緑のお医者の徒然植物記

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月曜日, 4月 27, 2020

サンザシ (山櫨子、山査子) No.196

サンザシ (山櫨子、山査子)バラ科サンザシ属


中国南部原産
日本には江戸時代の中期、1734年(享保19)に薬用として導入された。

当初は、果実を鎮痛、健胃、消化、止血、整腸などの効果が高い薬用樹として、各地の薬草園などで栽培されていました。


江戸幕府が小石川薬草園(現在の東京大学付属植物園)に植えたサンザシは、今も日本最初の株として残っています。

その後、初夏に咲く花と秋に実なりの美しさが珍重され、観賞木として広く親しまれることとなりました。

庭木や盆栽などの鉢植えにしやすい樹種です。

4月から5月にかけて、枝先に白色の直径1.5~2㎝の5弁花が、半球状に集まり、大きな花床を形成します。

9月~10月に球形の赤い実が熟します。(果実=ナシ状果)

春と秋に違った趣きを楽しめることから、雑木盆栽としても人気の高い樹種です。

赤い花の咲くものや黄色い実のなるもの、ヨーロッパ原産のセイヨウサンザシとの交配種など、園芸種も多彩です。

一般に、八重咲きもあるアカバナサンザシは花を重点的に楽しむのに対し、シロバナサンザシは花より実の観賞価値が高いとされ、ミサンザシと呼ばれます。

キリストが★磔刑に処された時に冠(かぶ)っていたイバラの冠は、セイヨウサンザシの小枝だと言われており、イギリスからアメリカへの移民船メイフラワー号の船尾にもセイヨウサンザシが描かれるなど、欧米でも古くから人気の高い樹種です。

★磔刑=たくけい=たっけい(ハリツケのことで張り付けてヤリで突いて行う処刑)




◉管理場所

鉢物は、春から秋までは日当たり、風通しの良い明るい戸外で管理します。

ただし、真夏の間は葉焼けを起こさないように直射日光を避け、明るい半日陰に置きます。

寒さには比較的強い樹種ですが、根の凍結を防ぐため、冬の間は寒風が直接当たらない棚下などの場所へ移動します。

◆水やり
鉢土の表面が乾いたらその都度たっぷり与えます。

特に、真夏は水切れすると葉焼けを起こしやすくなるので、1日2回~3回の水やりが必要になります。

状況に応じて霧吹きなどで葉水を与えるようにするとよいでしょう。

また、開花中は直接花に水がかからないように注意します。

★肥料

油粕を主体に骨粉、漁粉をそれぞれ油粕の2割ほど混ぜて固めたものを置き肥します。

真夏の8月を除く4月から10月にかけて、月に一回与えます。

◉剪定、整姿

樹形は模様木仕立てが一般的です。

小枝をよく出す性質があるので、芽摘みをこまめに行い、小枝の密生した美しい樹形に仕立てるようにします。

芽摘みは4月中旬頃から6月にかけて行います。

徒長した新芽の基部の1~2枚を残して切り詰めます。

すると、切断部付近から腋芽が伸び、密な小枝を作ることができます。

枝は弾力性が少なく折れやすいので、注意深く行う必要があります。

芽摘みは、新芽が伸び次第、随時行います。

サンザシの花芽は長枝にはつかず、充実した短枝の先端につきます。

翌春萌芽し、ごくわずかな新梢を伸ばして開花します。

花芽分化期は夏なので、6月までに伸び過ぎた新梢の先を切りつめ、充実した新梢(短枝)を作るようにします。


また、樹形を乱す徒長枝や込み枝の整理は秋に行います。

強い剪定をすると、強い枝が徒長しやすかなり、樹形を作りにくくなります。

こまめな剪定の繰り返しで小枝を密生させながら、樹形を作っていくのがサンザシの整姿のポイントです。

なお、サンザシは小枝にトゲを持っているので、整姿、剪定を行う際にはトゲで指を刺さないように注意して作業しましょう。

※アカバナサンザシはトゲが太く鋭いので特に注意が必要です。

★植え付け、植え替え

最適期は暖かくなってくる3月ですが、寒さに強い樹種なので、関東以西では厳寒の1月を除く11月から3月の間なら植え付け、植え替えが可能です。

樹勢が強く、若木は毎年、成木は1~2年に1回を目安に植え替えるようにします。

◆病害虫

丈夫な樹種で、致命的な病害虫に遭うことは少ないですが、新芽にアブラムシが発生する場合があります。

発生数が多い場合は、マラソン乳剤やスミチオン乳剤などを定期的に散布し駆除します。

薬剤散布は、光合成が盛んな日中よりも、夕方に行う方が薬害を避ける上でよいと言えます。

※サンザシは挿し木、取り木、根伏せができますが、開花までに年数がかかります。

アカバナサンザシは、挿し木の活着率が悪く、発根しても根数が少ない。