胴枯病 (病原体はカビ) 枝枯病
枝枯病は、枝が枯れる病気を指すのに対して、胴枯病は幹が枯れる病気の総称です。
胴枯れ、枝枯れ性病害は2つの型に大別される。
病気の初期段階では症状が現れないが、病気が進行すると樹皮に暗褐色の病斑が現れます。
病斑部はやわらかくなり指で摘むと簡単に剥がれる。
更に、病気が進むと病斑が褐色に変わり、小さな突起物が現れます。
この突起物は病菌の繁殖器官です。
発生時期は6月から10月
病菌は害虫による傷口、せん定などの切り口、寒害や日焼けによる裂け目などから入り込みます。
この病気は樹が若いうちは少なく、樹齢が進んだものほどかかりやすくなります。
感染経路は、繁殖器官で作られた胞子が、風や雨、虫の体などに付着して運ばれ感染します。
また、樹の手入れに使うノコギリの歯から感染することもあります。
この病気に対しての薬剤などを使った直接的な治療法は見つかっていません。
病斑部は出来るだけ深く削り取り、せん定による切り口、傷口などにトップジンMや石灰硫黄合剤を塗りましょう。
乾いたら墨汁や接ぎロウなどを塗って予防します。
せん定のし過ぎなどによって幹を傷つけないように注意し、幹に傷をつける樹幹害虫を見つけたら駆除しましょう。
サクラ胴枯病
大、中径木の樹幹や太枝で特に枝の分岐した部分で発生します。
はじめ樹皮の一部が突起し、内部は褐変腐敗するが、のちには乾燥して陥没する。
樹勢が旺盛な場合は、夏に患部周囲に融合組織を生じて癌腫状になるが、衰弱した樹や小枝では患部が枝幹を一周して上位部がしぼんで枯死に至る。
やや大きいイボ状の突起物が形成されたものは子のう殻の状態で越冬して、伝染源となって春から秋にかけての降雨の後に、子のう殻内の胞子を放出して風媒伝播を行う。
病原菌は糸状菌の一種で、サクラ類の他にモモ、ウメの癌腫病やヤナギ、ハンノキの腐らん病を起こす病原菌でもある。
防除法
晩秋から早春にかけて被害による枯死枝を切除、焼却処分する。
患部が幹や枝の一部であれば、少し大きめに健全部を含めて患部樹皮を削り取り、切り口からの材質腐朽菌の侵入防止と癒合促進のために、硫酸オキシキノリン剤、チオファネートメチル塗布剤を塗布する。
モミジ、カエデ類の胴枯病
樹幹や枝梢に発生し、はじめ小枝に暗褐色の病斑を生じるが、次第に太枝に拡がってやがて幹全体が枯死に至ることがある。
枯死した樹幹の表面には多数の小さな突起物を生じる。
この突起物から白色または淡黄色のヒモ状粘塊物を噴出する。
患部の樹皮を剥がすと、材の表面には白色不定形の斑紋が確認できる。
病原菌は3種の胴枯病菌が関与しているが、主にヤマモミジ系の栽培品種に多く発生する傾向があります。
いずれの病原菌も患部に形成された子のう殻、柄子殻(へいしかく)の状態で越冬して、翌年の伝染源となる。
患部は被害が大きくならないうちに健全部も含めて大きく削り取り、傷口にはチオファネートメチル塗布剤を塗って拡大防止を図る。
重症被害樹は放置しないで、早期に伐採処分を行って、伝染源を排除する事が重要です。
イチジク胴枯病
枝、幹に発生し、はじめは樹皮の表面に淡紅色のくぼんだ小さな病斑が生じる。
病斑は次第に大きくなり縦、横の亀裂を生じる。
太枝や幹は衰弱するだけですが、細い枝では枯死するものもある。
翌年の春に小さな黒い粒を生じ、夏になると胞子の塊を噴出して感染源となる。
オウトウ胴枯病
枝、幹に発生し、幹の途中から樹脂がにじみ出て、その部分とその上の部分の樹皮が暗褐色または赤色になります。
次第に水分が被害部から先に行き渡らなくなり、水分不足の状態になって枯れてしまう。
古い樹によく発生し、若い樹にはあまり発生しない。
防除法
病斑部を出来るだけ深く削り取り、せん定の切り口や傷口なども含め、トップジンMや石灰硫黄合剤を塗り、乾いたら墨汁や接ぎロウなどを塗って予防します。
幹に傷をつける害虫を見つけたらすぐに捕殺します。
せん定のし過ぎによって樹幹に傷をつけないよう注意します。
★まとめ
胴枯、枝枯病
樹体の衰退を招かないよう、土壌改良や肥培管理、防寒及び乾燥害対策によって樹勢を維持することが基本です。
病患部の削り取りが困難な場合はそのまま塗布剤を塗ります。
また、チオファネートメチル剤、ベノミル剤、銅製剤などを初期ら秋にかけて、降雨後を重点に樹幹や枝梢が充分に濡れるくらい散布する。
萌芽前に石灰硫黄合剤10倍液を散布し、越冬菌による感染防止を図ることも重要です。