緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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水曜日, 9月 30, 2020

タケ、ササ類 No,291

 タケ、ササ類

原生種は熱帯植物ですが、自生種も多く古くから人類の生活に欠かせない存在となっています。

タケは日本から東南アジア、インドにかけて幅広く分布し、アフリカ中南米にも見られる「イネ科タケ亜科」の植物です。

世界中で千百種類以上あり、日本に自生しているものだけでも、タケ、ササを合わせて240種にもなります。

タケは様々な竹製品をはじめ、食用、鑑賞用、治水、防災のための植栽と幅広く、活用されてきました。

最古の小説と云われる竹取物語から始まり、数多くの文学作品や美術作品に多く描かれています。

広い庭では「モウソウチク」のような大型のタケを鑑賞出来ますが、一般家庭ではあまり大きくない、クロチク、ホテイチク、キンメイチクなどが人気です。

タケとササを分けて呼んでいますが、植物学的にはもう少しそれぞれの特徴によって、分類されていますが両者の違いはありません。

樹高の高いものがタケ、低いものがササと言うのが一般的なイメージですが、タケノコが生長していく過程で節間に付いている皮が、剥がれて脱落するものをタケ、脱落せずに皮が残っているものをササとする分け方もあります。

この分け方だと、背の低いオカメザサはタケ、背の高いメダケはササと言うことになります。

地上茎が広がらずに株立ちタイプで増えていく、熱帯原産のタケを「バンブー」と呼びタケ、ササと区別しています。

日本に自生している「ホウライチク」はこの仲間になります。


 (タケとササが混植されていることも多い)


◆代表品種
※タケ類として
モウソウチク、クロチク、シカクダケ、ナリヒラダケ、ホテイチク、オカメザサなど

※ササ類として
クマザサ、カンチク、ヤダケなど

※バンブー類として
ホーオーダケ、スホーダケ、ホウライダケなど

◉病害虫
テングス病、スス病などが発生することがある。

テングス病は病変した枝を切り取り、伝染防止のため処分します。

スス病は、元になるアブラムシ、カイガラムシなどを駆除すれば問題ありません。

大量発生した場合は、発生初期の5月から9月に10日おきに2~3回、葉の部分を中心に薬剤を散布します。

枝葉が混んで日当たりや風通しが悪いと、発生するので生育環境を改善することが大切です。

特に混んだ古株を間引いたり、葉の茂り過ぎている所の葉を、葉刈りして風通しをよくします。


◉生育管理、環境
元々荒れ地に生息していた植物なので、土質はあまり選びません。

半日陰でもよく育ちますが、日当たりがよい枝葉の方が色艶が増します。

品種が豊富なので適した種類を選べば、北海道から沖縄まで日本全国で栽培可能です。

全般的に水を好むので、乾燥に注意しましょう。


◆肥料
有機質を主体に少量の化成肥料を混ぜるか、または油粕7に骨粉3の割合で混ぜたものに、リン酸を含む化成肥料を少し加え溝を掘って与えます。

時期は春先か8月から9月頃です。

◉植え付け、植え替え
タケ類の植え付け時期はタケノコの出る1ヶ月前頃で、植え穴を大きく掘り堆肥や腐葉土を多めにすき込み、元肥に鶏ふん、牛ふんを主体に少量の油粕などを混ぜるとよいでしょう。

また、植え付け後は支柱を立てます。

十分に水を与え、根元に敷きワラなどを施し、乾燥させないようにします。

品種により、春にタケノコが生えるものと、秋に生えるものとがあるので、植え付け、植え替え時期はそれぞれ異なります。

モウソウチクは3月から4月、シカクダケ、カンチクなどは秋から冬にかけてタケノコを出しますので、8月から10月が植え付けの適期になるので、季節に注意しましょう。


          (ササ)

◉せん定
若々しいタケの状態を保つためには、4年から5年以上経った古い悍(かん=一般の樹木の幹)を根元から切り取り、若い悍に更新する必要があります。

タケの年齢の見分け方は、小枝の落ちた跡を数えて判断します。

タケは一般の樹木のように、幹が生長して年々太くなったり、伸びたり枝葉が張り過ぎると言う事はまずありません。

悍の更新以外は大きな整姿、せん定は行わず自然形を鑑賞するのが一般的です。

ただし、モウソウチクなどの大型種は、伸び過ぎないように「先止め」をします。

タケが希望の高さまで生長したら、枝の出る節をいくつか残してその上を切ります。

「先止め」すると丈が伸びる代わりに枝葉が充実します。

また、枝葉が茂り過ぎてしまった場合は、重なり合う枝を整理して、小枝も短めにきり戻す枝透かしを行うとすっきりします。

中型のナリヒラダケは2~2,5㍍で先止めし、上から5~6節の枝は残して、他は切り落とします。

残した枝は半分程に切り詰めて仕立てます。

せん定な時期は3月~4月と9月~11月に行います。品種により、せん定時期が異なるので注意が必要です。

◉殖やし方
株分けは、大型のものは悍を1本、中型は3本
小型は5本を1株とし、掘り取り悍と枝をバランスよく切り詰めます。

細い根が乾燥しないように注意しながら植え付けます。
タケは根付いてしまえば丈夫でよく育ちますが、移植はわりと難しい性質があるので、細心の注意が必要です。

移植、繁殖の時期は3月~4月と8月~9月と品種により、タケノコが生える時期の違いで異なる。






火曜日, 9月 29, 2020

モクセイ No,290

 モクセイ モクセイ科「木犀」

別名=ギンモクセイ、千里香 常緑広葉花木

原産地=中国中南部の暖地性植物ですが、日本でも東北南部くらいまでは植栽可能です。

庭などに植えられ、各地で幅広く親しまれている花木です。

日本で多く見かけるのは橙黄色(とうこうしょく、とうおうしょく)の花を付ける「キンモクセイ」ですが、香りがやわらかい白い花を咲かせる「ギンモクセイ」がキンモクセイ原形種です。

香りが強く、甘い芳香が遠くまで漂う事から「千里香」と言う別名があります。

★その他の品種として
※キンモクセイよりも淡い黄色の花を付けるウスギモクセイ

※同じモクセイ科のヒイラギとの雑種と言われ、生け垣などに用いられる、ヒイラギモクセイなどが園芸種として知られています。

これらが広く親しまれる様になったのは、江戸時代以降の事です。

最も広く知られている、キンモクセイとウスギモクセイを混同する人が少なくありませんが、キンモクセイは日本では結実しないので、庭のモクセイが実を付けた場合は、ウスギモクセイだと分かります。

中国名は「桂花=けいか」と言い、単に木犀と言う場合は、ギンモクセイ(銀木犀)を指す事が多い。

よい香りを漂わせる花木の中でも特に、香りの強いジンチョウゲ、クチナシ、キンモクセイの三種は、三大香木(芳香花)と呼ばれています。





◉生育管理、環境
モクセイの仲間はどれも強い香りを放つ花を付け、樹勢も強い事から栽培は比較的容易です。

本来、日なたを好む陽樹ですが、日陰によく耐え、土質もあまり選びません。

しかし、花つきを良くし芳香を楽しむには、日照、排水のよい腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。

モクセイは排気ガスなどの公害にはあまり強くありません。

車の往来が激しい場所への植え付けは、避けた方がよいでしよう。

枝葉が元気な様でも、花つきが悪くなってしまいます。

◆肥料
本来モクセイは丈夫な樹木です。

肥料は春先の3月上旬に油粕と、粒状化成肥料を等量混ぜたものを、根元の大きさに応じて与えればよいでしょう。
(目安として1~3握り)

むしろ肥料は控えめにし、与え過ぎないようにしますが、特にチッソ過多にならないように注意しましょう。

◉せん定
モクセイは放任していても、丸い樹形に整いますが、大きくなるので狭い場所では、整姿が必要です。

大きくなり過ぎた木を小さくする場合は、秋の花後に花を咲かせた小枝を、1~2節残してその上の太い枝を切り、全体を詰めます。

仕立て物の場合は円筒形や球形に刈り込みます。

花芽分化期は8月で春に伸びた枝に花芽が付きます

新梢が充実していないと、花が付かないので春のせん定は、3月下旬頃までに樹形を乱す飛び枝を刈り込みます。

6月~7月に入ってから、せん定すると新梢が充実せず、花芽が付かないので注意しましょう。

◆殖やし方
今年伸びた枝を使い、葉を3~4節残してさし穂にします。

6月下旬から7月に小粒の赤玉土か鹿沼土にさし、乾燥に気をつけて管理します。

◉植え付け、移植
植え付けは4月中旬から6月中旬が適期で、植え穴に堆肥をよくすき込み、高めに植え支柱で苗木を固定します。

移植は9月から10月が適期です。






月曜日, 9月 28, 2020

アメリカデイゴ No,289

 アメリカデイゴ マメ科

「亜米利加悌梧」落葉中高木

原産地は、南アメリカでアルゼンチンとウルグアイ両国の、国花として知られています。

夏に丸みのある蝶形の★鮮紅色(せんこうしょく)の花を咲かせます。

★鮮紅色は猩々緋色=(しょうじょうひいろ)と言われ、やや黒みを帯びた鮮やかな色です。

室町時代後期(西暦1336年~1573年)以降に流行した、ポルトガル、スペインとの南蛮貿易の舶来品で知られる色で、特に戦国時代に武士は貿易で入手した猩々緋色の羅紗、(らしゃ、セルビアの首都ラサ産でこの名称)の生地で、陣羽織などを仕立て珍重された色である。

また、猩々緋色は★臙脂色(えんじいろ)と区別するために付けられた色名で、赤みの強い赤紫色である。

◆えんじ色=黒みを帯びた、深く艶やかな、濃い紅色のこと。

アメリカデイゴの花期は長く、6月頃から咲き始め、断続的に9月中旬頃まで咲き続けます。

葉柄や葉裏にトゲがあるのが特徴です。

花後はマメ科特有の偏平楕円形の種子が入った、15㎝程の長さのサヤを付ける。

日本には、江戸時代末期(1853年~1869年)に和歌山県の白浜周辺に伝えられたのが、最初と言われています。

南国の風情がある大型の花は、比較的に耐寒性もある事から、日本の四季でもよく育ち特に、暖地の庭の鑑賞木として親しまれてきました。

遥か遠い海を渡ってきた赤い花で、マメの様なサヤが成ることから、海紅豆(かいこうず)の別名があります。

鹿児島県では特に人気の高い樹種で、県の木として指定されています。

沖縄県の県花としても有名なデイゴは、同じデイゴ属ですが、台湾、沖縄、インドを原産とする近縁種で蝶形の花が、アメリカデイゴと比べると細く、若干異なった印象を受けます。


「放浪記」のベストセラー作家で知られる、林芙美子さんがアジサイの花と共に、愛した花としても知られる。

メキシコでは、生け垣に用いるほか、花はサラダや煮物などの食用にも用いられます。

潮害、公害にも強い事から、沿岸の防潮樹や街路樹などに利用されています。


        (アメリカデイゴ)

◆園芸品種
小葉の丸いマルバデイゴ

アメリカデイゴと近縁種のエリツリナ、ヘルバケアの交雑種で、花の色が濃く小葉が菱形の、サンゴシトウ(ヒシバデイゴ)などが多く栽培されています。

◉生育管理、環境
暖地性ですが、耐寒性は意外に強く、降雪が年2~3回程度の地方であれば、露地栽培が可能です。

栽培可能地としては、関東地方南部以西が目安です。

日当たり、水はけのよいやや乾いた場所が適しています。

土質は特に選びませんが、砂質土を好みます。

◉植え付け、植え替え、移植
生長が早く移植も容易ですが、植え付け、植え替えは十分暖かくなった4月中旬に行うようにします。

浅根性なので高植えにすることが重要です。

大きくなりやすいので、出来るだけ広い場所に植えましょう。

★肥料
生長が早いので十分に肥料を与えます。

チッソ分は控え、3月と9月頃の2回に、油粕、骨粉などの有機肥料を、株の大きさに応じて根元にすき込みます。
(目安として2~3握り)

