サンゴジュ スイカズラ科 常緑中高木(珊瑚樹)
原産地=日本(神藤地方南部以西の本州、四国、九州、朝鮮半島南部、台湾、インドシナ半島、フィリピン
初夏に白い小さな花が多数咲きますが、開花時期が短くあまり印象に残りません。
果実の先端に雌しべの柱頭が残っており、これを珊瑚の加工品に見立てて「サンゴジュ」と名付けられました。
雌雄異株のため雌株でないと結実しません。
赤い実は晩秋に黒く変色します。
海岸近くに自生しているので、若干湿気を好みまた潮風に強い。
肉厚で光沢のある葉は、水分を多く含み耐火性が非常に強いことでも知られ、防火樹としても古くから利用されています。
その他、亜硫酸ガスなど都会のばい煙にも強く、工場の植栽や公園、沿岸の防風樹など、幅広い用途がある樹種です。
萌芽力が強く、刈り込みに耐え、下枝も枯れにくいため生垣樹としてもよく用いられる。
生木は水分が多く大変重いため、木材を運ぶのに牛や老婆が苦しむと言う喩えで、鹿児島地方では、「ウシコロシ」「ウバコロシ」と言う別名がある。
変種にアジサイに似た葉をつける「アジサイバノサンゴジュ」斑入りの種がある。
◉生育環境
風通し、水はけがよく、しかもやや湿り気のある場所が適しています。
日陰にも強い半陰樹ですが、日当たりのよい場所でもよく育ちます。
暖地性ですが、比較的耐寒性が強く、東北地方南部までは、露地植えが可能です。
生長が早くたいへん丈夫な樹種です。
ただし、幼苗の頃は比較的寒さに弱く、寒地では防寒処理が必要です。
◉植え付け
4月から5月の春植えか、9月の秋植えが適しています。
土質は特に選びません。
完熟堆肥や鶏ふんなどをすき込んで植え付けます。
完熟堆肥や鶏ふんなどをすき込んで植え付けます。
高さ1.5㍍ほどの苗木を植えると、4年から5年で開花、結実します。
移植は4月から7月頃か、9月から10月頃が適期です。
◉代表的な害虫
★サンゴジュハムシ
サンゴジュハムシが発生することがあります。
枯死に至るような事はありませんが、葉が不規則に食害され、美観を損なう事があります。
枝や葉柄などの組織内に卵を産み、翌春(4月)にゴマ模様の斑点のある、黄色い幼虫が新葉を食害します。
5月下旬頃に土中でサナギになり、いったん食害は収まりますが、約1ヶ月で成虫になり(黄褐色の小さな甲虫)7月頃から11月頃まで葉上にいて、葉の表面から片面を食害します。
発生の初期に、オルトラン水和剤の250~500倍液を散布すると効果的です。
◉ワタノメイガ
葉縁から筒状に葉が巻いた状態になり、内部に幼虫が棲んで食害する。
発生が多く、ほとんどすべての葉に捲葉(けんば)が見られ、大きな被害となる。
捲葉内で幼虫態で越冬し、翌春に再び食害を始めて4月下旬頃から、6月にかけて成虫が現れる。
★この害虫はその他に、フヨウ、タチアオイ、ワタ、オクラ、キリ、アオギリ、ムクゲが加害植物として記録されている。
被害はかなり激しい場合が多いから、年によっては防除を必要とする。
幼虫の発生初期に注意し、スミチオン、ディプテレックス、カルホス、ダイアジノンなどを散布する。
◉オオミノガ
代表的なミノムシのひとつです。
幼虫は7月頃に現れ、10月頃まで葉や枝を食害しミノムシのまま越冬して、翌年の6月~8月頃に成虫の「蛾=ガ」になります。
しかし、メスは成虫になっても蛾にならず、一生ミノのな中で過ごします。
発生量が多い時は、ミノがあるため効果が低いのでなるべく小さい時期に薬剤を散布します。
薬剤はディプテレックス、カルタップなどが適しています。
越冬中のミノムシは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、7月からの被害を少なくします。
ミノにあまり小枝をつけないのが特徴です。
◉せん定
放任しても、樹形は株立ち状によくまとまります。
果実を楽しむ場合は、極端に伸びた徒長枝や目立つ飛び枝などを切る程度で十分です。
萌芽力が強く、ふところに込み枝が出やすいので、ふところの徒長枝はすべて切るようにします。
大木になりやすいので、狭い庭では株立ちの幹を3~4本に限定し、強いひこばえ(やご)はすべて株元から切り除きます。
生垣の場合は、上部が特に強く伸びるので、頭の部分を強く刈り込むようにします。
特に下枝が弱くなった場合は、上部をより強く刈り込んで樹勢が下部に移行するようにします。
刈り込み時期は4月、7月から8月の年2回が基本ですが、成長が早い場合は秋にもう1回刈り込みます。
◉肥料
油粕、化成肥料など寒肥を施す。
◆殖やし方
実生は秋に熟した実から種をとり、湿った砂の中などで低温貯蔵して越冬させ、翌春(3月頃)に蒔きます。
挿し木は6月~7月が適期です。
本年枝を使うのが一般的ですが、元気な枝なら古枝でも活着します。
根が密生するので、9月頃に早めに植え替えます。