緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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月曜日, 11月 30, 2020

苔で作ったクリスマスリース No,334-1

 苔リース



リースリングには土が一体化されている。


植物の植え付けができるように

作っています。





木曜日, 11月 26, 2020

エゴノキ No,334

 エゴノキ エゴノキ科

落葉小中高木 (斉敦果)


北海道から沖縄まで、ほぼ日本全国に自生する。

日本の代表的な樹種のひとつです。

秋に熟す果実の皮にはエゴサポニンと言う有毒物質が含まれており
食べたときにのどを刺激して「エグい」味がする事から「エゴノキ」の名が付いたとも言われています。

この果実や樹脂から★「安息香」と呼ばれる薬剤を作ったり、洗剤の原料などに用いていました。


★安息香=あんそくこうは別名ベンゾインとも言い、精神を落ち着かせてリラックスさせる効果に優れている。

青い果実は、有害のサポニンを含みかつては、その麻酔効果を利用して魚とりなどに使われていた。

この様な効果を含んだ植物はナス科🍆に多く見られる。

★ナス科の同類作用種
※ハシリドコロ

※アトロパ·ベラドンナ
(和名オオカミナスビ)

※チョウセンアサガオ
ダチュラ、マンダラゲ、キチガイナスビ
トランペットフラワー、ロコ草とも言う。

※イヌホウズキ(バカナス)

※ヒョス

◈その他では
ケシ科のケシの実から作るアヘン、麻薬

◈キンポウゲ科のトリカブト
(オクトリカブト)

◈セリ科の毒人参(ハムロック)
毒パセリとも呼ばれる。

昔はエゴノキの木材をロクロで細工して、玩具を作った事から「ロクロ木」と言う別名もあります。

白い木材は堅くて粘りがあり、家の床柱や薪炭材としても利用されます。

5月に桜に似た清楚な白花をこれ以上は無理と言う程、枝いっぱい
雪の様に咲かせます。

生長が早く花が美しい事から、公園樹としても利用されるようになった。

身近な平地や里山の雑木林や沢沿いなどに多く生えている。

全国に分布する樹種のため別名が
多く存在している。

チシャノキ、チャノキ、サボン、イツキなど、各地で様々な通称が使われています


万葉集にも「地左=ちさ」の名で登場しており、古くから多くの人々に親しまれていた樹木である事が
窺い知れる。

樹勢がたいへん強く、庭木としても育てやすい樹種で、園芸品種には枝が垂れるシダレエゴノキ、淡紅色の花が咲くベニバナエゴノキがある。


                          (エゴノキの花)


◉生育管理、環境

一日中日が当たる場所より、午前中によく日が当たり、午後の西日があまり当たらない半日陰の環境が最も適する。

水はけ、排水性、腐植質に富んだ肥沃な土質が理想的です。

樹勢が強いので、大抵の環境でも育ちますが、根元付近が乾燥しやすい場所では乾燥を防ぐ処置が必要です。

✿植え付け、植え替え

11月〜3月までの落葉期に行います。

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥を元肥として十分すき込み 、排水が良くなるようにやや高植えにします。

植え付け後は支柱をつけ、倒木を防ぐ。

◉肥料

樹勢をよく観察しながら、必要に応じて2月頃に寒肥として鶏ふんなどを、株の大きさに応じて株元にすき込むとよいでしょう。

❆病害虫

まれにカイガラムシやテッポウムシが発生します。

カイガラムシには冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤を散布し、テッポウムシには穴にスミチオンを注にした後練り土で穴を塞ぎます。

✿せん定、整姿

細かい枝や混み過ぎた枝、徒長枝などのふような枝を整理します。

枝は途中で切ると硬い樹形になるので、切る時は必ず付け根で切り取ります。

切り口には必ず保護剤を塗り保護する事が大切です。

シダレエゴノキの場合は、同じ様に枝を切るのではなく、しだれた枝を外に向かって広がるように枝向きを生かして、せん定する事が重要です。

せん定、整姿の適期は葉が完全に落ちた12月から新芽が動き出す前の3月中旬頃までです。


✪殖やし方
秋に熟した果実を取り、果肉をよく取り除いてから蒔きます。

ベニバナエゴノキ、シダレエゴノキは実生3年から4年の苗木を台木にして切接ぎで殖やします。






火曜日, 11月 24, 2020

トチノキ No,333

 トチノキ  トチノキ科 栃の木

別名=ウマグリ 落葉高木

栃木県の県木として有名ですが、本州四国、九州の各地に自生しています。

深山の渓流沿いなどの湿り気が多い場所生える。

老木になると樹皮が剥がれて模様がより鮮明になる。

5月初旬から6月にかけて、小花の集まりがロウソク状に盛り上がる独特の花を咲かせる。




日本の山野に自生するトチノキは
紅白の花を密につけ、マロニエの名で親しまれているヨーロッパ南部原産のセイヨウトチノキは、淡白色や紅色のやや大ぶりの花をつけます。

パリのシャンゼリゼ通りを模した
セイヨウトチノキの並木道が、日本でも各地で見られます。

北アメリカ原産のアメリカアカバナトチノキは、やや小形で日本ではあまり見られない。

街路樹や公園木としてもよく見かけるのは、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキの園芸交配種として、19世紀に作り出された紅色花をつけるベニバナトチノキです。

こちらは日本での歴史が30年余りで、比較的新しい園芸種といえます。

トチノキの「ト」は数字の(十)に由来しており、実が多い木の意味と言われている。

花から「蜜」が、種子からでんぷんが採れ食用とされます。

特に蜜は[トチ蜜]と呼ばれ、最高品質の蜜として珍重されます。

秋に熟す実「トチの実」はすりつぶして渋抜きしたものを[栃餅]にしたり、蕎麦に似た(栃麺=とちめん)を作ります。


縄文時代にはどんぐりなどとともに、重要な主食の一部だった事も知られています。

チョコレート色の模様がある種子は有毒だが長い時間水に晒して、飢饉の時には食料とされた。

木材は家具や楽器などに幅広く用いられます。

◉生育管理、環境
土質は特に選びませんが、日当たりがよく保湿性のある腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。

◉植え付け、植え替え

大木になるのでそれなりのスペースが必要、庭植えに向くのはやや小ぶりのベニバナトチノキですが、枝葉を大きく張るので混植を避け、独立木として広いスペースに植えるようにします。