※大変丈夫な樹種で、病害虫の心配はほとんどないでしょう。

◉せん定
東京以北の関東周辺や内陸部では、本年枝は冬の寒さで枯れてしまいます。

11月中旬~下旬に付け根で切り取り、幹や太枝をワラやコモで巻いて防寒します。

花は今年伸びた枝の先端に付きます。

花は終わったものから、花の少し下で切り戻すと、晩夏にもう一度花を咲かせます。

また、庭が狭い場合は、春に2㍍程の高さで樹芯を止め、将来枝にする部分を付け根から30㎝前後で切り戻し、不要な枝は付け根から切り取って整姿します。

◆殖やし方
★とり木は新梢の組織が固まる6月に行います。

親指程の太さの枝を選び、3㎝幅くらいに環状剥皮します。

水ゴケで包み、ビニール袋で乾燥を防いで、管理すると秋までに発根します。

▲挿し木は冬または春にせん定した枝を使います。

40~50㎝に切った枝を、通常の庭土に半分程植えると夏には発根します。

◉根伏せは3月から4月に行います。
根元付近の根を掘り、3~4㎝の太さの部分の根を30~40㎝の長さに切り取り、幹側に近い方を上向きにして斜めにした状態で、土中に植えます。

夏には発芽、発根するので、凍結に注意してそのまま越冬させ、暖かくなった3月に掘り上げて定植します。

およそ3~4年で開花します。






日曜日, 9月 27, 2020

コムラサキ 、ムラサキシキブ No,288

 コムラサキ クマツヅラ科 落葉低木

原産地=日本、朝鮮半島、中国 別名ムラサキシキブ

地際から細い枝を出し、6月から7月に淡紫色の筒型の小花をたくさん咲かせます。

9月になると直径3㍉程の果実が紫色に熟し、株全体を覆いつくします。

花は根元に近い部分から先端に向かって、順次開花し同じように根元から実をつけていきます。




コムラサキ(コムラサキシキブ)は、樹高が小ぶりですが、実つきがよく鑑賞木として最も多く用いられている。

園芸店で「ムラサキシキブ」として売られているものの、ほとんどがコムラサキです。

実際のムラサキシキブは、各地の山野に自生し、樹高3㍍と大きく、花、実ともコムラサキとそっくりですが、実つきがまばらで鑑賞木としてはやや見劣りするようです。

名前の由来としては、古代高貴な色とされた紫色の実の清楚な美しさを、理想的な平安美女の代表格である、紫式部になぞらえたと言われていますが、紫の実が折り重なってびっしりつくことから「紫重実=むらさきしきみ」と呼ばれていたものが、転訛したと言う説もあります。

果実は、★才媛と呼ばれ結婚記念樹として植えられることも多いようです。

★才媛=さいえん(高い教養や才能が優れた女性、才女のこと)

因みに男性は?と言う事だが、古来からの学芸と武芸、文武両道の表し方が、当てはまると考えられるが、女性用、男性用に分かれた言葉を使う事に、違和感を感じる人もいるような現代社会では、文美両道と言う四字熟語が、メディア等でも使われていることは、時代の流れ、空気を表しているように思えます。

◆品種として

果実が白いシロシキブ(白式部)

果実が小さく実つきがよいコムラサキシキブ

葉が小さいコバノムラサキシキブ

葉に軟毛のあるヤブムラサキシキブなど品種も多い


        (シロシキブ)

◉生育環境

樹勢が強く日なたでも、半日陰でもよく育ちます。

北海道南部から九州まで、幅広い地域で栽培できますが、腐植質に富んだやや湿潤地が適しています。

夏場の乾燥や冬の乾いた風を嫌います。

◉植え付け

若木、老木を問わずよく根付くので移植も容易です。

移植時期は3月下旬と11月から12月

植え付け時期は、2月から3月の落葉期が理想ですが、梅雨時や9月でも可能です。

日陰にも強いので、他の樹種と一緒に混植して、下木として利用することもできます。

しかし、果実の鑑賞を楽しむためには、単独で植えた方がよいでしょう。

◆肥料

通常、肥料は植え付け時の元肥で十分ですが、2月に寒肥として鶏ふんなどを与えてもよいでしょう。

また、実つきが悪い場合は、リン酸系の肥料を追肥として8月頃に与えます。

★病害虫

まれに小さな甲虫が発生することがあります。

見つけ次第、スミチオン乳剤などを散布して駆除します。

熟した果実は小鳥が好んで食べるので、実熟期にネットを掛けたり、鉢物は室内に取り込むなどの工夫が必要になります。

◉せん定は7月、11月~3月

放任しても樹形はよく整いますが、茂りすぎる傾向があるので、状態により枝抜きして整理します。

葉が動き出す前に、なるべく不要枝だけを付け根から切り取り、自然樹形を保つようにし、古枝は切り戻して更新します。

初夏(7月)には込み枝を間引き、地際から発生したひこばえや、徒長枝を早めに切り取ります。

花芽は前年枝のせ先端につくので、秋以降は先端を強く切り詰めないように注意します。

強過ぎるせん定も枝が徒長気味になり、実つきが悪くなります。

◆殖やし方


実生は果実が完熟する10月~11月に採種し、果肉をよく洗って種子を取り出し、そのまま採り蒔きする。

初根した苗は2年目の春に鉢上げして管理する。

種蒔きから2~3年で開花、結実します。

挿し木は3月の春ざしと6月の梅雨ざしがあります。

充実した前年枝を10~15㎝に切ってさし穂とし、赤玉土小粒や鹿沼土のさし床に挿します。

発根後2~3ヶ月で鉢上げして植え付け、管理します。







土曜日, 9月 26, 2020

ハナショウブ (アイリス) No,287

 ハナショウブ アヤメ科 宿根草(常緑)

別名=アイリス 「花菖蒲」

アヤメの仲間は非常に種類が多く、世界各地で200種以上の自生種が確認されており、欧米的では、「アイリス(アヤメ科の学名)」と呼ばれている。

原産地は日本、朝鮮半島、東シベリア、中国東北部一帯で、ハナショウブと呼ばれているのは、日本に自生する「ノハナショウブ」の改良品種です。




そのため欧米では「ジャパニーズ·アイリス」ので名で親しまれています。

5月下旬から7月上旬にかけて紫、白、絞りなど、様々な色合いの直径10~20㎝に達する大輪の花を咲かせます。

梅雨期の代表的な草花として、万葉時代(歌が詠まれたのは西暦629年~759年)から親しまれてきました。

花、葉ともに同属の「アヤメ」や「カキツバタ」とよく似ていますが生育環境がそれぞれ違います。

※アヤメは乾燥にも強く陸生植物。

※カキツバタは水の中で育つ水性植物。

※ハナショウブは水辺の湿地帯に育つ陸生植物である点が異なります。

しかし、平安時代から鎌倉時代頃までは、ハナショウブをアヤメと呼んでいたために、かなり混同されているようです。

現在も各地でよく開かれる「あやめ祭り」のあやめが実際には、ハナショウブであることが多いのもその名残りと言えるでしょう。

あやめ園などでハナショウブが、水中に咲いている風景をよく見かけますが、これは開花中だけの演出です。

ハナショウブには葉の中央に隆起した、葉脈が1本通っていてこれも、アヤメやカキツバタと見分ける大きなポイントになります。


(菖蒲湯に利用されるサトイモ科のショウブ)


単にショウブと言った場合は、ハナショウブを指す事が多いようですが、ショウブは本来端午の節句の「菖蒲湯」にその葉を使う「サトイモ科」の植物の事で、ハナショウブは葉の形がショウブによく似ている事から、名付けられた呼び名です。

園芸種が多いアヤメ属の中でも、ハナショウブの品種は最も多く、江戸時代から盛んに品種改良が行われ、現在では約2000種と言われています。

★品種系別
※爽やかで華麗な江戸系

※気品ある伊勢系

※豪華絢爛、壮麗な大輪の花を咲かせる肥後系

※アメリカで改良されたアメリカ系に大別されます。

近縁種として、明治初期に渡来した、花の黄色いヨーロッパ原産の「キショウブ」があります。

葉の中央の隆起した葉脈など、ハナショウブとの共通点も多く、交配種も多数作られています。


         (ハナショウブ)


◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい湿潤地を好みます。

日陰では花が咲きません。

花壇や鉢植えで楽しむことが多いようですが、休眠期の冬以外は水やりをこまめに行い、乾燥を防げば庭植えも可能です。

◉植え付け新芽を数個残して、葉を半分に切り詰め、浅く植えてたっぷり水を与えます。

土は苦土石灰で中和しておきます。
元肥に暖効性肥料を与え、根茎の上部が出る程浅く植えます。

花の終わった直後の6月下旬から7月上旬が適期です。

葉が生長した状態を想定し、列植、群植にする場合は、株と株の間隔を30㎝以上開けるようにします。

茎丈が高くなるので鉢植えの場合は、最低でも6号鉢以上の大きさが必要です。

夏期は充分な水やりが必要なので、底面給水鉢を用いると便利です。

耐寒性は強い植物ですが、土中水分が凍ると根を傷めやすいので、冬期は鉢を花壇に植えるか、寒冷紗で覆うなどの対策が必要になります。

◆肥料
寒肥として完熟堆肥を与え、春と秋に油粕などを少量与えます。

肥料を与え過ぎると株が腐りやすくなるので、控えめに与えましょう。

チッソ分の多い肥料は、軟腐病になりやすいので避けます。

◉病害虫
まれにズイムシ(アヤメキバガ)が発生し、花芽を食害することがあります。

見つけ次第捕殺するか、大量発生した場合は、オルトラン水和剤などを散布します。

★軟腐病=なんぷびょう
病原体のバクテリアが導管部で繁殖し、養水分が地上部に行き渡らなくなり、青枯れ状態になります。

地際部から根にかけて、やわらかく溶けるように腐敗し、悪臭を放つようになります。

高温多湿を好むので、5月から9月に発生します。

チッソ肥料のやり過ぎも多発の原因になります。

バクテリアの病気は薬剤による治療は困難です。

病気にかかった株は見つけ次第、引き抜いて処分しましょう。

バクテリアは傷口から侵入するので、根を傷つけないように注意しましょう。

5月頃から月に1~2回ストレプトマイシンや、銅水和剤(ボルドーなど)を散布すると、多少の予防になります。

この病気はキク、ユリ、ダリア、チューリップ、タマネギ等にも発生します。

◉せん定
一番花、二番花と次々に花が咲くので、終わった花びらは速やかに摘み取ります。

一般的に花期は、5月中旬頃から7月までですが、品種により異なります。

つぼみの先端を突くと開花しないので、作業は慎重に行いましょう。

花が終わったら茎ごと切り取り、3~4年に1回は6月頃に植え替えます。

この時に株分けで殖やせます。

★殖やし方
植え付けて3~4年が最盛期でその後は衰えます。

鉢植えは1~2年、庭植えは3年に1度を目安に株分けします。


古株を掘り起こし、葉を3分の1程度切り詰め、子株を傷めないように切り分け、植え付けます。






金曜日, 9月 25, 2020

ユズリハ No,286

 ユズリハ ユズリハ科 (譲り葉)

