緑のお医者の徒然植物記

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火曜日, 11月 03, 2020

サンシュユ No,317

 サンシュユ 落葉中高木 ミズキ科

別名=ハルコガネバナ 春黄金花  (山茱萸)
原産地=中国

朝鮮半島にも自生種が見られ、高さは五メートル程に生長します。

早春の2月中旬頃から、まだ葉がつく前に黄色い小花を枝先に点々と咲かせます。

「山茱萸」=茱萸は「グミ」のことで、秋にグミに似た楕円形で光沢のある果実が、鮮やかに紅熟しアキサンゴ「秋珊瑚」とも呼ばれる。

春と秋に楽しめることから、広く庭木に利用されるほか、切り枝にしても水あげが良いので、生け花にも好んで使われる人気の樹種です。

ひとつの花の様に見えるのは、実は花序でたくさんの花の集合体です。


全体を包む用に4枚の苞葉があり、同じ花のつき方をする類似種に同属のヤマボウシやハナミズキがあります。

サンシュユの苞葉はあまり大きくなく、ヤマボウシやハナミズキのような花弁と、見間違えると言う事はありません。


                           「サンシュユ」

日本に渡来したのは、享保年間(1716~1736年)で朝鮮から薬用樹として輸入されました。

当時駒場にあった幕府の御薬園に植えられていたと言う記録が残っています。

★御薬園
薬草を栽培する畑で江戸幕府、諸藩が直営した薬草園で、寛永15年1638年頃から江戸、静岡、京都、長崎などに幕府直轄のものがあり、藩営では秋田、尾張、福岡、熊本、薩摩藩のものが知られています。


薬用にするのは果実で、完熟した果実から種子を除いて乾燥させたものを「山茱萸」と呼びます。

滋養強壮に効果があり、めまい、耳鳴り、夜尿症、冷え性などにも効くと言われています。

1800年もの歴史ある漢方の重要な処方である「八味地黄丸」にも山茱萸が使われています。

また、山茱萸酒は疲労回復の民間療法として古くから用いられています。


◉生育管理、環境
日当たりのよい、やや粘り気のある保湿力のある肥沃な場所が最適です。

半日陰でも育ちますが、日当たりがよいほど花数も多く、色も鮮やかになります。

寒さにはやや弱く、東北以北の寒冷地での栽培は少し難しくなります。

生長が遅く、苗木から育てて数年しても開花しない場合もある。

しかし、丈夫で必ず開花するので気長に育てることが大事です。


◉肥料
花後と秋口に油粕と粒状化成肥料を等量混ぜたものを、株の大きさに応じて根元に蒔くと効果的です。


◉せん定
横に広がった株立ち状の自然樹形になります。

庭の広さにもよりますが、幹を2~3本立ちに整理し、ひこばえはその都度切り落とすようにします。

花芽は充実した短枝の先端につきます。


        (サンシュユの花)


日当たりを好むので、花を多く楽しむためには伸びすぎた徒長枝や込み合った枝を透かし、樹冠内によく日が当たるようにします。

また、大きくなり過ぎた枝や古くなった枝はだんだん花つきが悪くなります。

そのような場合は花後、新芽が出る直前に付け根から切り戻して新しい枝に更新します。

木は一回り小さくなりますが、よく新芽を出すので翌年の花つきはよくなります。

できるだけ外芽の位置の枝を残すようにすると樹形がよく整います。

枝の更新は4年から5年に1回が目安になります。

◉殖やし方
※実生は熟した果実を採って果肉を取り除き、種子を水洗いして蒔きます=(3月)

発芽までに2年程かかるものが多いので、乾燥に注意して種子を、一年間貯蔵してから蒔いた方が安全です。

※挿し木は本年枝を15㎝程に切ってさし穂とし、赤玉土のさし床にさします。

※接ぎ木は2~3年生の実生苗を台木にします。

穂木は充実した枝を使いますが、先端部は適しません。

サンシュユの移植は比較的容易ですが、挿し木、接ぎ木は熟練を要します。

活着率もあまりよい方ではないので、時間はかかりますが実生が最も確実な方法です。