緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/25

ユズリハ No,286

 ユズリハ ユズリハ科 (譲り葉)

別名=ユズルハ、ユズル 助力広葉中高木

原産地は日本、朝鮮、中国一帯で日本では福島県以西の山地に多く自生しています。

以前はトウダイグサ科に分類されていましたが、DNAを用いた研究により、ユズリハ科とする説が有力です。

ユズリハ科に分類されている植物は、1属10種程ですべて東アジア一帯に分布しています。

新葉が生長すると、入れ換わるようにふるい分け葉が一斉に落葉します。

その様子を子供が立派に、成長するのを見届けてから親が家督を、譲る事になぞらえて「譲り葉」と名付けられました。

世代交代と一家繁栄を象徴する縁起木として、記念樹や正月飾りに古くから珍重されてきました。

また、神仏への供え物を乗せるのに、その葉を用いたとする古文があり、神社などによく植えられていました。

清少納言の「枕草子」にも、ユズリハを使って正月を祝う様子が記載されている。

万葉時代にはユズリハ「弓弦葉」と呼ばれていました。

新葉が成長してから古葉が落ちる現象自体は、常緑樹に一般的に見られるもので、さほど珍しい訳ではありませんが、ユズリハは急激に新旧交代が行われます。

大きな葉で、特によく目立ったことが命名に影響しているようです。

樹高は5~10㍍に達します。

雌雄異株で5月から6月にかけて、前年枝の葉腋に穂状の総状花序をつけます。

樹皮、葉にはアルカロイド系の物質が含まれていて「有毒」です。

古くは薬用に用いたり、家畜につく害虫の駆除に使われていました。


         (ユズリハ)

◉品種
園芸種として、葉に白や淡黄色の斑が入る「フイリユズリハ」葉柄が緑色の「アオジュクユズリハ」などがある。

類似種として、内陸部に多い自生するユズリハと異なり、海岸沿いに自生し、葉が一回り小さい「ヒメユズリハ」耐寒性が強く本州中部から北海道の、日本海側の山地に多く自生する、矮性の「エゾユズリハ」がある。

★生育環境
やや粘土質の湿潤地を好みます。

日陰にも強い樹種ですが、ある程度の日照があった方が枝が、密に茂り樹形が美しくなります。

◉植え付け
植え付けは冬の寒風の当たらない場所を選び、植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土をすき込み土中湿度を十分に保つように管理します。

日陰に強いので建物の北側の植栽や目隠しとしても活用できます。

移植は比較的容易ですが、大木は前年から根回しし、細根を十分発根させてから行います。

乾燥を嫌うので、移植時では幹巻きして、蒸散を防ぐことも大切です。

◆肥料
寒肥として鶏ふん、腐葉土、完熟堆肥などの有機肥料を株回りに溝を掘って施肥します。

化成肥料や油粕など、チッソ分の多い肥料は枝分かれが粗くなり、樹形を乱す原因になるので控えるようにします。

◆病害虫
枝葉が密生し過ぎると、アブラムシやカイガラムシ発生する事があります。

定期的にせん定し、樹冠内の枝葉が蒸れないように注意し、必要に応じて薬剤を散布して防除します。

◉せん定
樹形を乱す徒長枝や立ち枝が目立ってきたら、思いきって2分の1から3分の1の長さに切り戻し、細かい枝が多数出るように促し、樹形を更新します。

葉が大きく枝が粗いので、細い込み枝は枯れ込みます。

弱い枝や込み過ぎた枝を間引き日照、通風を保つようにしましょう。

★殖やし方
秋に種子を採り乾燥しない様に貯蔵し、翌春に蒔きます。

土中湿度を保ちながら管理します。

発芽までには1年程かかり、3年目の春に定植します。