樹脂病(じゅしびょう)ゴム病
糸状菌による病害で原因となる菌はさまざま。
モモ、ウメ、アンズなどに広く発生する病気で、胴枯病や癌腫病、害虫の食害などによって発病する。
枝幹の一部に、はじめ暗褐色油浸状(松ヤニのような樹液)の病斑が現れるが、次第に内部に侵入して形成層が黄褐色になり、木質部も変色する。
病気の進行につれて病斑は融合して大型となり、黄褐色半透明の樹脂を出液して異臭を放つ。
のちに、病患部は乾燥して陥没(かんぼつ)し、表面に多数の黒色小粒点(柄子殻)を生じる。
✪柄子殻=へいしかくとは、葉、茎、枝幹、果実の病斑または枯死部に形成される。
はじめ表皮下に形成されるが、のちに孔口が表皮上に開口し、柄子殻内に柄胞子を形成し、内部に油球を含むものもある。
病患部は、古くなると亀裂を生じて剥がれ落ち、枝幹を一周するとそこから上位部は衰えてしぼみ枯死する。
果実にも稀に発生し、はじめ果梗(果実の柄になっている部分)が侵され次第に果実に及び、暗褐色となって軟化腐敗する。
果実面にも多数の柄子殻を生じる。
発生する条件と環境
病原菌は不完全菌類の一種で、柑橘類を侵して樹脂病を起こす。
病原菌は菌糸や柄子殻の形で病患部で越冬し、気温の上昇とともに柄子殻から出液する柄胞子が、雨滴によって伝播する。
寒害や風害などによる傷害部から侵入するが、病原菌の宿主体侵入や病症の進行は主として、梅雨期と秋期に盛んになる。
防除対策処置
樹勢を衰弱させないことが大切で、冬の寒害や夏の乾燥、風害などを防ぎ、適切な肥培管理を行って樹勢維持を強化する。
病患部に対しての処置は、5月から8月の間に行うと癒合が早いので、健全部も含めて削除し、チオファネートメチル塗布剤や接ぎロウなどを塗布する。
樹脂の出液は6月から8月に多く見られるが、この患部にはミカンナガタマムシが産卵、侵入加害して枯死を早めるのでスミチオン、EDB剤を塗布して予防する。
①冬期、発芽前に石灰硫黄合剤(冬期限定使用薬剤)10倍液を木全体に散布する。
②強剪定を行わない。
③土壌が強酸性のときには、石灰を多用し、排水の悪い場合は排水溝を作るなど水はけを良くする。
④極端に乾燥したときは十分に水やりを行う。
尚、樹脂病に侵されても元気よく枝を伸ばしている様なら、様子をしばらく見て良い状態です。