スミレ スミレ科 宿根草
別名=フタバグサ英名=バイオレット
花言葉=誠実、小さな幸せ
海辺、高原、高山、湿地、砂礫地
北は北海道から南の西南諸島まで
広く分布し、スミレが咲かない所はないくらいです。
古くから人々に親しまれてきた花
で、神話や伝説の中にも多くの逸話が残されています。
特に日本では、スミレの種類が多
く、基本種とされるものだけでも
70種余りあって、変種を加えると
100種以上にも及ぶ。
世界でも珍しい「スミレ大国」である。
世界中では、850種が確認されています。
花色はすみれ色と言われる様に、
紫色系が多い中で、変化も多く白、紫の濃淡、絞り、紅の濃淡、黄色の濃淡などがあります。
葉についても様々な形があり、葉色は緑以外に黄斑、白斑、赤斑、黒葉葉裏の紅紫などがあります。
また、株の形も様々です。
春に咲く花は結実しにくく、花後に真夏を除いて秋まで、次々と花弁の無い花(閉鎖花)を出して種子を作ります。
目に付く頃には、結実した実となって花柄を伸ばします。
始めは下向きのサヤが横向きになって、やがて上向きのなって熟すと、3つに裂けます。
それぞれの口縁(こうえん)部分で種子を締め付けて、種を弾き飛ばします。(種子散布)
それは想像以上の力で、弾き飛ばす距離は2㍍にも達します。
更に種子についている種枕と言う
脂肪分を含むコブを、アリが好み
巣に運びます。
その途中で種子は種枕から離脱し、広範囲に散らばる事になります。
アリの種蒔き?🤔
このような植物を「蟻植物」と呼びます。
閉鎖花や種子の飛散、蟻植物の3つを合わせ持つのが、スミレの面白い特徴と言えるでしょう。
植栽しやすい種類は、明るい山野、浜辺など日向を好むものや、山地の木陰や林床の半日陰を好むものの2つの仲間です。
殆どが冬から春は十分に日に当た
り、6月から9月中旬は半日陰か、日陰になる落葉樹の下などに植えるとよく生育します。
また、✻亜高山、高山帯に分布する
仲間は、栽培の難しいものが多くあります。
✻亜高山(あこうざん)とは
植物の垂直分布帯のひとつで、高山帯と山地帯との間のことで、本州中部の山岳地方では標高1700〜2500㍍に相当する。
✿主な種類
❆明るい山野や浜辺など日向を好む種
アツバスミレ、タチツボスミレ
イソスミレ、コスミレ、マルバスミレ、ノジスミレ
✺山地の木陰や林床の半日陰を好む種
エイザンスミレ、ミヤマスミレ
シハイスミレ、アケボノスミレ
オオバキスミレ
✿栽培環境
環境に応じた育て方が大事です。
環境に合えばひとりでに殖えます。
しかし、丈夫な種類でも環境が変わると大変な場合もあります。
本来、弱い植物と思って環境を考えて植えます。
肥料、消毒、植え替え、繁殖、季節の手入れなど心掛けることも重要です。
スミレは多年草ですが、株自身の
寿命は短く、同じ株を何年も栽培していると老化して枯れるので、常に株(苗)の更新をしなければ株がなくなってしまいます。
✿植え付け、植え替え
4月中旬から6月中旬の梅雨入りする前までの、花が終わった頃と9月中旬から10月中旬が適期です。
大株は枯れやすいので小株や小苗を用います。
庭などの地面から掘り上げた株は、根をよく洗い長い根や茎、多すぎる葉は半分位に取って活着率を良くします。
✿植え付け場所
植栽環境が重要になる植物です。
庭石や飛び石などに添って、自然に生える実生はよく育ちます。
石に添わせて植えたり、植えた所に石を置くなど工夫する事で、生育環境は適してくる。
このことは鉢植えにも応用できる。
✿🚰水やり
植えた時に与えれば後はまず必要ありません。
石に添わせて植えたものは、夏の乾燥でも弱りにくい。
✿肥料
栽培するスミレは原種か、それに近い品種なので多肥と濃い肥料には弱い傾向があります。
薄い液肥と暖効性の肥料が適しています。
春の花後と秋に1回マグアンプKな
どを置き肥し、追肥は植え替え直後と夏を除き、ハイポネックスの
2000〜3000倍液を2ヶ月に1回程
施します。
✿病害虫
✻害虫
葉ダニ、アオムシ、アブラムシ
ヨトウムシ、ナメクジ、ネセンチュウがつくことがあります。
オルトランなどで駆除します。
✿病気
ソウカ病が発生する事があります。
葉柄に白いブツブツができます。
ダイファー、ダコニールの混合液
500倍液の散布で防除する。
✿殖やし方
完熟種子は初芽がしにくく、長期間経って発芽します。
採りまきにすると初芽がよく、サヤが上か斜めの上の部分で色が、緑色から白色の時に採取し、すぐにまきます。(2月〜3月、7月〜9月)
種蒔き床は清潔な土を用い、覆土はタネが隠れる程度とします。
一週間程で発芽します。
本葉が出たら液肥を10日に一度与え本葉が3枚で1回目の移植をします。
移植後は半日陰で、その後は成株同様に管理し9月中旬に庭や鉢に
定植すれば翌春には開花します。
✫その他
根伏せ、株分け、葉押しで殖やします。
❆葉押し(下図)
スミレ、エイザンスミレなど、地上茎のないグロープで成功率が高い
図①托葉
図②約一ヶ月で発根したら、葉柄を残して葉を切る。
図③切る
図④不定芽が出る。