ネズミモチ 「鼠黐」モクセイ科
別名=タマツバキ、テラツバキ常緑広葉樹
原産地=日本(九州、四国、関東以西、沖縄)
中国、朝鮮半島一帯
ヨーロッパにも同種の自生種が見られる。
樹高は5~7㍍程で6月頃、枝先に円錐花序を形成し、長さ5ミリ前後の筒状の白色小花を多数咲かせる。
萌芽力が強く、よく枝分かれすることから、主に暖地の生け垣、公園樹などに幅広く利用されている。
卵形の葉はなめらかで、短い葉柄があり対生する。
花、葉ともほのかな香りを放ちます。
10月から12月にかけて、長さ1㎝前後の楕円形の果実が紫黒色に熟し、果実の表面は白い粉をまぶした様になっている。
この果実が地表に落下した様子が、ネズミの糞に似ていること、葉がモチノキの葉に似ている事から「ネズミモチ」と名付けられました。
10世紀中期頃の「★和名抄」と言う書物にネズミモチが薬用樹として利用されていたとする記述があり、古くから薬用として用いられていた事が分かります。
★和名抄とは和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)の略称。
平安時代中期(承平年間=しょうへいねんかん、931年~938年)に作られた、意義分類体の辞書の事。
約2600の漢語を分類し、その文例、語訳を★漢籍から引用して、★割注で★字音と★和訓を示す。
★漢籍=かんせき(中国の漢文書物)
★割注=わりちゅう(文章の途中に小さな文字で入れる注釈、二行にする事が多い)
★字音=じおん(特に日本に伝わって国語化した漢字の発音)
★和訓(倭訓)=わくん(漢字に固有の日本語を当てて読む事、その読み方)
★漢籍=かんせき(中国の漢文書物)
★割注=わりちゅう(文章の途中に小さな文字で入れる注釈、二行にする事が多い)
★字音=じおん(特に日本に伝わって国語化した漢字の発音)
★和訓(倭訓)=わくん(漢字に固有の日本語を当てて読む事、その読み方)
果実、樹皮、葉などを乾燥したものを「女貞=じょてい、にょてい」と呼び、滋養強壮、便秘、生理不順、健胃整腸、網膜炎など幅広い薬効があり、東洋医学では貴重な生薬とされています。
木材は道具の柄や杖、楊子(つまようじ)などに用いられ、実用的価値も高い樹種です。
(ネズミモチ)
◉品種
ネズミモチの変種でフクロモチ樹高が10㍍以上になり葉、花、果実ともにネズミモチより一回り大きい、中国原産の類似種★トウネズミモチ(女貞の元祖の樹)
園芸変種として、フクリンネズミモチ、キマダラネズミモチ、キモンネズミモチなどがある。
★トウネズミモチは一見するとネズミモチによく似ていますが、葉が大きく先端が尖っていること、陽に当たると葉脈が透けて見えることや、花期が遅い(7月)事などから見分けることが出来ます。
◉生育環境
日光を好みますが日陰でもよく耐えます。樹勢が大変強く、土質は特に選びませんがやや湿潤地がより適しています。
◆植え付け、移植
厳寒期を除きいつでも可能ですが、暖かくなる3月から4月と、酷暑が過ぎた9月から10月頃が適期です。植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土をすき込んで高植えにし、十分水を与えます。
移植にも強いですが、大木は半年程前に根回しを行い細根を株回り出してから、枝葉を出来るだけ切り詰めて蒸散を防ぐ対策を取り、移植することが大切です。
◉肥料
葉の色が悪い場合は、春先にチッソ系の肥料を株元に蒔きます。また、寒肥として堆肥、油粕を与える。
◆病害虫
新梢や若葉に「うどん粉病」が発生する事があります。病変部を切り取り処分しますが、症状が酷い場合は、カラセン水和剤などを散布します。
カイガラムシの発生には、1月から2月にマシン油乳剤を2~3回散布し防除する。
◉せん定、整姿
せん定期間は4月から11月萌芽力旺盛で強せん定にも耐えるため、様々な樹形に仕立てる事が出来る樹種です。
かなり大胆に切り詰めても2~3年で元に戻るので、成木になってからの仕立て直しも可能です。
樹形が乱れやすいので、こまめに整姿、せん定をして樹形を保つようにします。
徒長枝やひこばえ(やご)が盛んにでるので、早めに切り詰めます。
枝が密生すると細枝が枯れ込むので、随時枝抜きを行い、樹冠内の通気を保つことも大切です。
生け垣の場合では、樹形を保つためには最低でも年2回の刈り込みが必要です。
★殖やし方
実生は晩秋から冬にかけてよく熟した種子を採ります。暖地ではそのまま採り蒔きにできますが、寒地では冷暗所で貯蔵し、翌春に蒔きます。
種子の表面を少し傷つけると発芽率が高くなります。
1年程で40㎝前後になるので、よい苗を選んで4月から5月に定植します。
挿し木は、充実した本年枝を15㎝程に切って指し穂とし、赤玉土、鹿沼土などの単用土に挿します。
挿し木の適期は6月から7月です。