緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/05/31

6月のバラの手入れ No,482

 バラ 6月の手入れ

6月は梅雨入りの時期です。
地域によっては5月中に梅雨入りする所もあるでしょう。

咲き終えたバラも多くなって淋しくなりますが、品種によっては花を咲かせ始める種もあります。

⑴咲き柄摘み

咲いた分だけ咲き柄を摘みますがヒップ(果実)をつけると、四季咲きのバラは途端に生育が鈍り、花をつけなくなるのでこまめに摘み取りましょう。

一季咲きのつるバラの場合は、逆にヒップをつけさせて茂り過ぎや伸びを抑制します。


⑵シュートの処理

開花が終わる頃にはシュートの発生が本格化してきます。

株元から伸びた若枝を「ベルサルシュート」枝の途中から伸びた若枝を「サイドシュート」と呼びます。


                         「伸びだしたシュート」

シュートを見つけたらピンチ(芯止め)します。
ピンチ後に出た枝につく花は咲かせても構いません。

つるバラのシュートは太過ぎると誘引がしにくくなるので、1㍍くらいの所でピンチし、そこから2本に枝分かれさせると扱いやすくなります。

また、かなり伸びたら支柱やフェンスに数本ずつ軽く結束します。

成長期のバラは根からどんどん養分や水を吸い上げ、枝先へと送っていきます。

花柄摘みをする事で、養分や水分の行き場を求めて伸びてくるのがシュートです。

シュートは株を大きくし、花数を増やすためには大切な枝ですが、養分や水分がシュートに集中するため、他の枝の生育を抑えてしまいます。


その結果、芽吹きや樹形が乱れて枯れてしまう場合もあるので、株全体のバランスを考え、花後の切り戻しは少し深めに樹形が整う様にせん定することが重要です。

そうする事で、すべての枝の勢いも平均化されて養分が行き渡り、日光も全体に当たるようになり、花芽も多くつき樹形も良くなります。

シュラブのシュートはホウキ状に咲かせても良いでしょう。

シュラブはブッシュとクライマーの中間的なもので、やや高性になるものや半つる性になるものです。

花が終わったら、下の枝2本を残して、上を切り取ります。

⑶病害虫の防除

うどん粉病の発生が盛んになり、黒星病(黒点病)も出始めます。




早い所ではすでに病気が発生しています。


黒星病(黒点病)

見つけ次第サプロールなどEBI剤を散布して広がるのを阻止します。

病気発生時期に複数の殺菌剤、できれば3種類以上を取り揃えて、症状の発生前から計画的に散布します。

地面に近い下葉の辺りから発生する事が多いが、つるバラなどでは高い部分でも発生が見られる。

雨の跳ね返りで、土中のカビの仲間の胞子がつくことで発生する。
株元にマルチングすることで予防すると効果的です。

主な薬剤はトップジンMゾル、サプロール、ダコニールなど

その他に、バラのうどん粉病と黒星病の予防と治療に、マイローズ殺菌スプレーやバラの害虫と病気に使用するベニカXファインエアゾールなどもある。

また、ハダニの発生が日増しに激しくなるので、定期散布に殺ダニ剤を追加して常用します。

雨が多い時期での薬剤散布は悩むところです。

この時期は雨の合間に散布することが多くなりますが、散布した薬液が乾いていれば雨が降っても大丈夫です。

雨の後でも葉面が乾けば散布しても大丈夫です。

雨で伝播する黒点病には雨の前後の散布は効果的です。


下旬頃にはカミキリムシが飛来して産卵を始めるので、モスピランなどのネオニコチノイド系かスプラサイドなどの、成虫に効果のある殺虫剤に切り替えます。

⑷新苗の植え付け

植え付けはできるだけ上旬には終えるようにしましょう。

4月に植えた新苗はかなり育ってきているので、鉢裏から白根が見えたら鉢を2サイズ大きなものに替えます。

⑸施肥

花後のお礼肥(追肥)として、化成肥料を一株当たり50g程度与えることもありますが、必ず与えなければならないものではありません。

樹勢を見ながら与えるとよいでしょう。

鉢植えのものには、これまで通り置き肥と液肥を続けます。

⑹水やり

この時期、鉢植えは株が茂っているので雨が降っても、葉を伝わって外に流れてしまい鉢の中に水が入りません。

雨が降ったとしても油断していると、晴れてからぐったりしているのを見て、慌てて水やりをする事になります。

雨が降った日でもその日だけ水やりは、お休み程度に考えましょう。


⑺除草

雑草もどんどん増えていくので早めに除草します。
病害虫の防除のためにも株元をきれいにしましょう。


⑻梅雨明け後

梅雨が明けたら夏に負けない栽培法に切り替えます。

寄植え鉢や2重鉢、庭植えの場合は周囲の植栽を工夫して夏バテから守りましょう。

多肥性の植物が近くにある場合、バラの肥料を横取りされる場合もあるので注意しましょう。












2021/05/30

作物の必須要素 No.481

 植物の生育に不可欠な元素

作物はその目的に応じて改良した植物であり、基本的には植物が生育するのに不可欠な元素を作物も必須要素とするが、作物の種類やその使用目的に応じてはこの他にも必要な養分がある。

高等植物の体内には60を超える元素が検出されている。

この元素のうち、すべての植物の生育に不可欠な元素は16種が挙げられる。

16種の不可欠な元素

比較的植物の要求量が多い元素
多量必須要素と呼ばれる9種

①炭素(C)②水素(H)③酸素(O)④チッ素(N)⑤リン(P)⑥カリウム(K)⑦カルシウム(Ca)⑧マグネシウム(Mg)⑨イオウ(S)

微量必須要素と呼ばれる7種

①鉄(Fe)②マンガン(Mn)③銅(Cu)④亜鉛(Zu)⑤ホウ素(B)⑥モリブデン(Mo)⑦塩素(Cl)

高等植物の必須要素のうち、炭素、水素、酸素は生体の有機骨格成分として重要である。

これらは通常、大気や土壌水から十分に供給される。

また、塩素は要求量が少なく風によって海水の飛沫として、あるいは雨として十分量が供給されるので、大陸内部の地域を除いては問題としない。


一般に施肥管理を必要とするのは炭素、水素、酸素、塩素を除く12の必須要素である。

なかでも作物の要求量が大きく、土壌中で不足しやすいチッ素、リン、カリウムを三大栄養素あるいは三要素と呼んでいる。

これらの必須要素以外にも水稲(すいとう)やサトウキビのケイ素(Si)✫テンサイのナトリウム(Na)などのように作物の生育の好影響を与えるものがあり、特殊成分あるいは有用元素と呼ばれている。

✫甜菜(てんさい)は北海道の特産でサトウキビと並んで、砂糖の原料になるヒユ科フダンソウ属2年生の植物で別名サトウダイコンとも言う。

根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。

また、植物の生育にとって必ず必要でないものでも、それを食べる家畜には不可欠である。

コバルト(Co)ナトリウム(Na)セレン(Se)などがあり、作物としてはそれらを利用する家畜や人間の栄養をも考えた、肥培管理が重要である。

作物が健全な生育をするには、少なくとも必須養分16種が十分供給される必要がある。

これらの養分の一つが不足すると、作物の生育、収穫量は不足した養分量によって規制される。

必須要素が欠乏すると、植物体は各要素に特徴的な白化や壊死、葉の形態異常などを引き起こす事が知られています。

また、その欠乏症状の現れ方には大まかな規則性があり、体内を再移動しにくいカルシウム、ホウ素、鉄などはその時に盛んに生長している部位に欠乏症が現れ、作物の生育に致命的な障害を与えます。

これらの要素は作物の生育期間中に、必要量を絶えず供給する必要があります。

これに対し、体内での移動性が大きいチッ素、リン、カリウム、マグネシウムなどは不足すると古い葉から新しい葉に✫転流されるため、欠乏症状は下位葉から発生する場合が多い。

✫転流とは、植物の葉に形成される養分や根、地下茎などにある養分、あるいは発芽に際して貯蔵した養分が適当に変質、移動して他の部位に送られることを言う。




2021/05/29

マリーゴールド No.480

 マリーゴールド キク科 一年草

別名=センジュギク、クジャソウ、マンジュギク

花言葉=健康

原産地=中南米(メキシコ)

