カシ ブナ科 常緑高木 「樫」
カシはアラカシ、シラカシ、ウバメガシなどのカシ類の総称です。
原産地=本州(新潟、福島県以西)四国、九州
北半球の亜熱帯から温帯地域にかけて自生する常緑樹で、約200種があるが、日本にはアラカシ、シラカシ、イチイガシなどの10種余りが温暖地域に自生している。
アラカシ(粗樫)
葉がやや大きく鋸歯が粗いのでこの名がある。
樫とはカタギ(堅い木)のことです。
西日本では山麓に普通に見られるカシ類で、高さが15㍍以上になる。
アラカシは葉裏に毛が生えているのが特徴。
日本以外に済州島、中国、台湾、東南アジア、ヒマラヤに分布する。
主に山野に自生するがスダジイやツブラジイと混生することもある。
材は器具材、建築材、薪炭材、パルプ、シイタケの原木などに利用される。
四国の一部の地域では樫の実を砕いて煮て✫「樫豆腐」を作る。
✫カシ豆腐(かしきり豆腐)は樫の実(ドングリ)で作る豆腐の事で、朝鮮半島から伝わったとされ、韓国では「トトリムッ」と言って今でも食べられている。
日本では高知県安芸市、安芸川上流域のみに残る伝統食品の一種、貴重な文化財であり、昔から耕作地の少ない山間地の重要な食材だったとされる。
昔はかしきり作りは主に、留守を守る年寄りの仕事であったようです。
シラカシ(白樫)
材は淡紅色だがアラカシと比べると淡いのでこの名がある。
山野に生えるが低い山に多く、平野部ではこの木ばかりが純林を作ることもある。
西日本では川沿いに多く見られる。
高さは20㍍、直径80cm程になる。
関東地方などでは防風林として家の周りに植えられる。
葉の形は個体差が多いが、一般的に幅が狭いものが多く鋸歯はあまり目立たない。
日本以外には済州島、中国中南部に分布する。
材はカンナの台や金づちの柄、器具材、建築材、船舶材、シイタケの原木などに利用される。
生育環境
寒地での栽培は不向きである。
丈夫な樹木であり、栽培上難しいことはないが、大木の移植には根回しが必要です。
肥料
ほとんど必要ないが、やせ地では有機質肥料や化成肥料を施す。
病害虫
うどん粉病
主に葉身に発生し、次第に広がって葉面全体が白粉に覆われる。
冬に石灰硫黄合剤を散布して越冬病原菌を防除するほか、生育期には水和硫黄剤、キノキサリン系剤、ベノミル剤、チオファネートメチル剤、トリアジメホン剤、ミルディオマシン剤などを用い、新葉展開期から6月末までに月2回程度散布して予防、まん延防止を図る。
アブラムシ、マイマイガの幼虫が発生した時はダイセン、スミチオン、カルホス等を散布するとよい。
殖やし方
一般的には実生による。(10月頃)
実生は乾かすと発芽が悪いので採りまきにする。
植え付け、移植時期は3月中旬から5月中旬
せん定時期は4月から5月頃と10月から11月。
主な樫の木の巨樹、天然記念物
万畑(まんばた)の千年カシ
別名=関家のカシ
所在地=茨城県常陸太田市赤土町
一ノ宮の白樫
所在地=滋賀県長浜市木之本町大音453
所在地=長野県下伊那郡大鹿村鹿塩西