緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

ラベル #ガジュマル、#歩く木、#ゲノム、#塩基配列、#オーキシン、#巨樹、#巨木、 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル #ガジュマル、#歩く木、#ゲノム、#塩基配列、#オーキシン、#巨樹、#巨木、 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

月曜日, 2月 01, 2021

ガジュマル 歩く木 No,361

 ガジュマル クワ科 (榕樹)

イチジク属

分布=九州(屋久島以南)沖縄
台湾、東南アジア、インド
オーストラリア

海岸の隆起珊瑚の上などに生える
が、海辺に自生する多くは、地面を這うように伸び、一見すると草のように見える。

大木になると四方に枝を広げ、枝から気根を多数垂らす。

気根は地面につくと支柱根となって木を支える。

✭支柱根は木の根の構造の一つで、地上にある幹や枝から出て、地中に入り、支柱のような形態になった根のこと。


幹、枝からの気根が支えるガジュマル

高さは10〜20㍍になる。

1991年に環境庁が発行した「日本の巨樹、巨木林」によると鹿児島県屋久島町栗生神社に主幹の幹周りが9㍍、幹の合計28.31㍍と言う巨木があり、沖縄県東風平(こちんだ)町には主幹23.5㍍の巨木がある。


             (東風平のガジュマル)

沖縄では、防風林、防潮林、公園樹として植えられる事が多い。

材は器具材として利用される。

雌雄同株で個体によって花期(6月〜8月)はまちまちである。

花は直径7㍉程の球形で花嚢と呼ばれ、花らしい形をしていない。

✺花嚢(かのう)については
ブログNo,348オオイタビを参照


                      (ガジュマルの花嚢)


✿“歩く木”ガジュマル

ガジュマルは幹や枝から気根と呼ばれる根を出し、その根が垂れ下り、地上に到達した気根はそこで
成長し、新たな幹となります。

新たな幹は、もとあった場所から
動いたように見える事からガジュマルは「歩く木」と呼ばれます。

ガジュマルのゲノムを中国、福建省農林大学などの国際研究グループがゲノムを解読し、他のイチジクの木のゲノムと比較しました。

✻ゲノムとは、生物が正常な生命活動を営むために必要な、最小限の遺伝子群を含む染色体の一組、DNAなどの全ての遺伝情報のことで、種によってその数は異なります。
(遺伝情報の全体、総体)



研究の結果、ガジュマルのゲノムには同じ「塩基配列」が繰り返される、重複が多い事が判明しました。

重複とは複数の同じものが重なる、そのような状態の事ですが、この領域は、ゲノム全体の約27%を占めているとされ、重複によって植物の成長を促進する植物ホルモンであるオーキシンの合成と、輸送に関与する遺伝子の数が増えていました。

研究グループのメンバーである、米イリノイ大学のレイ·ミン教授は、「気根のオーキシンのレベルの上昇が、気根の生成を引き起こしたようだ」と解説しています。

✭塩基配列(えんきはいれつ)
核酸の分子内での、4種ある塩基の並ぶ順序の事で、遺伝情報の発現はこれによる。