緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/16

キンモクセイ No,274

キンモクセイ モクセイ科 常緑広葉樹

原産地=中国

秋に黄色い花を咲かせる「キンモクセイ」と白花の「ギンモクセイ」とがあり、ともに甘いよい香りを漂わせ、庭木として人気がある。

放任しておくと5㍍から7㍍の大木になるので、植え付けて毎年刈り込みをして育てます。

単植の円筒形仕立てや生け垣にもなる。

雌雄異株で、日本には雄株が多く結実しない。

日当たりのよい、肥沃な土地がよく日陰にも比較的強いが、花つきが悪くなる。

東北地方の南部ぐらいまで植栽可能、ふつうの庭であればとくに土質は選びませんが、乾燥しやすく痩せている土地の場合では、堆肥や腐葉土をすき込む必要があります。





◉植え付け
4月から5月が適期です。
成木の場合は5月か7月から9月が適しています。

移植の場合は、前年に根回しをし、小根を発生させ、枝を少し切り詰めて準備をしておきます。

移植した時は、十分に水を与え、背の高い木は支柱をします。

◉肥料
樹勢の強い樹木ですから、肥料を与えすぎない方がよいのですが、花をよくつけるには、チッソ分の少ないリン酸カリ分の多い化成肥料を、3月に根元にばら蒔き、また花後に株回りに穴を掘り鶏ふんを埋め込む程度にします。

肥料の主成分のひとつであるリン酸は、主に花の開花と充実に効果があります。

モクセイのような庭木であっても、同時に花を楽しめる樹種の場合は、リン酸の成分の多い肥料を与えると、効果が大きくなります。

◉せん定
放任すると大きくなり過ぎるので、若木のうちから刈り込みをして樹形を作りながら育てましょう。

そのためには、高さを決めて芯を止め、木のバランスを考えて徒長枝をこまめに切ります。

花芽がつくのは7月頃で、春に伸びてくる枝につきます。

花を楽しむには花芽形成期から開花期の9月から10月までせん定は避けましょう。

◆害虫
風通しの悪い所などでカイガラムシが発生する。

夏の高温期にハダニも発生しやすい。

カイガラムシは混み合った枝や葉につきやすいので、よく観察しましょう。

ハダニは葉の裏側に寄生して、養分を吸います。

葉の緑色が失せて、次第に白っぽくなり、木全体の勢いが無くなり、葉がカスリ状になる。

夏の高温期に発生が目立つので早めに退治しましょう。

ハダニ類は肉眼では発見しにくいので、葉の色などで判断するのもひとつの方法です。

★予防と対策
枝葉が混み合わないようにして、風通しと日当たりをよくします。

カイガラムシには、冬期に機械油乳剤30倍液を2~3回散布して予防し、発生が見られる夏から秋にかけては、スミチオン乳剤1000倍液とオルトラン水和剤1000倍液を交互に散布して、虫の抵抗力を弱め、殺虫効果を上げるようにします。

この場合の散布は月に2~3回行います。

薬剤散布は、風上から行い、マスクなどで防護することも忘れないようにしましょう。

日中の日差しが強い時の散布は避けましょう。

早朝か、夕方の日暮れ前を中心に散布を行うようにし、できるだけ薬害を避けましょう。

※機械油乳剤剤は薬害に注意する必要があるため、冬期に使用しましょう。

ハダニは強い雨などに弱いので、時々ホースで葉に水をかけてやると、発生を抑える事ができます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。






2018/10/22

ジンチョウゲ (沈丁花 ) No,7

ジンチョウゲ  「沈丁花」

常緑広葉樹

早春に咲く花の代表種で、甘い香りを漂わせる。

暖地性で、日当たりと排水のよい腐植質の多い土質がよい。

強い風と西日をさえぎるようなところがよく、水はけの悪いところでは根腐れが起きやすい。

幼苗は別として、性質は丈夫ですが成木の移植は直根性のため難しい(ほとんど不可能とされている。

代表品種


シロジンチョウゲ、ウスイロジンチョウゲ、フイリジンチョウゲなど。

◉半日陰でも育つ樹種で、それほどの手入れは必要ありません。

自然に放置していても形が丸みをおびた樹形になります。

しかし、庭に植える木としては寿命が短く、せいぜい10年もたちますと自然に枯れてしまいます。


★剪定

放任していても、樹形はよく整いますのでとくに必要ありません。

大きくなりすぎた時は、花後に徒長枝や全体を刈り込み、強い剪定はさけます。




◉肥料(施肥)

