シャクナゲ ツツジ科 常緑低木
別名=卯月花 (石楠花)
中国西南部からヒマラヤにかけての山深い地方が原産と言われています。
園芸品種は日本の高山に自生する、日本シャクナゲ(和シャク)と欧米で改良されて日本に渡った西洋シャクナゲ(洋シャク)に大別されます。
日本シャクナゲの代表的なものには
✪南畿以西、九州、四国の山地に分布するツクシシャクナゲ
✪愛知、長野、富山以西、四国に分布するホンシャクナゲ
✪山形、宮城以南、関東、甲信地方に分布するアズマシャクナゲやアマギシャクナゲ、ヤクシマシャクナゲ、ホソバシャクナゲ、キバナシャクナゲなどがあります。
いずれも高地に自生するため、平野での栽培には高度な技術を要します。
そのため「高嶺の花」として古くから園芸愛好家の憧れの花となっています。
欧米では「アルペン·ローズ」と呼ばれる西洋シャクナゲは、品種改良が繰り返され千種類以上の園芸品種があると言われています。
総じて花が華麗で大きく、色も豊富で一般家庭でも栽培が容易なため、より広く親しまれているのはこの西洋シャクナゲです。
◉生育管理、環境
栽培が難しいと言われるシャクナゲですが環境がきちんと整っていればよく育ちます
開花時期は5月〜6月
基本的には午前中に日がよく当たり午後は日陰になるような所が最も適しています。
シャクナゲは西日を嫌う性質を持っている
ため、強い日差しが一日中当たるような所は生育に適しません。
また、乾燥を嫌うので冬場の北風が避けられるような所で栽培することも大切です。
他の樹木や植物の間に植えるのも
他の樹木や植物が蒸散した水分によって湿度が上がるので良い方法です。
根が浅いので乾燥する季節には敷き藁などで乾燥を防ぐ事も必要です。
✿植え付け、植え替え
2月中旬〜3月、9月中旬〜10月
土質は水はけがよく腐植質を豊富に含んだ酸性土を好みます。
赤土や火山灰質の黒土で腐植質を多く含む軽い土や、鹿沼土、軽石、ピートモスを混ぜ合わせたものなどが適しています。
植え付け、植え替えは根が細かいので根鉢を大きく取り、根についている土はある程度落として新しい土とよく馴染むようにすることが大切です。
❆肥料
寒肥として2月、花後のお礼肥として7月にそれぞれ油粕と骨粉を、等量混ぜたものを株元に蒔く程度でよいでしょう。
✪病害虫
葉枯れ病、褐斑病、カイガラムシなどが発生する場合があります。
葉枯れ病、褐斑病にはマンネブ剤などを散布します。
カイガラムシには発生期にデナポン乳剤を散布します。
越冬期にはマシン油乳剤や石灰硫黄合剤などで防除します。
✿せん定、整姿
5月、10月
放任しても樹形がよく整います。
ただし、花つきの多い種類はすべての花を咲かせると、樹勢が衰え隔年開花の原因になる場合があるので摘蕾します。
シャクナゲは花が付いている内から、新梢が伸びてその先端に花芽が分化します。
そのため、冬の間もつぼみをつけた開花枝ができる事になります。
そこで10月頃にその枝の真ん中のつぼみを取り除いておきます。
残したつぼみは翌春開花し、摘み取った後から伸びた新梢には翌年の花芽がつくので、隔年開花を確実に防ぐ事ができます。
また、花後の花柄摘みも花つきをよくするために欠かせない作業となります。
❆殖やし方
実生は採取したしゅしを冷暗所で保存し翌春に平鉢に入れた水苔に蒔きます。
ガラス板や新聞紙などをかぶせて保温し、日中はガラス板をずらして外気に慣らします。
翌年秋に水苔を切り取り、赤玉土3、腐葉土4、ピートモス3の割合の用土に植え、3年程管理した後定植します。
挿し木は5月頃に鹿沼土とピートモスの用土に挿し、冬場は日当たりの良い窓辺で管理します。