ナシ バラ科 落葉広葉樹
ナシは日本ナシ、中国ナシ、西洋ナシに分類されます。
日本ナシは古くから日本で栽培されてきた品種で、りんごと同じ形をしています。
全国各地には、推定樹齢200〜300年以上とされる、天然記念物に指定された巨樹も多く、また古くから栽培されていたとする記録も多く残されている。
上部がすぼまっている中国ナシ、西洋ナシは曲がった形が特徴的です。
日本ナシの代表的な品種には、長十郎梨、二十世紀梨などがあります。
家庭果樹には幸水、豊水などが向いています。
生育環境
気候も土質も特に選びませんが、夏バテ暑すぎない温暖な気候で、粘土質の土壌で土層が深ければ最適です。
栽培用のナシ類の大半は、自家不結実性なので、違う品種の花粉を受粉させる必要があります。
苗木を入手する際には、結実しやすい品種同士を選ぶ必要があります。
しかし、ナシは品種間に「交配不親和性」があり受粉がなされないことがあります。
交配不親和性(こうはいふしんわせい)とは、交配に用いる両親の生殖器官は機能的に安全であるにも関わらず、それらの間で交配した場合に、正常な花粉管の伸長や受精、胚(はい)形成などが見られない場合があり、そのような現象の事をいう。
植え付け、肥料
鉢植えは赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え、風通しがよく日当たりの良い場所に置きます。
鉢植えは3月に玉肥を3〜4個を置き肥します。
庭植えの場合は、3月に配合肥料を根周りに薄く広げて撒き、浅くすき込んでおきます。
追肥として収穫後の10月頃に、堆肥にはに鶏糞と油かすを混ぜ、リン酸とカリウムの多い化成肥料を加えたものを施します。
せん定
せん定は冬期に行います。
徒長枝などの不要な枝を切り落として、次に✫長果枝を混み合わない程度に切ります。
バランスよく間隔を開け、✫短果枝で混み合っている部分をせん定します。
✫長果枝(ちょうかし)短果枝(たんかし)は、花芽をつけて翌年開花結実する枝の総称で、長さによって名称が異なる。
目安として、10cm以上を短果枝、10〜30cmを中果枝、30〜50cmを長果枝と呼ぶ。
短果枝はナシがなり始めて2年目以降のもの。
長果枝は新しい枝になった部分に直接緑色の部分と花が咲いているもの。
ブドウやキウイなどのように、枝を支えなければならない果樹ではありませんが、収穫期が台風シーズンと重なることが多いので、棚仕立てや支柱仕立て、垣根仕立てなどにしてて枝を固定して育てます。
主枝を左右に2本伸ばし、側枝を主枝から20〜30cmおきに伸ばし、他は間引きせん定します。
主枝の上面から毎年発生する徒長枝は、見つけ次第切り取って養分を取られないようにします。
果枝は2年から3年ごとに更新します。
鉢植えは、鉢の高さの2.5〜3倍の樹高にして、主幹や側枝は生育の初期に針金をかけて樹形を整えます。
果実管理
結実したら良い果実だけを残して摘果します。
鉢植えは、よい果実を2〜3果残して他はすべて摘果します。
また、摘果後はすぐに袋掛けをします。
青梨は類は色を良くするために透明なパラフィン紙で作った袋を使用すると良いでしょう。
赤梨類は、新聞紙の袋でも大丈夫です。
病害虫
✫赤星病
赤星病はナシの大敵の1つです。
赤星病の病原菌は、寄主転換の性質を持ち冬の間はビャクシン類(ヒノキ科針葉樹)に寄生し、春になるとナシへ寄主を変えます。
特に雨の時にビャクシンが胞子を放出します。
発生した時は、バシタックなどの薬剤を散布して予防します。
また、4月頃に雨が降ったら、ダイセン500倍液などの薬剤を散布して予防します。
✫黒星病
黒星病は葉、果実、枝に発生します。
葉は、発生初期に灰白色の病斑を生じ、症状が進むと黒カビが生えます。
対処法として、被害部分を除去して処分します。
予防として、4月から10月頃にベンレートやキャプタンなどを散布します。
また、病害虫全般に対する予防として、摘果を終えた後に袋掛けをしましょう。
害虫は、ナシヒメシンクイガ、アブラムシ、カイガラムシ、バダニ、ハマキムシなどが発生します。
アブラムシやハマキムシなどには、4月頃にスミチオン1000倍液を散布します。
ハダニやカイガラムシ予防には、落葉後の12月頃にマシン油乳剤20倍液を散布します。
殖やし方
多肉果類のナシは、よく熟して腐りかけた頃に種子を取り出し水洗いし、一昼夜乾かしてからまくか、砂を入れた鉢に入れ、鉢ごと土中に埋めて貯蔵し、3月から4月頃にまきます。
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❉ナシの保存方法
新聞紙やティッシュペーパーなどでナシを包んで、ポリ袋、保存袋に入れ冷蔵庫で保存することで、そのままの状態よりも長く保存できます。