緑のお医者の徒然植物記

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2020/07/27

デンドロビューム 洋ラン No.237

デンドロビューム  

洋ラン





一般に園芸店でよく見かける種類は、ノビル系というインド北部から、タイ北部に自生している種類を主にして交配したものです。

この種類の特徴は、他のランに比べて原種が多くこれらを、交配してたくさんの園芸品種ができていることです。

小型から大型まであり、花色も黄色、ピンク、赤系と豊富です。

開花期間も長く主として、秋の終わりから冬~春まで咲くものが多くあります。

※一部の品種で夏咲きのものもある。

原産地は東南アジア、オーストラリアで、日本にあるセツコクもこの仲間です。

他のランに比べてやや低温で育ち、乾燥に強い着生種ですから鉢も小さめで育て、一部の品種を除けばふつう家庭でも育てられます。

◉病気

黒斑病
秋の長雨など低温で多湿になると、黒い斑点ができやがて大きくなって見苦しい葉になります。

風通しをよくし、雨などを当てないようにして、鉢を乾燥気味にさせます。

また、屋外から室内に急に取り込んだりしても黒斑病になります。

少しずつ室内環境に近づけるよう、ならしてから取り入れるようにしましょう。

梅雨時にウイルス病が発生したら他の株と離しましょう。

◆害虫

★ナメクジは屋外で生育中に新芽をよく食害します。

なるべく棚上など風通しのいいところに置き、夜間に出てきた時捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。

日中では、鉢底に潜んでいる事があるので、見つけたら駆除します。

★生育期に風通しが悪いと、カイガラムシ類が発生します。


オルトラン水和剤やスミチオンなどを、5月から8月にかけて月に1~2回散布します。

薬剤の効果がない場合は、捕殺します。

★高温期ではハダニ類が発生します。


乾燥が激しい時は、葉に水をかけたりハダニ退治専用のケルセン水和剤などを散布して駆除する。

◉置き場所

春から秋にかけて屋外で育てます。

強い日光に当たる方が丈夫なバルブが育ちます。


7月から8月の暑さにも強いですが、強い西日は避けるようにしましょう。

着生ランなので、木に吊るしたり、地面に直接鉢を置かないようにし、通気性のよい棚などに置きます。

10月頃になったら水を控えめにして、雨水に当たらないように軒下などに移し、徐々に低温に慣らしてから11月下旬には室内に移します。

冬の最低越冬温度は5℃前後ですが、8℃~10℃が理想的です。


◉水やり

5月から9月は屋外で雨に当て、晴天の続く時は毎日一回水を与え、曇っている日が多ければ、株の具合を見ながら与えるようにします。

10月から11月は週に一回程度、冬から4月の開花中または室内温度が10℃以下の時は、軽く霧吹きするか、暖かい日を選んで午前中に少量与えます。

新芽が成長し始める3月末頃からは、週に1~2回、株の生育を見て与えます。

◉肥料

新芽が伸びる4月から6月には、油粕と骨粉を同じ量に混ぜ置肥します。

または、ラン用の粒状化成肥料やマガンプKなど、リン酸カリ分の多い肥料を与えましょう。

7月以降は花芽をつけるので、秋から冬にかけては肥料は必要ありません。

よく生育する4月から6月を除き、小さめの鉢で育てるため肥料の与え過ぎは根の生育によくありません。

※与え過ぎないように注意しましょう。

◉繁殖

株分け、高芽とり、バルブ伏せなどができます。

株分けは大鉢になりすぎたとき、花が終わり暖かくなった春に3~4本ずつに分けます。

根を傷めないようにして、古い水ゴケを取り除き株分けします。

植え付け後は半日陰で育てます。

1週間前後は水を与えず、株分けにより傷んだ根を乾燥させ、回復するまで待ちます。

その後水あげをし、徐々に定期的な水やりを行っていきます。


※デンドロビュームの各部の名称              





★高芽とりは、古いバルブの高いところに新芽が出て小さなバルブができます。

これを丁寧に切り離し、小さな鉢に1本ずつ水ゴケなどで植え込みます。

2年ぐらいすると一人前の株になります。

これはデンドロビューム特有の殖やし方です。

★バルブ伏せは、高芽の出る性質を利用した殖やし方の応用で、茎を1~2節ずつ切り、鉢やパレットに水ゴケを敷きそこに伏せ、または、挿し木をする要領で新芽を出させます。

成長してきたら鉢に植え替えます。