シンビジューム
東南アジアやオーストラリアの熱帯や亜熱帯地方が原産地。
中には東洋ランとの交配によって生まれた、小型で寒さに強いものや、芳香性のあるものもあります。
開花期は主として冬から春ですが、一部に秋咲きもあります。
地生種がほとんどですが、熱帯の樹木上で着生し、下に垂れ下がって小輪の花が無数につく種類もあります。
また、花茎は直立が一般的ですが、弓形になるものもあります。
品種は大きく分けて、大輪系、中輪系、小輪系があります。
★代表的品種
◉大輪系 花径10㎝以上 草丈100㎝
センセーション、クリフマスローズ、グレートフラワー
バレリーナ、マイフェアレディ、ホワイトクリスタル
ブリジッドバルドー、ハンタースポイント
◉中輪系 花径8㎝ぐらい 草丈60~70㎝前後
エイコウ、ケニーワインカラー、センハート、ラッキーカワノ
アンミツヒメ、ウララ、ガリガ、ゴールデンカラー
ゴールデンカラーセブン
◉小輪種 花径6㎝ぐらい 草丈60㎝前後
サザナミ、ミネッケン、ショーガール、ハスキーハニー
ミニドリーム、ワカクサ
シンビジュームの花の色は豊富です。
開花期12月から4月、3月から4月が開花のピーク。
冬季で花の少ない時期に花を咲かせ、開花期間が長いのが特徴です。
寒さに強く丈夫な、鉢花の代表種です。
(花言葉=深窓「しんそう」の麗人、高貴な女性)
◆病気
ウイルス病にかかってしまうと手遅れで、ほとんど治りません。
普段から管理に気をつけましょう。
株分けや植え替えの時は、刃物類など消毒し、鉢も新しい物を用意して、手もよく消毒して作業を行いましょう。
◆軟腐病(なんぷびょう)
一度発生するとこの病気は、なかなか止められません。
風通しをよくし、水やりの量を控え目にして、チッ素質の多い肥料は与え過ぎないようにします。
★薬剤散布で予防
水1㍑にベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜて散布し、病害虫の防除を同時に行います。
★害虫
空気が乾燥しているときにハダニが発生します。
水やりの時に、葉の裏側にも霧のように吹いて、少し湿気を与えます。
発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。
ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治しましょう。
ナメクジは、日中は鉢底に潜んでいることがあるので、見つけ次第駆除します。
◆管理場所
11月から4月までは、屋外の寒さが株の生育や開花に適していません。
年末から2月にかけて開花するものが多いので、室内で育てます。
冬はよく日の当たる室内で、最低温度が7℃~8℃を保てる場所。
5月から10月までは屋外で育てますが、真夏の7月~8月の直射日光は、葉焼けを起こすので半日陰の場所に移動して管理します。
◉水やり
花が終わった後の4月から10月までは、屋外で自然の雨や日光に当ててください。
晴天が続く場合では、鉢の底から水が流れ出るくらい与えます。
バケツに水を汲み、一時間ほど浸すのもいいでしよう。
生育期の水不足は、株の生育が十分にできず、のちの開花まで影響してしまいます。
11月から3月頃までは、部屋の室温に合われて調整します。
温度の低い場合は、水分を控え目にして4~5日おきぐらい。
10℃以上の温度がある場合は、2~3日おきぐらいに与えます。
乾燥し過ぎると、花も咲ききれずに終わってしまいます。
温度の低い日が続いた時は、葉に霧吹きしたり、室温を少し高めにして水を与えるようにします。
★肥料
他のランに比べて多めに与えるようにします。
新芽の出る4月から6月にかけて、油粕に骨粉を等量混ぜ置肥します。
5~6号鉢で大さじ一杯を、月に1回程度与えます。
8月末から9月には、骨粉のみ1回与えます。
臭気などが問題になる場合は、粒状化成肥料か洋ラン専用の肥料を与えましょう。
与える時期を間違えないように注意しましょう。
◉植え替え
花が咲き終わり、株が鉢からはみ出しそうになったり、植え込み材料(水ゴケなど)が古くなったものは、植え替えを行いましょう。
鉢の大きさの目安として、5号から6号鉢、大きくても7号鉢ぐらいを使用します。
今まで植えていた鉢より、一回り大きいサイズにするか、もしくは株分けをして調整します。
◆シンビジュームの各部の名称
バルブを2~3株に分けて植え込みします。
時期は4月頃が適しています。
植え込み用土は水ゴケだけでもよいし、軽石やバークなど排水の良いものでも構いません。
★植え替え時期が遅れると、その年の生育が遅れ、翌年花をつけない原因にもなるので注意する。
植え替え後は半日陰に置きます。
水やりは2~3日待ち、傷口をよく乾かしてから行います。
根が動き出すまでに約2週間ほどかかります。
それ間の水やりは葉水程度の軽めにします。
根が動き出したら、日光によく当て水もたっぷり与えます。
◆株分けの目安
開花株から3年~4年以上経ち、中心に葉のないバルブ(リーフレスバルブ)が多い状態の株、バルブが6個以上あり、株分けで殖やしたい時、白い根を残し、古い根や腐った根は取り除きます。
根の量に応じて、鉢の大きさを選び、新芽の伸びる方向に余裕(スペースをあける)を持たせて配置し用土を鉢に詰める。
◉シンビジュームの芽摘み
次の年も花を楽しむためには、体力を消耗させないよう、花茎の一番下の花が萎れたらすぐに切り取ります。
日当たりのよい場所で管理すると、1月から2月にかけて株元から新しい葉芽が出てきます。
全て育てると十分に大きくならないので、1株(茎)に1芽、鉢全体で3~4芽になるように、小さいうちから余分な葉芽を摘み取るようにします。
葉芽の数を調整すると大きく育ち、秋から冬にかけてふっくらとして中がかたい花芽と、細く尖っている葉芽が株元につくので、葉芽を全部摘むと、充実した花を楽しむことができます。