アフリカンマリーゴールドとフレンチマリーゴールドの2つの系統に分類されます。

マリーゴールドの根からは、ネグサレセンチュウを殺す成分が出ています。

殺線虫物質の一部、糸状菌、細菌、昆虫等に対しても活性を有する。

花壇に植えておくと他の植物を守ることができます。

マリーゴールドは濃いオレンジ色や、黄色の明るい雰囲気の花で知られ親しまれている。

小型のフレンチ種と大型のアフリカン種、または両者の交配種がある。




植え付け

定食は6月から9月に行います。

日当たりと水はけの良い場所に元肥を与えて、株間を20〜30cm程とって植え付けます。

地植えなら植え付けるときにたっぷりと水を与え、その後は感想が続いたときだけ与えます。

苗は本葉が2枚ほど出たら仮植えします。
仮植え地には堆肥を事前に施しておきます。


肥料、施肥

元肥として、堆肥に化成肥料を少量加えて土によく混ぜます。

花期が長いので月に2〜3回液肥で追肥するか、又は花の生育状態を見て化成肥料を与えます。


手入れ

花がらはこまめに摘み取ります。

フレンチ種は暑さで真夏に花が少なくなる時があるので、一度株元から切り戻すと秋にはまた花が増えます。




病気

✻青枯れ病

株が天気の良い昼間になるとしおれ、夕方や曇の日は回復すると言うことを繰り返しながら、病気の進行が早いため、株全体を侵して枯死する。

被害株の茎を割ると、乳白色の菌でいっぱいになっています。

土壌伝染性の細菌で傷口から侵入します。

被害株はすぐに抜き取り処分します。

被害の出た場所では、翌年の植え付けは避けるようにします。

モザイク病

ウイルスがアブラムシ、コナジラミなどの吸汁性害虫に媒介され感染します。

殆どがアブラムシによる感染なので、アブラムシの防除を行います。

スミチオン、マラソンなどを散布し、また使用するナイフやハサミの殺菌消毒も効果的です。

他の作物からの伝染にも注意が必要です。

被害を受けた株に触ったあとはきちんと消毒するまで、他の株には触らないようにしましょう。

病気が発生した株は引き抜いて処分し、他の株には被害が広がるのを防ぎます。

害虫

✣ハダニ

ハダニは高温と乾燥を好み夏場に多く発生します。

葉に寄生すると白い小さな斑点ができ、葉が巻いたり生育が悪くなったりします。

ハダニの確認ができたら、殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。

強い雨などに弱いので時々ホースで、水をかけてやると発生を抑えることができます。


✣アザミウマ

高温と乾燥を好むので夏に被害が多く出ます。

花では生育が悪くなったり、つぼみは吸汁されて開花しないなどの被害が出ます。
葉では白や黒の小さな斑点ができます。

果実や球根に加害する種類もいます。

被害が確認できたら薬剤を散布します。

マラソンやアセフェート、防虫菊乳剤などが適しています。

一週間おきに2〜3回散布することが必要です。

アザミウマは葉裏にいることが多いので、薬剤が裏までかかるように散布しましょう。

咲き終わった花から発生することが多いので、咲き終わった花は放置しないでこまめに摘み取ることが重要です。

✣ヨトウムシ

昼間は土中に隠れていて、夜になると地上に出て葉を食害します。

若齢幼虫のうちであれば薬剤も効くので、オルトランなどを散布します。

被害に気づくのは幼虫が大きくなってからのことが多いので、この場合は株の根元を探して捕殺します。

雑草地での生息が多いので害虫なので、雑草を除去することが予防に繋がります。


✣ナメクジ

夜間に活動し花や新芽わ若葉を食害する。
這ったあとの痕跡を残すのでナメクジの被害とわかる。

昼間は鉢の底などに隠れているので見つけたら捕殺します。

酢水に入れると死にます。

ナメクジ専用の薬剤で駆除します。

その他、ナメクジはビールを好むのでビンなどにビールを入れて土の上に置いておくと、ビールに誘われて集まり溺れ死にます。

土に石灰が不足すると被害が大きくなる傾向があるので、石灰を施しておくと予防になります。

✻殖やし方

3月から6月頃にさし芽や種まきで殖やします。

✫マリーゴールドの成分研究

マリーゴールドの茎葉を乾燥、粉砕しこれをトマト青枯れ病菌の人工汚染土壌に混入して、土壌中の菌密度を調査、その結果いずれの品種も混入一週間後には、青枯れ病菌の密度が低下した。

特にセントール品種で最も強い殺菌効果が見られた。

セントールの茎葉粉末を6%以上混入することで、普通汚染土壌では7日後に病菌が消え、高密度汚染土壌では、14日後には青枯れ病菌が検出されなくなった。
しかし、混入量が多いと生育障害も現れるなど、まだ研究段階である。

また、アミノ酸の1種であるヒスチジンなど、病害抵抗力を利用した、アルギニン、リシン等のアミノ酸が有効である事が発見され、研究開発が進められている。

近い将来青枯れ病菌の特効薬が開発されることだろう。









2021/05/28

スイートピー No,479

 スイートピー マメ科ツル性植物

別名=ジャコウレンリソウ、ジャコウエンドウ
英名で香り良いえんどう豆の意味
花言葉=優しい思い出

原産地=地中海沿岸

もともと地中海沿岸の雑草だったのだから、イギリス、エドワード王朝の花とも言われる花である。

ツル性で2㍍ほどまで伸びる。
鉢植えでも地植えでもつるを伸ばして楽しむことができる。

夏咲き種と春咲き種があり、夏咲きは6月、春咲きは4月から5月が開花期です。

花は蝶形花で赤、ピンク、紫、白など豊富にあり香りがします。

ツルを活かしてフェンスなどの近くに植えると、ツルがどんどん巻き付いて広がります。

プランターでも支柱を立てると良いでしょう。
また、草丈が30cmほどの改良種もある。




生育環境

日当たりの良い場所を好みます。

土壌は中性が適し、酸性の土には苦土石灰で中和する必要があります。

水はけのよい弱アルカリ性の土が適しています。
発芽した数が多い時は2、3本づつ残して間引きます。

真冬はワラなどで霜よけをします。

支柱を3月頃に立て、ツルヒゲが巻き付くようにします。

肥料、施肥

元肥として、堆肥に有機肥料と骨粉、カリウムを加え土とよく混ぜます。

根がデリケートなので、苗が小さいうちにチッ素分の少ない元肥を与えて植え付けます。

追肥として3月に化成肥料を与えます。

生育中は月に1〜2回液肥を与え、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、特に初夏の開花期には多めに与えるようにします。

