緑のお医者の徒然植物記

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火曜日, 3月 31, 2020

サクラ  バラ科 No.184

さくら(落葉樹)

◉桜は日本の代表的花木です。

一般に大木性で、樹高が20㍍にもなるものから、しだれ性のものなど多くの品種がある。

高木になる事から、植え付けは広い場所を確保する必要があり狭い庭には向きません。

狭い庭には、小形の種類を選んで植えましょう。

サクラ切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿の言葉通りやたらに枝を切るとよくありません。

さくらは材質が柔らかく、傷口が塞がるまでの期間が長いため、その間に腐ってしまう事から必要以上に切らない事とされています。

枝の整理で切った場合は、切り口に腐食防止のため塗布剤を塗り保護する。

枝は基本的に枝元で切る。

枝の途中で切ると腐れやすくなる。

★桜の品種系
〇カンヒザクラ
サクラの花便りの一番がカンヒザクラ(別名ヒカンザクラ)です。

カンヒザクラ群のサクラは、中国からヒマラヤにかけて4種類が分布している。

オオカンザクラ カワヅザクラ カンザクラ リュウキュウカンヒザクラ

日本には野生種はないが、東京以南の暖かい地方でカンヒザクラが栽培されている。



この仲間のサクラは花の色がふつう濃い紅紫色です。

沖縄の石垣島や、久米島の一部に生えているものは、自生という説と自生ではなく台湾または、中国から導入されたものが野生化したという説があります。

沖縄では、各地に植えられており、1月下旬には満開になります。野生化したものも多く自生している。

◆エドヒガン系
エドヒガン系のソメイヨシノは、エドヒガンとオオシマザクラの雑種と考えられている。

江戸時代末期に江戸染井村(現在の東京都豊島区)で吉野桜の名前で売り出さた。

その後、1900年(明治33年)に出版された、雑誌の論文で染井吉野と言う和名が初めてつけられました。

江戸時代、植木屋が多い事が知られ、今や桜の代名詞となった染井吉野の発祥の地で、石碑がある。

★日本に自生するエドヒガン群の野生種は、エドヒガンだけだがソメイヨシノをはじめ、栽培品種の数は多い。

寿命の長いサクラで、天然記念物に指定されている名木や巨木が多い。

春の彼岸の頃に咲き、東京に多く植えられていた事からエドヒガンの名がついた。


同じくエドヒガン系のシダレザクラは、別名イトザクラと言われ、しだれ性変種である。


                 (シダレザクラ) 

枝がしだれる原因について、これまでは枝の上側と下側の生長速度の違いによって起こるとされてきたが、研究によって枝や葉の生長速度がしだれない種類より速いために、自重によって枝が垂れ下がり、その後、木質化が起こりしだれが固定されると言う事がわかってきました。

花弁は、変異が多く個体によって形や色、大きさなどがかなり異なります。


★ヤマザクラ系
ヤマザクラはソメイヨシノより開花が遅い。

古くはサクラと言うとヤマザクラを指していた。

吉野のサクラもヤマザクラで、寿命が長く巨木も多く秋の紅葉も美しい。


                                 (吉野桜)


紅葉の鮮やかさは、昼夜の温度差が大きく影響し、自生地とかけ離れた、標高のやや高い所に植えられたものは、通常より美しく色づく。

材は赤褐色でいい香りがし、古くは浮世絵の版木(はんぎ)に使われた。

◉オオシマザクラ系
オオシマザクラは、房総半島にかけて分布し、伊豆諸島以外のものは、かつて生長が早い事から薪炭材に栽培されていたものが、野生化したものという説がある。

伊豆諸島の大島などに多くある事からオオシマザクラと言われる。

サクラの仲間では、花は大きい方で他のサクラに比べて潮風や大気汚染に強い。

葉は塩漬けにして桜餅を包むのに使われる。

伊豆大島の桜の株は、国の特別天然記念物になっている。

◉セイヨウミザクラ
セイヨウミザクラとは、いわゆる🍒サクランボの事で、ヨーロッパ東部では野生状態で生えている。

日本には明治時代初期に渡来し、山形、福島、長野、山梨県などで栽培されている。

佐藤錦はナポレオンと黄玉の交雑(品種改良の手段として行う交配)によって偶然にできた実生品である。

◆エゾノウワミズザクラ
日本では北海道にだけ自生するが、アジアからヨーロッパにかけて広く分布する。

エゾ(蝦夷)とは、古代、北海道、東北から北関東地方にかけて住んでいた人々(蝦夷、えみし)北海道の古い呼び名である。

★ウワミズザクラ
別名ハハカは、染料などに利用されるが、新潟ではつぼみを塩漬けにしものを杏仁香(あんにんご)と呼んで食用にしている。

山梨県の郡内地方では、ミヤマザクラ別名シロザクラの樹皮を郡内織の染料として利用し、材は重く硬いことから家具、器具、彫刻、運動具などに用いられている。

ミヤマザクラ群のサクラは葉がすっかり展開してから開花する。

ミヤマザクラ群の分布の中心は、中国南西部で雲南省から四川省にかけて、地域に5種類ほど知られている。

日本に自生するのは、ミヤマザクラの一種だけである。

群馬県鬼石町(おにし)の桜山公園に植えられているフユザクラ別名コバザクラは、「山波(さんば)川の冬桜」として国の天然記念物に指定されている。