国際生物多様性の日
「国際生物多様性の日」とは、1992年5月22日に生物の多様性を守るための国際条約で、「生物多様性条約」が国連会議で採択され、これを記念して国連は毎年5月22日を「国際生物多様性の日」と定めました。
地球には3.000万種とも言われる多様な生き物がいます。
2010年5月22日の国際生物多様性の日で、生物多様性の大切さが話題になったその中で「多くの植物種が絶滅の危機に瀕しており、それらの植物を守らねばならない」と語られた。
しかし一方では「なんの役にも立っていそうにない植物を守らなければならないのか」という疑問もでてきます。
この疑問に対しては様々な答え方があります。
なぜ絶滅しなければならないのかという疑問になれば、人間が行ってきた自然の破壊について反省を促す事は一つの答えです。
また、人間と繋がりが見えている植物たちは「役に立つ」と表現されますが、繋がりが見えない植物は「なんの役にも立っていない」ということになります。
自然界の中には、まだまだ人間が知らない繋がりがある植物が多くあり、その繋がりを知るためにも人間が植物たちの生き方をよく勉強し、また研究することが大切なのだというもう一つの答えがでます。
なんの役にも立っていそうにない植物たちが、思いがけずに役に立つと言うことを実際に示し、納得を得ることも必要になります。
「思いがけずに役に立つ植物」
「ハイブリッド」という言葉がありますが、ハイブリッドとは混成や雑種を意味します。
植物にもバラなど「ハイブリッド品種」がありますが、ある品種とそれとは別の品種を交配すると、ハイブリッド「雑種」になった種ができます。
この種をまくと交配した両方の種よりも素晴らしい性質を発現することがあります。
例えば、その性質は植物体が大きかったり、病気や環境に対する抵抗性が強かったり、美味しい果実を多く付けるなどがあります。
植物の世界では交配する事によって、様々な現象が起こるのです。
自然界でも突然変異、変種と言ったものも同じような現象が、自然環境の中で起きたからだと思います。
必要と考えられない植物たちが交配をし、必要とされる植物に何かしらの良い作用をもたらす可能性は否定できません。
よって植物の持つ多様性を保護することは重要となる。
「役に立つ植物の生きる仕組み」
1948年、スイスの✣ジョルジュ·デ·メストラル氏(氏については後記に記載)が犬と野原を散歩したとき、服や愛犬の毛にしつこくひっついている実に気付きます。
「なぜ?これほど頑固にひっつくのか」と思い、その実を顕微鏡で観察しました。
すると実にはたくさんのトゲがあり、その先端が釣り針のように鉤型に曲がっていました。
曲がったトゲの先端が服や犬の毛に引っかかって剥がれにくいのです。
この発見がきっかけとなり、張り合わせるだけでひっつく「マジックファスナー」や「マジックテープ」が生まれました。
この植物は野生のゴボウ」で、日本では野生のゴボウの実はあまり知られていないことや「オナモミ」が同じ構造をしていることから、オナモミの実がヒントになって生まれたと言われています。
オナモミ
オナモミはキク科の一年草で絶滅危惧種に指定されている。
ひっつき虫と呼ばれるが、我がふるさと五島列島、住んでいた地域では「トツコ」と呼んでいました。
この実を日干しにすると蒼耳子(ソウジン)と言う生薬になり、解熱、発汗、鎮痙剤(ちんけいざい)として風邪を引いた時の頭痛や鼻炎、蓄膿症、リウマチに対する効能があります。
漢方ではソウジサン」という処方に使われている。
✣ジョルジュ·デ·メストラル
スイスの電子工学者であり、面ファスナーを発明した。
(1907〜1990年没)
ファスナーへの応用を考えて1948年に研究を開始した。
その後1951年に特許出願し、1055年に認定された。
1952年にはスイスにVelcro S.A.が設立され、面ファスナーを生産する一方で、各国企業に
ライセンスしたり現地法人を設立したりして、ベルクロの名で生産された。
日本では日本ベルクロ、現在のクラレファスニングとYKKをはじめとした会社で製造されている。