緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2018/11/01

どうして植物は病気になるの? No,16

病原菌は寄生者


病原菌は自分で栄養分を作り出すことができないので、他から摂取する必要があります。

病気の発生とは、菌が侵入し植物の栄養分をかすめ取っていることです。

ある菌が特定の植物に対してのみ寄生できたのは、長い進化の歴史の中で、菌が植物に侵入できるようなシステムを獲得した結果と言えます。

また、この菌が別の植物には病気を発生させることができないのは、菌の侵入を阻止しようとする植物の抵抗反応を打ち破ることができなかったからです。

菌と植物の間には、侵入とそれを感知するそれぞれの遺伝子レベルの関係があります。

植物は菌に侵入されない(病気にならない)ものが生き残ってきており、野生種が病気になりにくいのはこのためです。


品種改良と耐病性の低下


しかし、人類が美味しい野菜、果物などを作り出すために交配を繰り返すうちに、気付かずに病気に弱い遺伝子を組み込んでしまうこともあり、極めて病気に弱い品種が多くなっているのも事実です。

病害虫防除のために薬剤の散布が多く必要になっています。

当然ながら病害に強い「抵抗遺伝子」を組み込んだ品種も作られています。

菌が植物体へ侵入する仕組み


侵入できる菌は植物に異物であるという認識をされないような遺伝子を持っています。

菌は菌糸の先端に付いた付着器(侵入するための器官)から、植物細胞を貫通するための細胞壁分解酵素を出します。

その後、菌は植物が衰退するような毒素を作り、これを植物体へ注入します。

植物には斑点が出たり萎凋(いちょう)するなどの症状として現れます。

★ここで植物は急激に衰退し、菌が蔓延し、病気の発生という状態になります。

菌はこれらの毒素のほかに植物ホルモンを出して「こぶ」を作ることもあり、こぶ病やがんしゅ病を発生させます。


◉菌に対する植物の抵抗


植物組織の表面のワックスが最初の防御の砦になります。

これが打ち破られ菌が侵入すると、菌を認識した植物の遺伝子システムが動き出しフェノール性化合物、タンニンなどの抵抗性物質を出し、菌を撃退します。

◉植物はこのような防御反応で菌に対抗して病気にならないようにしているのです。



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