高さ1メートル程の2〜3年生の接ぎ木苗で開花する「カルネア·ブリオッティ」など小庭向きの矮性の園芸品種もあります。

植え付け、植え替えは11月下旬〜12月及び、2月下旬〜3月中旬に行います。

寒冷地での植え付けは春に行った方が良いでしょう。

◉肥料
やせ地でない限り、通常は必要ありません。

が状況に応じて油粕、鶏ふん、堆肥などを寒肥として2月頃に根元にすき込むと良いでしょう。

❆病害虫

クスサンなどの幼虫がつく場合があります。

幼虫が発生した場合は、捕殺した後ディプテレックス乳剤などを散布して予防します。




✿せん定、整姿

放任しても大きな球状に樹形を整えるので、若木のうちは落葉期にふところの細かい枝を切る程度で、せん定、整姿の必要はほとんどありません。


萌芽力があまり強くないので切る場合は、必ず付け根から切るようにすることが大事です。

ある程度の大きさに育ったら、大きくなり過ぎないように切り詰める必要があります。


花後伸びた新梢の先端に花芽が分化します。

花が終わったらすぐに開花枝を、大きめの定芽の上で切り戻すようにします。

✪殖やし方

園芸によく使われるベニバナトチノキは、あまり結実が良くないので接ぎ木で殖やします。

台木は2年生以上のトチノキの実生苗木を利用し、3月中旬から下旬にかけて切り接ぎにします。

活着率も比較的よい樹種です。

高接ぎ比較的容易に行えるので、
10年~15年生くらいの大きなトチノキの枝に数カ所高接ぎをすると、3年程で立派な苗木ができます。







木曜日, 11月 19, 2020

葉の部分、形、つき方に関する用語 No,332

 葉の部分に関する用語について

「葉」は植物学的には、根、茎とともに植物の栄養器官を構成し、通常茎のまわりに規則的につき、葉緑体を持ち光合成を行い呼吸、蒸散を行うものを「葉」と言います。


ほとんどの樹種の葉は、偏平な形である。

✿気孔❨きこう❩

気孔は葉の表面にあり、空気が出入りするための孔で開閉できる。

✿鋸齒❨きょし❩

葉の縁[葉縁=ようえん]につくノコギリ状のギザギザのこと。

✿全縁❨ぜんえん、ぜんふち❩

葉縁に鋸歯や切れ込みがないもの。

✿托葉❨たくよう❩

葉の付け根に生じる葉状、突起状
刺状などの構造物。
ドクダミなどに見られる。

✿葉腋❨ようえき❩

葉が茎にくっついている根元の部分のこと。

✿葉茎❨ようけい❩

葉と一体になった茎のこと。
草木類にみられる。

✿葉身❨ようしん❩

葉の本体とも言える部分で、普通は偏平で葉脈がある。

厚さ、光沢、質感、毛の有無や性質が樹種によって異なる。

✿葉枕❨ようちん❩

葉の付け根のやや膨らんだ部分。
内部の圧力を調節して葉を動かすことを可能にする。

✿葉柄❨ようへい❩

葉身と茎を繋ぐ柄のような部分。
葉身を適当な位置に差支える。

葉柄がない場合は無柄ある場合は有柄と言う。

✭図5葉の付き方参照

✿葉脈❨ようみゃく❩

葉身内を走る維管束。

中央の主脈、主脈から出て葉縁へ向かう側脈、網目状に走る網脈などがある。

✪図1=葉の部分


「葉」の形に関する用語について

樹種によって形は多様です。

◉複葉❨ふくよう❩

2枚以上の小葉が集まってできている葉の
事で、全体で一枚の葉と考えられるもの。

複葉がさらに集まっているものを
2回複葉と言う。
✭図2を参照

◉羽状複葉❨うじょうふくよう❩

小葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき、全体として1枚の葉を形成しているもの。


◉小葉(しょうよう)

複葉を形成する1枚の葉のこと。

◉鱗片葉❨りんぺんよう❩

魚の鱗(ウロコ)のような形の葉が重なっている形態のもの。
針葉樹に多く見られる。

✪図4=葉の切れ方参照


◉裂❨れつ❩

葉の切れ込んだもの。
切れ込みの形状により浅裂〜深裂などに分かれる。

✪図4参照

✭図=2主な複葉の種類



✭図3=主な葉の形


✪図4葉の切れ方


葉のつき方に関する用語について


❆互生❨ごせい❩

葉が一枚ずつ交互についている状態。

❆対生❨たいせい❩

葉が1つの節から2枚相対して
出るようなつき方。

❆輪生❨りんせい❩

葉が茎の1箇所から3枚以上出ること。

✭図5葉のつき方







火曜日, 11月 17, 2020

ミモザ(アカシア) No,331

 ミモザ マメ科アカシア属

原産地=オーストラリア、タスマニア
別名=ミモザアカシア 常緑中低木

日本には明治時代の初期に渡来しました。

ミモザはフランス語で和名はフサアカシアと言いますが、日本では北海道から九州まで自生が見られるハリエンジュ(ニセアカシア)を俗にアカシアと称する事が多く、園芸店では混同を避けてミモザと呼ぶのが一般的です。

アカシア属の植物は世界に500種以上あると言われていますが、日本の園芸店でよく見かけるのは「フサアカシア」と同じく明治時代に渡来した近縁種の「ギンヨウアカシア」の2種です。

海外ではネムノキの属名も「ミモザ」といい、混乱しそうですがいずれも30~40対の、二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようです。

ミモザは、2月から4月頃にふんわり丸い数十個の黄色い小花が、枝先に房状に咲き芳香を放ちます。


夏から秋にかけて8~10個の豆が入ったサヤができます。

日本ではあまり馴染みがありませんが茹でると食用にもなります。

他のマメ科の植物同様、空中のチッ素を固定して栄養分とする能力があり、痩せ地でもよく育ちます。

暖地性で寒さには弱い傾向がありますが大気汚染に強いことから、関東地方以西では、街路樹、緑化樹などに多く利用されている。

その他、生け花やフラワーアレンジメントの花材としても高い人気があります。


フランスのカンヌ地方では、ミモザの花束を投げ合う春祭りがあるほか、イタリアでも男性が女性にミモザの花を贈る記念日があるなど、欧米では最もポピュラーな春の花の一つです。




★1931年から開催されているミモザ祭りフランス、カンヌ映画祭が行われるコートダジュールの町、マンドリュー·フナープル毎年2月の約1週間、ミモザ祭りで町中が黄色く染まる。

