緑のお医者の徒然植物記

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土曜日, 5月 16, 2020

酸性化について考えて見よう No.217

酸性化と植物環境

酸性雨

大気中には354ppmの二酸化炭素が含まれている。

これが大気中に浮遊しています。
雲粒や雨粒に溶けると、弱い酸性を呈する。

大気中の二酸化炭素が雨に溶けて、平衡に達した時のpHは5.6~5.7で弱酸性。

ところが、硝酸や硫酸などの汚染物質を含んだ雨は、pHが3~4あるいはそれ以下になることがある。

pHの値が5.6よりも低い雨は、酸性雨と呼んでいる。

酸性雨による被害は、世界各地で森林被害や湖沼の酸性化として現れている。

日本は雨が多いため土壌が酸性化しやすい。

年間降雨量が1000㎜を超える地域では、土壌が酸性化する。

◉酸性ミスト(大気汚染物質)
大気中に浮遊している液体粒子状物質の1成分で、硫酸イオンや硝酸イオンなどを含み、それ自体が酸性になっている大気汚染物質のことをいう。

酸性ミストは、科学的に活性が強いため、人間や動物に有害である。

◆土壌酸性化の原因

アンモニアイオンやカリウムイオンは、作物に養分として吸収されるが、硫酸イオンや塩素イオンは作物にあまり吸収されずに、硫酸や塩酸などの強酸となって、土壌中に残るので土壌が酸性化してくる。


さらに、アンモニアイオンの一部は土壌微生物の硝化作用によって、硝酸イオンに変わる。

この硝酸イオンは、それ自体でも酸性化の要因となる。


また、土壌に吸着されないで水の浸透に伴って根系外へ流亡する。

その時にカルシウム、マグネシウム、カリウムなども一緒に流れ出すので土壌が酸性化しやすくなる。

土壌内部で生産される酸の代表は、土壌生物や植物根からの炭酸及び、クエン酸、ショウ酸、フルボ酸などの有機酸である。

干拓、耕地造成、客土などの際に、その土壌に硫化鉄が含まれていると、酸化されて硫酸が生成、土壌が酸性化することがある。

硫黄温泉や鉱山の廃水を灌がい水として用いた場合や、工場🏭から出る排煙に、酸性物質が含まれている場合に、局地的な土壌の酸性化が起きる。




土壌が酸性になるとアルミニウム、鉄、マンガンなどが活性化して、土壌溶液中に解離してくる。

カルシウム、マグネシウム、ホウ素、モリブデンが不足し、リンもアルミニウムと結合して不溶化する。

※そのために作物の生物は著しく阻害される。

また、土壌の保肥力も小さくなる。

◉酸性肥料

※水溶性が酸性を呈する肥料のことをいう。
①過リン酸石灰(遊離酸)

②重過リン酸石灰(遊離酸)

③リン酸アンモニウム(酸性塩)

④グアニル尿素(強酸と弱塩基の塩)

土壌に施された後、植物に吸収されずに残る副成分などによって、酸性化したりアルカリ性化するものがある。

そのため、すべての酸性肥料が土壌を酸性化させる訳ではない。

また、畑地では肥料に含まれる硫酸根や、硝酸性(態)窒素(速効性窒素)の蓄積によっても酸性化する。

このため畑地では、有機物の補給とともに、酸性改良は重要な管理法である。

★硫酸根
水田の基肥には適さない。
多量施すと濃度障害を起こし、吸湿性が強いので保管には注意がいる。