別名=ユズルハ、ユズル 助力広葉中高木

原産地は日本、朝鮮、中国一帯で日本では福島県以西の山地に多く自生しています。

以前はトウダイグサ科に分類されていましたが、DNAを用いた研究により、ユズリハ科とする説が有力です。

ユズリハ科に分類されている植物は、1属10種程ですべて東アジア一帯に分布しています。

新葉が生長すると、入れ換わるようにふるい分け葉が一斉に落葉します。

その様子を子供が立派に、成長するのを見届けてから親が家督を、譲る事になぞらえて「譲り葉」と名付けられました。

世代交代と一家繁栄を象徴する縁起木として、記念樹や正月飾りに古くから珍重されてきました。

また、神仏への供え物を乗せるのに、その葉を用いたとする古文があり、神社などによく植えられていました。

清少納言の「枕草子」にも、ユズリハを使って正月を祝う様子が記載されている。

万葉時代にはユズリハ「弓弦葉」と呼ばれていました。

新葉が成長してから古葉が落ちる現象自体は、常緑樹に一般的に見られるもので、さほど珍しい訳ではありませんが、ユズリハは急激に新旧交代が行われます。

大きな葉で、特によく目立ったことが命名に影響しているようです。

樹高は5~10㍍に達します。

雌雄異株で5月から6月にかけて、前年枝の葉腋に穂状の総状花序をつけます。

樹皮、葉にはアルカロイド系の物質が含まれていて「有毒」です。

古くは薬用に用いたり、家畜につく害虫の駆除に使われていました。


         (ユズリハ)

◉品種
園芸種として、葉に白や淡黄色の斑が入る「フイリユズリハ」葉柄が緑色の「アオジュクユズリハ」などがある。

類似種として、内陸部に多い自生するユズリハと異なり、海岸沿いに自生し、葉が一回り小さい「ヒメユズリハ」耐寒性が強く本州中部から北海道の、日本海側の山地に多く自生する、矮性の「エゾユズリハ」がある。

★生育環境
やや粘土質の湿潤地を好みます。

日陰にも強い樹種ですが、ある程度の日照があった方が枝が、密に茂り樹形が美しくなります。

◉植え付け
植え付けは冬の寒風の当たらない場所を選び、植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土をすき込み土中湿度を十分に保つように管理します。

日陰に強いので建物の北側の植栽や目隠しとしても活用できます。

移植は比較的容易ですが、大木は前年から根回しし、細根を十分発根させてから行います。

乾燥を嫌うので、移植時では幹巻きして、蒸散を防ぐことも大切です。

◆肥料
寒肥として鶏ふん、腐葉土、完熟堆肥などの有機肥料を株回りに溝を掘って施肥します。

化成肥料や油粕など、チッソ分の多い肥料は枝分かれが粗くなり、樹形を乱す原因になるので控えるようにします。

◆病害虫
枝葉が密生し過ぎると、アブラムシやカイガラムシ発生する事があります。

定期的にせん定し、樹冠内の枝葉が蒸れないように注意し、必要に応じて薬剤を散布して防除します。

◉せん定
樹形を乱す徒長枝や立ち枝が目立ってきたら、思いきって2分の1から3分の1の長さに切り戻し、細かい枝が多数出るように促し、樹形を更新します。

葉が大きく枝が粗いので、細い込み枝は枯れ込みます。

弱い枝や込み過ぎた枝を間引き日照、通風を保つようにしましょう。

★殖やし方
秋に種子を採り乾燥しない様に貯蔵し、翌春に蒔きます。

土中湿度を保ちながら管理します。

発芽までには1年程かかり、3年目の春に定植します。






木曜日, 9月 24, 2020

リヨウブ No,285

リヨウブ「令法」落葉中高木 

リヨウブ科別名=ハタツモリ、サルダメシ

北海道南部から九州にかけて、山麓や低山地に幅広く自生する日本原産の樹木で、その他朝鮮半島にも分布が見られる。

「リヨウブ」の仲間は世界で数十種が確認されていますが、日本に自生しているのはリヨウブ1種だけです。

樹皮に特徴があり、赤褐色または灰褐色の樹皮が剥がれ落ち、まだら模様になる様子には深い味わいがあります。

すべすべした幹肌は中国から伝来した、「サルスベリ」によく似ていますが、実際にリヨウブをサルスベリと呼ぶ地方もあるようです。

また「サルダメシ」と言う別名もあります。

7月から9月にかけて枝先に、白い小花を密につけた円錐花序を形成します。

ひとつの花は5ミリ程の小さなものですが、蜜腺が発達していて、蜜を求めて多くの昆虫が集まります。

花は5弁で花びらより雄しべの方が長く伸びる。

葉は枝先近くに多く集まり互生し、先端が尖り鋸歯があります。

花もそれなりに楽しむことも出来ますが、リヨウブの魅力は何と言っても、樹皮の趣と一斉に出る、新芽の芽吹きの美しさにあります。

庭木だけでなく茶花や生花の材料としても幅広く利用されています。

大量に芽吹く若芽や若葉は柔らかく、古くは食用に共されました。

塩ゆでにした若芽を刻んで米に混ぜた「リヨウブ飯」や、天ぷらが今日でも郷土料理として残っている地方があります。

一説によると令法(りょうぶ)と言う表記は、飢饉(ききん)の時に山村の非常食として、リヨウブの葉の採取、貯蔵を命じる官令がよく発せられた事に、由来すると言われています。

リヨウブは伐採に強い、再生能力の高い樹木として知られています。

リヨウブの根は浅く広がり、地中深く伸びる直根がほとんどありません。

そのため、野生のものは強風を避けるように松やコナラなどの大木の下に、二次的発生し群生します。

浅い根は太い幹を支えるためには不利ですが、地表近くに豊富にある栄養分を吸収するには有利です。

倒れやすい反面、栄養を十分取れるので大変丈夫で幹元付近に常に、休眠状態の不定芽を多数準備しています。

そして幹が倒れたり傾くとすぐに活性化し、新しい幹として伸長すると言う面白い性質を持っています。

◆品種
園芸種として、樹高2㍍前後で花が咲く「一才リヨウブ」

日本のリヨウブより低木で小庭に向く「アメリカリヨウブ」があります。

◆生育環境
日当たり、水はけともによい腐植質に富んだ肥沃な土地を好みますが、痩せ地や乾燥地、酸性土壌にもよく耐えます。

◉植え付け
植え穴に完熟堆肥、腐葉土を十分すき込み高植えにします。

強風に当たると倒れやすいので、樹高の高い木の下など、風避けが出来る場所に植えるようにします。

植え付け後は必要に応じて支柱などで支えます。

耐寒性は強く、北海道南部まで庭植えが可能です。

◉肥料
生長力が強くよほどの痩せ地でない限り、肥料は余り必要としません。

与える場合は、鶏ふんなどの有機肥料を冬期に寒肥として、株元にすき込みます。

★病害虫
まれに「うどん粉病」が発生する場合があります。

白いカビが若い葉や若い茎、新芽などの表面にうどん粉をまぶした様に、びっしりと生える病気の総称です。

病気が進行すると、葉が変形して形状が小さくなります。

発生する時期は植物によって異なりますが、高温(20度前後)多湿を好み、4月から10月に発生します。

病気を見つけ次第、10日ごとにモレスタン、トップジンM、ベンレート、水和硫黄剤などを散布します。

チッソ肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。

チッソ肥料を減らし、カリ肥料を多めに与えましょう。

樹木の場合は、枝で越冬している菌糸を殺すために、1月から2月に冬期限定使用薬剤の、石灰硫黄合剤を1~2回散布するのも効果的です。

この病気は数多くの植物に発生します。

◆せん定
自然樹形で楽しむのが一般的です。

倒れやすいので樹冠が重くならないように、徒長枝や枯れ枝、込み枝は付け根から切り取り整理します。

通常のせん定は、落葉期の冬に行います。

ひこばえが盛んに出る性質があるので、見つけ次第早めに切り取るようにします。

◆殖やし方
実生は10月から11月に種子を採り、冷暗所で貯蔵し、翌春の3月から4月に蒔きます。

挿し木は、6月中旬から7月上旬に今年伸びた枝を15㎝程切り、さし穂とします。

一時間ほど水揚げしてから赤玉土、鹿沼土などの用土に挿します。


(リヨウブ)





ネズミモチ No,284

ネズミモチ 「鼠黐」モクセイ科

別名=タマツバキ、テラツバキ常緑広葉樹

原産地=日本(九州、四国、関東以西、沖縄)
中国、朝鮮半島一帯

ヨーロッパにも同種の自生種が見られる。

樹高は5~7㍍程で6月頃、枝先に円錐花序を形成し、長さ5ミリ前後の筒状の白色小花を多数咲かせる。

萌芽力が強く、よく枝分かれすることから、主に暖地の生け垣、公園樹などに幅広く利用されている。

卵形の葉はなめらかで、短い葉柄があり対生する。

花、葉ともほのかな香りを放ちます。

10月から12月にかけて、長さ1㎝前後の楕円形の果実が紫黒色に熟し、果実の表面は白い粉をまぶした様になっている。

この果実が地表に落下した様子が、ネズミの糞に似ていること、葉がモチノキの葉に似ている事から「ネズミモチ」と名付けられました。

10世紀中期頃の「★和名抄」と言う書物にネズミモチが薬用樹として利用されていたとする記述があり、古くから薬用として用いられていた事が分かります。

★和名抄とは和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)の略称。

平安時代中期(承平年間=しょうへいねんかん、931年~938年)に作られた、意義分類体の辞書の事。

約2600の漢語を分類し、その文例、語訳を漢籍から引用して、割注で字音と和訓を示す。

漢籍=かんせき(中国の漢文書物)

割注=わりちゅう(文章の途中に小さな文字で入れる注釈、二行にする事が多い)

字音=じおん(特に日本に伝わって国語化した漢字の発音)

和訓(倭訓)=わくん(漢字に固有の日本語を当てて読む事、その読み方)

果実、樹皮、葉などを乾燥したものを「女貞=じょてい、にょてい」と呼び、滋養強壮、便秘、生理不順、健胃整腸、網膜炎など幅広い薬効があり、東洋医学では貴重な生薬とされています。

木材は道具の柄や杖、楊子(つまようじ)などに用いられ、実用的価値も高い樹種です。


         (ネズミモチ)

◉品種

ネズミモチの変種でフクロモチ

樹高が10㍍以上になり葉、花、果実ともにネズミモチより一回り大きい、中国原産の類似種★トウネズミモチ(女貞の元祖の樹)

園芸変種として、フクリンネズミモチ、キマダラネズミモチ、キモンネズミモチなどがある。

★トウネズミモチは一見するとネズミモチによく似ていますが、葉が大きく先端が尖っていること、陽に当たると葉脈が透けて見えることや、花期が遅い(7月)事などから見分けることが出来ます。

◉生育環境

日光を好みますが日陰でもよく耐えます。

樹勢が大変強く、土質は特に選びませんがやや湿潤地がより適しています。

◆植え付け、移植

厳寒期を除きいつでも可能ですが、暖かくなる3月から4月と、酷暑が過ぎた9月から10月頃が適期です。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土をすき込んで高植えにし、十分水を与えます。