ミモザの花を中心に春の花で飾られた山車によるフラワーパレードが行われる。

訪れた人々は、ミモザの街道を散策したりミモザの香水を作ったりと、春の訪れを告げるミモザを満喫します。


★イタリアミモザの日
3月8日の「国際女性デー」をミモザの日

と呼んで男性が妻や恋人、身近な女性に日頃の感謝の気持ちを込めて、ミモザの花を贈ります。

第二次世界大戦直後の1946年からの習慣である。

ミモザの花の香りは、咲き始めが最も強く、ヨーロッパの人々に春の訪れを知らせるものとして愛されてきました。


ミモザの香りは、イヴ・サンローランの「YSLパリ」、ジパンシーの「アマリージュ」など、有名な香水の原料に使われている。

原産地のオーストラリアでは「ギンヨウアカシア」が国花になっている。




◉近縁種として
花房、葉ともやや小ぶりで葉が白銀に輝くギンヨウアカシア、葉が三角形のサンカクバアカシアなどがあります。


◉成育管理、環境
日当たり、水はけのよい場所好みます。

土は多少の痩せ地でも問題ありません。

ミモザアカシア属の中では耐寒性がある方で、関東地方中部までは
庭植えが可能です。

冬の冷たい風が当たらないような
日溜まりができる場所が理想です。


◉植え付け、植え替え
植え付け、植え替えは完熟堆肥を十分にすき込みやや高植えにします。

生長が早く、生育環境が良ければ
10~15㍍大木に生長しますが、根は意外に少なく、樹冠が大きくなるので支柱を取り付けるようにします。

幼苗の移植は容易であるが、成木になってからは難しくなります。

適期は秋植えも可能ですが、4月中旬から5月上旬の春植えが適しています。


◉肥料
必要に応じて花後に粒状化成肥料を少量与えます。

追肥として秋に、骨粉や油粕などを与えると樹勢維持に効果的です。

◉病害
まれにカイガラムシやテッポウムシの被害を受ける事があります。

カイガラムシは冬期に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布して防除します。

テッポウムシ(カミキリムシ幼虫)は食害を受けた孔(穴)にスミチオン乳剤などの殺虫剤を注入して駆除します。


◉せん定
放任してもよく樹形を整えますが
生長が早く幹の太さに比べて樹冠が大きく広がるので、その都度枝抜きする必要があります。

花芽は枝先に形成されるので、花が終わったらすぐにせん定しないと、翌年の開花枝を切ってしまうことになります。

太い枝を思い切って抜いて樹冠を軽くし、混み合った枝も整理して風通しをよくします。

その後伸びる枝には基本的に手をつけないようにします。

◉殖やし方
夏以降に実ったサヤから種子を取り出し赤玉土、川砂など水はけの良い用土に蒔いて管理します。

実生そのものは簡単ですが、通常の花後せん定をすると種子は採れません。

実生を行う場合は、花後実らせるための枝を残しておく必要があります。







金曜日, 11月 13, 2020

トサミズキ No,330

 トサミズキ マンサク科

トサミズキ科

落葉広葉中低木 「土佐水木」

高知県の土佐に生えることから

この名がある。




蛇紋岩地質帯や石灰岩などの岩礫地に多く中国地方や、九州の同質地帯にのみ自生しています。


限られた地域にのみ自生する樹種ですが、花の美しさは江戸時代から各地の園芸愛好家に親しまれてきた名花である。


樹勢が強く蛇紋岩でなくてもよく育つ事から、暖地の庭木として各地に広まりました。


葉は互生で、裏に白味がかった短い毛が生えているのが特徴です。


葉の展開前の3月から4月にかけて、淡黄色の釣り鐘形の花を6~10個程穂状に下垂して咲かせます。


樹冠を覆う鈴なり花穂の様を、たわわに実った稲穂に例えて「満つ木」と呼んだものが、「ミズキ」に転訛したと言われています。


また、春の枝を切ると樹液を多く含むため「水木」となったとする説もあります。


秋には黄葉も楽しめることから庭の下植えや茶木、盆栽、生け花など幅広く利用されています。


トサミズキ属の植物は東アジア一帯に20~30種あると言われていますが、日本にはコウヤミズキ(高野水木)ヒュウガミズキ(日向水木)キリシマミズキ(霧島水木)があります。


いずれもトサミズキに似ていますがヒュウガミズキは花、樹形とも小ぶりで一房の花数が少なく、キリシマミズキは花房が斜め下に垂れるなどの特徴がある。





◉生育管理

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みますが、日陰にも比較的よく耐えるので、高木の下植えに適している。


ただし、日当たりがよい程花つきはよい。


◉剪定、整姿

放任しても樹形は株立ちの卵形状に比較的よくまとまります。


春に切ると樹液が多く出るので、せん定は5月から花芽の分化前の6月中旬までにとどめる。


強い刈り込みにも耐えますがあまり枝が密生しない性質なので、自然樹形で楽しむのが一般的です。


基本的には、徒長枝や込み合った枝を切り詰めます。


花後は不要な枝を切る程度に止め

樹形を整える剪定は、落葉中に行います。


葉芽だけの徒長枝は4~5芽を残して切り込み合う枝やふところ枝、弱い小枝は根元から切り取ります。


ひこばえもよく発生するので見つけ次第切り取り、5~6本の株立ちを保つようにします。


花芽分化期は7月から8月で、今年伸びた新梢の葉腋にでき翌春に開花します。


花芽は若木の頃は短い枝にのみつき、大きくなるにつれて長い枝にもつくようになります。





◉植え付け、植え替え

土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので植え付けの際は、やや湿気のある場所を選びます。


浅根性で横に広く根を張るので、植え付けた地面は強く蛇も踏み固めないよにします。

元肥には堆肥を十分施す。

植え付け、植え替えの適期は、葉がつく前の3月と10~11月です。


◉肥料

樹勢が強く耐寒性も比較的強い樹種です。


肥料は寒肥として油粕や鶏ふん、骨粉などの有機肥料を与え、樹勢を良くしておく。


花つきが悪い場合は夏に少量の化成肥料を株元にすき込むとよいでしょう。


◉病害虫

まれにカイガラムシやケムシ類が

発生する事があります。


カイガラムシは冬期の消毒、マシン油乳剤、カルホスで防除、ケムシは捕殺や殺虫剤散布で駆除し病葉、病枝などを処分して防除します。


◉殖やし方

2月上旬に充実した枝を一本取り

15㎝程の長さに切り分けて束ね、

日陰の土中に埋めて貯蔵します。


3月上旬~中旬に掘り起こし赤玉土もしくは鹿沼土の用土に挿します。


一ヶ月程で発根するので、そのまま乾燥に注意しながら管理し翌春に定植。


発根率はあまり高くないので、さし穂は多めに取っておいた方がよいでしょう。


実生は9月から10月に熟した果実から種を取り、そのまま取り蒔きにするか湿った砂で低温貯蔵してから翌春にまきます。





木曜日, 11月 12, 2020

スノードロップ No,329

 スノードロップ ヒガンバナ科

別名=ガランサス、ユキノハナ、マツユキソウ

スノードロップは英名で「雪のしずく」の意味です。

ヒガンバナ科ガランサス属の仲間の総称にも使われ、和名が付いているのはガランサス·ニワァーニス(ユキノハナ又はマツユキソウ)とガランサス·エルウエシー(オオユキノハナ)の二つです。


