉マンゴスチンはマレー語で、インドネシア語では「マンギス」タイ語では「マンクット」と称される。

東南アジアが主な産地とされ、原産はマレー半島周辺とされる。



樹高が20㍍近くになる常緑高木です。


リンネの『植物の種』として記載された植物の1つでもある。

✪リンネとは博物、植物学者のカーネル•フォン•リンネのこと
参考記事ブログNo,78
博物、植物学者カーネル•フォン•リンネ


白い上品な果肉を持ち「フルーツの女王様」と言われる。

マンゴスチンを日本で育てるにはとても難しく、ほとんど栽培に成功していない。






2022/08/11

世界最古の栽培果樹イチジク No,587

 世界最古の栽培された果樹はイチジク

2006年にイスラエルのヨルダン渓谷の遺跡(1万1000〜1万1400年前)からクワ科の植物の果実が発掘された。


     「ペトラ遺跡のイチジクの木」


クワ科の原産地はアラビア半島南部または、西南アジアとされ、イスラエルをはじめ地中海岸地方に広く栽培された。

クワ科の落葉樹、「無花果」と書くのは花が見当たらないまま果実ができたことに由来する。

無花果とはイチジクのことで、別名トウガキ(唐柿)ナンバンガキ(南蛮柿)ホウライガキ(蓬莱柿)ともいう。

日本には江戸時代に中国から渡来したとする説と、ポルトガルから長崎へ伝わったとする説がある。

長崎県五島列島にはクワ科の巨木が多く存在する。

栽培が普及したのは大正時代になってから、蓬莱柿の名で栽培され、現在もホウライガキの品種として残る。


発掘された果実をハーバード大学の研究チームが分析し、一万一千年以上も前に栽培されていたものであるとの結果を発表しました。

そのため、栽培果樹として世界最古のものであると言われています。

旧約聖書の✪創世記で、最初の人間とされるアダムと妻であるイブが裸の身体を隠したのは、この植物の葉っぱとされています。

✪創世記=神が最初の世界を作ること、世界の始まり

なぜこの植物が栽培されていたものだったと、どうして分かったかと言うと、それは発掘されたこの植物の果実が種子を作らない性質だったからです。


種子がないと自然に殖えることができません。

果実を食べるためには、その木を人間が挿し木などの方法で殖やさなければならず、そこで栽培されていたと考えざるを得ないことになります。

よってこの地で、イチジクが世界最古の栽培果樹とされたのです。


        「イチジクの果実」


クワ科の植物には約40属1000種以上あり、特に熱帯と亜熱帯に多く分布する。

日本で有名なクワ科植物は、沖縄のひんぷんガジュマル、五島列島奈良尾のアコウなどの巨樹が有名である。

ちなみに奈良尾のアコウは子どもの頃、樹下をくぐり抜けた事が何度かある場所であり、今ではパワースポットとしても知られている。


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2022/08/09

夏の七草食用とは思えない植物 No.586 

 夏の七草

「夏の七草」には雑草とされ、畑や空き地などに育つもの、水辺で育つものの2組の種類がある。


雑草とされるものは1945年6月に日本学術振興会学術部、野生植物活用研究小委員会が定めた「食べられる7種の植物」

アカザ、イノコヅチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサの7種です。

この7種は、戦時中の焼け跡にも生える植物で、食糧の不足する中で食べられる植物として選ばれたものです。


アカザはアカザ科の一年草で、畑の縁や空き地などに多い代表的な夏の雑草です。


          「アカザ」

日本固有種で、秋田県及び宮城県以南の本州、四国、九州に分布するが、関東以北の太平洋側には少ない。

同じアカザ科のほうれん草と仲間でよく似た味がする。

シュウ酸を多く含むため生食には適さない。

多量に食べるのは避けたほうが良いとされる。