殖やし方

種まき
スイートピーは直まきで育てます。

播種は10月下旬から11月に行います。
種は一晩水につけておき吸水して、膨らむものと吸水しないものがあるので、吸水して膨らんだものだけを蒔くようにする。

病気

葉が下から黄変し、枯死する萎(い)ちょう病が発生する。

土壌伝染性の病気で、葉や茎が翌年の発生源になります。

被害株はすぐに取り除いて処分します。

病気が発生した場所での翌年の栽培は避けましょう。

害虫

アブラムシ、ヨトウムシ、ハモグリバエ、タネバエが発生します。

①アブラムシは薬剤に弱いので、薬剤を散布して駆除します。

殆どの殺虫剤が効きます。

②ヨトウムシは昼間には土中に隠れていて、夜になると地上に出て葉を食害します。

夜になると被害を起こすことから「夜盗虫」と呼ばれる。

若齢幼虫のうちは、昼間も葉の裏にいて土の中に隠れるのは成長してからです。

いくつかの種類がいますが、特に野菜類の害虫として知られている。

若齢幼虫には薬剤がよく効くので、オルトラン、DDVPなどを散布します。

幼虫が大きくなってしまうと薬剤は効きにくくなります。

しかし、被害に気付くのは幼虫が大きくなってからのことが多いので、株元を探して捕殺します。

雑草地で育ち、被害をもたらす場合があるので、近くに雑草地がある時は雑草を除去することが予防に繋がります。


③ハモグリバエは小さな幼虫が葉に潜り込み、葉の中を食害しながら移動します。

そのため、葉には蛇行状や円形の白い跡ができます。
この様子から「絵描き虫」とも呼ばれます。

主に4月頃発生し、10月頃まで被害が続きます。

発生初期であれば葉の中に幼虫がいるのでそのまま捕殺しますが、大きくなると薬剤はあまり効果がありません。

アセフェート、エルサン、ディプテレックスなどを散布すると多少効果があります。

4月に成虫が葉に卵を産み付ける前に予防殺虫剤を散布しておきます。

④タネバエは幼虫ウジムシがタネや幼植物の茎に食入します。

枯れた苗の茎の中にはウジムシがいます。

この虫の被害の場合は、いつまでも芽が出ないタネを掘り返すとウジムシが見つかります。

成虫は3月から5月と9月から10月に多く発生し、タネの近くの地面に卵を産み付けます。

被害が出てからでは遅過ぎて、適当な駆除方法がありません。

成虫であるハエは堆肥や鶏糞などを好んで集まるので、有機肥料の使い過ぎに注意しましょう。

特に大粒のタネは被害が多いので用心です。

スイートピーの香り

日本でのスイートピーの切り花栽培は大正時代(神奈川県)に始まって以来、今日まで全国各地に広がりました。

品種改良も盛んに行われ花色、花型も豊富です。

原種系のスイートピーには芳香成分がバランスよく含まれていて、全体を通して質の高い香りを持っていることが分かっています。

マメ科の特徴である蝶のような花の形と、ジャコウに似た強めの甘い良い香りがすることから、ジャコウエンドウなどの別名がある。

スイートピーを原料とした香水など商品化されたものも多い。






2021/05/27

ボケ No,478

 ボケ バラ科 落葉低木  

別名=カラボケ
原産地=中国と日本の一部

丈夫な樹で暑さ寒さに強く、日本の気候に合うため日本各地に植えられている。

品種は30種以上あり、花の色には紅、桃、白、紅白、黄緑などがあります。

開花時期により寒ボケと春ボケの2種類がありますが、庭植えの殆どが春ボケです。

日当たりと排水の良い場所と腐植質に飛んだ土を好むが、普通の土質なら特に選ばない。

寒さに強いことから北海道南部まで植えられている。




代表品種

チョウジュラク、トウヨウニシキ、コッコウ、ヒノミハタ、カンサラサ、ギンチョウジュ

肥料、施肥

元肥として12月から1月に完熟堆肥、鶏糞を混ぜたものを株周りに穴を掘って埋め込みます。

追肥として、花後にお礼肥えとして油かすに化成肥料を少量混ぜたものを株元にばら撒きします。

9月頃にリン酸、カリ分の多い化成肥料を少量ばら撒きします。

植え付け、移植

9月下旬から11月頃が適期で、完熟堆肥を早めに準備して土にすき込んでやり、更に乾燥を嫌うので敷き藁をする。

せん定、整枝

自然樹形で育て、9月下旬から11月頃に行います。

強いせん定にも耐えますが、花芽も見分けられる時期なので来年開花の枝(花芽のついた枝)を残して、細い枝を中心にせん定します。

古枝や弱い枝は根本から切り取り、ヒコバエも発生するので根元から切り取ります。

徒長する枝や交叉する枝が多いのでせん定は毎年行います。

萌芽力が旺盛ですので色々な仕立てが可能です。

樹形は種類により株立性と矮性の横広形があり、苗木の段階から仕立てれば庭の広さに応じた樹形が自由に作れるでしょう。

庭木の他に盆栽にも用いられる。

花芽は今年伸びた枝にはつきません。

翌年のその枝の基部が少し伸びて8月頃に花芽が形成され、翌々年の春にその位置で開花します。

時々、それより古い枝に花をつけることもあります。

花になる芽は充実した太い枝の基部に、丸みを帯びた豆状のものがついているので、これを切らないように注意します。

新しい枝は先端を切り詰め、翌年の開花枝とします。

若木は上に向かって徒長(徒長枝)している枝や、絡み合っている枝を切る程度にします。

この場合、不要な枝は枝元から切り取りますが、その他は先端部を切り詰めて翌年の開花枝として育てるようにします。

古くて大きくなった木のせん定は、古い枝を根元から30cmくらい残して切ります。

この時、逆さ枝や根元近くに発生する地下茎枝、ふところ(樹幹内)の枯れた枝や弱い枝も切り取ります。


次に高さを決めてたら、その位置に合わせて伸びた枝を切り詰めて樹形を整えます。

枝が混みすぎている部分も整理し、花芽の位置に注意しながら切り取ります。

花後に伸びた新梢が樹形を乱している場合は、新梢の先端を2節くらい止める程度とします。




病害虫

一番怖い病気は「根頭がんしゅ病」です。
その他に赤星病も発生します。

ボケの植え替えや植え付けを秋に行うのは「根頭がんしゅ病」を避けるためです。

この病気の病原は暖かい時期に活動するので、秋に植えれば感染が少なく、病原の活動する時期までには傷んだ根が回復します。

植え付けの際には苗木の根際部をよく検査し、多少でも「コブ」があるものは廃棄する。

コブを切除して外見健全と見られるものも、すでに感染が進行している。

定植後発病に至るのでこのような苗木は用いないことです。

健全な苗木であっても、念の為ストレプトマイシン剤に根部を浸漬けした後、植え付けるようにすることが最適です。

また、生物農薬としてアグロバクテリウム、ラジオバクター剤(商品名=バクテローズ)はバラの根頭がんしゅ病に対し、苗木の定植前処理に用いられている。

病原菌は土の中で繁殖し、一般の殺菌剤では死なずに土中にずっと残り、病気に侵された株を取り去って苗を植え替えてもまた病気が発生します。

病気になった株を植えていた場所の土は大きく取り除き、良い土と入れ替えます。

この病気は一度がかかると治りにくいと考えた方がよいでしょう。



「樹幹地際部や接ぎ木部が徐々に肥大してコブとなる根頭がんしゅ病。」


赤星病

葉身、新梢、果実が侵されます。

新葉展開直後から葉の表面に病斑を生じ、やがて病斑表面が窪んでそこに橙色のち黒色となる微小粒点(サビ柄子殻)が形成される。


                             「ボケの赤星病」


病菌は糸状菌の一種で、バラ科樹木を侵して赤星病を起こし、ビャクシン類(ヒノキ科針葉樹)を中間宿主とする異種寄生性のさび病菌である。

さび病菌は、ナシやボケなど感受性の果樹や緑化樹木とビャクシン類との間を往復寄生して生活環を全うしている。


    「病斑部葉裏面に形成された毛状群塊」


防除法

中間宿主で、伝染源となるビャクシン類を近くに植栽しないことが重要です。

病葉など早期に摘除処分する。

薬剤防除として、ビャクシン類には3月から4月にマンネブ剤、ポリオキシン剤などを用い、降雨時前後を重点に2〜3回散布する。

ボケに対しては、4月から5月の「小生子」(担子胞子)が飛散する時にトリアジメホン剤、トリフルミゾール剤、ビテルタノール剤、フェナリモル剤などを用いて、10日おきに3〜4回散布して感染防止を図るのが有効です。

症状による対応

①葉がしおれる。
葉がしおれる症状は水不足による乾燥が原因です。

ボケは乾燥に弱いので夏場は土の乾燥に気をつけて、十分な水を与えます。

②花つきが悪い。
原因の多くはせん定の間違いや日照量の不足です。

せん定は花芽が判別できるようになってから行うことが大切です。

また、混んだ枝を整理して日当たりをよくしてやらないと日照量が不足します。

株そのものの日当たりが悪い場合は、別の場所へ植え替える必要があります。

その場合は根頭がんしゅ病を避けるために、植え替えは秋になってから行いましょう。

害虫

アブラムシ、ハダニ、ハマキムシ、グンバイムシが発生します。

⑴アブラムシは反射光線を嫌うので、銀色のポリエチレン製フィルムを敷くとあまり寄ってきません。

また樹木では、適度なせん定をして風通しを良くすることも効果があります。

スミチオン等の薬剤を散布して駆除します。

⑵ハダニは強い雨などに弱いので時々、ホースを使って葉に水をかけてやると発生を抑えることができます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。

⑶ハマキムシの場合、落葉樹では秋になったら幹にムシロを巻いておき、これを冬場に処分して駆除します。

幼虫に直接薬剤がかからないので、効果は低いがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。

常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、葉ごと幼虫を駆除しておきます。

⑷グンバイムシは風通しの悪いところを好んでつくので、枝の手入れをして通風を良くすることまた、乾燥を防ぐと被害が少なくなります。

葉の裏に黒いヤニのような排泄物がついているのが特徴で、被害を確認できたら1〜2週間おきに2〜3回MEP、マラソン、アセフェート、ホルモチなどの薬剤を散布します。

殖やし方

✻さし木
さし木の時期は2月下旬から3月下旬、そして9月中旬から10月上旬です。

さし木には新梢を使います。
さし穂の発根を促すために発根剤を使用すると良いでしょう。
さし木の発根促進剤ルチエース、ルートン


ルートンは球根の発根促進としても使える


✻取り木
3月上旬から6月下旬が取り木の適期です。

環状削りか切り込み削りが適しており、取り木用土はミズゴケ単用が一般的です。

水につけたミズゴケを軽くしぼり、取り木部分を包みビニールを被せて上下をひもで縛っておきます。

取り木の期間中は乾燥しないように、時々取り木部分に水を与えます。

✻株分け
2月下旬から5月中旬と9月が株分けの適期です。

株全体を掘り起こして根張りの良いものを選び、親株から鋭利な刃物で切り離します。

鉢植えは水やりを多くして乾かないように注意します。





2021/05/26

梨 No,477

ナシ  バラ科  落葉広葉樹


ナシは日本ナシ、中国ナシ、西洋ナシに分類されます。

日本ナシは古くから日本で栽培されてきた品種で、りんごと同じ形をしています。

全国各地には、推定樹齢200〜300年以上とされる、天然記念物に指定された巨樹も多く、また古くから栽培されていたとする記録も多く残されている。


上部がすぼまっている中国ナシ、西洋ナシは曲がった形が特徴的です。

日本ナシの代表的な品種には、長十郎梨、二十世紀梨などがあります。

家庭果樹には幸水、豊水などが向いています。




生育環境

気候も土質も特に選びませんが、夏バテ暑すぎない温暖な気候で、粘土質の土壌で土層が深ければ最適です。

栽培用のナシ類の大半は、自家不結実性なので、違う品種の花粉を受粉させる必要があります。

苗木を入手する際には、結実しやすい品種同士を選ぶ必要があります。

しかし、ナシは品種間に「交配不親和性」があり受粉がなされないことがあります。

交配不親和性(こうはいふしんわせい)とは、交配に用いる両親の生殖器官は機能的に安全であるにも関わらず、それらの間で交配した場合に、正常な花粉管の伸長や受精、胚(はい)形成などが見られない場合があり、そのような現象の事をいう。

植え付け、肥料

鉢植えは赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え、風通しがよく日当たりの良い場所に置きます。

鉢植えは3月に玉肥を3〜4個を置き肥します。

庭植えの場合は、3月に配合肥料を根周りに薄く広げて撒き、浅くすき込んでおきます。

追肥として収穫後の10月頃に、堆肥にはに鶏糞と油かすを混ぜ、リン酸とカリウムの多い化成肥料を加えたものを施します。




せん定

せん定は冬期に行います。
徒長枝などの不要な枝を切り落として、次に✫長果枝を混み合わない程度に切ります。

バランスよく間隔を開け、✫短果枝で混み合っている部分をせん定します。

✫長果枝(ちょうかし)短果枝(たんかし)は、花芽をつけて翌年開花結実する枝の総称で、長さによって名称が異なる。

目安として、10cm以上を短果枝、10〜30cmを中果枝、30〜50cmを長果枝と呼ぶ。

短果枝はナシがなり始めて2年目以降のもの。

長果枝は新しい枝になった部分に直接緑色の部分と花が咲いているもの。

ブドウやキウイなどのように、枝を支えなければならない果樹ではありませんが、収穫期が台風シーズンと重なることが多いので、棚仕立てや支柱仕立て、垣根仕立てなどにしてて枝を固定して育てます。

主枝を左右に2本伸ばし、側枝を主枝から20〜30cmおきに伸ばし、他は間引きせん定します。

主枝の上面から毎年発生する徒長枝は、見つけ次第切り取って養分を取られないようにします。

果枝は2年から3年ごとに更新します。

鉢植えは、鉢の高さの2.5〜3倍の樹高にして、主幹や側枝は生育の初期に針金をかけて樹形を整えます。

果実管理
結実したら良い果実だけを残して摘果します。
鉢植えは、よい果実を2〜3果残して他はすべて摘果します。

また、摘果後はすぐに袋掛けをします。

青梨は類は色を良くするために透明なパラフィン紙で作った袋を使用すると良いでしょう。

赤梨類は、新聞紙の袋でも大丈夫です。

病害虫

✫赤星病
赤星病はナシの大敵の1つです。

赤星病の病原菌は、寄主転換の性質を持ち冬の間はビャクシン類(ヒノキ科針葉樹)に寄生し、春になるとナシへ寄主を変えます。

特に雨の時にビャクシンが胞子を放出します。
発生した時は、バシタックなどの薬剤を散布して予防します。

また、4月頃に雨が降ったら、ダイセン500倍液などの薬剤を散布して予防します。

✫黒星病
黒星病は葉、果実、枝に発生します。

葉は、発生初期に灰白色の病斑を生じ、症状が進むと黒カビが生えます。

対処法として、被害部分を除去して処分します。

予防として、4月から10月頃にベンレートやキャプタンなどを散布します。

また、病害虫全般に対する予防として、摘果を終えた後に袋掛けをしましょう。

害虫は、ナシヒメシンクイガ、アブラムシ、カイガラムシ、バダニ、ハマキムシなどが発生します。
アブラムシやハマキムシなどには、4月頃にスミチオン1000倍液を散布します。