南ヨーロッパ、南西アジアが原産地とされ正月前にこの花を見つけると、翌年幸運に恵まれると言うスコットランドの言い伝えの存在や、英国の花暦で1月の花とされていること、ロシア民話に登場する事などから、ヨーロッパでは古くから身近な山野草として親しまれていたことが分かります。

草丈は低く7~20㎝、花径は2㎝程でひとつの茎に一つの白い花が咲きます。

開花期は12月~3月末

小球形の球根植物で耐寒性が強いが暑さは苦手なので、夏の高温には気をつける必要がある。

園芸品種は色々出回っていますが、いずれも内側の3枚の花びらに黄色や緑の斑点があるのが特徴です。

地味な姿なので、寄せ植えにするより単独の鉢に群生させると清楚な姿が際立ちます。




◉植え付け、管理

球根の植え付けは9月から10月に行う。

場所は水はけがよく、秋から春にかけては日当たりがよく、5月頃から半日陰になる所が理想的です。

落葉樹の下などが適しているでしょう。

球根が小さく、しかも1球にひとつの花しかつかないので、10球くらいまとめて1ヶ所に植えます。

発根温度は15~20℃で、植える前に球根を湿った土の上に置き、十分に水分を吸収させます。

土壌には、化成肥料を1㎡当たり一握り程施し、2~4㎝の深さに3~5㎝間隔で植え付けます。

霜柱が立つ所では深めにしておきます。

排水が悪く湿度の高い所は、夏に球根が腐りやすいので、植え付ける時には球根の下に2~3㎝の砂を入れ、くんたん、酸性白土を混ぜ、腐敗防止をすると効果があります。

★鉢植えの場合は、鉢の深さの中間深さ5㎝位の部分に球根を植え込みます。

5号鉢に5~7球の割合で、赤玉土の小粒に半量の腐葉土を加えた水はけのよい混合土に植え付けます。

半日陰に置き、発芽したら日当たりのよい場所で管理します。

水は11月~5月中旬までは1日1回たっぷり与え、夏は土が湿る程度に5~6日に一回与えるようにします。

植え込んだ年は、霜柱で球根が浮かないように鉢を土中に埋め、軽い霜除け程度をして寒さに十分遭わせます。

2月頃には葉が地面に現れ、間もなく葉の間からつぼみが見えるようになる。

暖かい日当たりに置くと10日位で
開花します。

鉢を涼しい所に置くと、花は長持ちしますが、暖かい室内に置くと長持ちしません。

★掘り上げは3年に1度で、葉が黄変した5月頃に行います。

(A)
葉をつけたまま球根を傷つけないように深く掘り、そのままで一週間ほど日陰に置いておきます。

この間に葉の養分はすべて球根に移動しやがて葉が枯れます。

その後は乾燥しないように少し湿らせたバーミキュライトに埋めて保管します。A,)





◉花後の管理、生育環境

花後は追肥を庭植え同様に施します。

花後には2~3回くらいリン酸、カリ分の多い化成肥料を与え、4月にカリ分が多めの化成肥料を与えます。

花後は花柄を摘んで、葉は枯れるままにしおきます。

花後は花柄を摘んで葉は見た目が悪くても切り落とさずにおいて光合成をさせます。

この時期に肥料を施すのは養分づくりを手助けするためです。

葉がなくなったら雨を避けた涼しい所に移動し、球根が乾燥しないように時々水を与えて貯蔵します。

植え付けから3年位はそのままで球根を充実させ、3年目以降には用土の更新を兼ねて、花後に古い土を落として新しい用土に植え直します。

夏の暑さは非常に苦手なので、午前中のやわらかい日差しのみ当て、午後の強い光や西日は避けるようにします。

また、表土の地温が上がらないようにワラや落ち葉を敷き詰めておきます。

◉病害虫
3月から5月にアブラムシの防除が必要乾燥に気を付けるとともに月に一回薬剤を散布しておきます。


◉殖やし方
掘り上げた球根の子球を外さずそのまま(A)のように保管しておき、植え付ける時に切り離して植えます。

手で軽く引っ張ってとれるもの以外は無理には外さないでおきます。

分球した球根がさらに殖え、花数が次第に多くなっていきます。






月曜日, 11月 09, 2020

コダカラベンケイソウ No,328

 コダカラベンケイソウ 

「子宝弁慶草」多肉植物(常緑性)
原産地=マダガスカル
別名=クローンコエ、シコロベンケイ

草丈は15~30㎝程で、多肉植物としては大きく生長します。

主に2月から5月に葉っぱの間から長い茎を伸ばし花を咲かせます。

大きくなった葉の縁にたくさんの小さな子株(新芽)がついて殖えることが特徴。

それぞれの子株は親株と同じ遺伝子を持つ事から「クローンコエ」と呼ばれています。


       (植え付けたばかりの株)


花芽は植え付け後、2年から3年でつくのが一般的で、12月から1月頃に花芽が伸び始め、2月から5月頃までにたくさんの花を咲かせます。

スズランの様な釣鐘状の形をした花で、繁殖力の強さとは裏腹にとても可愛らしい花をつけます。

日当たりのよい場所で、乾燥気味に育てるようにします。

湿度の高い環境だと根腐れを起こして枯れてしまいますが、水が足りないと葉っぱが萎れたりしますので、育てながら水やりのコツを掴むのが重要です。


          (つぼみのつき始め、11月撮影)

◉植え付け、植え替え

寒さに弱いので地植えには不向きです。

4月から6月か9月から10月に株よりも一回り大きな鉢に植え付けます。

植え付け後は、半日陰で水を与えずに管理し、一週間してから水やりを始めるようにします。

植え替えは2年から3年に一回を目安に行い、一回り大きな鉢に腐った根や枯れた根を取り除いてから植え付けます。

植え替えから一ヶ月程は、週に一回程度少量の水やりをして、その後は通常通りの管理を行います。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合した土や市販の観葉植物用の用土に植え付けます。

水はけを良くするために排水性の良い改良材などを混ぜるのも効果的です。


◉水やり

3月から10月頃までは土が乾いたらたっぷり水を与えます。

夏の水やりは少し控えめに行い、水が葉っぱにかからないように注意します。

冬場に水分が少なくなると、葉の全体がピンク色に変色します。

変色してもすぐに枯れてしまうと言う事ではありませんが、水やりをするサインとして覚えておくと良いでしょう。

一般的に多肉植物は冬越しをするために水やりを一切しない場合が多いですが、コダカラベンケイソウは冬場でも一ヶ月に2回程度の水やりを必要とします。


ただ、与え過ぎると根腐れの原因になるので注意しなければいけません。


◉肥料

肥料はなくても育ちますが、春から秋までの間は液肥などを施すと子株がよくつくようになります。


      (11月、葉の縁についた子株)