冬の元肥に、堆肥と化成肥料を混ぜて株まわりに埋め込みます。

成木の場合で、堆肥スコップ3杯ぐらい、化成肥料300㌘とします。

5月から6月に、化成肥料を根元にばらまく。成木の場合で、リン酸カリ分の多い化成肥料を300㌘

9月ごろに油粕に少量の化成肥料を混ぜ、株元にすきこむようにします。
成木の場合で、油粕500㌘、化成肥料300㌘


◉病害虫

ほとんどありませんが、たまにアブラムシが発生する。
根腐れ病が発生する。

★ジンチョウゲの根は直根性といって、地面に真っ直ぐ根をおろします。

このような根を持つ植物の移植は難しいのですが、ジンチョウゲに多い根腐れ病は、根に病原菌がつき根を腐食させるので、木はまず樹勢が衰え枯死してしまいます。

根腐れ病は、地下で起きますので、まずこの病気の発生を疑ってみるとよいでしょう。

★予防と対策

春から夏にかけてアブラムシが発生したら、マラソン乳剤1000倍液を月に2~3回散布してあげます。

多くの病気は、病原菌が原因で、また害虫は産卵を繰り返します。

病気に侵され落葉した葉や、害虫の越冬場所になりやすい落葉や枯れ枝などは、きれいに集め焼却する必要があります。

病害虫の再発防止の為にも落葉や枯れ枝などの焼却や、清掃を行いましょう。









2018/10/18

クチナシ(アカネ科) No,6

クチナシ 落葉広葉樹

本来は山地の林縁などに自生する。

自生地は関東以西になります。

もともとクチナシは熱帯性の樹種です。

しかし、露地植え(庭になどじかに地面へ植えること)なら東北南部、鉢で育てる場合は、冬季に室内で管理すれば北海道でも育てられます。


代表品種★八重クチナシ、大八重クチナシ、コクチクチナシ、フイリクチナシ。




熱帯アジアや南アフリカで自生していたものが18世紀にヨーロッパへ広がり、その後日本に広まったものと言われている。



独特の香りを漂わせることから、ヨーロッパでは恋人へ贈るはなとして絶大な人気があり、中国でも桃に次いで好まれている花です。

花は盛りを過ぎるとクリーム色に変化する。

熟しても口を開かない果実がクチナシの語源で、8月頃から熟す果実は、黄色の染料や吐血、利尿の生薬としても利用される。

甘い香がする「三大香木」のひとつである。

半日陰で肥沃な土壌を好みます。

浅根性なので水持ちのよい土壌の方がよく育ちます。


肥料を多く必要とする樹木ですから、毎年2月に堆肥を株元に埋め込みます。

また、その後新芽の伸びが悪いようであれば、有機肥料を2握りまいておくとよいでしょう。

肥料の与え過ぎには注意しましょう。


◉剪定
クチナシは横に枝を伸ばす性質があるので、自然樹形は楕円形に近い形になります。

この特性を生かし、玉仕立てにするとよいでしょう。

造形のものは刈り込んで形を整えていきますが、翌年の開化を楽しむためには、7月一杯に作業を終らせます。

生け垣の場合も刈り込む時期は同じです。




クチナシの殖やし方


開花時の6月から7月が敵期で、今年伸びた枝を頂部から12~15㎝の位置で切り、鹿沼土か赤玉土を敷いた鉢に挿します。

半日陰で風通しのよい場所に置き、春まで生育させて、3月に植え替えると2~3年で花が楽しめます。




◉挿し木したものを苔玉盆栽にしたものでこの状態まで約一年。

苔は最初、根元の部分だけ這わせて、徐々に自然に這わせたものです。

定期的に2000倍液肥を与えています。

夏場乾燥が激しい時は、バケツに水をはりその中に入れてブクブクとあわがなくなるまで数分間浸けておく。

苔は、乾きを見ながら、霧吹きして管理すれば良いでしょう。

受け皿に水を注いでもいいですが、根腐れに注意しなければいけません。

葉の色が、黄変したりする場合は、水やりが多い場合と日光不足が原因と考えられます。

水持ちが悪くても黄変する場合もあるので判断が難しいかも知れません。

置場所も十分理解して、育てることが大切でしょう。