ハダニやカイガラムシ予防には、落葉後の12月頃にマシン油乳剤20倍液を散布します。

殖やし方

多肉果類のナシは、よく熟して腐りかけた頃に種子を取り出し水洗いし、一昼夜乾かしてからまくか、砂を入れた鉢に入れ、鉢ごと土中に埋めて貯蔵し、3月から4月頃にまきます。

✣関連記事
日本の果樹は世界一No.400


❉ナシの保存方法
新聞紙やティッシュペーパーなどでナシを包んで、ポリ袋、保存袋に入れ冷蔵庫で保存することで、そのままの状態よりも長く保存できます。








2021/05/25

花芽分化の類型と果樹 No,476

 花芽分化の6つの型


①花芽が短枝につき、翌年開花する。





②一年枝の各葉腋につき、翌年開花する。





③一年枝の頂芽につき、翌年開花する。





④一年枝の上2〜3芽につき、翌年開花する。





⑤一年枝の頂芽と2〜3芽につき、翌年開花する。




⑥一年枝の各葉腋につき、当年開花する。





果樹の手入れ

果樹の手入れの基本は受粉と肥培管理と摘果です。

多くの果実は雌雄異株だったり、自家不結実性であったりします。

雄株や他の品種を植え、場合によっては人工受粉を行う必要があります。

良い果実を作るためには、余分な果実を摘み適度な個数を作ることが必要です。

肥培管理は果樹には不可欠です。

冬に寒肥、花と実の後、収穫後にはお礼肥(追肥)を施します。

前年に伸びた枝に花芽がつき実がなる。

前年に伸びた枝に花芽と、葉芽がつき枝に直接実がなる。

冬のせん定の時、花芽と葉芽が区別できるので花芽を落とす心配がありません。

ビワ、ブルーベリー、モモ、ウメ、サクランボ、その他


前年の枝に混合花芽ができて実がなる。

混合花芽とは、芽から花とともに葉と枝が現れること。

前年に伸びた枝に混合花芽がついて、春にこの混合花芽から伸びた新梢に実がなる果樹種。

実をつける混合花芽と葉芽の区別がつきにくいため、せん定が難しい。


柿や栗、柑橘類などは勢いよく伸びる新梢の先端とその下の数芽が混合花芽になるため、冬のせん定で枝先を切ると花芽を落とすことになり、実がつかなくなる。


また、前年に伸びた新梢の基部の葉腋に花が咲き実をつけるキウイ、ブドウ、イチジクなどは、冬に枝を短く切り詰めても花芽を落とすことはありません。

カキ、ウンシュウミカン(柑橘類)、他


2年目の枝(去年伸びた枝)に混合花芽ができて実がなる。

1年目に長く伸びた枝には花芽だけしかつかず、2年目になると枝先が長く伸び、基部に短い枝が出ます。

リンゴ、ナシ、カリン、マルメロなどがあり、主に短い枝によく実をつける。

長く伸びる枝を切って、短い枝をたくさん出させることが重要です。






2021/05/24

バラ 「全般」No,475

 バラ バラ科   双子葉植物

バラには数多くの園芸品種があり、特に花の色や形は多種多様ですが、分類学上は全て同じ科、同じ属に含まれます。

植物の進化の過程で見るとバラ科は、最初に発芽する子葉が2枚の種子植物(双子葉植物)の中では、中間的な位置を占めます。

双子葉植物で最も原始的な科目はモクレン科で、最も進化した科目はキク科です。





バラ科の植物の特徴

バラ科の植物は、花弁と萼(がく)がそれぞれ5枚あり、雄しべは多数、雌しべは1本から多数あるものまであります。

これらの特徴は他の科でも見られますが、バラ科が他の科と大きく異なるのは、✣花床が肥大し筒状または盃状になり、その上部の縁に花弁と萼が同心円状に付着していることです。

この花床の肥大の仕方はバラ科の中でも植物の種類により異なります。

✣花床(かしょう)とは、花托(かたく)ともいい、花柄の末端にある花弁やがくなどの付着する部分のこと。




生育環境

日当たりがよく、風通しの良いところが適します。
日陰での栽培は難しい、西日の当たる場所もよくありません。

乾燥を嫌うので真夏と冬は株元をマルチングします。

どんな土壌でも育ちますが、土質には敏感です。

排水、保水ともよく腐植質に富んだ土で、やや粘土質の方が適します。


肥料(施肥)

バラの土と肥料は、かなり株の生育に微妙に現れてきますので、冬期の元肥をきちんと行う事が重要です。

元肥は長期間肥効が持続するよう、有機質肥料を主体にします。

冬の休眠期は有機質と合わせて、ある程度の深さに耕しながら施します。

夏は生長期ですので、根を傷めないように株周りにばら撒き、表土と軽くかき混ぜておきます。

バラは四季咲き性のものが多く、常に伸長する枝梢(ししょう)に花芽を作り、秋遅くまで花を咲かせます。

バラは他の花木より栄養を多く必要とします。
肥料は油かす、魚粉、家畜の糞尿などの有機質なものと、化学肥料や化成肥料などの無機質なものがあります。

肥料の3要素と呼ばれるチッ素、リン酸、カリはそれぞれ単独に働くのではなくバランスが大切です。

3要素の他にある程度の量を必要とする中要素と言うべきものに、カルシウムとマグネシウムがあり、不足しないように補給する必要があります。

カルシウムは細胞膜を作るのに関係しています。

また、生理作用を助け、物質代謝の結果、できる有機酸を中和します。

マグネシウムは葉緑素の生成に必要であり、リンの移動を助ける生理作用や脂肪の生成にも関係しています。

バラは一年に一回、冬の元肥を与える時に、苦土石灰を植えてある株の周り全面に撒いて、一緒に耕せば足りるでしょう。

その他にごく少量の植物の生長に不可欠な元素として硫黄(s)鉄(Fe)ホウ素(B)マンガン(Mn)モリブデン(Mo)などがあり、微量要素と言われています。

ただし、これらは有機物や特に有機質肥料、骨粉や油かすなどには十分含まれているので、有機質肥料を使う限り不足の心配はありません。


家庭の庭に植えているバラには、どれだけの肥料が必要かと言うデータは残念ながらありません。

肥料は少なければ生育が悪く、多過ぎれば生育に支障をきたします。

そのような与え方を続けていると、土に蓄積されて植物が育たなくなります。

バラの切り花栽培では、施肥量の研究があり、一株のバラが一年間に必要とするチッ素の量はおよそ30gで、チッ素、リン酸、カリの比率は1:3:1が望ましいとされています。

このデータが、庭植えのバラに当てはまると言う裏付けはありませんが、目安としては貴重な参考値です。

実際にこの量を与えて毎年満足な結果を得ているとの報告まあります。



施肥の目安として、1月から2月に完熟堆肥に鶏糞を混ぜ、少量の過燐酸石灰(100〜200g)と硫酸カリ(100〜200g)を加えて株周りに穴を掘って埋め込みます。


追肥は、5月と8月に鶏糞(200〜300g)に油かす(100〜200g)を混ぜ、少量の化成肥料を加えばら撒きし軽く土をかけます。

追肥ては、植物の生長に応じて与える肥料で、速攻性の化学肥料が主体となります。

与え方は株元にばら撒くか、水に薄めて液肥としたものを施します。

庭植えの場合、元肥をしっかり行っていれば追肥はそれ程重要ではないでしょう。

鉢植えの場合は鉢土に肥料を混ぜないので、生長が始まる3月から秋の開花前まで有機質主体の配合肥料を置き肥とし、化学肥料の液肥と並行して与えます。


せん定  5月花後、夏、秋の花後、12月から1月のせん定

花芽分化期4月上旬〜9月下旬頃
バラは萌芽力が強いので、せん定は楽に行なえます。

古い枝を積極的にせん定すると芽が多くつきます。

夏のせん定    (関東地方以西の場合)

主として四季咲き性が対象で8月から9月までに行います。

涼しい時期になって行くので遅れないように注意しましょう。

生育期なのであまり強く切れませんが、春のせん定と違って切る時期を変えることによって開花時期を調節できます。

秋のせん定と言われることもありますが、この時期はまだ残暑が厳しく、気温は真夏並みです。
秋の花のために行うせん定なので夏のせん定と呼ぶのが妥当でしょう。

冬と違って生育期なので葉が茂って骨格が見えにくいので、樹高を詰めることを先行します。

冬と同様、新しく発生したシュートと春に開花した枝幹ではやり方が異なります。




一季咲きのものは秋には花が咲かないので、細枝や枯れた幹を取り除き透かしてやりますが、冬に切ってしまう古い幹をこの時期にもとから取り除き、密度を避けてやれば病害虫の発生を軽減できます。

新しいシュート

シュート·ピンチとは、新しく伸びた枝(シュート)の先端につぼみが見えた頃、指で先端を摘み取ってシュートの生長を止めて充実を図ることです。

例外的につるバラでも、シュートが太くなり過ぎるのを防ぐために行うことがあります。

ピンチ処理をして枝分かれをさせたシュートでは、分かれた枝2本とも分かれた部分から葉を3〜4枚残したところで切ります。

ピンチをしなかったシュートはホウキ状に枝が出てしまっているので、下の枝を2本残し、杖の枝を切り取ります。

残した2本は同様に葉を3〜4本つけた長さで切ります。

春に開花した枝幹は2番花をつけた枝を3〜4枚の葉を残して切ります。


なお、この夏のせん定は日本特有の行いで、緯度が高く冷涼な気候の欧米では咲き柄摘みか軽い枝の整理にとどめているようです。


冬のせん定 12月から3月上旬     (関東地方以西の場合)