肥料の与え過ぎはよくないので注意します。

★殖やし方

株わけや葉についた子株がこぼれ落ちて一年中増えます。

葉からこぼれ落ちた子株をそのまま土の上で育てても良いですが、2~3日程水に浸けて発根を促した方が確実に育ちます。



                                (子株の挿し木)


※挿し木
4月から6月、9月から10月頃が適期、茎を10㎝程に切り、土に1㎝程埋めておきます。

一週間に1度少量の水やりをしていくと根と新芽が生えてきます。

★害虫はハダニ、ナメクジが発生見つけ次第、捕殺や薬剤などで駆除します。

コダカラベンケイソウは蒸れに弱い植物なので、特に多湿になりやすい梅雨や夏場には風通しの良い場所に置いて管理します。

暖かい地域に自生する植物なので寒さには弱く、霜に当たると枯れます。

冬場はなるべく、10度以上の気温を保てる暖かくて明るい室内へ移動し管理します。

また、部屋の中でも冬の窓辺などでは夜や明け方に気温が下がるのでなるべく避けるようにします。


        挿し木後3ヶ月が過ぎた子株
        ❨2021年2月21日撮❩



「切り詰めて新芽が出てきた状態」


間延びした場合、上部を切り詰め下部に新芽を出させる。






土曜日, 11月 07, 2020

アセビ No,327

 アセビ ツツジ科 常緑中低木

原産地=日本

アセビ属の植物は東アジア、北アメリカに10種類程ありますが、日本では本州(山形県以西)四国、九州のやや乾燥した山野に自生しています。

大きなものは5㍍にも達するが、普通2㍍程の樹木が多い。

乾燥が強いと低く、弱いとより高く生長する。

群生して林を形成することも多く、そんな場所では枝が混み合って容易に人を近づけない。


古くから親しまれてきた樹種で、万葉集時代から多くの和歌に詠まれています。

アセビと呼ぶようになったのは、平安時代後期からで、それ以前はアセボ、アシと呼ばれていました。

アセボトキシン、アセボチンなどの有毒成分があるため、馬に食べさせると酒に酔ったように、足を引きずることから、アシヒキ足が痺れるのでアシシビレ等と呼んでいたものがアシビ、アセビに転訛したと言われています。

「馬酔木」と言う漢字もこれに由来します。

★アセボトキシン、アセボチンなどは苦味物質である有毒成分で、
昔から葉を煮出して水で希釈したものを農作物の殺虫剤や、家畜の寄生虫駆除ウジ虫の駆除などに利用されていた。

近年でも特に羊や山羊の中毒が多数報告されている。

トルコでツツジ属の花からとった蜂蜜を食べた人から、中毒事故が起きているとの報告もあります。

2月下旬から4月にかけて、スズランやブランデーグラスを逆さにした様な釣鐘状の白、または紅色のたくさんの小花が房状に下垂して咲きます。

花は下を向いて咲くが、果実は上を向いて熟す。

5月頃の新芽も淡紅色で美しく、
樹形も整えやすいことから庭木として、古くから幅広く利用されている。

その他、盆栽や鉢植えでも楽しまれてきました。




枝葉、花、果実とも有毒物質を含みますが、接触しても食べない限り心配はありません。

江戸時代から園芸品種の改良が行われるようになり、江戸後期には欧米でも観賞用に栽培されるようになりました。

園芸品種には、葉の縁に白い斑がある矮性のフクリンアセビ、淡紅色の花が可アケボノアセビ、小ぶりの花を細長く鈴なりに付けるオナガアセビ、純白で大ぶりの花をつけるリュウキュウアセビ、
桃色の花をつけるクリスマス·チアなど多くの品種が栽培されています。

植え付け、植え替え

排水性、保水性ともによく半日陰の腐植質に富んだ場所を最も好みますが日陰、日向、乾燥地などでよく育ちます。

ただし、西日の強い場所や極端に乾燥する場所への植え付けは避けた方が無難です。

また、他のツツジ科の植物と同様
酸性土壌を好むので、アルカリ土壌での生育には適しません。

移植は比較的容易です。

植え付け、植え替えの適期は3月から4月と7月から10月です。


細い根が横に浅く広がる浅根性なので高植えにし、土はあまり踏み固めないようにします。

高植えにすることで、水はけをよくすることもできるでしょう。

◉肥料

植え付け時に堆肥や腐葉土、ピートモスなどをすき込むだけで、肥料は特に必要ありませんが、花つきをよくするためにはリン酸、カリウムを含む肥料を春先に根元にばら蒔きます。

★病害虫
葉裏にハダニ、グンバイムシなどが発生する事があります。

多数発生すると葉が変形して、美観を損なうので発生初期に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3週間おきに数回散布します。

◉剪定、整姿

刈り込みにも強く、仕立て物にする事も出来ますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

生長が比較的遅く、樹冠もしまってよく整うので、あまり強い剪定は必要ありません。

基本的には4月頃に太い枝や長い枝をある程度切り詰め、小枝を出して仕立てます。

胴吹き芽や不定芽は早めに切り取りますまた、花後はすぐに花房を摘み取ります。

花芽分化は7月で夏にはすでに、
花房を形成し始め、冬には今にも花を咲かせることが出来る程の状態になっています。

長い期間をかけて花を準備する植物なので、秋に剪定を行うと花つきが悪くなります。

◉殖やし方
実生、挿し木、とり木で殖やせますが生長が遅いため実生はあまり適さない。

挿し木は前年枝のつぼみを除去して穂木にします。

春さしと、花後に伸びた本年枝を使う夏ざしがあります。

さし床には鹿沼土、ピートモス、腐葉土の混合土を用いて、半日陰で乾燥に注意して管理します。






木曜日, 11月 05, 2020

盆栽樹形の大きさを調節する No,326

 盆栽樹形の大きさを調節する

盆栽の大きさは、自分のイメージする完成樹形に合われて決めていくのが基本ですが、設置スペースの条件などによっておのずと決まってくる場合もあります。

樹芯(幹の先端)をこまめに切り詰めて、樹高が伸びるのを抑える方法は一般の植木と同様ですが、丹念に切り詰めて枝と枝の間隔を短くしていきます。

ただし、これだけではまだ樹勢が強いので一年に1回、主根(幹から地中に向かって真下に伸びる根、直根とも言う)=主根の先を切り詰めて、植え替えるようにします。


根を切り詰めることで、土から吸収する養分が調整されて、樹高が高くなり過ぎるのを抑える訳ですが、同時に側根、主根から横に分かれて伸びる根が生長して「根張り」の具合がよくなると言う意味もあります。