✪アカザの薬効
日本では生薬名はありませんが、中国では薬物名として藜(れい)と呼んでいます。

のどの痛みや整腸の民間薬として、アカザの全草が用いられるがシロザは薬用に用いない。

また、生薬の搾り汁は毒虫などに刺されたときに塗ると痛みが止まるとされ、歯痛に生葉の汁をガーゼに含んで噛んでいると良いと言われている。

腸、皮膚、歯肉の熱を冷ます薬草であるが、妊婦や胃腸が冷えやすい人への使用は禁物とされています。


イノコヅチはヒユ科イノコヅチ属の多年草


        「イノコヅチ」


日の当たらない場所にも生え、庭や空き地に生育する。

茎は丸くなく角ばっている。

種子は動物の毛や人の衣服に付着して遠くまで運ばれる。

食べられるのは若い葉で、根を乾燥させたものは牛膝(ごしつ)という生薬として使われます。



ヒユはヒユ科双子葉植物の分類群(全草)


         「スベリヒユ」


ヒユはインド原産の植物で、中国などでは野菜として畑で栽培され、葉を茹でると食用になります。

空き地や道端に育つ雑草ですが、ほとんど見かけることがない。


スベリヒユはスベリヒユ科の一年草(ハーブ)


         「スベリヒユ」


道端や畑、空き地などに枝分かれして地面を這うように育つ植物。

乾燥に強く、強い太陽の光や高温にも負けずに育ち、小さな肉厚の葉っぱが特徴。

多肉植物でもあるスベリヒユは、日本全土だけでなく世界中の温暖から熱帯地域に分布している。

世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきた。


「スベリ」とは、葉っぱや茎にツルツル滑るような光沢があることに由来する。

また、茹でるとヌルヌルと滑るような粘液が出るからとも言われています。


茎は赤紫色を帯び、夏に5弁の鮮やかな黄色の花を咲かせる。


✪スベリヒユの効能
中国医学では薬草として知られ、天然の抗生物質とも呼ばれています。

解熱、咳止め、止血、鎮痛、整腸、湿疹、虫刺され、皮膚炎、抗菌などに昔から使われてきた。


シロツメクサはマメ科の多年草


        「シロツメクサ」


クローバーの名で知られる。

シロツメクサはヨーロッパ原産の植物で、牧草として利用される。

江戸時代にオランダからガラスの器や装飾品などの輸入品を運ぶ際に、割れないように草を乾燥させて詰めてあったことが「詰め草」の由来とされる。

花が白いことからシロツメクサの名がついた。

おひたし、和え物、汁の具、お団子などに利用される。

✪シロツメクサの効能
利尿、咳止め

✪ムラサキツメクサ
咳止め、肌荒れ、湿疹、かゆみ、アトピーなどの皮膚疾患


ヒメジョオン キク科ムカシヨモギ属

北アメリカ原産で明治の初めに渡来し、各地に広がった帰化植物


        「ヒメジョオン」


若芽は食用になるが、現在では代表的な雑草です。

よく似たものにハルジオンがありますが、茎が中空で蕾がうなだれるところが、ヒメジョオンとは異なっている。


✪ヒメジョオンの効能
糖尿病の予防やむくみを取る茶材として用いられる。

乾燥した花や葉を混ぜて1日約10gを適量の水で煎じて、お茶のように飲用する。

糖尿病の予防には乾燥した花を粉末にして、1日2gに服用する。

北米では全草を乾燥させて、煎じて利尿剤、結石の除去にも用いられている。


ツユクサはツユクサ科の一年草



         「ツユクサ」


朝早くに露に濡れながら花を咲かせるところからこの名が付いたとされる。

湿度の多い少し日当たりの良いところでは、色の濃いきれいな緑の葉が育ちます。


✪ツユクサの効能
開花期に全草を乾燥させたものが生薬鴨跖草(オウセキソウ)で、煎じたものが解熱、利尿、熱性下痢などに用いられる。

ツユクサは普通の野菜と同じような感覚で使っても大丈夫で、柔らかい葉や茎は生のままサラダにしたり、茹でて和え物やおひたし、煮浸しにしたり、さらに炒め物や酢の物、天ぷらなどで楽しめる。