移植にも強いですが、大木は半年程前に根回しを行い細根を株回り出してから、枝葉を出来るだけ切り詰めて蒸散を防ぐ対策を取り、移植することが大切です。

◉肥料

葉の色が悪い場合は、春先にチッソ系の肥料を株元に蒔きます。

また、寒肥として堆肥、油粕を与える。

◆病害虫

新梢や若葉に「うどん粉病」が発生する事があります。

病変部を切り取り処分しますが、症状が酷い場合は、カラセン水和剤などを散布します。

カイガラムシの発生には、1月から2月にマシン油乳剤を2~3回散布し防除する。

◉せん定、整姿

せん定期間は4月から11月
萌芽力旺盛で強せん定にも耐えるため、様々な樹形に仕立てる事が出来る樹種です。

かなり大胆に切り詰めても2~3年で元に戻るので、成木になってからの仕立て直しも可能です。

樹形が乱れやすいので、こまめに整姿、せん定をして樹形を保つようにします。

徒長枝やひこばえ(やご)が盛んにでるので、早めに切り詰めます。

枝が密生すると細枝が枯れ込むので、随時枝抜きを行い、樹冠内の通気を保つことも大切です。

生け垣の場合では、樹形を保つためには最低でも年2回の刈り込みが必要です。

★殖やし方

実生は晩秋から冬にかけてよく熟した種子を採ります。

暖地ではそのまま採り蒔きにできますが、寒地では冷暗所で貯蔵し、翌春に蒔きます。

種子の表面を少し傷つけると発芽率が高くなります。




1年程で40㎝前後になるので、よい苗を選んで4月から5月に定植します。

挿し木は、充実した本年枝を15㎝程に切って指し穂とし、赤玉土、鹿沼土などの単用土に挿します。

挿し木の適期は6月から7月です。







水曜日, 9月 23, 2020

タイサンボク No,283

タイサンボク

「泰山木、大盃木」

別名=ハクレンボク(白連木) 
モクレン科

原産地=北アメリカ南部、フロリダ半島を中心とする、メキシコ湾岸沿いの暖地帯で原産地付近のいくつかの州では州の花に指定されている。

日本には明治時代初頭に伝えられましたが、芳香を放つ大輪の花が人気を呼び、急速に全国に広まりました。

樹高が10~20㍍に達することから、多くは公園樹や広いスペースのある庭のシンボルツリー、記念樹として利用されています。

公害に強く、成分を多く含み耐火性があることから、暖地では街路樹、防火樹としても利用されています。

学名のマグノリア=モクレン属の総称で植物学者のマグノールに由来

※フランスの植物学者
ピエール·マグノール (1638~1715)植物の分類体系を考案した人物です。


グランディフローラは「モクレン属の大きな花」と言う意味でその名の通り6月から7月にかけて、直径15~20㎝にも達する巨大な6弁の白色花を咲かせます。


                 (タイサンボクの花)


果実は袋果が集まった集合果で10月から11月に熟す。

袋果には種子が二個入っていて、裂開すると赤い種子が顔を出す。

葉も20㎝と大きく、葉の裏は鉄錆び色(褐色)の柔毛が密生する。

大きなカップ状の花を盃に見立てて「大盃木」と呼んだのが和名の由来と言われています。

また、雄大な樹形を山に見立てて(泰「大」山木)としたとする説もある。

タイサンボクは樹高がかなり高くならないと、花が咲かないので、小庭での栽培は難しいが、一般の庭でも栽培可能な近縁種が多数あります。

★品種
❆タイサンボクよりもやや小ぶりのホソバタイサンボク。

❆樹高が5㍍前後で、鉢植えにもできる落葉性のウラジロタイサンボク(ヒメタイサンボク)

❆落葉性で樹高が低く、積雪にも耐える程の耐寒性の強いオオヤマレンゲ。

❆園芸種として、樹高数十センチから花が咲く、矮性の「リトルジェム」がある。

◆生育環境
日当たりがよく腐植質に富んだ、肥沃なやや湿潤地が適しています。

痩せ地や乾燥地では生育がよくありません。

庭植えに向くのは、関東地方以南の暖地ですが、耐寒性の強い類似種が多数あります。

◉植え付け、移植
植え付けは4月から5月、または9月が適期です。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込んで植え、必ず支柱で保護するようにします。

根が太く柔らかいため、大木の移植は枯れやすく困難です。

やむを得ず移植する場合は、前年の春に根回しして、細い根を十分発根させてから乾燥に注意して素早く移植を行います。

◉肥料
冬に寒肥として油粕などの有機物を、株元に施します。

病害虫の心配はほとんどありませんが、まれにカイガラムシが発生することがあります。

冬期に石灰硫黄合剤を散布して防除します。

◉せん定
広い庭では、自然樹形を楽しみ楽しみたいものですが、花が高い所につくので適当な位置で芯を止める必要があります。

花芽は今年伸びた新梢の短枝の頂芽に夏頃分化し、翌年その位置で開花します。

通常のせん定は、花芽が分かる10月から11月に行います。

生長が早く、樹形は乱れやすい傾向にありますが、余り枝分かれしないので徒長枝や込み枝を、間引く程度で十分です。

切り口から枯れ込む事があるので、枝は必ず付け根から切り、太い枝を切った時はツギロウなどの保護剤を塗布します。

枝葉が密生して花芽が出来にくい時は、株元を掘って太い根を切り樹勢を抑えます。

◉殖やし方
11月頃に熟した種子を採り蒔きにし、乾燥に注意して管理します。

寒地では、低温貯蔵して翌春に蒔きます。

生長の早い品種は2年程で開花しますが、遅いものは10年以上かかる場合もあります。

早く開花されるには、4月に充実した枝を挿し木にする方法もありますが、発根率が悪く困難です。






ビヨウヤナギ No,282

ビヨウヤナギ

「未央柳、美容柳」

オトギリソウ科 半落葉低木
原産地=中国 別名=ビジョヤナギ

日本には江戸時代中期に伝わりました。

その美しさからすぐに人気が高まり、庭木や生け花用の切り花として、幅広く親しまれてきました。

ビジョヤナギの名は日本で名付けられましたが、出典は唐代の詩人白楽天の「長恨歌」です。

中国では、「金糸桃」と呼ばれています。

日本の花屋(店)では、専(もっぱ)らビジョヤナギ(美女柳)の名称で親しまれている。

6月から7月にかけて、直径5~6㎝の鮮黄色の5弁花が、密に茂った枝先一面に開花します。

枝は垂れ下がりますが、花は上向きに咲きます。

花の中心部からたくさん出ている細長い雄しべは、花弁よりも長く繊細でふんわりと広がる様子は、
金の糸の様で他の花にない
独特の美しさを持っています。

葉の展開する時期が非常に早く、葉の緑と後から咲く花の、黄金色との対照も見事です。


        (ビヨウヤナギ)

★園芸品種
キンシバイの仲間の類似種に、ホソバキンシバイ、オトギリソウ、ヒメオトギリソウなどがあります。

西洋の類似種であるヒペリカム(オトギリソウ科の植物の学名)には、大輪種のヒペリカム·フオレスティー

葉に黄白色の斑が入ったヒペリカム·モゼリアナムなどの園芸種がある。

◉生育環境
日当たりのよいやや湿潤地を好みますが、半日陰でもよく育ちます。

土質は特に選びませんが、乾燥が苦手です。

午後の日が当たらない肥沃で、湿潤な土の方がよく生育するので、その様な場所を選んで植えると、花もよく咲きます。

◉植え付け
植え付けは出来るだけ乾燥しない場所を選び、広めに掘った植え穴に完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込んで植え付けます。

暖地性の植物ですが、耐寒性は比較的強く、東北地方南部まで庭植えが可能です。

植え付けの適期は3月から4月です。

◉肥料
丈夫でよく育つので、痩せ地でない限り肥料はほとんど必要ありません。

花数を増やしたい時は、花後に化成肥料や鶏ふん、油粕などを少量株元に蒔きます。

◆せん定
放任しても枝葉が密生した株立ち状に樹形がまとまります。

刈り込みにも耐えますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

通常の整姿、せん定は花後の9月頃に伸び過ぎた枝や込み枝を切る程度で十分です。

大きくなり過ぎたり、古枝になって柔らかい風情がなくなった枝は、地際から切り取り新枝に更新します。

花芽は春に伸びた新梢の先端に分化します。

そのため、花芽を傷めたり切ってしまわないよう、春先のせん定は控えます。

◉殖やし方

簡単に出来るのは株分けです。
新芽が出る前に大株を、3分の1程の高さに切り詰めて掘り起こし、2分け割して半日陰に高植えします。

十分に水を与え、乾燥に注意して管理します。

実生は秋に種子を採ります。
温暖地はそのまま採り蒔きにできますが、冷寒地では低温保存して、翌春に蒔きます。


月曜日, 9月 21, 2020

ドウダンツツジ No,281

ドウダンツツジ 「灯台躑躅」

ツバキ科

原産地=静岡、愛知、岐阜の各地、紀伊半島、高知、鹿児島、千葉

ドウダンとは室内照明器具の灯台が転訛したもの。

同じツツジ科のサツキよりも更に葉が小さく、秋に赤く色づくので、仕立てものとして育てるのが一般的です。

スズランのように白い壷状の小花が、花枝の頂部に数個連なって咲きますか、花よりも葉の充実ぶりと秋の紅葉の景観にあります。

岩や石が露出しているような山地の痩せた砂礫地=されきち(砂と小石)に生える。

根は浅根性で横に広がる性質があり、ほとんど全国で庭木に利用され、自然樹形そのほか、刈り込みに強いので玉仕立てや生け垣に向いている。

★代表品種
近縁種として、ベニドウダン、サラサドウダン、カイナンサラサドウダン、ヒロハドウダン、サラサドウダンの変種でベニサラサドウダンなどがある。

白花品種でまれに山地に野生する、シロバナフウリンツツジがある。

◉生育環境
根が細く極端に排水の悪い土壌では、根腐れを起こすこともあります。

冬場の凍結により根が傷む恐れもあるので、北海道や東北地方など寒気の厳しい地域では、冬期に敷きワラなどを根元に施す、マルチングを行った方が無難です。

砂が多い土質の場合は、腐葉土や切りワラなどを多めに土にすき込みます。

粘土質の土地の場合は、砂や堆肥などをすき込み通気と水はけをよくします。




◉植え付け、移植
移植は真夏と新梢の出る成長期を除けばできますが、古い株に限っては根が広がり過ぎて幹から離せているので、移植の半年前ぐらいに根回しをして、細根が出てから行います。

移植は落葉期に行いますが、幼木は特にねが弱いので、寒さが厳しくなる前の11月上旬か冬の過ぎ去った3月に、植え付けるとよいでしょう。

完熟堆肥を元に土壌に少量混ぜ、排水性を高めるため盛り土した上に植えます。

◆肥料
ドウダンツツジは紅葉も楽しむ樹種です。

赤い発色に影響を及ぼす、チッソ系の化学肥料は絶対に与えないようにします。

刈り込みを行った年にのみ、有機肥料を根元に蒔く程度でよいでしょう。

冬期にせん定をしてから施肥をします。

1月から2月に株回りに穴を掘り、堆肥に鶏ふんを混ぜて埋め込みます。

9月には、油粕に骨粉を7対3の割合で混ぜ、約500㌘ぐらい埋め込むか、ばら蒔きます。

化成肥料のバラ蒔きでもよいでしょう。

◉せん定
葉が小さく小枝も多いので、基本的には細かいせん定は行わず、刈り込みにより大まかに形を整えていきます。

秋の紅葉を考えると、刈り込みは6月中旬までに行いましょう。

刈り込んだ箇所から夏芽が出て、これが夏いっぱいかけて葉をつけ、きれいに整った樹冠は10月頃鮮やかに色づきます。

7月以降に刈り込むと、夏芽から伸びた枝が葉をつける時間がなく、せっかくの紅葉がまだらに見えてしまいます。

また、あまり強く刈り込んでしまうと、密に生えている細い枝を、大幅に切り落とすことになって葉の数が減るので、寂しい紅葉の姿となってしまいます。

強い刈り込みは、すべての葉が落ちた冬期(11月~2月)に行う事です。

ただし、3月上旬には春の芽出しを一斉行うので、2月までに刈り込み作業を終える必要があります。

◆殖やし方
ドウダンツツジは挿し木による方法でしかうまく殖やせません。

挿し木を行った場合の活着率、土壌に根付く確率が余り高くありませんが、難しいと言う訳ではありません。

挿し木は春先に芽吹いた今年の枝が、一旦生長を止める6月中旬頃に行います。

この春枝を枝先から15~18㎝の位置で切ります。

芽がついた挿し木に適した枝の中から、10本程度選んで長さを揃えるとよいでしょう。

切り取った枝は切り口を下にして、一時間ほど水揚げしてから、浅い箱に敷き詰めた鹿沼土に挿します。

挿し苗は、翌年の3月まで日当たりのよい場所で管理し、庭に植え替えます。

◉病害虫
ドウダンツツジを好んでつく病虫類はほとんどありませんが、まれに「うどん粉病」が発生することがあります。

風通しが極端に悪い時に発生するので、発症箇所を切り取るとともに、風通しのよい場所に植え替えたり、落葉期に混んでいる部分の枝を付け根から切り落とすなどの処置をします。

