植物の生理障害について
生理障害とは、植物が生育する上で受ける様々な障害のうち、病気や害虫以外による障害の事です。
生理障害を大きく分けると、栄養の過不足が原因となる栄養障害と、水分や光、温度などが原因となる環境障害の2つがあります。
害虫やカビ、キノコなどがないのに生育が衰えている場合は、こうした生理障害を調べるようにします。
✪主な栄養障害
植物が健康に生育するには、適度の栄養分が必要になります。
この栄養分が不足すると障害が発生します。
また、養分によっては多過ぎても発生する事があるので注意します。
植物の栄養のうち、元素では窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)が三大要素です。
この他、微量要素として鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)カリウム(Ca)硫黄(S)などがあります。
✻窒素(N)
葉緑素やタンパク質を作るのに欠かせない元素ですが、不足すると生育が衰え、葉が小さくなって黄色くなります。
葉の色が黄色くなるのは、植物体の上部より下部で目立つことが特徴です。
窒素が多過ぎると葉が多くなって花が少なくなるので、果樹では果実の量(収穫量)が少なくなるなどの弊害が出ます。
✪リン酸(P)
植物体内の整理作用を良くする働きがあります。
不足すると花の着き方が少なくなったり、葉が暗緑色に変化したりします。
特に、火山灰土のようなリン酸を含む肥料を与えても、植物に利用される分が少なくなりがちな土壌では注意が必要です。
✫カリウム(K)
植物体内の新陳代謝を良くする効果があります。
不足すると、葉の周辺部が黄色くなり果実の肥大成長を、妨げるなどの障害がでます。
✻環境障害
水分の過不足
鉢植えや排水が悪い土壌などでは、水が多過ぎると根腐れを起こす事があります。
逆に少な過ぎると葉や枝が萎れ、限度を超えてしまうとやがて枯れてしまいます。
✣光障害
植物のほとんどは成長するために、特に、庭木や園芸用の植物は光が必要です。
この障害は通常の栽培では起こりにくいですが、鉢やプランターなどの室内で栽培していたものを直射日光に当てると、急に光の量が増えることによって、葉焼けを起こすことがあります。
このような障害を「光障害」といいます。
❆温度障害
低温や高温により生育が衰えたり枯れることがあります。
特に、低温については植物ごとに耐えられる最低気温が違うので、注意が必要です。