ベニシタン 盆栽 紅紫檀 バラ科
卵方の小さな葉が木材としてよく使われるシタン(紫檀)の葉に似ている。
秋から冬にかけて果実が、鮮やかに紅熟する事から名付けられた。
紫檀はマメ科の高木ですが「ベニシタン」はバラ科の小低木で、植物学的にはあまり深い関係はない。
園芸界ではベニシタンも含め、属名のコトネアスターの名で親しまれ、多くの園芸品種が出回っています。
中国南西部からヒマラヤ地方にかけての原産で、日本に伝えられたのは昭和初期と、比較的最近ですが今では人気樹種の一つとなっています。
初夏の頃、枝に沿って可憐なピンク色の小花を咲かせます。
花弁は全開せず、控えめな印象の花で、味わいがありますが、盆栽界樹としての魅力は、秋に紅熟し秋が深まるにつれて一層赤みを帯びる果実にある。
「実もの盆栽」としては、柔らかな曲がりをした模様木に仕立てる場合が多いようです。
その他の品種にベニシタンの変種で、白い花が咲くシロシタンも人気があります。
果実はベニシタン同様鮮やかな紅色に熟す。
◉置き場所
春から秋までの間は、日当たり、風通しのよい屋外で管理し、特に開花中は十分に日光を当てると秋に充実した果実を楽しむ事が出来ます。
冬は鉢土が凍らないような軒下や、明るい室内などで管理するようにします。
◆水やり
鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで十分に水やりします。
特に開花中は多くの水分を必要とするので、こまめに鉢土をチェックして水切れに注意しましょう。
花後も緑色の幼果が落果するような場合は、水分不足なので、水やりの回数を増やすようにしましょう。
◉肥料
油粕8、骨粉2の割合で混ぜたものを梅雨期を除き、5月から10月まで毎月1回与えます。
◉せん定
模様木の樹形に仕立てるには、挿し木の3年苗が理想的です。
最初から針金で幹を模様木風にくねらせてある苗木を見かける事がありますが、かえってその後の幹や枝の矯正が難しくなるので避けます。
1年目は樹形づくりに必要な枝だけを残して不要な枝を切ります。
残した枝は役枝となるので、十分に伸ばして充実させます。
生育中は新梢がよく伸びるので、5月から6月に芽摘みと切り戻しを行い、樹形を保つようにします。
針金は4月から6月頃にかけ、9月下旬頃に外すと言うサイクルを繰り返します。
模様木に仕立てると言っても、極端に曲げるのではなく、緩やかな曲線を持たせることがバランスのよい樹形にするコツです。
幹の立ち上がりから何回も曲がる樹形は「タコづくり」といって、嫌われるので注意しましょう。
また、ベニシタンの枝葉は水平に広がりやすく、そのまま伸ばすと、模様木独特の立体感が出てきません。
水平に伸びた小枝にも針金をかけ、やや上向きに捻っておきます。
その状態で芽摘みを行うと、そこから発生する新芽は上向きに伸び、模様木の持ち味である立体感が生まれます。
2年目以降は徒長枝を中心に不要枝をせん定します。
樹形がある程度できてからの整姿は、3月下旬から4月上旬に花芽を持たない新梢を、2~3節残して切り詰めます。
また、不定芽が出やすい性質があるので、見つけ次第早めにかき取るようにします。
◉植え付け、植え替え
新芽が伸び始めた3月下旬から4月上旬が植え付け、植え替えの適期です。
植え替えの際は根鉢の土を3分の1程ほぐし、長く伸びた根は切り詰めて植え付けます。
生育の度合いにもよりますが、若木、成木とも2年に1回を目安に植え替えるようにします。
植え付けの用土は赤玉土8、腐葉土2の割合の混合土を用いるのが一般的です。
★病害虫
アブラムシ、アカダニ、カイガラムシなどが発生する場合があります。
発生が少量の時はその都度捕殺しますが、予防を兼ねて冬期に、石灰硫黄合剤の30倍液を散布すると効果的です。