落葉樹なので、こうして処置することで病菌を翌年に引きずる事はありません。

害虫はハマキムシやカイガラムシが発生することがあります。

一般の防虫対策でよく、冬期に機械油乳剤30倍液を散布して予防し、また、春に発生した場合には、5月から7月にスミチオン1000倍液を散布します。


日曜日, 9月 20, 2020

ヤブツバキ No,280

ヤブツバキ 「藪椿」ツバキ科

常緑中高木

日本の照葉木を代表する樹木の1つで、主に東北地方以西の海沿いの地域や、山地に幅広く自生します。




単に「ツバキ」と呼ばれることも多く、多くの園芸品種もこのヤブツバキが基本種となっています。

古代人は冬から早春にかけて開花する貴重な花木であり、常緑の葉に神秘性を感じ、仁徳天皇の昔から神聖な木として、宮中を中心に重用されてきました。

古事記では「都婆岐」日本書記では「海石榴」の表記で登場します。

ツバキの名称は「光沢(こうたく)がある」の古語である「つば」が変化したとする説と「艶葉木」=つやばきが転訛したとする説、「厚葉木」=あつばきが転訛したとするものなど諸説があります。

いずれも光沢のある厚手の葉を名前の由来としています。

11月から4月にかけて咲く花は5弁花ですが、基部がくっついていて盃状に咲くのが特徴です。

そのため落花する時は花ごと落ちます。

夏から秋に咲く花木は、主に昆虫が花粉を媒介する「虫媒花」ですが、ヤブツバキをはじめ昆虫がほとんどいない冬場に咲く花は、メジロなどの小鳥が花粉を媒介する鳥媒花」です。




一般に鳥媒花には、ヤブツバキの赤色のように鮮やかな色のものが多く、これは嗅覚(きゅうかく)の発達していない鳥類に対し、視覚で訴えているためと言われています。

また、昆虫を遠ざけるためとする説もある。

✪鳥媒花(ちょうばいか)とは、ツバキやサザンカのように冬に咲く花は、花粉をメジロやヒヨドリなどの鳥に運んでもらって受粉する花です。

体の大きな鳥を呼ぶために、ツバキは多量の密を分泌するようです。


多雪地帯に自生する「ユキツバキ」はヤブツバキから分化したものと言われ、降雪に耐えるように枝が、地を這うように低く広がる特徴がある。

耐寒性、耐暑性、耐潮性が共に極めて強い事から、公園、庭園樹として幅広く利用されている。

木材は堅く建材や器具、彫刻材として用いられる他、油分を多く含む種子からは「ツバキ油」が採れ、灯明、薬、化粧品などに幅広く利用されている。

その他の利用として、長崎県五島列島の名産「五島うどん」には、ツバキ油が使われていて、日本三大うどんとされ、幻のうどんと言われる。

五島うどんの歴史は最も古い、しかし、離島で在る事もあって昔々から伝わりにくい状態であった為、全国にあまり知られなかったと言う歴史がある。




五島うどんの発祥地は、旧上五島の船崎と言う部落で、中国より伝わったとされる。

現在でもこの地には、製麺所(犬塚製麺)がある。

ツバキは交雑種が作りやすく、品種改良が容易な事から、園芸品種は非常に多くその数は、一万種以上あると言われています。

18世紀には、チェコスロバキアの「宣教師で植物学者でもある、ゲオルグ·ジョセフ·カメル」によって、ヨーロッパに紹介され、以来カメルの名に因んで「カメリア」の名で欧米でも大流行しました。

ヤブツバキの学名はカメリア·ジャポニカで、西洋では椿の事を「カメリア」と呼びます。

椿油は世界的には「カメリアオイル」と言われています。

このカメリアオイルは世界三大オイルの1つで、ツバキ科ツバキ属の植物から取れる油で、日本原産のヤブツバキから採取される椿油は、カメリアオイルの一種と言えます。

世界で流通しているカメリアオイルの多くは、中国などアジアに広く分布するツバキ属の、チャノキやユチャ等の実から搾られる植物油と言われています。


◉生育環境
元来は暖地性ですが、耐寒性が強く、青森県まで露地植えが可能です。

日陰にもよく耐えますが、半日陰から日当たりくらいの環境下が最適です。

腐植質に富んだ排水性、保湿性ともによい肥沃な土地を好みます。

◆植え付け、植え替え
4月から6月中旬か9月が適期です。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥をよくすき込んで高植えにします。

◉肥料
通常の庭土であれば特に必要ありません。

花つきが良くない場合は、油粕、粒状化成肥料を等量混ぜたものを、株の大きさに応じて春先と秋口に与えます。

◆病害虫
ツバキ科の植物は、チャドクガが4月と7月頃に発生しやすい傾向にあります。

被害が大きい場合は5月頃から8月の発生期に、ディプテレックス、スミチオン、DDVPなどの薬剤を散布します。

チャドクガは毒毛を持ち、触れるだけでなく近寄っても「かぶれ」るので、捕殺するのは適当ではありません。

駆除はなるべく薬剤で行うようにしましょう。

ツバキ類の葉が黄色く見えたら、チャドクガの毛虫がいるかも知れません。

注意して葉の裏側を見ましょう。

◉せん定
ヤブツバキは幹が一本真っ直ぐ上に伸びる立性『たちしょう)です。

生育が遅く、枝も極端に伸びないので、自然樹形で楽しむ事ができます。

刈り込みに強いので玉散らしや円筒形、円錐形などの仕立てものにする事もできます。

基本的なせん定は、徒長枝や弱い枝、込み枝を切ります。

特に樹冠内の枝が密生し過ぎると日照、通風が悪くなるので、込み枝は必ず透かすようにせん定します。

花芽は6月から7月に、伸びが止まった新梢の先端につきます。

翌年春にその位置で開花します。

花期は品種により多少異なりますが、せん定の時期は花の咲き終わった直後3月から4月にかけて行います。

せん定後に伸びた新梢に花芽をつける事になるので、この時期(3月~4月)ならかなり思いきったせん定も可能です。

新梢の伸びが止まった、6月から7月の間に軽くせん定する場合は、すでに花芽が出来ているので注意して、樹形を乱す伸びすぎた枝を切り詰める程度にします。

花の咲いた枝を切る場合は、枝分かれしている所から葉を、2~3枚残して上部を切り詰めます。

この様なせん定を毎年花後に行えば、常に一定の樹形を保ち、花を犠牲にすることも無いでしょう。

尚、花後に結実するとその後の樹勢に影響を与えるので、実は早めに切り取ります。

★殖やし方
実生は秋に熟した種子を採り蒔きにします。

挿し木は固まりかけた新梢を、10~15㎝程に切り挿し穂とし、鹿沼土や赤玉土小粒のさし床に挿します。
時期は7月から8月

接ぎ木は3月から4月頃に行う。










土曜日, 9月 19, 2020

モチノキ No,279

モチノキ モチノキ科 黐の木

原産地=本州の東北地方以南、四国、九州、朝鮮半島

モチと言う名前は、粘り気の強い反面樹液に由来し、樹皮から鳥もちを取るのでこの名がある。

樹皮をすりつぶしたり、突いたりすると、鳥もちになる。

最初は皮を金づちなどで叩いて柔らかくしてから、摺り潰するとトリモチにしやすい。


それを細枝などに巻き付けて、鳥が停まりそうな場所に設置して鳥を捕らえる。

設置する場合は、停まりそうな場所をよく観察して設置する。

ただし、捕獲禁止野鳥もいるので要注意!

昔々は、野生のメジロなど小鳥を捕獲するためにトリモチが利用されました。

昔話にも「トリモチ」の名で登場するほど、日本では古くから親しまれてきた樹木です。

関東の中部以西の山野や、沿海の山地に広く自生しますが、東北地方の南部まで植栽できます。

海岸付近では防風、防潮樹として植えられていることもあります。

耐寒性が少し弱いが関東以西ではよく育つモチノキは生育度合いが鈍く、さほど手入れに手間がかからない樹で、強いせん定にもよく耐えるので管理しやすい。

ただし、仕立てものにするには、年数がかかりすぎる難点があります。

大気汚染にも強く、大型の樹木の割には根が浅いため、移植が容易である。

都市部の庭にも適した樹木と言えるでしょう。

また、葉の形状がよく似た「カナメモチ」は別種です。

◉生育環境
日当たりがよく肥沃な土壌を好みます。

比較的根が浅いので、保湿性を維持する事が重要になります。

ローム質の土壌に育てている場合は、赤玉土や腐葉土などを半分程度混ぜ、土壌改良を行う。

新たに植え付ける時は、植え穴を大きめに掘り、完熟堆肥を植え土に半分くらい混ぜて、水ぎめ法で行います。

◆水ぎめ法
植え穴に水と土を交互に入れながら植え付ける植え込み方法で、この方法は根の切り口が腐りやすい樹種、針葉樹には向いていません。

根付くまでの2~3年程は、強風などによる倒壊を避けるために、支柱を立てて保護しておくとよいでしょう。

根の活動が盛んな4月から9月頃までが、植え付け、移植の適期です。

◆病害虫
カイガラムシがよく発生します。
見つけ次第捕殺することになりますが、毎年頻繁に発生する場合は、予防を兼ねて冬期(1~2月)にマシン油乳剤の40~50倍液を2回程度散布します。

害虫の発生しやすい春から秋には、スミチオン1000倍液やオルトラン水和剤1000倍液で害虫を退治します。

◉せん定
6月~7月にかけて比較的よく枝が伸びます。

現在の樹形を維持する場合は、この時期に枝を切り詰めると、真夏期はさほど生長しないため管理が楽になります。

真夏にせん定すると枝や幹への負担が増し、枝から新たに芽吹かなくなる場合があるので避けましょう。

せん定を行う場合は、春に伸びた枝の付け根から、2~3葉程度を残して先を切り詰めます。

これを「三葉手入れ」といい、葉を残すことで再び枝先に新しい枝葉が密生し、良い姿に整います。

その後、切った箇所付近から夏芽が出て枝になります。

夏枝は途中で生長が止まり、節間が詰まるため枝先が密集して、樹冠を美しく見せる事ができます。

樹冠が大きくなった樹木は、6月~7月に基本形に沿って、一回り小さく刈り込みバサミで刈り揃えていきます。

大枝を切り取る場合は、冬場に行うようにしましょう。

秋の後半から12月にかけて、元気よく伸びた枝の2~3芽を残して切り詰め、樹形を乱さないように仕立てます。

◉肥料
強い刈り込みを行う場合は、樹木の基礎体力を維持するために、春先か秋口に施肥を行うとよいでしょう。

油粕と有機肥料を等量混ぜ、樹の大きさに応じて幹元に与えます。

生育中の場合は、2月と8月下旬から9月の間に、油粕に骨粉を混ぜて根元に埋め込むようにして与えます。

成木では春と秋の2回、少量の化成肥料をばら蒔きする程度で十分です。

◆殖やし方
実生の場合は、11月に結実した種子を水洗いして、赤玉土など肥沃な床に蒔くか、採取した種子を冷蔵庫に春先まで保存して、3月上旬に同じく肥沃な床に蒔きます。

