ヤマグルマ
ヤマグルマ科 別名=トリモチノキ
✻分布地
本州(山形県以南)四国、九州
沖縄、朝鮮半島南部、中国南部
台湾
ヤマグルマは常緑広葉樹の1属1種山形県以南の岩場や急な斜面に自生する。
植栽への利用としては北海道南部以南です。
名前は、葉が枝先に車輪状に集まって付くことに由来し、樹皮から鳥もちを作っていた事から「トリモチノキ」とも呼ばれる。
普通の被子植物は道管と仮道管を持っているが、ヤマグルマ科は道管を持たず、仮道管だけで水分を運ぶ「無道管被子植物」として知られている。
無道管被子植物は、裸子植物やシダ植物と同様に仮道管だけを持つ。
被子植物のうちでも原始的な仲間であると考えられている。
静岡県中伊豆町天城山中の、登山道の脇にある急斜面の岩場に生育するヤマグルマは、根が大きな岩を掴むように張り、幹は立つと言うより大枝ごと曲がりながら、ほとんど水平の方向に伸びている。
幹の直径は1㍍をゆうに超え、巨樹によく見られる独特のうねりがあります。
常緑樹の中では「アオキ」と同様に耐寒性が強いので、常緑広葉樹の少ない地方では利用したい樹種の1つである。
南の島では大木になるものが多く、太さが1㍍を超えるものも珍しくない。
樹皮は老木になるとコブ状のゴツゴツとした木肌となる。
花は黄緑色だが、多数が穂のように咲くのでよく目立ちます。
✻ヤマグルマ(屋久島)
屋久島では、沖縄のガジュマル、五島列島のアコウ同様に、「絞め殺しの木」として知られる。
屋久島は、ブナ林のような落葉樹を主とした、森林になるような気候である。
だが、屋久島ではブナの木が見られず、屋久杉と常緑広葉樹のヤマグルマが優勢で、冬も緑の森が広がる島です。
屋久島では「倒木更新」と呼ばれる現象で、光が当たりやすい倒木の上に若木が成長していく。
老木ばかりで死に絶えてしまう様な事はなく、世代交代が繰り返されて森林が維持されている。
60mを超える風や、1日1000ミリもの雨が降る事もある屋久島では、倒木や土砂崩れが頻繁に起きます。
災害と言える森林破壊ですが、この現象(倒木更新)が若い命を生み、森林生態系を作り出しています。
江戸時代に伐採された切り株も多く、その切り株から次の世代の屋久杉が生まれている。
この現象は「切り株更新」と呼ばれているものです。