ガマズミ スイカズラ科 落葉低木
別名=ヨウゾメ、ヨシズミ
「莢迷」
原産地=日本、朝鮮半島、中国一帯
日本では北海道南部から四国、九州に至る全国の原野や低山地に幅広く分布し、雑木林や林縁に多い。
5月から6月にかけて、多数の可憐な白色小花が傘状に付く、★散(繖)房花序を形成する。
★散(繖)房花序=さんぼうかじょ
花軸につく花の柄が、下部程長く上部は短いため全体がドーム状になる。
葉は広い卵形で長さ10㎝以上と大きく対生する。
葉の両面に毛が生えているのも特徴で、触るとザラッとする。
10月頃から12月にかけて、球形の果実が一斉に結実します。
果実は最初、鮮紅色で次第に暗褐色に熟して行く。
自生種は林の奥深い所よりも、人里に近い林縁付近の明るい場所を好んで生育するため、人目を引きやすく古くから庭木や道具材などに、幅広く利用されていました。
樹高が2~4㍍と低く、扱いやすいことから初夏の花、晩秋から冬にかけての紅葉と色鮮やかな果実など、四季を通じて楽しめることから、鑑賞木としての価値は高い。
果実が赤くなる頃に葉もわずかに色づくが、時に真っ赤に色づくこともある。
赤い果実は、霜が何度か降りると透明になり、白い粉をふいたようになると、やわらかくて食べ頃となり、地方によっては食用にもされた。
昔の子供たちはおやつ代わりに食べたので、そんな記憶を持つ人もいる事でしょう。
味は甘酸っぱい、各地の山野にごく普通に見られるので、ヨシズミ、ヨソゾメなどの地方名も多い。
名前の由来には諸説あり、神つ実(神の実)の転訛で昔は果実を冬の神前へ供えたとする説や、果実を衣料などの染料に用いた「別名ヨウゾメ」ことから、「染め」が「スミ」になったとする説などが有力です。
ガマズミの果実は生食にする他、リキュールに漬けると美しいピンクの果実酒になります。
木材は堅く丈夫で、杖やハンマー🔨(金づち)の柄などの材料として利用されています。
ガマズミには同属の近縁種が多く、日本だけでも30種以上あると言われています。
※特に園芸品種で親しまれて居るのは果実が黄色い「キミノガマズミ」
※淡紅色を帯びた白色でほのかな芳香のある「チョウジガマズミ」
※葉の大きい「オオバチョウジガマズミ」
※花数、枚数ともガマズミより少ない「オトコヨウゾメ」
※ガマズミよりやや高地に自生し、北海道中部でも生育可能な「ミヤマガマズミ」などがあります。
◉生育管理、環境
日当たりを好みますが、一日中日の当たる場所より半日くらいの日の当たる、強い西日が当たらない場所がより適しています。
水はけがよく腐植質に富んだ土が理想的ですが、土質は特に選びません。
極端な乾燥は嫌いますが、適度に湿った土からやや乾燥した土までよく育ちます。
(ガマズミの花)
◆植え替え、移植
植え付けは植え穴をやや大きめに掘り、根元にピートモス、完熟堆肥などを敷いて植え付けます。
ガマズミは比較的根が粗いので、植え鉢の土を崩さないように丁寧に扱うことと、乾燥を避ける事が大事です。
また、必要に応じて支柱を立てるようにします。
植え付けの適期は落葉期の2月~3月または、11月下旬~12月です。
活着してしまえば丈夫でほとんど手のかからない樹種です。
移植は11月下旬から12月と2月から3月
◆肥料
極端な痩せ地でない限り、肥料はほとんど必要ありません。
樹勢が弱い場合は、2月頃に油粕、骨粉を混ぜた有機肥料を一握り程度株元にまきます。
◉せん定
放任しても株立ち状によく樹形がまとまります。
萌芽力は強い方ですが強せん定は好みません。
自然樹形で育てるのが一般的です。
徒長枝やひこばえを整理して、3本立ち程度にして株元をすっきりさせるとよいでしょう。
花芽は枝の基部に近い短枝につきます。
せん定は12月から2月頃に、徒長枝や樹冠内部の混み枝を間引く程度にとどめ、枝の途中で切らないことが大事です。
花後は特に手を加える必要はありません。
★殖やし方
晩秋から冬にかけて熟した果実をとり、果肉を落として湿った砂などに入れて低温貯蔵します。
翌春、暖かくなり始める3月に蒔き、乾燥に注意して半日陰で管理します。