緑のお医者の徒然植物記

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2020/05/02

染色植物の歴史 No.202

染色に使われる植物、染色の歴史

世界の主流となっている合成染料は1857年、イギリスにおいて創製されました。

これが日本に普及するまで日本では草木の葉、樹皮、果実などを煮出しして、その液に浸して染める「植物染め」と言う方法が一般的に行われていました。


染色の文化の歴史は古く、中国では紀元前3000年頃

インドでは、紀元前2500年には盛んに行われていた。

ヨーロッパでは、紀元前2500~800年頃の青銅器時代

青銅器時代
青銅器を主要器具としていた時代。

石器時代と鉄器時代との間に位置する時代。

西アジアでは、紀元前3000年頃に始まり、中国では殷(いん)、周の時代(戦国時代)殷は中国最古の王朝

日本では、弥生時代に鉄器と青銅器が大陸からもたらされ、厳密な意味での青銅器時代と言えるものはない。

日本の染色文化が開花したのは、奈良時代に入ってからのようです。

日本最古の染め物は、奈良の正倉院に宝物として残されています。




それらの染め物は、自然界に存在する草木で染められているにも関わらず、1200年の時を経ても色がちゃんと残っていることは驚くことだろう。

なかには時代とともに退色したり、渋味を増したものもありますが、物を大切に使っていた昔の人々は、使い古すことによる変化にも、愛着を持っていたのかもしれません。

また、染料には布の繊維を丈夫にし、肌触りを良いものにする効果があったのです。

実用的な理由からも、人々はごく日常的に染色を行っていたのです。

弥生時代の吉野ケ里遺跡には、染めた絹の遺品が存在する。

日本アカネ、貝紫が確認されている。

日本アカネで染められた絹布は、大陸に献上されていた記述が魏志倭人伝(ぎしわじんでん)に残っていることから、歴史記録がある以前より日本独自の染織があったとみられる。

★魏志倭人伝
中国の歴史書「三国志=魏、蜀、呉」中の「魏書」

当時の日本列島にいた民族、住民の倭人の習俗や地理などについて書かれている。
魏(戦国時代=紀元前403年)


◉日本の山野に自生する染料として使用される身近な植物

◆紅花(ベニバナ)
キク科の多年草
夏にアザミに似た黄色い花が咲きます。高冷地でないと、栽培が困難とされ日本では山形県や長野県で栽培されています。

きれいな薄紅に染めるには、寒い冬の時期が最も適していると言われている。




◉ヨモギ

キク科の多年草
山野に自生している。
染料としては5月から6月頃の若葉の時期が最も適している。

媒洗染剤を使用することで、きれいなグリーンやグレーに染めることができます。




◉紫草

ムラサキ科の多年草
夏に小さな白い花が咲きます。
日本各地の山野に自生している。

紫根と呼ばれる根の部分が、染料として使われます。

高貴で気品のある紫色を醸し出します。

※絶滅危惧種



◉タデアイ

タデ科の一年草
藍染めの染料となる植物です。
藍は世界各国、様々な植物繊維から抽出されますが、日本固有の植物であるタデアイから取れる藍は、ジャパンブルーと呼ばれ、特に有名です。




◉クチナシ

アカネ科の常緑樹
夏に香りの強い白い花が咲きます。
実の部分が染料として使われます。

また、日常口にしている食べ物の、黄色着色料としても利用されています。




◉アカネ草

山野に自生する多年草
アカネの語源は「赤根」とされており、乾燥した根を染料として使います。

緋色(スカーレット)と呼ばれる、黄色味がかった赤色が、時間とともに深い赤色に変わります。




◉その他の染料植物
梅、ハチク(竹)、椿、葛、カモミール、ローズマリー、バラ、茶、ゲンノショウコ、コブナグサなど