トチノキ トチノキ科 栃の木
別名=ウマグリ 落葉高木
栃木県の県木として有名ですが、本州四国、九州の各地に自生しています。
深山の渓流沿いなどの湿り気が多い場所生える。
老木になると樹皮が剥がれて模様がより鮮明になる。
5月初旬から6月にかけて、小花の集まりがロウソク状に盛り上がる独特の花を咲かせる。
日本の山野に自生するトチノキは
紅白の花を密につけ、マロニエの名で親しまれているヨーロッパ南部原産のセイヨウトチノキは、淡白色や紅色のやや大ぶりの花をつけます。
パリのシャンゼリゼ通りを模した
セイヨウトチノキの並木道が、日本でも各地で見られます。
北アメリカ原産のアメリカアカバナトチノキは、やや小形で日本ではあまり見られない。
街路樹や公園木としてもよく見かけるのは、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキの園芸交配種として、19世紀に作り出された紅色花をつけるベニバナトチノキです。
こちらは日本での歴史が30年余りで、比較的新しい園芸種といえます。
トチノキの「ト」は数字の(十)に由来しており、実が多い木の意味と言われている。
花から「蜜」が、種子からでんぷんが採れ食用とされます。
特に蜜は[トチ蜜]と呼ばれ、最高品質の蜜として珍重されます。
秋に熟す実「トチの実」はすりつぶして渋抜きしたものを[栃餅]にしたり、蕎麦に似た(栃麺=とちめん)を作ります。
縄文時代にはどんぐりなどとともに、重要な主食の一部だった事も知られています。
チョコレート色の模様がある種子は有毒だが長い時間水に晒して、飢饉の時には食料とされた。
木材は家具や楽器などに幅広く用いられます。
◉生育管理、環境
土質は特に選びませんが、日当たりがよく保湿性のある腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。
◉植え付け、植え替え
大木になるのでそれなりのスペースが必要、庭植えに向くのはやや小ぶりのベニバナトチノキですが、枝葉を大きく張るので混植を避け、独立木として広いスペースに植えるようにします。
高さ1メートル程の2〜3年生の接ぎ木苗で開花する「カルネア·ブリオッティ」など小庭向きの矮性の園芸品種もあります。
植え付け、植え替えは11月下旬〜12月及び、2月下旬〜3月中旬に行います。
寒冷地での植え付けは春に行った方が良いでしょう。
◉肥料
やせ地でない限り、通常は必要ありません。
が状況に応じて油粕、鶏ふん、堆肥などを寒肥として2月頃に根元にすき込むと良いでしょう。
❆病害虫
クスサンなどの幼虫がつく場合があります。
幼虫が発生した場合は、捕殺した後ディプテレックス乳剤などを散布して予防します。
✿せん定、整姿
放任しても大きな球状に樹形を整えるので、若木のうちは落葉期にふところの細かい枝を切る程度で、せん定、整姿の必要はほとんどありません。
萌芽力があまり強くないので切る場合は、必ず付け根から切るようにすることが大事です。
ある程度の大きさに育ったら、大きくなり過ぎないように切り詰める必要があります。
花後伸びた新梢の先端に花芽が分化します。
花が終わったらすぐに開花枝を、大きめの定芽の上で切り戻すようにします。
✪殖やし方
園芸によく使われるベニバナトチノキは、あまり結実が良くないので接ぎ木で殖やします。
台木は2年生以上のトチノキの実生苗木を利用し、3月中旬から下旬にかけて切り接ぎにします。
活着率も比較的よい樹種です。
高接ぎ比較的容易に行えるので、
10年~15年生くらいの大きなトチノキの枝に数カ所高接ぎをすると、3年程で立派な苗木ができます。