2022/08/07

朝の果物は金 No,585

 果物消費量が減る一方の日本

朝の果物は金、昼は銀、夜は銅

あるいはもっと時間を細かく区切れば朝の果物は金、昼から3時までは銀、3時から6時までは鉄、6時以降は鉛などとも言われます。

お米を食べてエネルギーを得るためには、お米に含まれるデンプンを消化酵素であるアミラーゼなどで消化して、ブドウ糖に換え、それをもとにエネルギーを得ます。


『アミラーゼはジアスターゼとも称され、主に膵臓、唾液腺から分泌される消化酵素で、デンプン等の糖質のグルコシド(配糖体)結合を加水分解、あるいは発酵や酵素によって分解されると✪グルコース=ブドウ糖が生じる』

ところが、果物には多くのブドウ糖が含まれているので、素早くエネルギーを得ることが可能です。

同じように、果糖からもエネルギーを素早く得ることができます。

果物から朝活動のためのエネルギーが容易に得られると言う事です。

✪グルコース(ブドウ糖)とは

太陽光からのエネルギーを使って、水と二酸化炭素から光合成によって作られる。

グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源である。

ブドウ糖はブドウの中から見つかったのでそう呼ばれる。


果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などの『有機酸』と呼ばれるものは、果物の酸味を感じさせる物質で、脳や身体を活性化してくれます。

つまり、朝起きて「爽やかになりたい」という気持ちを満たしてくれると言うことです。

また果物には、腸を刺激する作用の強い食物繊維が多く含まれています。

ビタミンやミネラルなども含まれています。

紫外線に当たることで発生する、活性酸素を除去するために必要な抗酸化物質は、果物に多く含まれています。


これはビタミンCやビタミンE、赤い色素のアントシアニンや黄色の色素カロテノイドなどです。

空腹の朝には、多くのビタミン、ポリフェノール、カロテノイド、カリウムなどのミネラルを含んだバランスの取れた果物の栄養が健康に良いのです。

体内の水分も不足気味になっている朝、水分含量の多い果物は役に立つと言えるでしょう。


1日に果物200グラム運動「食生活推進全国協議会」という運動がありますが、日本人の果物摂食量は世界と比べてもとても少ない。


国連食糧農業機関(FAO)によると、日本の果物消費量は1人当たり1日約150㌘ですが、これは2003年のデータであり、現在ではこれよりも深刻な状況になっています。