希望する樹高になったら、樹形を整えて観賞用の鉢に植え替えます。

また、樹形を作る段階までは幹の健全な生育に重点を置き、横枝は伸ばしたままにしておくのが通例です。

これは、樹形を作る時に必要な枝を足りなくなると言う事態を防ぐとともに、幹の生育を促す効果もあります。

※根を切り詰めることで生長を抑える。


水曜日, 11月 04, 2020

クロッカス No,325

クロッカス アヤメ科 球根草花

別名=ハナサフラン

クロッカスの名は ギリシャ語の「糸」の意味で、その細かい雌しべの様子から名付けられたようです。

原産地は地中海を中心にヨーロッパ、中心アジア

(アフガニスタン産のクロッカス.コロルコウィイ)

など75種を数え、薬用や香辛料として栽培されるものを含め150種以上の園芸品種があります。

黄色、白色、紫色など豊富な花色のクロッカスは春の季語にも使われますが、実はサフランに代表される秋咲きの品種もあります。


春咲きの中でも、2月~3月中旬に咲く寒咲きと、3月~4月上旬に咲く春咲きの2タイプがあります。

※早咲き種は、バルカン半島から小アジアに自生する黄色系の原種から選抜、交配されたものでラベンダー色の「ブルーバード」

※白い花弁と黄色の雌しべのコントラストが可憐な「ミスヴェイン」

※濃い黄色の「ゴールディロック」

※花弁の基が薄茶の「クリームビューティー」などがあり、小輪で変化に富んだ花びらが特徴です。

※春咲き種は、ダッチクロッカスと呼ばれ、ヨーロッパの山岳地帯に自生するものが基になっています。

※白い花弁に紫の筋が入る「ジャンヌダルク」

※ふっくらした「マンモスイエロー」

※紫のストライブの「キングオブストライブ」など大きめの花を咲かせます。

いずれも草丈が8~10㎝と低く、花径は3~5㎝なので、まだらに植えるよりもまとめて植えた方が魅力が発揮します。

同一の品種で群植し、一斉に咲かせるようにします。

クロッカスはやや高温多湿に弱いとされるが、日当たりのよい場所であれば土質は選びません。

また、夏は日差しを遮る場所を選ぶと3年~4年はよく咲きます。

花は日に当たらないと開かない性質があるので、置き場所は日の当たる所を選びます。




◉生育管理、環境、特徴、性質

クロッカスは冬の寒さに当たらないと開花しない。

1ヶ月半以上の低温に遭わせる事が大切です。

早く咲かせる場合はその後に温め
通常に咲かせる場合は、土中に埋めて鉢土の凍結を防ぎます。

※鉢植えの群植を作るには、10号鉢に市販の培養土を入れ、球根同士触れ合うくらい2~3㎝の深さにぎっしり植え付けます。

※庭植えの場合は30㎝程の深さまで耕し、緩効性肥料を1平方㍍当たり100g~130g施し、球根の直径の2~3倍の間隔を空けて8~10㎝の深さに植え付けます。

高音多湿を嫌うので春は日当たりよく初夏は、日陰になるような落葉樹の下で水はけのよい場所に植えます。

また、新しい球根が古い球根の上に出来るので浅植では、球根の生育が不十分になってしまいます。

花後に新しい球根が土から出ていたら上に用土を足します。


更に霜柱で持ち上げられてしまうことがあるので、その場合は植え直します。

その他、ネット植えで楽しむ方法もあります。

ネット袋に水を含ませた水ゴケをゴルフボール大にして複数入れ、そこに球根を入れて袋の切れ目から花の先端を外へ出しておくと、開花した花が球状になって花のボールになります。

特徴と性質
葉は花と同時に開き、花の観賞時にはあまり葉が目立たず、鉢植えに適していると思います。

花後に伸長し球根を肥大させ分球して植えます。

一花の開花期間は短いですが、1球から数個の花を次々に咲かせ、まとまって植えると観賞期間が1ヶ月位あります。

秋咲きの種の葉は、冬を越し梅雨頃までと長いですが、春咲き種は2~3月から梅雨までで葉のある
期間が短い。

その間に球根を太らせ来年の花を作ります。

耐寒性は強いのですが、秋植え球根の場合生育中の乾燥を嫌います。

排水性と同時に、保水性のある土を混ぜた用土を用いれば丈夫に育ちます。

◉肥料

開花期の肥料は、日当たりがよければ月に1~2回カリ分の多い薄めの液肥を与える。

水は1~2日に1回、表土が乾いたら与えます。

花弁が繊細なので水がかからない様にします。

花が終わると葉が伸びて養分を蓄えます。

花柄を基部から抜き取り、そのまま葉を切らずに化成肥料を、ばら蒔いて球根を太らせるようにします。

球根の太りをよくするには、鉢から地面に植えて肥培します。




◉植え付け、時期、栽培のポイント

6月頃葉が茶色く変色してきたら引き抜きます。

路地植えは植えたままで自然に球根が殖えますが、殖えすぎてスペースがなくなったり花の数が減る。

花が小さくなるなどの現象が起きたら、堀り上げの時期です。

葉が枯れた頃に球根を掘り上げ、枯れ葉と根を整理して日陰で2~3日乾燥させます。


その後ネットなどに入れ、風通しのよい冷暗所で秋まで保存します。

植え付けの時期として、秋咲き種は8月下旬から9月下旬までに行う。

冬、春咲き種は10月中に植えると結果かよく12月に植えても花は咲きますが、球根の肥大はよくありません。

クロッカスは連作を嫌うので、アヤメ科の植物の跡地は避けるようにします。

球根は大球になると分球しやすくなり、分かれた球根は1~2年肥培しないと花数が少ないか、もしくは咲きません。


1つの球根を毎年咲かせるのは難しく、肥培養成と観賞を繰り返すようになります。

芽が出るまでは日陰でもよいが、芽が出たら日向に置きます。

つぼみが出たら必ず日に当てます。

◉殖やし方
球根が分球して殖えます。

球根を掘り上げた時、親球に子球が付いている事がありますが、外さないでそのまま保管します。

この子球は植え付ける時に手で軽く引っ張って取れるものだけ外します。

この時、小さな球根は思い切って整理します。






火曜日, 11月 03, 2020

盆栽の樹形 (9) 筏吹き No,324

 筏吹き(いかだぶき)樹形

自然災害で幹が横倒しになり、枝が新たに幹として生長した様子を表した樹形です。

横倒しになった幹が根の働きをします。



         (筏吹きの樹形)





盆栽の樹形 (8) 斜幹 No,323

 斜幹樹形

幹が斜めに傾いている樹形です。

海岸の傾斜地などで強い横風に耐えながら、生長した樹木の様子を表現しています。


          (斜幹樹形)






盆栽の樹形 模様木 (7) No,322

 模様木樹形

幹が前後左右に曲がりながら、上に向かって伸びている樹形です。

四季があり、樹木を取り巻く環境が変わる日本では、最も馴染みのある樹形と言えます。



         (模様木樹形)


