庭全体のバランスを考える
たくさんの花が咲いても、実が着いても、庭の景色に合わない樹形になってしまっては、庭というものは駄目になってしまいます。
そうは言っても、花木や果樹を植えてるのに、花も実も着かなくて良いという事はありません。
庭の楽しみの一つとして、花木、実物類のせん定は一本の花木、果樹ではなく庭を構成している景色の一部であるので、第一に考えるところは樹形です。
せん定の時期(花物)
造園業者や植木屋は“花物は花後にすぐせん定すれば来年も咲くよ”などと言いますが、樹種によりせん定時期が違うものがあります。
樹種によっては休眠期間中であれば、どの位置で切っても開花します。
モクセイ、キョウチクトウ、サルスベリ、ムクゲ、フヨウなどがその樹種です。
その他の樹種は開花後のせん定で構いませんが、安全に行うなら休眠期間中に花芽がはっきりと確認できるものは、その期間中にせん定を行えば花芽を残すことができます。
樹木を大きくしないためのせん定
花木のせん定は、休眠期間中に行うのが一番良い方法のように思われますが、毎年この方法でせん定していると、花芽をなるべく多く残したいためにせん定する枝量が少なくなり、年々木が大きくなり、庭に対しての樹木の大きさがバランスの悪いものになってしまいます。
そこで必要となるのが、樹を大きくしないで花も見る方法として、開花後のせん定となります。
早春の花木は休眠期せん定
早春に開花するウメやコブシ、ハクモクレンなどは、樹形を乱す徒長枝には花芽がつきにくいので、休眠期間中に樹形を整えるせん定をする場合が多くあります。
花後せん定
花木は透かしせん定
サツキ、ツツジ類では刈り込みせん定と、透かしせん定の二通りの方法がありますが、花木には透かしせん定が有効ですが、庭でも公園や街路でも刈り込みが多いと思います。
公園や街路のサツキやツツジはよく花が咲くのに、庭のものは咲かないと思う事も多い。
サツキやツツジは陽樹であるにも関わらず家の北側や、狭い庭の中で中高木の側に植えられ、日照不足で花が咲かない場合が多いと思われます。
こんな時は毎年刈り込んている輪郭線から伸び出た枝を輪郭線よりも低く奥で切り、透かしせん定します。
頂芽に花芽をつけるサツキやツツジ類は、こうすると輪郭線に残る枝は先端部を切らないので、花芽をつけやすくなります。
その他の花木せん定
樹冠輪郭の内側奥に突き出した枝を切り、輪郭線付近の枝は濃淡を均一にするだけに止め、切り過ぎないようにします。
そうすると頂芽や側芽、短枝など、花芽のつきやすい部分が切られずに多く残るので樹形も整う。
開花直後のせん定でも、枝の先端部を全部切られてしまう刈り込みせん定よりは、透かしせん定の方が先端を切られない枝が多く残るので、花芽もつきやすくなります。
せん定(実物)
花物と同じく、花を多くつけ実をつけされる。
実物類のせん定も花物と同様のせん定を行います。
花が咲かなければ実もつきません。
樹種によっては花が咲いても実がつきにくい樹種もあります。
「雌雄異株」の樹種で、雌木と雄木が別株の場合は、一般的に市販されているのは雌木が多く、少しは活着しますが着かないことが多いので、近くに雄木を植えると良いでしょう。
「ヤマモモ」も雌雄異株ですが、この木の場合は植木屋が扱うのは殆どが雄木であるため実がつかない。
「雌雄同株」は雌と雄を一つの株で持っているので、開花すれば結実するのが当然と思われますが、結実しにくい品種もあります。
このような場合は、近くに同じ品種のものを植えても結実しません。
樹種は同じでも品種の違うもの、花粉が多い受粉樹として向いている品種、更に開花時期が同じ品種でなければ意味がありません。