緑のお医者の徒然植物記

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金曜日, 8月 31, 2018

サルスベリ No,2

 サルスベリ   ミソハギ科

別名=ヒャクジッコウ「百日紅」

原産地=中国南西部

落葉広葉樹で高さは5~10㍍に達します。

暖地を好む樹種ですが、日本では東北南部まで植栽可能です。

サルスベリの名は夏に樹皮が剥がれて、ツルツルになり、木登り上手な猿でも滑りやすいと言う事に由来しています。

別名の百日紅の名の通り、花が夏から秋まで長く咲き続けるので、そう呼ばれる。

紅色の花が最も一般的ですが、花が白い色の「シロサルスベリ」、淡紫色の「ムラサキサルスベリ」なども各地で栽培されています。

真夏の暑い中、新梢の先に円錐形の花序に6弁の小さな花が咲きます。

花は一週間程度で枯れてしまいますが、梅雨明け頃から9月まで長いものでは、10月のはじめ頃まで次々に咲き続けます。

矮性で種をまいてから一年以内で花が咲く一歳サルスベリが、鉢植えやベランダでも手軽に楽しめるため、人気も高く園芸種も多い。



生育管理、環境

日当たり、排水の良い肥えた場所が最適ですが、比較的丈夫で土質は特に選びません。

乾燥を嫌うので、強い日射しを受けて株元が乾燥するような所では、下草を植えたり堆肥や敷き藁でマルチングするなどの処置が必要です。

植え付けや移植は3月から4月が適期ですが、暖かい地方では10月でも可能です。

サルスベリは枝を横に広げる性質があるので、周囲が広く空いてるかを確かめて植栽しましょう。

移植は3月から4月と、10月から11月ですが、関東地方以北の場合は春に行った方が無難です。

肥料

①花を楽しむためには、冬の元肥として、堆肥に油かすや鶏ふんとリン酸化成分の大きい化成肥料を混ぜ、株の周りに穴を掘り埋め込みます。

①"成木として、堆肥に鶏ふん1~2kg、化成肥料500g程度、油粕1kgとします。

②追肥として9月頃に油粕に骨粉を混ぜ、少量の化成肥料を加えて株周りに埋め込みます。

②"成木として、油粕1~2kg、骨粉300gくらい、化成肥料300gとします。

✻肥料は主に2~3月頃に寒肥として、完熟堆肥、腐葉土、油かす、骨粉などを株の大きさに応じて株元の周辺に与えます。


病害虫

ウドン粉病

春から夏にかけて、白い粉状のカビのようなものが発生します。

基本的には雨天や雨の多い時や、日当たりが悪く、風通しのよくない場所などに多く発生します。

混み合った枝のせん定や他の樹木の陰にならないように、気をつけることで発生をかなり抑えることができます。

見つけ次第、トップジンM水和剤や水和硫黄剤を、10日おきぐらいに2~3回散布します。

その他、ベンレート水和剤やダイセン、サプロールなどの散布でも構いません。

スス病

古株の場合、アリが巣を作ることがあります。

アリと虫類が共存することで、スス病を誘発して葉にすすをふりかけたように黒くなります。

アブラムシ、カイガラムシの駆除により減少、消滅します。

害虫

害虫は落葉期にマシン油乳剤30倍液を2~3回、幹や葉を中心に散布して予防します。

カイガラムシにはカルホスや✫EPN剤、スミチオン、ディプテレックスなどを定期的に散布します。

✫主なEPN剤

ベンレート水和剤、ジマンダイセン水和剤、トップジンM水和剤
ボルドー水和剤など

4月から秋にかけて、虫類の発生が見られた時には、オルトラン水和剤1000倍液または、アクテリック乳剤1000倍液を月に2回散布します。




せん定、整姿

放任しても樹形はよく整いますが、細かい枝が増えると花が貧弱になってしまいます。

サルスベリは太い枝から伸びた本年枝に新芽がつくので、毎年本年枝を切り取る要領でせん定し、元気の良い新梢が出るようにすると花つきが良くなります。

枝の伸びが悪い枝、充実しない細い枝には花がつかず、また寒い夏には花咲きが遅れたり、花数も少なくなったりします。


✣切り方を誤ると切り口がコブ状になる。

落葉期の11月〜4月中旬頃までが、せん定の適期になりますが、暖地性のため寒地でのせん定は、厳寒期を避けて秋口か、春に行うと良いでしょう。

毎年、一年枝を枝の基部から5〜10cm残して切り詰めます。

こうする事で、新梢が長く伸び多くの花をつけます。

ひげ根のような細い枝もよく出ますが、これもすべて付け根から切り取ります。

コブを好んで仕立てる場合を除き、コブ状にならないようにする事です。

毎年同じ所で切っていると枝が太って切り口がコブ状になります。

すでにあるコブを処理する場合は、間引きせん定をする前にコブのまわりにある徒長枝を、生かしてコブを切り取ります。

根元から伸びたひこばえは長くなる前に、付け根から切り取り胴ぶきも同じく切り取ります。

これらは落葉期に限らず樹勢にも影響してくるので、早めに切り取ります。

また徒長枝は、枝作りに利用する事もあります。

その場合は方向の良いものを2~3本を残し、他は切り取ります。

一年生枝は5~10cm残して切ります。

曲がりやすい性質がある樹種ですので、自然樹形を生かした単幹、双幹の模様木に仕立てると良いでしょう。


殖やし方

挿し木、取り木、実生で殖やすことができます。

通常のサルスベリは実生繁殖では、花が咲くまでに数年を要します。


同じ実生でも「ヒメサルスベリ」の場合は、早いもので秋に開花する事もあります。

最適の繁殖法は挿し木です。

3月中旬から4月下旬頃までが挿し木の適期です。

挿し穂には切り取った太いひこばえを用います。

 
ひこばえを利用して挿し木する

ひこばえは20cm前後に取りクサビ状に切ります。

水あげした後、日当たりのよいさし床に直植えします。

さし木後、2年目に地際から長く伸びた元気のよい枝を主幹に仕立てます。

細かい不要枝を整理しながら育てると、数年で花をたくさんつけるようになります。

取り木は、環状剥皮して発根させ、長い枝を切り詰めて移植します。
取り木の時期は4月上旬〜7月上旬
です。

✻関連ブログ
苗木の繁殖方法No,227