緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/21

ドウダンツツジ No,281

ドウダンツツジ 「灯台躑躅」

ツバキ科

原産地=静岡、愛知、岐阜の各地、紀伊半島、高知、鹿児島、千葉

ドウダンとは室内照明器具の灯台が転訛したもの。

同じツツジ科のサツキよりも更に葉が小さく、秋に赤く色づくので、仕立てものとして育てるのが一般的です。

スズランのように白い壷状の小花が、花枝の頂部に数個連なって咲きますか、花よりも葉の充実ぶりと秋の紅葉の景観にあります。

岩や石が露出しているような山地の痩せた砂礫地=されきち(砂と小石)に生える。

根は浅根性で横に広がる性質があり、ほとんど全国で庭木に利用され、自然樹形そのほか、刈り込みに強いので玉仕立てや生け垣に向いている。

★代表品種
近縁種として、ベニドウダン、サラサドウダン、カイナンサラサドウダン、ヒロハドウダン、サラサドウダンの変種でベニサラサドウダンなどがある。

白花品種でまれに山地に野生する、シロバナフウリンツツジがある。

◉生育環境
根が細く極端に排水の悪い土壌では、根腐れを起こすこともあります。

冬場の凍結により根が傷む恐れもあるので、北海道や東北地方など寒気の厳しい地域では、冬期に敷きワラなどを根元に施す、マルチングを行った方が無難です。

砂が多い土質の場合は、腐葉土や切りワラなどを多めに土にすき込みます。

粘土質の土地の場合は、砂や堆肥などをすき込み通気と水はけをよくします。




◉植え付け、移植
移植は真夏と新梢の出る成長期を除けばできますが、古い株に限っては根が広がり過ぎて幹から離せているので、移植の半年前ぐらいに根回しをして、細根が出てから行います。

移植は落葉期に行いますが、幼木は特にねが弱いので、寒さが厳しくなる前の11月上旬か冬の過ぎ去った3月に、植え付けるとよいでしょう。

完熟堆肥を元に土壌に少量混ぜ、排水性を高めるため盛り土した上に植えます。

◆肥料
ドウダンツツジは紅葉も楽しむ樹種です。

赤い発色に影響を及ぼす、チッソ系の化学肥料は絶対に与えないようにします。

刈り込みを行った年にのみ、有機肥料を根元に蒔く程度でよいでしょう。

冬期にせん定をしてから施肥をします。

1月から2月に株回りに穴を掘り、堆肥に鶏ふんを混ぜて埋め込みます。

9月には、油粕に骨粉を7対3の割合で混ぜ、約500㌘ぐらい埋め込むか、ばら蒔きます。

化成肥料のバラ蒔きでもよいでしょう。

◉せん定
葉が小さく小枝も多いので、基本的には細かいせん定は行わず、刈り込みにより大まかに形を整えていきます。

秋の紅葉を考えると、刈り込みは6月中旬までに行いましょう。

刈り込んだ箇所から夏芽が出て、これが夏いっぱいかけて葉をつけ、きれいに整った樹冠は10月頃鮮やかに色づきます。

7月以降に刈り込むと、夏芽から伸びた枝が葉をつける時間がなく、せっかくの紅葉がまだらに見えてしまいます。

また、あまり強く刈り込んでしまうと、密に生えている細い枝を、大幅に切り落とすことになって葉の数が減るので、寂しい紅葉の姿となってしまいます。

強い刈り込みは、すべての葉が落ちた冬期(11月~2月)に行う事です。

ただし、3月上旬には春の芽出しを一斉行うので、2月までに刈り込み作業を終える必要があります。

◆殖やし方
ドウダンツツジは挿し木による方法でしかうまく殖やせません。

挿し木を行った場合の活着率、土壌に根付く確率が余り高くありませんが、難しいと言う訳ではありません。

挿し木は春先に芽吹いた今年の枝が、一旦生長を止める6月中旬頃に行います。

この春枝を枝先から15~18㎝の位置で切ります。

芽がついた挿し木に適した枝の中から、10本程度選んで長さを揃えるとよいでしょう。

切り取った枝は切り口を下にして、一時間ほど水揚げしてから、浅い箱に敷き詰めた鹿沼土に挿します。

挿し苗は、翌年の3月まで日当たりのよい場所で管理し、庭に植え替えます。

◉病害虫
ドウダンツツジを好んでつく病虫類はほとんどありませんが、まれに「うどん粉病」が発生することがあります。

風通しが極端に悪い時に発生するので、発症箇所を切り取るとともに、風通しのよい場所に植え替えたり、落葉期に混んでいる部分の枝を付け根から切り落とすなどの処置をします。

落葉樹なので、こうして処置することで病菌を翌年に引きずる事はありません。

害虫はハマキムシやカイガラムシが発生することがあります。

一般の防虫対策でよく、冬期に機械油乳剤30倍液を散布して予防し、また、春に発生した場合には、5月から7月にスミチオン1000倍液を散布します。