曲がり(模様)を持ちながら、立ち上がりの根元と樹芯(幹の先端)の位置が、同一の垂直線上にあるのが理想的な形とされています。






盆栽の樹形 (6) 寄せ植え No,321

 寄せ植え樹形

盆栽用語では、単に「寄せ」とも言います。

ひとつの鉢に何本もの木を植えて、群生している様子を表したものです。


        (寄せ植え樹形)


同一種を寄せ植えする場合や、複数の樹種や下草まで植えて雑木林の雰囲気を出すものなどがあります。






盆栽の樹形 (5) 根上がり No,320

 根上がり樹形

根が大きく地表に露出している樹形です。

強い風雨や波などで、根元の土が洗われて根が、地上に顔を出している樹木の様子を表現しています。


        (根上がり樹形)






盆栽の樹形 石つき、石抱き (4) No,319

 石つき樹形

石と樹木を組み合わせてつくる盆栽です。

渓谷などの岩上にそそり立つ樹木の様子や、孤島の岩肌に自生する樹木の様子を表現します。

◉石のくぼみに木を植え込む「石つき」

         (石つき樹形)



◉樹木の根が石を抱き込むようにする「石抱き」

         (石抱き樹形)







盆栽の樹形 (3) No318

 懸崖(けんがん) 半懸崖

断崖絶壁や渓流などで、岩肌にしがみつくようにして、下に向かって幹が伸びている樹木の様子を表現したものです。


                                    (懸崖樹形)

立ち上がりからすぐに幹が大きく曲がり、下方に向かって垂れ下がっていくのが特徴てす。


幹の先端が鉢底よりも低く垂れ下がっているものを懸崖、鉢底のラインまでで止まっているものを半懸崖といいます。


         (半懸崖樹形)







サンシュユ No,317

 サンシュユ 落葉中高木 ミズキ科

別名=ハルコガネバナ 春黄金花  (山茱萸)
原産地=中国

朝鮮半島にも自生種が見られ、高さは五メートル程に生長します。

早春の2月中旬頃から、まだ葉がつく前に黄色い小花を枝先に点々と咲かせます。

「山茱萸」=茱萸は「グミ」のことで、秋にグミに似た楕円形で光沢のある果実が、鮮やかに紅熟しアキサンゴ「秋珊瑚」とも呼ばれる。

春と秋に楽しめることから、広く庭木に利用されるほか、切り枝にしても水あげが良いので、生け花にも好んで使われる人気の樹種です。

ひとつの花の様に見えるのは、実は花序でたくさんの花の集合体です。


全体を包む用に4枚の苞葉があり、同じ花のつき方をする類似種に同属のヤマボウシやハナミズキがあります。

サンシュユの苞葉はあまり大きくなく、ヤマボウシやハナミズキのような花弁と、見間違えると言う事はありません。


                           「サンシュユ」

日本に渡来したのは、享保年間(1716~1736年)で朝鮮から薬用樹として輸入されました。

当時駒場にあった幕府の御薬園に植えられていたと言う記録が残っています。

★御薬園
薬草を栽培する畑で江戸幕府、諸藩が直営した薬草園で、寛永15年1638年頃から江戸、静岡、京都、長崎などに幕府直轄のものがあり、藩営では秋田、尾張、福岡、熊本、薩摩藩のものが知られています。


薬用にするのは果実で、完熟した果実から種子を除いて乾燥させたものを「山茱萸」と呼びます。

滋養強壮に効果があり、めまい、耳鳴り、夜尿症、冷え性などにも効くと言われています。

1800年もの歴史ある漢方の重要な処方である「八味地黄丸」にも山茱萸が使われています。

また、山茱萸酒は疲労回復の民間療法として古くから用いられています。


◉生育管理、環境
日当たりのよい、やや粘り気のある保湿力のある肥沃な場所が最適です。

半日陰でも育ちますが、日当たりがよいほど花数も多く、色も鮮やかになります。

寒さにはやや弱く、東北以北の寒冷地での栽培は少し難しくなります。

生長が遅く、苗木から育てて数年しても開花しない場合もある。

しかし、丈夫で必ず開花するので気長に育てることが大事です。


◉肥料
花後と秋口に油粕と粒状化成肥料を等量混ぜたものを、株の大きさに応じて根元に蒔くと効果的です。


◉せん定
横に広がった株立ち状の自然樹形になります。

庭の広さにもよりますが、幹を2~3本立ちに整理し、ひこばえはその都度切り落とすようにします。

花芽は充実した短枝の先端につきます。


        (サンシュユの花)


日当たりを好むので、花を多く楽しむためには伸びすぎた徒長枝や込み合った枝を透かし、樹冠内によく日が当たるようにします。

また、大きくなり過ぎた枝や古くなった枝はだんだん花つきが悪くなります。

そのような場合は花後、新芽が出る直前に付け根から切り戻して新しい枝に更新します。

木は一回り小さくなりますが、よく新芽を出すので翌年の花つきはよくなります。

できるだけ外芽の位置の枝を残すようにすると樹形がよく整います。

枝の更新は4年から5年に1回が目安になります。

◉殖やし方
※実生は熟した果実を採って果肉を取り除き、種子を水洗いして蒔きます=(3月)

発芽までに2年程かかるものが多いので、乾燥に注意して種子を、一年間貯蔵してから蒔いた方が安全です。

※挿し木は本年枝を15㎝程に切ってさし穂とし、赤玉土のさし床にさします。

※接ぎ木は2~3年生の実生苗を台木にします。

穂木は充実した枝を使いますが、先端部は適しません。

サンシュユの移植は比較的容易ですが、挿し木、接ぎ木は熟練を要します。

活着率もあまりよい方ではないので、時間はかかりますが実生が最も確実な方法です。






日曜日, 11月 01, 2020

バラの好む土質と土の改良の仕方 No,316

 ◉特別な土は必要ない

バラを育てるには、特にこの土でなければと言う事はありません。

日本で生産されたバラの苗は、ノイバラの台木に接ぎ木しています。

ノイバラは有史以前から全国各地に自生していて今尚、繁栄しているのですから色々な土質に適応する能力を備えていると考えられます。

60年程前、バラ栽培が普及し始めた頃荒木田土が良いと言われて客土したり赤土が良いと言われて天地返しをしたりしてバラを植えるのはかなり重労働だったようです。

しかし、実際にはこのような面倒な作業は必要なかったわけです。

★荒木田(あらきだつち)
粘土質が高い水田の土。

★客土(きゃくど)
他所からの土を加えること。

★天地返し
1㍍も掘り、上層の黒土と下層の赤土を入れ替えること。


        (グラハム·トーマス)


◉土壌の性質を知る
土壌の物理性を表す固相、気相、液相と言う言葉があります。

固相(こそう)はその土壌が含む固体(真の土分)気相(きそう)は空気液相(えきそう)は水分の割合のこと、これらのバランスが良いと根はすくすくと伸びることができるのです。