バラが活動を停止している休眠期なので一年に一回、強くせん定出来る時期です。

全てのタイプのバラについて密度、高さともバッサリと調整する。

時期の幅は広く、春の開花時期も変わりません。

バラの芽は2月中旬頃になると膨らんできますが、膨らんでこないと芽が見にくいので、2月下旬から3月上旬がせん定の適期です。

本質的には気温の低い休眠期に春の花ために行うものなので、冬のせん定と呼ぶのが妥当でしょう。


枝を切る位置は残す芽のすぐ上で切り(5〜10㍉)芽のない部分をなるべく短くします。

長いと見苦しいうえに先端から枯れ込んでくるからです。

太いシュートや幹も同様で、枝が出たところより上に不要な部分があったら、せん定の際に切りと取ります。

切り口は斜めに切るのではなく枝に対して直角になるように切るべです。

枯れた幹、弱った幹、古い幹を元から切り取ります。
残すべきシュートの数を制限します。

シュートの数が多過ぎると混み合うばかりで、しっかり花をつけることができなくなるので株の勢いや大きさに応じて、3〜4本、5〜6本を残すようにします。


その際には、元気のあるよい枝、若い枝を選んで残します。
尚、ミニチュアなどは多めに枝を残します。

更に昨年開花した幹で同じ場所から2本以上の枝が出ている場合は、枝の勢いや向きを考えて一本を残し、あとは切り取ります。

昨年新しいシュートが出なかった株はやむを得ないので古い幹を残しますが、古くなったものは数が減っても切ることになります。



つるバラの冬せん定、誘引

つるバラは原則的には今までの誘引をすべて取り外し、一からやり直します。

この作業をしないと頂芽優勢で上部だけが繁茂し、風で倒れやすくなるばかりか、新しいシュートが出にくくなります。

なお、バラの本にはつるバラはせん定、誘引は年末までに済ませる。

遅くなると幹が裂けやすく、膨らみかけた芽を欠きやすいと書いてあるものが多いが、避けやすいのはバラの品種の特徴であり、早めにやっても裂ける品種は裂ける傾向があります。

芽が欠けても替わりの芽が伸びてくるので、花数が特別減ることはありません。

遅くなっても3月上旬までに行えばよく、また一からやり直す事は必要です。

古い幹から(シュロ縄で結束)誘引していき、誘引する時には少なくとも45度以下に寝かせた角度でないと、頂芽優勢で先端の芽だけが伸長して花数がぐっと減ることになります。

幹の間隔は20cmはあけ、幹は誘引しながら先端を30cmほどカットします。

古い幹を利用するする時は開花枝を2〜3芽残して切り詰めます。

細枝を下部に配置すると開花時に、下から上まで花で覆うことができるでしょう。


一季咲きの品種は春まで花が咲かないので、新しいシュートが発生した数に応じて古い幹元から取り除いて、茂りすぎないようにすれば、病害虫の発生も軽減できることにもなるでしょう。


新しいシュートの生育具合を見ながら随時行いますが、新しいシュートは寝かせる側枝が多数発生し、また途中で折れないように随時長い支柱に数本ずつまとめて軽く結束します。


バラ特有の土壌と肥料について

田土の深土をベースに関東地方の場合は、これに山土か赤土を2割加え牛糞を多く鶏ふん、米ぬか、もみ殻くん炭、堆肥または腐葉土を交互に土に混ぜ、積み重ねて1年以上かけて作るバラ特有の土壌。

苗の植え付けの時に化成肥料を加えて使用するのが理想的で、鉢植えの場合にも利用できる。

植え付けの時期

11月から12月と2月から3月はじめまでで、寒い地方では春に行います。




バラの薬剤散布

治療と予防
バラは病害虫が多いので、定期的に薬剤を散布し予防します。

春から秋にかけては1ヶ月に1〜2回殺虫剤、殺菌剤を散布します。

✫殺虫剤=スミチオン、オルトラン水和剤など
✫殺菌剤=サプロール乳剤、ベンレート水和剤など

冬期の12月から2月頃に冬期使用限定の石灰硫黄合剤を月に2〜3回散布。

✿ポイント

定期的に薬剤を散布する事が必要であるので、薬剤散布の年間スケジュールを立てて計画的に防除!


✣病気
黒星病、うどん粉病にはサプロール乳剤の散布
この薬剤は葉やはなを汚さない。

✻灰色かび病
ツボミや花に発生
早めにベンレート1000倍液を月に2回程度散布。


害虫

✣バラクキバチ
5月から6月頃、成虫が新梢部に産卵するために傷をつける。

このため、新梢部は急に萎れやがて傷口の部分で折れてしまう。
被害を受けた部分は除去して処分する。

✫マメコガネ
バラの花はよく被害にあう。
見つけ次第捕殺、大量に発生した時はデナポン、ディプテレックスを散布。

✻チョウレンジ
ハチ類の幼虫
夏から秋にかけて多く発生する。
種類により発生回数が多少異なる。

✫対策
捕殺する。
アセフェート、マラソンや殺虫用のスプレーなど、なるべぬ早い時期に見つけて、駆除することが一番の予防。


✣ゴマダラカミキリムシ
捕殺する。
サッチューコートS(樹幹散布剤)などを塗布して防ぎます。

✫クロケシツブチョッキリ
発生時期は毎年同じ頃、4月から7月頃まで発生する。

新梢に傷をつけて産卵するために、新梢が萎れて数日後には褐色に変わり枯れる。

成虫を探して捕殺できるが素早く落下して逃げたりする。
発生が多い時には薬剤散布する。

被害が毎年出る時は予防殺虫剤を散布する。

スミチオン、ディプテレックス、オルトラン、他

バラの新規情報

室内にある鉢植えのバラに、根元から上向きに光を当てることで花が長持ちし、バラが美しく保てることが判明した。

下葉の葉は、上から照明を当てる時以上に活性化する事も分かった。

この事を利用して、鉢植えの花を照らし、リハビリ施設や病院などで人々の心を明るく、癒やすことが出来るのではないかと考えられます。



✿バラ関連記事
#バラ

◆根頭癌腫病についての記載はNo,524
「根頭癌腫病について」を参照









2021/05/23

薬剤と効果のいろいろ No,474

 様々な薬剤とその効果




1,サンケイオーソサイド水和剤80

芝生や球根の消毒、苗立枯病などに使用する。

2,サンボルドー

斑点細菌病、べと病に使用する。

3,STダコニール1000

優れた効き目の総合殺菌剤。

4,サンケイエムダイファー水和剤

草花や果樹の病気に使用する。

5,ベニカXガード粒剤

家庭園芸初の粒タイプの殺虫殺菌粒剤
病気に抵抗する強さを引き出し、植物を丈夫にする。

6,ベニカXファインエアゾール

バラの害虫と病気に使用
害虫には速効と持続、病気に浸透して予防

7,ベニカXファインスプレー

殺虫、抑制効果ロングタイプ30日アブラムシ
一ヶ月効果が続く。

8,家庭園芸用レンテミン液剤

天然成分のシイタケエキスを使用したウイルス予防薬。

9,石原フロンサイド粉剤

広い範囲の病害に優れた予防効果
土の殺菌、消毒に使用する。


治療薬、オーガニック栽培で使える薬品

病気を治療する薬剤

1,アーリーセーフ

野菜のハダニ、病気に使用する。

2,カリグリーン

すべての野菜、ハーブ、花のさび病、葉かび病に使用する。

3,ベニカマイルドスプレー1000ml

新トリガー採用で無視にしっかり付着
食品成分の殺虫殺菌剤


予防治療薬

予防と治療をする薬剤

1,GFオルトランC

広範囲の害虫と病気に使用する。

2,GFベンレート水和剤

花、樹木と野菜、果樹の病気に使用する。

3,GFモストップジンRスプレー

草花、観葉植物のアブラムシ、ハダニ退治に使用する。

4,GFワイドヒッター顆粒水和剤

野菜のべと病、疫病に使用する。
予防と治療

5,STサプロール乳剤

黒星病、うどん粉病、バラ栽培などに使用する。

6,トップジンMペースト

せん定時の切り口癒合促進に使用する。
(切り口保護剤)

7,パンチョTF顆粒水和剤

野菜のうどん粉病に使用する。

8,ベニカXスプレー

虫、病気に使用する。

9,ベニカXネクストスプレー

世界初の5種類の成分を配合した、殺虫殺菌スプレー剤。

10,ベニカX乳剤

虫、病気に使用する。

11,ベニカグリーンVスプレー

野菜の収穫前日まで使える殺菌剤
(トマト、キュウリ、ナス、イチゴ)

