カエデ、モミジ 落葉、一部常緑あり
カエデ科
約150~200種程確認されている、原生種のほとんどが、北半球の温帯地方に分布しています。
日本でも北海道から九州まで、各地域の環境に適した自生種が分布しています。
カエデの名前は万葉集「かえるで」とあることに由来し、葉の形状が蛙の手(足)に似ているためと言われています。
一般的には「楓」と書きますが、これは類似種の「フウ」と言う中国原産の樹木の事で、正式には(木へんに戚)と書き表記します。
楓=実が球状のカエデに似た落葉樹
★植物学的には、カエデとモミジの区別はありませんが、盆栽では葉の切れ込みが深く、5つ以上有るものを「モミジ」それ以外のものを「カエデ」と呼んでいます。
日本では、古くから観葉植物として愛され、特に江戸時代から明治にかけて、多くの品種改良が行われました。
明治初期の文献には200種を超える園芸品種が紹介されています。
また、種類の多いカエデ属の用途は幅広く、木材は家具材、楽器の素材に使われるほか、樹液はシロップや目薬に使われるものもあります。
◉生育管理、環境
美しい紅葉を楽しむには充分な日照が必要ですが、一日中、日が当たる環境はよくありません。
一般的には午前中によく日が当たり、午後は西日が当たらない排水のよい、環境が最も適しています。
他の樹種との相性は比較的よいので、混植して直射日光が当たりにくいようにするのも一つの方法です。
土壌は特にこだわりませんが、乾燥を嫌いますので特に、根元付近を乾燥から防ぐ配慮が必要です。
◆肥料
土質がよくない場合は、油粕、鶏ふんや粒状の化成肥料を幹の周囲に少量与えます。
乾燥の強い所では、完熟堆肥を株元にすき込むと効果的です。
「養老渓谷」
◉せん定
自然樹形に仕立てるのが一般的です。
若木のうちは、下枝と込み合った枝などを切り取るだけで充分です。
成木になると狭い庭では、大きくなり過ぎるので、枝分かれしている部分で、長い方の枝を根元から切り取る間引きせん定を行い、枝の途中から切ると樹形を乱すので、必ず根元から切るようにします。
◆殖やし方
種類によって大きさ形が異なりますが、一対の羽根を持つ「翼果=よくか」であることがカエデの種子の特徴です。
◆翼果
果皮の一部が平らな翼状に発達した果実で、単乾果であり、果実が成熟しても裂開しない閉果である。
翼の生えたような形状により、風によって離れた所へ運ばれる。
秋に採取した種子を砂の中で貯蔵し、翌春3月に蒔きます。
★カエデの芽つぎ
①充実した枝の先端の葉の柄をすこし残して切り、5㎝程のつぎ穂を作ります。
②葉をつぐ台木の幹を木質部まで切り込んで、台木とさし穂の形成層を合わせ、ビニールテープで巻き、翌春新芽の伸びる部分を開け(出して)ておきます。
ウメ、モモ、ハナミズキも同様の方法で芽つぎ出来ます。
作業は9月上旬までに終えるようにしましょう。
◆主な病害虫
※うどん粉病
ベンレート水和剤1000倍液を発生前に、月に1~2回予防のために散布します。
発生が酷い時には、10日おきに2~3回同じ濃度の散布液を使います。
※テッポウムシ(カミキリ虫の幼虫)
虫穴にマラソン乳剤の500~1000倍液を注入し、土などで穴をふさぐ。
※カミキリ虫
スミチオン乳剤1000倍液を散布するか、少量なら捕殺する。