憲法違反の税制
日本の消費税は社会保障の財源と言う目的で、1989年(平成元年)に最初税率3%で導入されました。
その後、1997年(平成9)に5%、2014年(平成26)に8%、2019年(令和元)の10月から10%と税率が引き上げられてきました。
消費税が導入されるまでには、何度か国民の反対がありました。
最初に消費税導入を閣議決定したのは大平正芳首相(自民党)ですが、国民の反対に合い廃案となります。
更に、1987年に中曽根康弘首相が売上税法案を国会に提出しましたが、これも廃案となりました。
翌年の1988年に竹下登首相によって消費税法が成立し、1989年(平成元)4月1日の施行となったのです。
消費税は導入されてら今年で36年ですが、導入される以前の1988年度の社会保障の状況と現在の状況を見ると、消費税が社会保障のためと言う目的、財源になっていない事が明らかです。
医療機関での会社員本人の窓口負担は、導入以前では1割でしたが、現在では3割負担となっています。
高齢者の窓口負担(外来)は定額800円だったが、現在では1割から2割、ただし年収200万円以上は3割と現役並みの負担となっています。
国民健康保険料(1人の平均)は導入以前56.372円でしたが、現在では94.381円(2023年度)となっています。
消費税が導入されてから、38.009円もの負担増となっています。
この状況からも、消費税導入目的の嘘が明らかだと言えるだろう。
続いて年金ですが、国民年金保険料(月額)は7.700円でしたが、現在では17.510円となり、9.810円の負担増となっています。
会社員の厚生年金保険料率は11.75%でしたが、現在では18.30%となっています。
厚生年金の支給開始年齢は60歳からでしたが、現在では65歳まで引き上げられています。
介護、障害福祉では、介護保険料(65歳以上)の制度はありませんでしたが、現在では6.225円(全国平均)となっています。
介護サービス利用料、自己負担も消費税導入以前には制度もありません。
現在では3割負担、2割負担者を3割負担の対象に拡大しようと検討されています。
介護サービス内容による制度もありません。
しかし、現在では要介護1、2の保険外し、ケアプラン有料化となっています。
少子化対策では公立、公営保育所数が13.657カ所ありましたが、現在では6.866カ所と半減以上となっています。
国立大学の4年間の学費は138万円でしたが、現在では242万5.200円となっています。
このように社会保障の財源として導入されたはずの消費税ですが、導入以前より社会保障の内容が悪化しています。
これは、消費税導入が社会保障の財源ではなかったと言う事を、明らかに示しているのです。
税の使途に関する権利
税は憲法上では全税が福祉社会保障目的税である。
税の使い方に於いても憲法に基づくことが重要である。
憲法9条1項は、武力行使の禁止及び武力による威嚇の禁止、同2項では戦力すなわち軍隊の存在そのものを禁止しています。
そして、憲法25条では社会保障の権利を明らかにしています。
このように憲法は平和と福祉を重視しているのです。
よって、憲法上は全税が福祉社会保障目的税だと言うことなのです。
憲法30条納税の義務は、国民が平和に生存するために税金を使う事を前提にしています。
社会権と言う場合、生活する諸個人が権利主体ですから、その義務主体は社会です。
制度的には社会=公共を制度上代表する国家に対する権利です。
個人がその生活を維持する上で、社会=公共に対して福祉社会保障のサービスを請求する権利を有すると言う事が社会権の中心的意義なのです。