12,ベニカベジフルVスプレー1000ml

野菜と果樹の害虫の発生を長く抑える。
病気の予防と治療に使用する。

13,マイローズ殺菌スプレー

バラのうどん粉病と黒星病(黒点病)に使用する。予防と治療。

14,モスピラン、トップジンMスプレー

野菜、花の虫、病気に使用する。


15,兼商モレスタン水和剤

庭木、花のうどん粉病に使用する。

16,家庭園芸用トップジンMゾル

花と野菜の病気に使用する。






2021/05/22

スギ花粉症対策による無花粉スギについて No,473

 花粉の出ない無花粉スギ

スギ花粉症は昭和38年(1963年)日光市で初めて報告され、全国的に増加しました。

平成25年には国民の4分の1は花粉症といわれ
ました。

花粉症の増加の原因は、食生活の欧米化や抗菌ブームで日本人の身体の免疫力や抵抗力が弱まっているからという説もありますが、自然環境の変化も大きな要因のようである。


どこから飛んでくるスギ花粉

スギは風媒花(ふうばいか)といって、花粉を風で飛ばして受粉するので、スギなどがほとんどない市街地でも花粉が飛んでいきます。

スギ花粉は非常に小さくてとても軽く、200km以上飛んでいくこともあります。


つまり、スギ林の花粉が遠く離れた市街地まで信じられない距離を飛んできているのです。


スギは木材としても優れ、生長も速いことから戦後の昭和20〜40年代に建築木材資源確保のため、全国各地に植樹されました。

その結果、国の総森林面積の18%以上を占めるようになりました。

その面積の分だけ、これまで自生していた自然樹林を伐採した事でもある。

人間の為だけに自然を壊したという事に尽きると思う。

その中で、安価な外国産木材が輸入され、国産木材の利用が激減し、伐採して活用されることも植栽地が手入れされることもなく、どんどん生長したスギは花粉をつけるまで大きく育って行った事で、スギの花粉が大量に風に乗って市街地に運ばれその結果、花粉症になる人が増える事に繋がったのです。


その後、花粉症は大きな社会問題になりました。

東京都では対策本部を設置し、花粉の少ない森づくりを推進していますが、一度に伐採してしまうには人材や資金が不足している事や、土壌を保持していたスギの根が無くなることで、土砂崩れが起こる危険度が増す可能性があり、簡単に解決できる問題ではありません。


花粉の出ないスギを作る研究開発

1992年に富山県農林水産総合技術センター森林研究所で、✣雄性不稔の無花粉スギが見つかりました。

✣雄性不稔(ゆうせいふねん)とは、雄性器官に異常があり、正常に花粉形成ができない性質の植物のこと。

この無花粉スギを見つけられる確率は5千本に一本と言われています。

見つかったスギをもとに無花粉スギの品種開発が進んでいきます。

2004年には、神奈川県自然環境保全センターでも無花粉スギが見つかり、苗生生産を進めて2008年から出荷を開始し、年間千本ほど生産して各地へ供給し、2019年には約1212万本に増加させており、全スギ苗木生産量に占める割合は約5割となっている。

2032年までに全スギ苗木生産量に占める割合を約7割とする事を目指しています。

福井県総合グリーンセンターの林業試験部でも、無花粉スギの開発が発表され、2023年には千本程の苗木を生産できる見込みであるとしている。

また、2029年度までに2万5千本分の苗が生産できるよう、種子を供給する計画である。

無花粉スギは福井県を含め計11県で開発され、この内3県で苗木を出荷している。



「花粉が少ないスギ苗木の生産量等の推移」


各地で少花粉、無花粉のスギ品種開発が進み、今までの花粉が出るスギを伐採して代わりに少花粉、無花粉のスギを植樹して少しずつ置き換えている。

伐採されたこれまでの花粉スギは木材として活用されている。

土砂崩れの危険がある為、一度に切って植え直すことができないので置き換えは少しずつ行うことしかできない。

根を張るまでに土砂崩れが起きることもありうる。

大都市周辺のスギ林の全てが少花粉、無花粉品種に置き換わるにはまだまだ先の事だろう。

林業の人手不足も深刻な状況である。

林業従事者の減少、高齢化などにより手入れが十分に行われていないスギ林も多くある。


公益社団法人、国土緑化推進機構では「緑の募金」を募っています。


「緑の募金」とは、身近な地域や国内外の森づくりなど、様々な「森づくり、人づくり」活動の活性化に活かされます。


✣寄付先=公益社団法人国土緑化推進機構

寄付の方法=街頭、コンビニエンスストアなどの募金箱、振込用紙、インターネット、直接持参、協賛商品の購入

〒102-0093
東京都千代田区平河町2-7-4
砂防会館別館(B棟5階)

☏0120-110-381/03-3262-8457
FAX=03-3264-3974

http://www.green.or.jp/bokin/


✻後書き
現在進行系で進められているスギ花粉飛散での、無花粉スギの開発であるが、全国各地のスギ林の置き換えが全く問題がないと言う事にはなりません。

土砂崩れ、山崩れなどの問題がないような平野部での無花粉スギへの変更はよいとしても、山間地での置き換えは問題があると思います。

この問題に反対をしている人々も多いのではないだろうか!

単に、木材資源の確保のためや花粉症対策と言う問題の上では置き換えする事が良いとなるでしょう。

しかし、生きているのは人間だけではありません。
自然界に生きる動物たちや野生植物は無視されたと思います。

人里に熊などが出没するようになったのは、そもそも人間が動物たちの生活環境を壊した事が原因であるのだと思います。

もともと自生していた自然樹林を伐採し、動物たちの食生活を壊し、奪ってしまったのは紛れもない、人間ではないだろうか!

スギを植樹し自然を壊したのは人間、それが事実ではないだろうか!

本来ならもとの自然に戻して行くことが、一番のはずでなければならないのです。

この問題はとても重要で深く考える必要があります。

その中で、自然を守る運動、活動など重要である事は云うまでもありません。










2021/05/21

知っておきたい肥料の知識 ⑶ No,472

 元肥に適する肥料の種類と使い方


有機質肥料とは

動植物由来の有機質肥料は、油かす、骨粉、発酵鶏糞などがあります。


油かすとは

植物の種子や米ぬかから油を搾った後の「かす」の総称です。

主に菜種油かすが最もよく使われています。

油かすの多くはおよそチッ素5.6%、リン酸2
%、カリ1%程度含み、古くから肥料として利用されてきました。

また、肥料としての働きだけでなく、土壌の硬さや耕しやすさ、水はけや保水の程度、土の重さ、空気の通り易さ(物理性)などを改善したり、土壌微生物を増やす効果もあります。


骨粉とは

牛や豚などの動物の骨を砕いて加圧、高温蒸製した蒸製骨粉や、ゼラチン質を取り除いた脱膠(だっこう)骨粉などで、リン酸を多く含み肥料の効き方は、緩効的で残効も長く優れたリン酸肥料として使われてきたが、2000年初頭にBSE問題が発生してからは、流通量が激減し高価になったためあまり使われなくなった。

BSE問題とは、BSEプリオンと呼ばれる病原体に牛が感染し死亡する病気の一つ。

脱膠骨粉はリン酸を30%以上含んでいて、チッ素は1〜2%しか含んでいない。


発酵鶏糞とは

牛糞や豚糞に比べて、チッ素もリン酸もカリも多く含み、肥料の効果も高い有機質肥料です。

遅くまで肥料切れせず、石灰、苦土、微量要素などを含みます。

堆肥には養分供給の効果もありますが、それ以上に土中生物のバランスを整え、土壌を柔らかくし、地力の維持と保水性の良い土壌へと改良する効果があります。

元肥を施す際に一緒に入れると効果的です。

有機質肥料は使い方によって養分供給効果に大きな差が出ます。

土中に深く入れるほど、有機質の分解はゆっくりになり、土壌の表面か表面近くに有機質を使用すると、分解が早く現れ効果は短めになります。

そのため、有機質肥料を元肥として使用する場合は、土壌全体に混合するか、深い場所に埋め、追肥として用いる場合は土壌の表面に使います。


緩効性肥料とは

効果がゆっくり穏やかに長続きするように、水に溶けにくい成分を用いたり、肥料の粒をコーティングして少しずつ溶け出すように調整された化学肥料で「IB肥料」「CDU肥料」「被覆肥料」などとも表記されています。


肥料の効果がすぐに現れないため、緩効性肥料に速効性の肥料を加えた緩効性複合肥料も製造されている。

大粒、中粒、小粒に分かれている種類の肥料もありますが、肥料の粒が小さいほど効果が早く持続期間は短くなり、粒が大きいほど緩効性になり効果が長続きします。


緩効性肥料は、生育期間の長い植物の栽培に適します。

生育に必要な量を元肥に全量施し、追肥なしで栽培することも可能になります。




2021/05/20

知っておきたい肥料の知識 ⑵ No,471

 肥料の施し方

元肥の施し方には、堆肥や肥料を土地の全面にバラ撒いて耕し、土壌と肥料分をよく混ぜる「全面施肥」と種子や苗を植える所に溝を掘り、溝深くに肥料分を施す「溝施肥」があります。

全面施肥に適する浅根性植物

全面施肥は、元肥を広く浅く全面的に均一に施す方法です。

草花の苗の植え付けや、根の浅い植物野菜(果菜類)株間を狭く植え付ける生育期間が短い(葉茎菜類)などの栽培に適しています。

果菜類にはキュウリ、カボチャ、トマトなどがあり、葉茎菜類にはタマネギ、ハクサイ、キャベツなどがある。

ダイコン、ニンジン、ゴボウは根菜類でイチゴ、メロン、スイカなどは果実的野菜に属する。

浅根性の樹種はニセアカシア、ヤナギ類、エゾマツ、サクラ、他

全面施肥の方法と手順

①日本の雨が多い環境で、酸性になりがちな土壌の酸性調整と不足しがちなカルシウムとマグネシウムの補給のため、畑や花壇の全面に苦土石灰(くどせっかい)をまき、クワなどでよく耕します。

その後、1ヶ月ほど雨風に晒し土に馴染ませます。

②その後、有機質肥料や緩効性化学肥料を畑全体にばら撒き、土とよく混ぜるようにスコップなどで深く天地返しをしながら耕します。

③野菜類では畝(うね)を作ります。
花苗の場合は平らにならします。

④種子まきや苗の植え付けを行います。


土壌酸度を測定しますが、酸度計がない場合は、1㎡あたり200〜300㌘を目安に苦土石灰をまく。

尚、商品に使用量が記載されている場合は、それに従って行うこと。


溝施肥に適する深根性植物

深根性の植物や野菜、根が太く長くなる根菜類に適しています。

トマト、ナス、ダイコン、ニンジン、ゴボウなど、その他

樹種ではクヌギ、カシワ、クリ、コナラ、ケヤキ、モミ、カシ類など、その他


✻深根性の野菜には20〜30cmの深さに溝を掘って元肥を入れ、溝を土で埋めその上に畝を作ります。
苗が溝の真上にくるように植え付けると、根が溝の所まで深く伸びていきます。