挿し木の場合は、6月~7月が適期で、今年伸びた枝を15~20㎝の長さに切り取り、親木の育つ土壌に赤玉土を半分程度混ぜた土に挿して生育します。







バーベナ No,278

バーベナ クマツヅラ科  

別名=ビジョザクラ 1年草または宿根草

主に南北アメリカの熱帯から亜熱帯に分布しています。

約250の野生種があり、日本にも「クマツヅラ」1種が自生しています。

ひと昔前は冷涼な気候のヨーロッパで、改良された品種が多く、日本ではうどん粉病が出たり、高温多湿の夏に傷んだりといった問題がありました。

その後、丈夫で育てやすい品種が登場したため、今ではガーデニング素材として人気の高い草花です。




サクラに似た小花をつけるバーベナは、多種多様な園芸品種があり、立ち性、ほふく性、高性の3タイプに大別できます。

花色は赤、白、桃、紫など一般に栽培されているのは、「ビジョザクラ」と言う品種と、「宿根バーベナ」と呼ばれる品種です。

「ビジョザクラ」は暑さ、寒さに弱く、そのため秋蒔きの1年草として栽培されています。

一方、「宿根バーベナ」は暑さ、寒さに比較的強く、花色が豊富で丈夫な性質なので、コンテナや花壇などのグラウンドカバーとして人気があります。

葉の細かい切れ込みが、宿根バーベナの特徴です。

◉生育環境
日当たり、風通しの良い所で育てます。

★宿根バーベナは丈夫ですが、日当たりが不足すると、花つきが悪くなり茎葉が枯れてしまうので、室内栽培には向きません。

花が咲かなくなるのは、日光不足や過湿、乾燥、根詰まりなどが原因です。

水はけの良い用土に植え替え、伸びすぎた茎は切り詰めて回復を促します。

回復したら日当たりと風通しの良い場所に移します。

★ビジョザクラは、30度以上の高温が続くと、株が弱って花つきも悪くなります。

夏の高温期には、風通しがよく半日陰の涼しい場所で、管理する事が大切です。



◉植え付け、植え替え
※宿根バーベナの植え付けは4月下旬が適期です。

※ビジョザクラの植え付けは5月下旬が適期です。

植え付けは、一回り大きな鉢に水はけの良い用土で植え替えます。

酸性土壌を嫌うので、用土に酸度未調整のピートモスが入ってる場合は、石灰を加え元肥とし、暖効性化成肥料を1㍑当たり5㌘程混ぜておきます。

水やりは、乾燥に強い反面、多湿を苦手とするので、土の表面が乾いてから水を与えます。

ただし、あまり乾かし過ぎると、葉色が薄くなって内側に葉を巻き始め、茎がうなだれてしまいます。

★宿根バーベナは春か秋に植え替える時、株分けで株を更新できます。

ロックガーデンやハイキングバスケットに植えると、垂れ下がった枝先に咲く花が素敵です。

秋にうどん粉病が出ることがあるので、水はけの良い土を用いて植え、多湿に注意して管理します。

適切に管理すれば、春から秋、霜が降りる頃まで咲き続けます。

◉せん定
自然風の花壇に仕立てたい場合は、切り戻さなくても構いませんが、バーベナは生育旺盛なので、コンテナのように限られた空間では、植え付け後4ヶ月程で根がいっぱいに張ってしまいます。

8月下旬頃に切り戻しを行って株を更新させます。
切り戻すことにより、株元近くからわき芽が伸びてまとまった形に茂り、9月中旬頃には再び多数の花が咲き始めます。

コンテナも花壇も花を長く楽しむために、こまめに花柄摘みを行います。

◉肥料
切り戻し後は、暖効性化成肥料を1平方㍍当たり100㌘程施します。

植え替える必要はありません。
開花期間が長いので、月に1~2回薄い液肥を与えるとか、2ヶ月に1回程固形肥料を与えます。

◉殖やし方
種蒔きは春蒔き、秋蒔きが可能で春は4月、秋は9月中旬頃が適期です。

市販の種蒔き用土を利用して、平鉢や育苗箱などに蒔きます。
半日陰に置き管理します。

2週間程で発芽します。
本葉2~3枚で9㎝ポット(3号)に移します。

挿し木は春、又は秋に元気のいい枝を選んで10㎝程切り取り、赤玉土とパーライトの等量混合土に挿し、風通しの良い半日陰で管理します。

2~3週間で発根し、1~1ヶ月半後には鉢あげできます。
秋に挿し木して小苗を作れば、冬越しに便利です。







金曜日, 9月 18, 2020

ヒメシャラ No.277

ヒメシャラ ツバキ科 姫沙羅

別名=サルタノキ、ヤマチシャ 落葉高木

原産地=日本

本州中部以南の、標高600~800㍍の山地に分布しています。

よく似た「夏ツバキ」より花の小さいヒメシャラは庭の主木として、又は公園で林を造るようにすると美しさが引き立ちます。

「姫沙羅」と言う名は、シャラ(夏ツバキの別名)より、樹高も花の直径も小ぶりだったため、「姫」を付けて呼ばれるようになったのが由来です。

ヒメシャラは、夏ツバキよりも寒さに弱く、北は関東地方から南は九州までの地域が、庭植えの適地になります。

やや湿り気のある肥沃な土地を好みます。

明るい褐色の滑らかな幹肌は、老木になると樹皮が薄く剥がれ落ち、まだら模様を作ります。

ヒメシャラよりも少し早い時期に、まだら模様になる夏ツバキは、樹皮の赤みが強いので区別できます。

樹皮が剥がれ落ちると、若木のヒメシャラは赤褐色、古木になると灰白色になります

若いうちは枝にも毛がありしなやかに屈折します。

幹の質はすべすべして堅く、木材として柱、火鉢などの材料にも用いられます。

あまりにもすべすべとしているので、サルスベリと呼ばれる。



葉は秋に黄褐色に色づく。

6月~7月頃、その年に伸びた1年枝に直径2㎝程の白い花が一花つく。

小ぶりで涼しげな花は、夏の茶席の花として利用される。

花は花弁の外側に細かい毛が密生しています。

9月から11月には木質で絹毛が生え、先が尖った長さ15ミリ程の果実がつきます。

果実は朔果(さくか)で熟すと、5つに裂けて翼のある果皮が乾燥して、基部から上に向かって裂け種子が出る。

種子を採取するときはこれを取ります。

その後黄葉して散ります。




◆生育環境
 暖地に適していますが、夏にあまり高温多湿になる土地であれば、日陰を選んで植え付けます。

西日の当たる場所は避けます。

◉植え付け
11月から翌年3月に一年生苗を入手し、日当たりと水はけのよい砂質土に、大きな穴を掘り、穴の中に腐葉土を多めに入れて埋め戻します。

そこに苗の根土ごと植え付け、水やりをします。

その後は、1月から2月に堆肥、鶏ふん、油粕などを混ぜた、肥料を根の周辺に埋めます。

◆病害虫
比較的丈夫で手間のかからない花木ですが、病害虫には注意が必要です。

風通しをよくし、1月から2月に石灰硫黄合剤10倍液を散布して、病害虫を防ぎます。

新芽や葉に白い粉のようなカビがつく「うどん粉病」を見つけたら、早めにダイセンやベンレートなどの薬剤を散布して駆除します。

アブラムシやツバキ科に発生しやすい「チャドクガ」にも注意が必要です。

秋から春、チャドクガの卵や幼虫を見つけたら、枝ごと取り除くか薬剤を使って駆除します。

薬剤はスミチオン、ディプテレックス、DDVP等。

◉せん定
基本的には枯れ枝を取り除く程度でよく、せん定の必要がない樹木です。

高さや幅が希望より大きくなり過ぎたら、11月から2月の落葉期に、切り詰めずに長い枝を選んで間引きます。

◆殖やし方
秋にはじけた種を採取して、貯蔵し翌年3月に種蒔きします。

ゴロ土と赤玉土小粒7、腐葉土3の混合土を入れ、種子をばら蒔き薄く土をかぶせます。

発芽したら、双葉のうちから間引き、良い苗を残して苗間をあけます。

※挿し木でもできますが、やや困難です。






木曜日, 9月 17, 2020

ネムノキ No,275

ネムノキ (合歓木)マメ科 落葉樹
原産地=中国
別名=アサネゴロ、コウカ、ウシノモチ

夜になると葉は両側から合わさり、眠ったような姿になるのでこの名がある。

北海道を除く全国の原野や川辺などに自生する、日本の代表的な樹種のひとつです。

朝鮮、中国、台湾、東南アジアにも自生しています。

万葉の昔より「ねぶ」の名で親しまれている。

枝が横に広がるので真夏の緑陰樹木に適し、庭木としても用いるほか、学校や公園樹としても広く利用されています。

本来は暖地性の植物ですが、耐寒性は強く、北海道南部まで庭植えが可能です。

日本では古くから農村の風景に欠かせない雑木として広く植えられてきました。

放任すると10㍍を超える大木になりますが、小ぶりに仕立てて鉢植えで楽しむこともできます。

マメ科の植物は、蝶形の花を咲かせるものがほとんどですが、ネムノキは紅をさした★刷毛(はけ)のようなフワッとした花を咲かせます。

★刷毛=塗料などを塗る道具

3㍍程に生長すると花を咲かせます。

花は夏の夕方に咲き、丸いつぼみから短時間のうちに多数の雄しべが伸びてくる。

甘い香りがして朝には萎れてしまいます。

花は6月中旬頃から8月にかけて、断続的に咲き続けます。

刷毛のような花に見えるのは、長い雄しべで、筒状の5弁の花びらはとても小さく、よく見ないとほとんど気づきません。

夕方に開き朝にしぼむ花と、反対に葉は夕方になると閉じ、夜明けとともに開きます。

この現象は「就眠運動」と呼ばれるメカニズムによります。

ネムノキの葉は、小さい葉が鳥の羽根状になり、それが集まって大きな葉となっています。 

これを二回羽状複葉と言います。

この小葉の付け根部分に葉枕と呼ばれる膨らみがあり、内部の水分の圧力(膨力)が昼夜の温度差で変化するため、葉が開閉するのです。

★ハリエンジュ(ニセアカシア)を俗に「アカシア」と称される事が多く園芸店では混同を避けて、「ミモザ」と呼ぶのが一般的です。

海外では「ネムノキ」属名も「ミモザ」と言い、いずれも30~40の二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようである。★