   ✪2003年世界の果物消費量


最近では2019年で世界の平均が79.35㌘に対し、日本は33.35㌘です。

このことから、日本ではほとんど果物を食べなくなったことが伺い知れます。






世界消費量トップのドミニカの十分の1にも満たない数値です。

果物を食べなくなった日本人


日本で最も果物が消費されたのは1975年の193.5㌘とされています。


毎日摂らない理由として挙げられるのが、値段が高い、日持ちがせず買い置きできない。

皮を剥く手間がかかるなどが原因とされています。


果実の需要と消費は、健康に影響するだけでなく、国内のフルーツ産業の縮小にも繋がっています。

益々、日本国内の農作物産業は自給率をさげ、あらゆる食糧を海外に依存しなければならない時代が来ることを、避けられないかも知れません。









2022/08/05

アカマツの葉に茶色の斑点 No,584

 マツノモグリカイガラムシの被害

部分的に枯れたり、触るとぼろぼろと砕ける。

白い粉状のものが付着する部分もある。

特に樹木の半分より下の枝葉の状態が悪く、マツヤニもほとんど出ていない。

原因としてマツノモグリカイガラムシ被害によるものと考えられます。

アカマツ、クロマツに寄生し、被害が大きい。

カイガラムシは新梢の葉に潜り込んで吸汁し、その付近には白い綿状のものを付着します。




高温乾燥の続く夏場は急激に被害が増加すると考えられます。

近畿地方の観察では年1回の発生であるように見られるが、記録では年2回というものもある。

幼虫のまま樹皮下で越冬し、4月から5月頃に成虫が発生する。

貝殻を持たないブヨブヨした体なので一見してカイガラムシのようには見えない。

オスはメスとは全く異なり、オスは小さく有翅=ゆうし、ハネをもつ。

メスは赤褐色で脚があり樹幹上を自由に這い回り、交尾の後も適当な樹皮の割れ目を見つけると、潜り込んで白い綿状の卵のう(袋)をふく。


枝枯れが進行すると枯死することもあるので、薬剤防除が必要になります。

幼虫が卵から孵化した直後の5月から6月にスミチオン、スプラサイドなどを数回散布すれば、かなり効果が期待できるが、実験結果ではジメトエートの効果が高いとされる。

虫体が見つけにくいため被害が先行する。

防除が手遅れになりやすいので注意が必要である。

褐変、枯死した枝や葉のヤニがなくなり、カサカサになる症状からマツクイムシの被害も考えられます。

マツクイムシの場合は、夏の終わり頃から兆候が見え始め、見る見るうちに真っ赤になってしまいます。

枝を折るとボキッと折れ、ヤニが出ない。

先端の新葉が枯れている状態になります。

樹木は衰弱すると病害虫の被害を受けやすくなるので、元気な樹勢を保つことが基本となります。

害虫防除を定期的に行い、冬期に堆肥などの有機質肥料を施すことも大切です。






2022/08/03

暮らしの中に小さな苔玉、盆栽を No,583

 ミニ盆栽と苔玉


小さな一鉢の植物は、私たちを元気にしてくれるそんな力を持っています。

窓辺に置いた小さな鉢植えの植物が疲れた心を癒やしてくれる。

植物たちのなかでも、草や木の小さな盆栽や苔玉は鉢花とは一味違う魅力を持っています。


素朴な美しさ、不思議な懐かしさがあります。

身近に置けば心を和ませ、里山の自然に触れるような優しい気分にしてくれます。

そんな雰囲気を楽しんでる人たちの、苔玉、盆栽を一部紹介いたします。








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2022/08/02

カキの実の落果 No,582

 カキが実をつけても落果してしまう

カキの多くは花粉を持っていないので、異品種から花粉を貰わないと正常に着果しません。





種子(タネ)があまり入らなくても一応果実は肥大しますが、種子が十分入ったものに比べると着果が劣り、生理障害を起こしやすくなります。

花粉のある禅寺丸(ぜんじまる)紅柿(べにがき)などをを植えると良いでしょう。

カキ農家では必ず混植をしています。

ヘタにつく害虫による落果(5月〜9月に発生)
カキの大害虫であるカキノヘタ厶シ(蛾)の被害も考えられます。

パダンSG水溶液1500倍液を、6月中旬と8月上旬に各1回散布します。

実の中に食入すると薬剤の効果を期待できないので、早めにオルトラン水和剤、モスピラン液剤などを散布します。

また、8月下旬の剪定は樹勢を乱す原因になるので避けましょう。






2022/08/01

栗の実の異常 No,581

 栗の実が杓子状(しゃくしじょう)で皮が異常に厚く、正常な実にならない。



✪杓子状とは栗に実が入らない状態で杓子栗と言う。







原因は正常に受精しなかったためと考えられます。

クリは自分の花粉では実入りが悪くなります。

異品種の花粉を貰わないと正常に結実しません。

クリの産地では必ず3〜4品種以上を混植しています。

クリは植えてから2〜3年で開花し、受粉の役に立ちます。

花粉は風によって150㍍まで飛ぶことが知られていますが、その花粉量はわずかです。

花粉の有効とする飛散距離は10㍍とされているので、混色する際にはこのことを参考にし植え付けると良いでしょう。



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