✭根菜類は、種子の真下に元肥があると根が真っ直ぐに伸びず、奇形(又根ともいう)になる可能性が高いので、株間に溝を掘って元肥を施すようにします。

また種子まきは準備の後、10数日くらい経ってから行った方が、根が真っ直ぐに伸び形よく育ちます。

溝施肥の方法と手順

①全面施肥と同様に苦土石灰で土壌の酸度を調整します。

②苗を植え付ける場所、あるいは種子をまく場所に、深さ20〜30cmの苗や種子を植え付けるための溝を掘ります。

③溝の底に肥料を入れ、その上に土をかけます。

苗を植え付ける場合は、育苗ポットの土の高さと(A図)定植場所の土の高さが揃うように土を入れます。


                                    「A図」

種子をまく場合は、埋め戻してから種子をまきます。







2021/05/19

知っておきたい肥料の知識 ⑴ No,470

 施肥の時期  「元肥」

植物は生長の時期や段階によって、生長に必要な養分の種類や量が異なるため、必要な時期に必要とする成分が得られるように、肥料を施す事が大切になります。

施肥には、施す時期や目的によって「元肥」「追肥」「お礼肥」「寒肥」などがあります。

「元肥=もとごえ」は、植物の苗や苗木を植え付ける前に施します。

「追肥=ついひ」は、植物を植え付けたあとに植物の生長に応じて必要な養分を追加で与えます。

お礼肥や寒肥などは追肥に含まれます。

あらかじめ土に混ぜておく元肥は、種子から芽を出したばかりの幼苗などに、ゆっくりと緩やかに効くことが大切なので、有機質肥料をベースにした遅効性の肥料や緩効性肥料が適します。

植物の種類やそれぞれの生育段階に応じて、必要とする養分の種類や量は異なります。

施肥量は多過ぎても少な過ぎても、生長速度や実の付き具合などに影響は出ますが、有機物を多く含み団粒化した畑や花壇の土壌には、養分の濃度を調整する力があるので、厳密に計算しなくても大丈夫です。

ただし、肥料に含まれる養分は成分によって効き方が異なるので、どの成分をどの時期に与えたら良いか把握する必要があります。


                                               (A図)

✣チッ素、カリは一度に施しても流亡しやすい。
肥料成分の流亡を防ぐために、施肥してもすぐには土壌中の水に溶け出さない肥料が考え出されたのが、緩効性肥料です。

✣各要素A図参照

チッ素 (葉肥)

チッ素は1ヶ月ほどで効果がなくなるため、野菜などの収穫が目的の、生育期間が一ヶ月以上の植物を育てる場合、元肥だけでなく追肥も必要になります。


リン酸 (花肥、実肥)

リン酸はゆっくり効き、効き目も持続しますが、土の中を移動しにくい成分なので追肥で与えた場合は、成分を吸収する根まで届きません。

つまり追肥の効果が出にくい成分なのです。
そのため、リン酸は元肥で施す必要があるという事になります。


カリ (根肥)

カリは2ヶ月ほどで効果がなくなるため、チッ素同様、元肥だけでなく追肥も必要になります。





2021/05/18

ナツツバキの葉先が枯れる原因 No,469

 ナツツバキ



植物の葉が枯れる原因には、水不足、空気の乾燥、日焼け、根の障害、薬害、肥料過多、病害などがあります。



葉先が枯れる場合は根の障害が多く考えられます。

それは結果として水分不足となるためです。

土が乾燥したり、固まっていたり、根が切られているなど土壌条件が悪いと、根の酸欠や根傷みを起こし十分に水を吸うことができなくなるからです。


         「ナツツバキの葉先が枯れている状態」

このような場合は、根が呼吸したり、水を吸い上げる活動ができるように、バールなどで土壌に穴をあけ、乾燥時には十分水やりをします。

その他に、似た症状として考えられるのは薬害です。

この場合は葉の縁が枯れて縮むようになります。

ナツツバキの生育地は山中の湿気の多い場所で、葉質は薄く強い日差しや乾燥にも弱く、また西日の当たる所もよくありません。

樹種の性質にあった管理が大切です。


✣関連ブログ
ナツツバキが発芽しない  No,158
ナツツバキNo,254






2021/05/17

国際生物多様性の日 No,468

 国際生物多様性の日

「国際生物多様性の日」とは、1992年5月22日に生物の多様性を守るための国際条約で、「生物多様性条約」が国連会議で採択され、これを記念して国連は毎年5月22日を「国際生物多様性の日」と定めました。

地球には3.000万種とも言われる多様な生き物がいます。

2010年5月22日の国際生物多様性の日で、生物多様性の大切さが話題になったその中で「多くの植物種が絶滅の危機に瀕しており、それらの植物を守らねばならない」と語られた。

しかし一方では「なんの役にも立っていそうにない植物を守らなければならないのか」という疑問もでてきます。

この疑問に対しては様々な答え方があります。

なぜ絶滅しなければならないのかという疑問になれば、人間が行ってきた自然の破壊について反省を促す事は一つの答えです。

また、人間と繋がりが見えている植物たちは「役に立つ」と表現されますが、繋がりが見えない植物は「なんの役にも立っていない」ということになります。

自然界の中には、まだまだ人間が知らない繋がりがある植物が多くあり、その繋がりを知るためにも人間が植物たちの生き方をよく勉強し、また研究することが大切なのだというもう一つの答えがでます。

なんの役にも立っていそうにない植物たちが、思いがけずに役に立つと言うことを実際に示し、納得を得ることも必要になります。


「思いがけずに役に立つ植物」

「ハイブリッド」という言葉がありますが、ハイブリッドとは混成や雑種を意味します。

植物にもバラなど「ハイブリッド品種」がありますが、ある品種とそれとは別の品種を交配すると、ハイブリッド「雑種」になった種ができます。

この種をまくと交配した両方の種よりも素晴らしい性質を発現することがあります。

例えば、その性質は植物体が大きかったり、病気や環境に対する抵抗性が強かったり、美味しい果実を多く付けるなどがあります。


植物の世界では交配する事によって、様々な現象が起こるのです。

自然界でも突然変異、変種と言ったものも同じような現象が、自然環境の中で起きたからだと思います。

必要と考えられない植物たちが交配をし、必要とされる植物に何かしらの良い作用をもたらす可能性は否定できません。

よって植物の持つ多様性を保護することは重要となる。


「役に立つ植物の生きる仕組み」

1948年、スイスの✣ジョルジュ·デ·メストラル氏(氏については後記に記載)が犬と野原を散歩したとき、服や愛犬の毛にしつこくひっついている実に気付きます。

「なぜ?これほど頑固にひっつくのか」と思い、その実を顕微鏡で観察しました。

すると実にはたくさんのトゲがあり、その先端が釣り針のように鉤型に曲がっていました。

曲がったトゲの先端が服や犬の毛に引っかかって剥がれにくいのです。

この発見がきっかけとなり、張り合わせるだけでひっつく「マジックファスナー」や「マジックテープ」が生まれました。

この植物は野生のゴボウ」で、日本では野生のゴボウの実はあまり知られていないことや「オナモミ」が同じ構造をしていることから、オナモミの実がヒントになって生まれたと言われています。


                                「オナモミ」

オナモミ

オナモミはキク科の一年草で絶滅危惧種に指定されている。

ひっつき虫と呼ばれるが、我がふるさと五島列島、住んでいた地域では「トツコ」と呼んでいました。

この実を日干しにすると蒼耳子(ソウジン)と言う生薬になり、解熱、発汗、鎮痙剤(ちんけいざい)として風邪を引いた時の頭痛や鼻炎、蓄膿症、リウマチに対する効能があります。

漢方ではソウジサン」という処方に使われている。


✣ジョルジュ·デ·メストラル

スイスの電子工学者であり、面ファスナーを発明した。

(1907〜1990年没)

ファスナーへの応用を考えて1948年に研究を開始した。

その後1951年に特許出願し、1055年に認定された。

1952年にはスイスにVelcro  S.A.が設立され、面ファスナーを生産する一方で、各国企業に
ライセンスしたり現地法人を設立したりして、ベルクロの名で生産された。

日本では日本ベルクロ、現在のクラレファスニングとYKKをはじめとした会社で製造されている。







2021/05/16

トベラ No,467

 トベラ トベラ科 常緑樹

別名=トビラノキ  「扉」

本州四国、九州、沖縄、朝鮮半島、台湾、中国の沿岸地域に分布

節分に戸口にさして鬼祓いした風習から、扉の木、トビラ、トベラと変化した名である。

枝葉を切ると独特の悪臭を発散する。
枝葉や根を焼くとさらに悪臭が強くなることから、かまどで炊くのを嫌う。

かまどの神(荒神様=台所の神として祀られる)も嫌うということから、地方によってはオコウジンキライ(御荒神様嫌い)と呼ばれている。

海岸地域に生え、高さ3㍍程になる常緑樹で、葉は厚く光沢があり縁はやや裏側に反る。

枝先に5弁の花をびっしりと咲かせ、花は咲き進むに従って白から黄色へと変化する。

枝や葉には独特の臭気があるが花には良い香りがある。

香りをどのように感じるかは、国々で千差万別である。
例えば、悪臭と感じる国もあれば良い香りと感じる国もあると言うことです。

沖縄にはよく似た「リュウキュウトベラ」が分布しているが、リュウキュウトベラは小笠原諸島に分布する白トベラの変種に当たり、葉が大きく花柄が長いと言う特徴がある。



                            「リュウキュウトベラ」



暖地性の植物で、根の性質が粗く乾燥を嫌うことから移植には向いていないので苗から育てる。

どうしても移植が必要な時は、半年以上前から根切り(根まわし)をして、細根を株元に出させてから行います。

時期は寒さの心配がなくなる4月中旬から5月頃に行うのが適しています。


                                       「トベラ」

病害虫

カイガラムシとアブラムシの発生がある。

これらの害虫は、樹勢を衰えさせるので注意が必要です。

すす病の発生の原因は、カイガラムシが養分を吸汁した後の排泄物によりすす病を誘発しますが、それだけではなく病気発生の原因にもなるので、こまめに発見し駆除する事が大切です。