                         「ネムノキの花」


触ると急激に葉が閉じる「オジギソウ」も同じ葉の構造を持つマメ科の植物ですが、ネムノキは時間をかけて、葉をゆっくりと開閉します。

ネムノキの樹皮には「タンニン」が含まれていて、民間療法で打撲傷に塗布したり、駆虫剤に用いる他、樹皮と花を含めて睡眠、精神安定剤として用いられます。

夏の暑い日に、肌着(肌)の中に直接ネムノキの葉を忍ばせると、熱冷ましとして活用できる。

ネムノキ属の仲間は世界で130種が確認されている。

日本でもネムノキを含めて3種が自生しています。

◉園芸品種
白色花をつけるシロバナネム

鮮紅色の花が咲くヒネム

50~60㎝の高さでピンクの花が開花する1才ネムなどがある。

★ネムノキは他のマメ科とやや趣きが異なる。

ニセアカシアの仲間とともにマメ科から切り離して、ネムノキ科とする説もあります。

◉生育環境
樹勢が強く、痩せ地でも比較的よく育ちますが、日当たりと水はけのよい肥沃な場所が理想的です。

日当たりをよく好む樹木なので、日陰には植えないようにします。

日光を好みますが、乾燥を嫌うので土壌水分は多めの土地が適しています。

枝がかなり横に広がるので混植は避け、庭植えの場合は、かなり広いスペースが必要になります。

◉植え付け、移植
細い根が少ないのであまり移植には強くありません。

植え付け後は乾燥に十分注意して管理します。

苗の購入時には、できるだけ根の多いものを、出来れば鉢植えのものを植え付けるのが理想的です。

根がよく張らないうちは、乾燥すると枯れ込む場合があります。

植え付け、植え替えの適期は3月頃から4月頃です。

◆肥料
植え付け時に元肥として、完熟堆肥などの有機肥料を十分にすき込みましょう。

病害虫の心配はほとんどないでしょう。

◉せん定
萌芽力があまり強くないので、強いせん定は避け、基本的には自然樹形を保ちます。

太い枝で小枝のない部分で切ると枯れ込むので、そばに枝のある所で切って樹形を整えます。

若木のうちはある程度切り込んでも大丈夫なので、早い段階で樹高を決めるようにします。

★殖やし方
秋に豆果のサヤが淡褐色に熟したら、早めに採種して採り蒔きする。

採種が遅れると虫害を受けやすく、発芽できなくなります。

発芽までに1年から2年を要します。






水曜日, 9月 16, 2020

キンモクセイ No,274

キンモクセイ モクセイ科 常緑広葉樹

原産地=中国

秋に黄色い花を咲かせる「キンモクセイ」と白花の「ギンモクセイ」とがあり、ともに甘いよい香りを漂わせ、庭木として人気がある。

放任しておくと5㍍から7㍍の大木になるので、植え付けて毎年刈り込みをして育てます。

単植の円筒形仕立てや生け垣にもなる。

雌雄異株で、日本には雄株が多く結実しない。

日当たりのよい、肥沃な土地がよく日陰にも比較的強いが、花つきが悪くなる。

東北地方の南部ぐらいまで植栽可能、ふつうの庭であればとくに土質は選びませんが、乾燥しやすく痩せている土地の場合では、堆肥や腐葉土をすき込む必要があります。





◉植え付け
4月から5月が適期です。
成木の場合は5月か7月から9月が適しています。

移植の場合は、前年に根回しをし、小根を発生させ、枝を少し切り詰めて準備をしておきます。

移植した時は、十分に水を与え、背の高い木は支柱をします。

◉肥料
樹勢の強い樹木ですから、肥料を与えすぎない方がよいのですが、花をよくつけるには、チッソ分の少ないリン酸カリ分の多い化成肥料を、3月に根元にばら蒔き、また花後に株回りに穴を掘り鶏ふんを埋め込む程度にします。

肥料の主成分のひとつであるリン酸は、主に花の開花と充実に効果があります。

モクセイのような庭木であっても、同時に花を楽しめる樹種の場合は、リン酸の成分の多い肥料を与えると、効果が大きくなります。

◉せん定
放任すると大きくなり過ぎるので、若木のうちから刈り込みをして樹形を作りながら育てましょう。

そのためには、高さを決めて芯を止め、木のバランスを考えて徒長枝をこまめに切ります。

花芽がつくのは7月頃で、春に伸びてくる枝につきます。

花を楽しむには花芽形成期から開花期の9月から10月までせん定は避けましょう。

◆害虫
風通しの悪い所などでカイガラムシが発生する。

夏の高温期にハダニも発生しやすい。

カイガラムシは混み合った枝や葉につきやすいので、よく観察しましょう。

ハダニは葉の裏側に寄生して、養分を吸います。

葉の緑色が失せて、次第に白っぽくなり、木全体の勢いが無くなり、葉がカスリ状になる。

夏の高温期に発生が目立つので早めに退治しましょう。

ハダニ類は肉眼では発見しにくいので、葉の色などで判断するのもひとつの方法です。

★予防と対策
枝葉が混み合わないようにして、風通しと日当たりをよくします。

カイガラムシには、冬期に機械油乳剤30倍液を2~3回散布して予防し、発生が見られる夏から秋にかけては、スミチオン乳剤1000倍液とオルトラン水和剤1000倍液を交互に散布して、虫の抵抗力を弱め、殺虫効果を上げるようにします。

この場合の散布は月に2~3回行います。

薬剤散布は、風上から行い、マスクなどで防護することも忘れないようにしましょう。

日中の日差しが強い時の散布は避けましょう。

早朝か、夕方の日暮れ前を中心に散布を行うようにし、できるだけ薬害を避けましょう。

※機械油乳剤剤は薬害に注意する必要があるため、冬期に使用しましょう。

ハダニは強い雨などに弱いので、時々ホースで葉に水をかけてやると、発生を抑える事ができます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。






火曜日, 9月 15, 2020

ノウゼンカズラ No,276

ノウゼンカズラ ノウゼンカズラ科 

別名=トランペットフラワー 「凌霄花」
落葉ツル性高木

原産地=中国中部~南部の地方

名前に由来は諸説あるが霄(しょう)とは大空のことで、土を這わせて天空を凌(しの)ぐほど高く登るため「凌霄」と名付けられその音読みの「のしょう」が後にノウゼンに転訛したと言う説が有力です。

日本には平安時代に渡来し、古くから庭木に利用されています。

よく日が当たる場所を好み、耐暑性が強いので、壁面の緑化などに適しています。

漢方では、干した花を利尿剤や婦人科の緒症状、湿疹、じんましんの治療などに利用しています。

茎が長く伸び、付着根を出して他のものに吸着し、這い上るように生長します。

高さが10㍍に達するのも珍しくありません

茎は通常は緑色の草状ですが、古くなると次第に木質化して太枝になります。

7月から9月にかけて、濃いオレンジでラッパ型の大きな花を咲かせます。

その花の姿から別名トランペットフラワーの名がある。

ノウゼンカズラの仲間は種類が多く、熱帯性のものを中心に世界で、120属約650種が確認されています。

日本でよく見られるのは中国産のものと、アメリカ原産で花筒が細く、やや小ぶりな花の「アメリカノウゼンカズラ」の2種です。
中国産は耐寒性が弱く、庭植えは関東地方以西が無難です。

アメリカ原産は耐寒性に優れ、東北地方でも庭植えが可能です。

両者の交雑種で、花のつき方はノウゼンカズラに似て、アメリカノウゼンカズラと同等の耐寒性を持つ、紅色花の「マダム·ガレン」などの園芸種もあります。

その他に黄色やピンクの花をつける品種もあります。


◉生育環境
他の花木と比較にならないほど、日陰を嫌う植物です。

生育には、日当たりと水はけが良いことが絶対条件になります。

日当たりが悪いと花が咲きません。

特に雨や曇りの日が続くと、花やつぼみが落ちやすくなるので注意が必要です。

◉植え付け
土質は特に選びませんが、有機質に富んだ肥沃な土地が理想です。

植え付け時は、水はけの良い土に元肥をたっぷりすき込みます。

排水を考えて必ず「高植え」にすることが重要です。

他の樹木に絡ませると、その植物の樹勢が衰えてしまうので、庭植えではフェンスやバーゴラの柱に誘引したり、ポール仕立てにして管理するようにしましょう。

◆肥料
冬期に寒肥として骨粉を多めに与えます。

また、花後にカリ分の多い肥料を与えると効果的です。

過湿は嫌いますが、花期に水を切らすと花が咲かなくなるので、夏期には毎日の水やり必要になります。

◉せん定
落葉後から2月までの冬期に行います。

ノウゼンカズラは、新しく伸びたツルの先端に開花するので、毎年せん定しないと古いツルが伸び、枝葉が多いわりに花数が少なくなってしまいます。

フェンスなどに絡ませる場合は、長過ぎる枝や垂れ下がった弱い小枝を切り取り、他の枝は2~3芽残して切り戻します。

根元からたくさんのひこばえ(やご)が出ますが、太く丈夫なものを数本残してすべて切り取るようにします。

必要な枝を早めに決めて残りを発生次第切ることで、早く枝を太らせることができます。

そうすると、細かいひこばえの発生も次第に少なくなります。

強いせん定にも耐えるので、枝が伸び過ぎて困る場合は、その都度切り落としても枯れる心配はありません。

◆殖やし方
垂れ下がったツルが地面につくと、そこから発根して、どんどん殖えていきます。

意図的に殖やすには挿し木をします。

充実した枝(ツル)を10~15㎝に切ってさし穂とし、さし床に挿します。

適期は2~3月の春ざしと、6月~7月の梅雨ざしです。






エンジュ No,273

エンジュ マメ科 「木鬼、槐花」落葉高木

原産地=中国

日本に渡来したのは、かなり古く当初は「エニス」と呼ばれていたものが、転訛して「エンジュ」となったと言われています。

「槐」=かい、の字は鬼門に植えて邪気を祓い幸福を呼ぶ事に由来しており、「古来から幸福を呼ぶ木」として珍重されてきました。

街路樹や公園樹、庭木などに利用されています。

特に新築の庭などに、縁起木として植える事が多いようです。

垂れ下がるマメ形の実は、数珠のように丸くくびれていて、中がねばねばしているのが特徴です。

中国では学問と権威の象徴を表す高貴な木とされ、古代中国では、最高の「官位槐位=かいい」と称しています。

古くに中国から伝えられたエンジュは、出世を願って植える人も多い。

日本では「槐樹=かいじゅ」と言う別名があります。

夏から秋にかけて枝先に花序を出し、淡黄白色の蝶のような形をした花をたくさんつけます。

寒さや大気汚染にも強く、街路樹として広く利用されるとともに、縁起木であると同時に実用性の高い樹木で、つぼみを乾燥されたものを漢方薬として利用しています。

エンジュの蕾は多くの「ルチン」が含まれ、これを乾燥したものを(槐花、かいか)と呼び、高血圧に効く生薬にする。

また、果実は(槐角、かいかく)と呼び、同じく薬用にする。

止血、鼻血、毛細血管の強化、動脈硬化、★中風の予防などに効果があると言われ、脳卒中の予防や痔、歯肉炎の治療に処方されます。

★中風=ちゅうぶ、ちゅうふう、ちゅうぶう
脳出血によって起こる半身不随や手足の麻痺のこと。

また、重要な蜜源植物であり、若葉は茹でると食べられ、お茶の代用にも利用されてきた。



◉生育環境
日がよく当たり、水はけもよい腐植質に富んだ肥沃な土地が理想です。

土質はあまり選ばず半日陰でもよく育ちます。

耐寒性も強く、ほぼ全国で栽培可能です。

大木になる樹種なので、庭植えの場合も十分根が張れる土壌の深さが必要になります。

◉植え付け、植え替え
2月から3月と11月から12月が適期です。

移植にも強い樹種ですが、大木を移植する場合は半年から1年前から十分な根回しをする必要があります。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥を十分に入れて高植します。