また、水持ちがよく乾きにくいと言う保水性、水はけが良いとされる排水性、土壌粒子間の隙間が良いとされる通気性と言う言葉もあります。

これらの性質のバランスがとれたものが良い土と言うことになるのです。

◉土質

※土質を大別すると、火山灰が堆積してできた火山灰土。

※岩石が風化してできた砂質土

※雨によって河川に流れ込み氾濫して堆積した沖積土があります。

比較的新しい時期に堆積した沖積層で、層位の分化があまり進んでいない土壌のこと。


✪それぞれの特徴として

★火山灰土
代表的には関東ローム層、表土は黒土で深部は赤土

火山灰土は肥沃で通気性、排水性は良いが保水性に欠けます。


★砂質土(さしつど)
栄養分が乏しく、通気性と排水性は良いが保水性に欠けます。

★沖積土(ちゅうせきど)(粘土、荒木田)沖積土は肥沃で保水性は良いけれど、通気性と排水性に欠けます。

家の庭の土は有機物を施し、その欠点を補ってやればどの土質でもバラは元気に育ちます。

有機物はそれが持つ植物繊維によって、重い土の通気性をよくして空気を持たせ、排水性を改善します。

軽い土では逆に団粒化することによって保水性を高めます。

砂質土では、多すぎるすき間を埋めることによって保水性を高めます。

また、土中の微生物が繁殖しやすい環境に改善します。


         (アンネのバラ)


◉土壌酸度(pH)
土壌酸度(pH)は7.0が中性で、これより数値が小さくなると酸性、大きくなるとアルカリ性となります。

日本の土壌は酸性に傾きやすいと言われています。

ホウレン草や豆類など酸性が苦手な作物については農家や家庭菜園では、1作ごとに酸性を中和する石灰を施すように指導されています。

ただしバラはpHでもかなり適応範囲が広いつまり鈍感と言う事で、それほど気を使う事はないようです。

土壌の緩衝能(かんしょうのう)と言う用語がありますが、これは土壌に酸、アルカリが添加されても土壌pH及び、土壌溶液のpH変化は酸、アルカリの添加量から予想されるよりも、はるかに小さい事が多い。

このpH変化に抗する作用を土壌の緩衝能と呼ぶ。

土壌が遊離炭酸塩を含むなら、添加された酸はその溶解によって完全に消費されるので、土壌pHはほとんど不変である。

これは肥料などにより土壌の性質が急激に変化して植物に害となることを防ぐ能力を表し、緩衝能の低い砂地に有機物などを施してやれば、緩衝能を高めることができる。


有機物を適度に施すことによってバラは、どんな土質でも適応できるので、他の草花や野菜、樹木が育つ所なら十分バラも育ちます。

有機物を使えば土質を改良できる。

✿有機物は土壌を改良するもの

有機物とは肥料分をあまり含まず、主として土壌の物理性を改善する資材で、植物繊維の豊富なものを指します。

腐葉土、堆肥、ピートモス、牛ふんなどです。

これに対し肥料は、植物に栄養を与えるためのものです。

家畜の排泄物は肥料として扱われる事が多いですが牛ふんだけは例外的に有機物となります。

有機物は土壌の物理性、微生物性の改善だけでなく発酵分解の過程で、土中のバクテリアを増殖されると共に、腐植酸と言う物質を生成し、根の生育を促進します。

すなわち、有機物はゆっくり分解して土に戻るので毎年補給する必要があります。

ただし、土壌改良材でもパーライト、バーミキュライトなどの鉱物性のものは分解しないので、腐植酸を生成しません。

また、有機物は土の容積に対して与えるものなので容量(L、㍑)で表されます。


         (ブルームーン)

◉有機物の施し方

有機物は冬のバラが休眠している時期に元肥と一緒に与えます。

株の周りに撒いてスコップなどで、上下を反転するように土の中に埋めるように混ぜ込みます。

バラは休眠しているので、深く掘り返して根を切ってしまっても大丈夫です。

施す分量は、普通の庭植えの株の場合は、有機物を約5㍑程与えます。

分解の早い牛ふんとピートモスを組み合わせてそれぞれ等しい量を、2.5㍑位ずつ与えればよいでしょう。

有機物の施肥量は神経質になる必要はありません。

その他の腐葉土や堆肥を使う場合も、使用量はこれに準じます。

新規に植え付ける場合は、分量を増やす必要があり合計で10㍑与えればよいでしょう。

◉牛ふんの使用量制限

草食獣の排泄物なので、肥料要素含量は低く植物繊維に富むため有機として扱います。

含量が低いと言っても肥料要素も含まれているので大量に与えると、肥料を与え過ぎた場合と同じ問題が起きます。

バラは肥料を与え過ぎた土壌では
うまく育ちません。

使用量が多すぎると好ましくない成分も蓄積するのです。

※牛の飼料に含まれる塩分などが蓄積する。







穂木の採種と貯蔵 No,315

 穂木の採種と貯蔵の仕方

春に接ぎ木や挿し木を行う際の穂木を採種する適期は、休眠期の12月から2月ですが、せん定時に同時に行うとよいでしょう。


◉穂木の貯蔵方法

採種した穂木は、利用するまで休眠状態にしておく必要があります。

乾燥しないようにビニール袋に入れたり、ラップで包んだりして密封し、冷蔵庫など低温の場所(2~5℃位)で貯蔵します。

できるだけ長い枝で貯蔵しておくことがポイントです。


★マツ類、カラマツ、ヤマモモなどの挿し木の活着率が低い樹種では、なるべく樹勢が強い若木からさし穂を採取することが大切です。

★ヒバ類
コウヨウザン、ヒマラヤスギ、メタセコイアなどのように枝が横に長く伸長する性質のものは、できるだけ上向きの枝または樹芯に近い上向きの枝からさし穂を採取しないと苗が、まっすぐに伸長しにくい性質があります。

◆落葉樹のうち、生育活動を開始するのが早い樹種を春ざしにする場合は、1月下旬から2月頃に枝を切り取って貯蔵しておいたものを、挿し木の最適期である3月から4月上旬に取り出して挿し木することがあります。

これは挿し木適期に採取すると、すでに生育活動が開始しているため枝の養分が消費されつつあり、そのために発根力弱まると言う理由によります。

1月下旬から2月頃に切り取る枝は30~40㎝の長さに束ね、土中に埋めておくか、ビニールに包んで冷蔵庫(5℃位)で保存します。

落葉樹のさし穂とする枝は、基部と先端部はさし穂として利用しません。

枝の中間部分を用いる様にします。


         (土中貯蔵図)


土中に埋めておく場合は、先端側を斜め上にして貯蔵します。