予防として、冬期の1月から2月に機械油乳剤20倍液の散布が効果的です。

尚、機械油乳剤や石灰硫黄合剤は冬期使用限定薬剤ですので、それ以外の使用は禁物です。
薬害の原因になりますので使用期間を厳守しましょう。


また、害虫の発生する春以降はスミチオンやオルトラン水和剤を、葉や幹などに散布し害虫退治を行います。


生育、環境

萌芽力があまり強くないので、刈り込み仕立てには向かない樹木ですので、自然樹形で育てた方が無難です。

雌雄異株で5月から6月に白い花を咲かせ、秋に球形の実がなります。

11月頃に実が裂けて赤色の種子が出てきます。
繁殖する場合は実生で、この種子を翌年春になってから種まきし殖やします。


肥料

2月と9月の年2回、化成肥料と油かすを混ぜ根元にばらまきます。

肥料を直接地面にばらまく時は、その木の枝の伸び具合を観察し、枝の先端の真下辺りと、その枝の伸びた真下辺りまでばらまきます。

たいていの根が真っ直ぐ下に伸びる「直根性」の樹種の場合は、移植を嫌うことが多いので根元にばらまくだけでよいでしょう。


せん定

自然樹形で育てるので、7月から8月に徒長枝やとび枝をせん定しますが、どちらかというと樹勢が弱い木なので強いせん定は避けます。

枝が大きく乱れる場合は、枝を切り詰め、根まわししてから植え替えを行い育て直します。


トベラの薬効

解毒作用、生理不順、皮膚病などに用いる。
寄生性の皮膚病には枝葉を突き潰して患部に塗布、あるいは煎液で患部を洗う。






2021/05/15

カナメモチ No,466

 カナメモチ  バラ科 常緑樹

別名=アカメモチ  「要黐」

原産地=本州(東海地方以西)四国、九州
中国南部、東南アジア

アジアとアメリカに60種ほど分布し、日本には3種が自生する。

山地の斜面に多く、乾燥した尾根筋や沿海地、沢沿いにも自生する。

名前の由来は、モチノキに似ていて材が扇の要に使われたからとする説があるが、異説もあるようだ。

新葉が赤く美しい事からアカメモチの別名がある。

自生の樹を見る機会は少ないが、ヒョロヒョロ伸びて高さ5㍍程になる。

「枕草子」に出てくる「ソバノキ」は本種のことで、花をソバの花に見立てたものと言う。

寒さにあまり強くなく、根が粗くて細根の少ない樹である。

日当たりのよい乾燥しない土質を好み、やや暖地性で一般に生け垣として利用されていますが、刈り込みも強いので色々な仕立て方ができる。

しかし、寒さには弱いので関東地方より北では生育は困難です。




病害虫

褐斑病(かっぱんびょう)が発生する。

病気になると、葉に淡褐色の斑点が現れ次第に大きく広がり黒ずんできます。

褐斑病は春の異常低温や長雨など、気象の変化が激しい時などに発生しやすい病気です。


新葉の色が赤色のため見つけにくいですが、よく観察すると小さな斑点がポツポツと出てきて、次第に大きく広がり重症になると葉が黒くなり枯れてしまいます。

予防対策として、ベンレート水和剤を新芽の伸びる時から、月に1〜2定期的に散布します。

害虫はハマキムシが発生します。

ハマキムシは体を新葉でくるりと包み込むように巻いて、その中に潜み新葉を食害するので葉の全体をよく観察して、一匹でも見つけたら必ずほかに何匹もいるので要注意の害虫です。


アブラムシも新葉の伸びている柔らかい部分に固まって発生します。


ハマキムシはオルトラン水和剤を散布します。
発生期間が長いので、春から秋まで定期的に葉を中心に薬液をかけるようにします。

アブラムシ類にはオルトランのほかにスミチオンも利用できます。

植え付け、移植

垣根に新しく植え付ける場合は、ポット仕立ての苗を購入し、スコップで植え穴を掘り腐葉土をよく混ぜて、2年生の苗なら約30cm間隔くらいで植え込みます。

また、長年植えたままの樹を移植する時は前年に根切をして、細根を出させてからでないと上手く活着しません。

この場合、腐葉土類をすき込んで大きめの植え穴に水を、たっぷり入れてから植え込みます。
(水ぎめ法)

枝葉は全体に切り詰めておきましょう。
植え付け、移植時期は4月から5月頃が適しています。


肥料

2月頃に鶏ふん又は油かすに骨粉を2〜3割混ぜて埋め込むか、リン酸カリ分の多い化成肥料を根元に穴を掘って埋め込む程度で十分です。

多過ぎないように注意します。


施肥の注意点

樹木に肥料を与える時には、分量や与える場所に注意が必要です。

肥料は植物の根を通して樹全体にその栄養を送り込みますが、肥料の成分が多過ぎたり強過ぎたりすると、肥料焼け(負け)を起こします。

そうならない為にも、適量の肥料を最適な場所に与えるようにしましょう。


せん定

樹形が出来上がっている樹や生け垣は、新梢の伸び具合を見て軽く頻繁にせん定を行うようにします。

また、古い生け垣で下枝が枯れ上がって見苦しい場合は、全体を深く切り取って新芽を発生させます。

新梢の赤い葉を年に2回楽しみたい時は、3月下旬に一回と8月下旬に一回の年に2回、刈り込みをするとそれぞれ美しい葉色が出て楽しむことができます。


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2021/05/14

ヨモギ No,465

 ヨモギはキク科の多年草  

「艾、蓬」ヨモギ属

日当たりのよい野原や道端などに群生し、初秋に地味な花をつける。

風媒花のため多量の花粉を飛ばす。

春の若芽は食用になり天ぷらにして食べても美味しい。

餅に入れられることから別名「モチグサ」とも呼ばれる。

お灸の艾(もぐさ)、漢方薬の原料になるなど利用価値がある。

ヨモギは約400年前の中国漢方生薬のバイブルである「本草綱目」にも記載されるほど薬効も他よりはるかに優れている。

冷え症に効果があることから、古代より婦人科薬として使用されていました。

「日本薬局方」にも民間薬として記載されており、公的にもその効能は認められている。


日干しにすることで艾葉(がいよう)になります。
ガイヨウはヨモギの葉や枝先を乾燥したもので、漢方的には止血、止痛の効果があり、食欲不振や冷えによる腹痛、出血、流産の予防などに用いられます。

沖縄でヨモギは「フーチバー」と呼ばれ、野菜や薬草として考えられていて、風邪を引いた時に雑炊(ぞうすい)にして食べるようです。

ヨモギは薬酒や薬草風呂、化粧品にも使われています。

陰干ししたヨモギと砂糖をホワイトリカー(焼酎)に一ヶ月漬けるとヨモギ酒になります。

ヨモギ酒は咳止め、痰(たん)切り、止血の効果があるとされています。



薬効の基本は、緑色でわかるクロロフィル(葉緑素)にあります。

クロロフィルには殺菌作用、身体の免疫を強くする✣インターフェロン増強作用があります。

✣インターフェロン(サイトカインの一種)

動物体内で病原体や腫瘍細胞などの異物の侵入に反応して、細胞が分泌するタンパク質のこと。


医薬品としては、ウイルス性肝炎等の抗ウイルス薬として、多発性骨髄腫等の抗がん剤として用いられている。



更に皮膚疾患、火傷などの回復促進作用悪臭を防ぐ働きなどもあります。

また、カルシウムも豊富なのでカルシウム不足からくる自律神経失調症、不眠、イライラなどを沈静化される効果も出てきます。

腰痛、関節痛は冷やす事が禁物ですが、ヨモギには精油が含まれているので、ヨモギ風呂にして入浴すると血液の循環がよくなり、汗もよく出て身体も温まり、腰痛や関節痛、肩こりによく効くということです。

お湯は捨てずにまた熱くして入浴すると、一層効果的です。

皮膚病にも効果があり、しみ、ニキビ、白髪、ふけ症、イボなどの改善症例の報告も多い。

ヨモギは日干しより陰干しの方が精油を逃さない。


✿ヨモギ茶の作り方

最も葉の勢いのある5月から6月頃の若葉を摘み取り、水洗いして水切りした後、細かく刻んでザルに入れ、風通しの良い場所で一週間程日干しする方法と、日向に2日〜3日干し、そのあとフライパンでから炒りすると、香りが引き立つ。



急須にヨモギ茶を入れ、熱湯を注いで飲むか、大さじ3〜4杯を約600ccの水に入れ、1〜2分沸騰させ茶漉しでこして飲む。

漢方薬だけにそのままでは香りなども強い。
飲みづらい場合はハトムギなどを入れると飲みやすくなるほか、はちみつを入れたりブレンドして飲んでもよい。

ヨモギ茶は乾燥剤などと一緒に密閉容器で保管する。

                              「乾燥中」


医学的に検証されている効能

アトピー性皮膚炎、アレルギー、胃炎、胃痛

胃弱、腹痛、イボ、うおのめ、たこ、おでき

吹出物、ニキビ、ガン、白血病、関節痛、腰痛

高血圧、しみ、そばかす、白髪、育毛、神経痛

心身症、ノイローゼ、心臓病、頭痛、ぜんそく

ダイエット、脳卒中、脳梗塞、動脈硬化

皮膚炎(かゆみ、湿疹)フケ、かゆみ、老化防止


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