通常の土質であれば、肥料はまず必要ありません。

ただし、枝の伸びが悪い場合は、3月頃か9月頃に油粕を少量根元に与えるようにします。

◉害虫
まれに、デッポウムシ(カミキリムシの幼虫)が見られることがあります。

発見しだい虫穴に殺虫剤(スミチオン等)を注入し、土で穴をふさいで防除します。

★品種
近縁種にハリエンジュ(ニセアカシア)、イヌエンジュ
庭植えに向いてるシダレエンジュなどがある。

別種に、根を生薬に使うクララや、実が絹状毛に覆われたハネミエンジュなどがある

せん定
刈り込みにもよく耐える樹種です。

庭木として楽しむ場合は、植え付け時に切り詰め、その後も早めのせん定で高さを一定に保つようにします。

持ち味を生かすには、できるだけ自然樹形を保つ事が大切です。

生長が早く枝の先端がよく伸びるので、かなり枝抜きが必要になります。

エンジュはふところ枝が多く、混み合った形になります。

混み合った小枝や飛び出した徒長枝などを切り、円形に近い自然形に保ちます。

また、太枝も含め、枝は必ず根元から切るようにします。

太枝を切った場合は、必ず「ツギロウ」など、保護剤を切り口に塗布しておきます。

枝のほとんどが樹冠の上部に集中するので、大きくなり過ぎると形が悪くなる場合があります。

その時は、中途で幹を切り、側枝を主幹に更新させるようにします。

せん定、整姿は葉の落ちる12月から葉が動き出す3月にかけてが適期です。

◉殖やし方
10月頃に熟したサヤを採り、種子を取り出して蒔きます。

苗の生長も早いので、混み合わないように蒔き床は広く作り、間隔をあけて蒔くようにします。

種蒔き後は乾燥に注意して管理します。

貯蔵して置いた種子を、翌年の3月に蒔く時は、前の晩に水に浸けておくと生長を促進します。


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月曜日, 9月 14, 2020

アオキ No,272

アオキ (青木) ミズキ科

原産地=本州、四国、日本特産

葉も幹も緑色で「アオキ」と名付けられた。

山地の樹林下に生える雌雄異株の常緑低木。

外国の日本庭園には、必ずやと言ってよいほど植えられている木で、日本でも庭木としてよく植えられている。

耐寒西部が強く、日陰や大気汚染にも強く、庭木のほか公園や街路樹などにも幅広く利用され、冬に赤い実がつく。

腐植質に富んだ肥沃な湿潤地を好み、あまり乾燥しない土質ならば日なたでもよく育つ。

花は3月から5月に咲き、果実は秋(11月~4月)に赤くなり、楕円形で長さ2㎝ほど、翌年の4月頃までついている。

雄木と雌木があり、枝を粗く出す株と小枝を密生する株など、個体差がある。


                                 (アオキ)

◉植え替え、移植

春4月から5月と9月から10月頃が移植や植え替えの時期です。

◉肥料

乾燥気味の土質の場合、冬に堆肥や腐葉土をすき込む程度で、とくに肥料を与えなくても育ちます。

株に元気がなく、葉の色が悪い時には、ごく少量の化成肥料をばら蒔きします。

真夏の敷き藁も乾燥防止に役立ちます。

◉せん定

自然の形で育ちますが、風通しが悪くなるほど、繁った株は間引くようにして、徒長気味の枝を切り詰める程度のせん定をする。

◆害虫

夏から秋にかけて、通風の悪い時にカイガラムシが発生します。

幹の部分や葉の付け根をよく見て、貝殻状の殻を被った寄生しているカイガラムシを、早期に発見するようにします。

冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤10倍液を2~3回葉や幹に散布してカイガラムシを予防します。

また、カイガラムシの発生が目立つ5月から7月には、スミチオン1000倍液を月に2~3回、葉や幹などカイガラムシの発生しやすい部分に散布します。

★殖やし方

実生(種蒔き)や挿し木で殖やします。

※その他の代表的品種
斑入り種やシロミアオキ
寒地性の姫アオキなど


                          (ヒメアオキ)

◉ヒメアオキ(姫青木)

全体がアオキより小型なのでこの名がある。

日本海側の多雪山地に生え、アオキが雪に適応したものと考えられている。

山地に生えるが、積雪の深さ以上には伸びず、高さは1㍍程のものが多い。

幹は直立せずやや横に這い、先は斜めに立ち上がる。

葉や果実もアオキより一回り小さい。






日曜日, 9月 13, 2020

コノテガシワ No,271

コノテガシワ ヒノキ科 常緑針葉樹

別名=ハリギ (児ノ手柏、側柏)
原産地=中国北、西部

枝葉が子どもの手のひらのように広がるので、児の手柏=「コノテガシワ」と名付けられた。

成長はやや遅く、特別手をかけなくても自然に樹形は広円錐形に整っていく。

刈り込みにも強く、単植えもよし、列植したり生け垣、芝庭、洋風建築にもよく似合う。

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌が適している。

日当たりが良いことが大切です。

◉植え付け
真夏と真冬を除いていつでもできますが、3月から4月と9月から10月が適期です。

土質はあまり選びませんが、肥沃な土質にこしたことはありません。

基本的には、堆肥や腐葉土をすき込み、肥料が根に直接触れないようにして、鶏ふんを少量埋め込みます。




◉肥料
(2月と9月に与える)
2月に油粕、鶏ふん、牛ふん、化成肥料などを施す。

肥料の与え過ぎに注意する植物です。


◉せん定
(6月中旬から7月)(9月中旬から11月)

群植してある場合は、お互いに枝葉が触れ合うようになってきた時などに、全体を刈り込んで形を整えます。

また、枝葉が繁りすぎて見苦しくなってきた時には、間引くように枝葉を切ると、風通しもよくなり木のためにもよくなります。

枝や葉が混み合ったまま放置すると、通風や日照が悪くなり、病害虫発生の原因になります。

病害虫はムレたような状態を好むので、せん定はそのような状態をなくすためにも行います。

コノテガシワは、冬期雪によって枝が割れる事があるので、雪の降る地方では、幹をヒモで縛っておくようにしましょう。

◆害虫
カイガラムシ、アブラムシ、ハダニ

夏の高温期に強い乾燥と、水不足で株全体に勢いがなく葉色が変色したり、新芽の成長が鈍くなったりします。

予防として、春から秋の間にケルセン乳剤、オルトラン水和剤1000倍液を、1ヶ月に2回程度葉や幹を中心に散布します。

★殖やし方
実生は3月から4月
挿し木は6月から7月に行う。

◆園芸品種
✻細かい葉を持つクワビャクダン

✻主幹がなくて株立ちをするセンジュ

✻単幹で直立するタチコノテガシワ
枝が下に垂れるイトスギなどがある。


◉コノテガシワを含むコニファーの仲間

コニファーとはマツ科、スギ科、ヒノキ科、イチイ科、マキ科などの針葉樹類の総称。

外国産の樹種に人気があり、小型で樹形や葉に特徴のある美しいものが多い。

針葉樹類の特徴は寒さに強く、夏の暑さに弱いものが多く、種類により立性、ほふく性、円錐形、玉形など自然に形を整えていくものが多い。

これらの種は、全般に根が貧弱で小苗のうちは植え替えや移植ができますが、根回りをきちとしないと大株の植え替えは難しい。

土質は排水のよい砂質壌土で、日光のよく当たる場所を好みます。

肥料はあまり多く必要としないので、鶏ふんや油粕に少量の骨粉を混ぜ、2月から4月頃に株まわりを掘って埋め込む程度で十分です。

病害虫はは、定期的な殺菌剤、殺虫剤散布程度でよい。






土曜日, 9月 12, 2020

イヌマキ No,270

イヌマキ (犬真木、犬槇)

原産地=日本、台湾、中国南部 マキ科

日本では、関東南部以西の本州、四国、九州、南西諸島にかけて幅広く分布しており、大きいものは樹高20~25㍍に達します。

マキは元々「真木」と書き、ヒノキやスギ、クスノキと共に「優れた木」を意味する、高級建築材一般の総称として用いられました。

イヌマキは湿気やシロアリの食害に強く、材質が均一であることから古くから、高級建築材として知られています。

太平洋側の海辺に多く、防風、防潮の役目を兼ねて海岸付近の畑の縁などに植えられたり、生け垣などに利用します。

イヌマキの名称は、木材として最高級のマキよりはやや劣ることに由来しますが、園芸界で単に「マキ」と呼ぶ場合は、イヌマキを指すことが多いようです。

また、建築界では別種の「コウヤマキ」を指します。

雌雄異株で、雄花、雌花ともに5月から6月にかけて小枝の葉腋に開花します。

庭木としては、常緑の葉と樹形を観賞しますが10月から11月に結実する雌株の果実は、赤紫に熟す花托の部分がたいへん美味で、古くは食用に供されました。




◉園芸品種

イヌマキの変種で、枝葉、樹高ともに小ぶりで小庭での栽培に向いた「ラカンマキ」がある。

同じマキの名で呼ばれる日本特産の「コウヤマキ」は樹形や葉姿はよく似ているものの、葉がより細くスギ科の「コウヤマキ科」とする学説あるものに、分類される別種である。

◉生育環境

日当たり、水はけのよい腐植質にとんだ肥沃な場所を好みますが、樹勢がたいへん強く、土質は特に選びません。

大気汚染や潮害に強く、日陰でも育つので、都市部や海岸部での栽培も可能です。

耐寒性はあまり強くないため、冬の寒風が当たる場所への植え付け避けます。

冬に氷点下になる内陸部や、関東地方北部以北の庭植えは適しません。

寒地で育てる場合は、鉢植えにして冬期は室内に取り込むようにするとよいでしょう。

植え付け、植え替えの適期は4月から5月と9月から10月で、根の乾燥に気を付ければ、大株の移植も比較的容易です。

植え付ける場所は、排水の良い肥沃な場所を選び植え穴を大きめに掘り、堆肥や腐葉土に鶏ふんを混ぜ、根に肥料が直接触れないように、間土をして植え込みます。

★間土=まつち(肥料と根の間に土を入れること)

主木とし単植えの場合は、後で移植などをしないような場所をよく選んで植え付けます。

◆肥料

寒肥として1月から2月に堆肥に鶏ふん、油粕、牛ふんを混ぜ、株回りに浅くすき込みます。

夏の追肥は、7月から8月にチッソ分の少ない化成肥料をばら蒔きする程度で、あまり多く与える必要はありません。

◉害虫

春から秋まで虫類の被害が発生します。

ハマキムシ、アブラムシ、カイガラムシ
テッポームシ(カミキリムシ幼虫)

冬期の1月から2月に機械油乳剤30倍液を、2~3回散布します。

※春から発生するアブラムシ、カイガラムシには、市販品の浸透移行性の殺虫剤が効果的で、オルトラン乳剤1000倍液や、アクテリック乳剤1000倍液を月に2~3回散布します。

※テッポームシは、まず幹に入り込んだ虫穴を見つけ、スポイトなどを使い、オルトラン水和剤やスミチオン乳剤を虫穴に注入し、土でフタをし殺虫します。

また、発見が難しい時には、浸透性の殺虫剤であれば
木全体に薬剤散布すれば十分効果があります。

※樹冠内の日照、通風が悪いと葉先が灰白色に変色する白葉枯れ病や煤病の原因となる、カイガラムシが発生することがあります。

見苦しくなるので、こまめに整姿、せん定で適度な日照、通風を保つことが大切です。


◉せん定、整姿

新芽が伸びてきた4月から6月と、秋9月から10月の成長期には、かなりよく枝が伸びるので、様子を見ながら刈り込み、樹形を乱さないようにします。

梅雨明けの頃、刈り込んだ後から勢いの良い土用芽(土用の頃に新しく出る枝)が出ることもあります。

これも秋には、枝先をそろえて刈り込みます。

あまり季節が遅くなってからの刈り込みは、木のためによくないので注意しましょう。


いろいろな仕立てができる樹種で、樹形の仕立ては枝抜きと刈り込みを中心に行い、必要に応じて枝を誘引、矯正します。

枝は必ず葉のあるところから切ります。

葉のない所を切ると、枝枯れの原因になるので注意しましょう。


徒長枝は早めに切り取ります。

葉の途中で切ると茶色く変色するので、刈り込みは大まかな整形に止め、仕上げは木ばさみで不要な小枝や葉を一本ずつ付け根から、間引くようにすると見栄えが格段に違います。

また、マツ同様、夏の新芽のもみ上げと秋の古葉引きも必ず行い、枝の付け根や地際から出る不定芽、ひこばえ(やご)も早めに切り取ります。


             (種蒔きから3年目の苗)

◉殖やし方

10月から11月にそのまま採り蒔きにするか、冷暗所で貯蔵し、翌春に蒔きます。

よく発芽しますが、生長が遅く庭木として一応の樹形ができるまでには10年以上かかります。