緑のお医者の徒然植物記

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木曜日, 10月 01, 2020

カクレミノ No,292

 カクレミノ ウコギ科 常緑中低木

別名=ミツデ 「隠れ蓑」

葉の形が雨具の★ミノに似ていることからカクレミノと呼ばれる。

★蓑(ミノ)とは=藁や茅や菅(スゲ)などを編んで、体を覆う様に作った雨具。雨傘も作られた。

若木では葉が3裂するものが多く、ミノに似た形をしているが、花が咲くような成木では楕円形や卵形になるものが多く、縁は全縁となる。

同じ科のヤツデと比べて葉葉それほど大きくなく、3つに分かれることが多い事から「ミツデ」と言う別名もあります。


          (ヤツデ)


日本原産の暖地性植物で、自生地は九州、四国、本州南部ですが、石川県、ふ福島県以南、関東以西で栽培可能です。

日陰にもよく耐えて育つので、家の北側や日当たりのよくない玄関脇、窓の目隠しなどによく利用されます。

カクレミノは葉の変化が大きいのも特徴で、幼苗の頃は切れ込みがありません。

生長するにつれて3~5つ程の切れ込みが入った、独特の掌状葉(しょうじょうよう)になります。

特に、古木になると再び切れ込みがなくなり、卵形の楕円形の葉が増えます。

これは日照と関係があるようです。

一般に林の中のような暗い場所では、下の葉にも日が当たりやすいように、切れ込みのある葉が形成した方が有利であり、充分に光が当たる状況になると、厚くて面積の狭い葉を付ける事が、有利であると言われています。

日陰、半日陰に植えられる事の多いカクレミノは、効率よく光を吸収するために、葉形を変えているようです。


         (カクレミノ)


近年の研究によると、相対照度が30%以下になると掌状に分かれる葉が増えることが分かっています。

品種は少なく、通常のカクレミノの他に葉に黄色い斑点の入る、フイリカクレミノがありますが、一般の園芸店ではなかなか入手が難しいようです。

◆病害虫
まれにカイガラムシが発生します。

成虫になる前の5月から6月頃に、葉や幹を中心に薬剤散布をします。

カイガラムシの排出する分泌物は、葉や茎の部分に「スス病」を発生させます。

同じくスス病も葉の全体に薬剤を散布します。

◉黒斑病、スス病
日当たりと風通しをよくする事が大切です。

茂った枝のせん定をして、木全体の風通しをよくしてあげます。

周囲の大木などで覆われている場合は、その大木の枝を切り落とし、日光が当たるように改善します。

スス病も日当たりや通風の悪い所、高温多湿を好むのでせん定をして予防しましょう。

◉生育管理、環境
環境適応力が高く、日陰でも日当たりのよい場所でも元気に育ちます。

特に日陰に強く、大気汚染にも強いにで、都市近郊の庭木としては理想的な樹木と言えるでしょう。

ただし、カクレミノにとって最も好ましい環境は、やや湿潤性がある半日陰の場所です。

耐寒性は強い方ですが、最低気温が0℃以下になることがある地方では、日当たりがよい場所の方がよく育ちます。

立ち性で枝分かれが比較的少ない樹種なので、2~3本を寄せ植えにするとよいでしょう。

◉せん定
生長は早くありませんが、放任しておくと3~4㍍の高さに、なかにはそれ以上になるものもあります。

樹高くなるにつれて下葉が落ちてくるので、2~3年に一度、思いきって強いせん定で刈り込み、低木(2㍍前後)として仕立てるとよいでしょう。


萌芽力が強いので、切り戻した所から芽が吹いて樹高を適度に保つ事ができます。

枝が密生すると細いものは枯れるので、早めに枝透かしをして、風通しをよくすることが大切です。

整姿、せん定は3月下旬から10月まで可能です。

秋に刈り込んでも芽吹きますが、新梢は冬に寒害で枯れ込む恐れがあるので、暖かい地方以外では刈り込みは、秋口までに済ませるのがよいでしょう。

若木のうちは、よく枝が伸びますので葉が多く茂ります。

他の木の邪魔になる程になったら、カクレミノのような広葉樹類は、春から秋の間にせん定を行います。

せん定では、それぞれの枝の2~3芽を残してせん定し、木のふところの込み過ぎる枝は、間引きをするように切り取り風通しをよくします。

根元にひこばえが出るようであれば、早めに切り取ります。