緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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日曜日, 7月 28, 2019

小さな盆栽の管理について No.166

小さな盆栽(小品盆栽)



植物は、どんな環境下に育つ種類かによって、置き場所(管理場所、飾る場所)等が変わります。

木も草も自生地によって、日当たりを好むものや日陰を好むものなど、いろんなタイプがあります。

もちろん季節によっても置き場所は変わってきます。

管理するには、植物の名前や性質がわからないと管理も難しいものになります。

店頭に並べられた植物に名札が付いていないものも少なくありません。

そこで、名前やどんな性質なのか、店の人にある程度聞く必要があります。

どこに置けばよいのか、暑さや寒さには強いのか弱いのかなど、草なら一年草なのか、多年草なのか聞いてみましょう。

多年草の中には、落葉性で冬の間はまったく葉がなくなってしまう種類も少なくありません。

枯れてしまった、駄目になってしまったと思い、捨ててしまうといったことがないようにしたいものです。

毎年のように、クレマチスを買っていた人が、枯れたと思い、毎年捨てて、新しくクレマチスを買っていた人がいました。

なお、店の人が名前もわからないと言う場合は、購入を控えましょう。
やはり、信頼性のないお店では、商品管理もおろそかになりがちです。せめて、植物の科目、属種くらいは理解して欲しいものです。

また、自分自身で調べることも重要です。一段と興味がわき、育てる楽しみも増すことでしょう。

◉室内に飾る期間を短くしましょう。

ほとんどの植物は日当たりと風通しのよい場所を好みます。
半日陰や日陰に生える植物は北側や午前中だけ日の当たる場所が適します。


春から秋の観賞期は1日飾ったら、2、3日戸外に置く、と言うように室内に飾る期間をなるべく短くします。

冬の休眠期は、軒下などに置きますが、玄関や無暖房の部屋などに飾っておいた盆栽は、天気のよい日を選んで、1~2週間に一度位は外気に当てたいものです。

◆小さな盆栽はすぐ乾いてしまいます。

通常、水やりは生育期の春から秋には、鉢土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷり与えるのが原則です。

鉢の大きさや用土にもよりますが、春と秋は1日1回、夏は朝夕2回、冬は数日に一回が一般的な水やりです。

手のひらに乗るような小さな盆栽は、用土も少ないので乾きやすい。
数日留守にする時は、器に湿らせた砂を入れ、その上に鉢を乗せておくなど、工夫しましょう。また、4~5日の留守の場合は、湿らせた砂などの中に鉢ごと埋めておくとよいでしょう。鉢の縁まで埋めるとよいでしょう。


★手のひらに乗るような小さな盆栽は乾きやすいので、ひどく乾いていたら水の中につけて、鉢土にしっかり水を吸わせます。

また、水をやり過ぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。植物は根からも酸素を吸収します。
根が常に湿っていては健康に育ちません。水はなるべく乾いてから与えるようにしましょう。




苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165

苔玉~美しい緑を保つために

植物は光がなければ生きていけません。

しかし、苔は屋外でも室内でも直射日光に、長時間当てるのはよくありません。

苔の葉は、断面で細胞一層(他の植物は何層にもなっている)なので弱い光でも十分、光が届くからです。


苔は小さな個体が集まって適度な湿気を保っています。

湿り気のある所に直射日光が当たり、温度が高くなると蒸れてしまいます。


室内では窓のそばに置きます。

直射日光は、レースのカーテンで遮り、それが無理なら1日に一回でも、明るい場所に移動するようにします。

2~3日、室内で飾ったら、戸外の半日陰で外気に当てます。

ただし、苔の湿り気が飛ばされてしまうような、風通しがよすぎる場所は避けるようにしましょう。

複数の苔玉があれば、代わる代わるにいつも苔玉を飾り、楽しめることでしょう。




◉水やり=控えめに

湿り気が必要だからと、水をやり過ぎて失敗することが多いようです。

水浸しでも苔は大丈夫ですが、時間が経って水が腐るとコケも腐ってしまいます。

植物にもよりますが、苔と一緒に植えてある植物も水分が多すぎると根腐れしてしまいます。

苔は葉が乾いて縮れていると、光が当たっていても自分で養分をつくることが出来ません。

観葉植物では普通、用土の表面が乾いていることを目安にして水を与えますが、コケは葉が縮れていたり、触ってみて乾いていたら水を与えます。

水やりする時間としては、日が当たる時間、つまり早朝がよいでしょう。

ただし、置き場の環境でも、乾燥の度合いが違うので、注意しましゃう。

鉢植えのものは、鉢が小さいと乾きやすくなります、水やりとは別に時々霧吹きで水を吹きかけてあげましょう。

苔玉はバケツに水を入れ、数分間沈めて吸水させます。

気泡がなくなる状態が目安になります。




★どうしても乾燥しやすい場所に置かなければならない場合や、長期間留守にする時は、受け皿に水を十分含ませた軽石を敷き、その上に鉢や苔玉を置くなど工夫しましょう。


◉肥料=百害あって一利なし

コケには根がなく、土中から養分を吸収しないので肥料は不要です。

カビや藻類が生える原因になってしまいます。

★病害虫

葉が変色したり、カビ(白カビなど)が見えたら、早めにその部分を取り除きます。

時間はかかりますが、症状が軽ければ元の状態に回復します。

室内ばかりで長期間置いた状態が続くと、白カビが発生する事があります。

定期的に外気に当てましょう。

◉参考ブログ
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※花のない植物コケ胞子隠花植物 No.187






月曜日, 7月 15, 2019

クリ(栗)  No.164

クリ ブナ科クリ属 落葉高木

縄文時代から栽培されていた歴史ある果樹

全国の山地に自生する。

日本、中国、ヨーロッパ、アメリカなど、北半球の温帯地域を中心に世界で10種類ほどの原生種が知られています。

6月に黄白色の細長い花をつけ、9月頃にトゲのある総包(イガ)に包まれた果実がなります。

中国の天津甘栗、ヨーロッパのマロングラッセなどの菓子類でも知られるように、古くから各地で果実を食用に用いていました。

日本でも青森県の三内丸山遺跡の発掘により、縄文時代からすでにクリの木が栽培されていたことがわかっています。

中世には果実を干した「カチグリ」が保存食、非常食として重宝され、その名前から、戦に勝つための儀式にも使われました。

★樹皮、果実、葉を乾燥したものは、胃腸薬やかぶれ、火傷などに効く薬草トシテモ利用されていました。




タンニンを多く含む赤褐色の木材は、固くて水に濡れても腐りにくく、しかも加工しやすいと言う優れた性質があり、古くから建築材として土台や柱に使われる他、線路の枕木にも使われていました。

クリの名前は「黒実=クロミ」が転化したものと言われて「栗」という字を当てますが、これは本来、中国原産のクリを指し、日本産のクリはシバグリ、ニホングリと呼ばれる小粒の別種てす。

江戸時代から品種改良が行われるようになり「丹波」などの品種が作られ、大正時代に入ってから各地で盛んに園芸種が栽培されるようになりました。

その後、昭和16年に発生した、クリタマバチという害虫によって全国的な被害を受けた。

現在ではこの害虫に強い品種、丹沢、森早生、豊多摩早生、筑波、伊吹、日本産と中国産の一代雑種「利平」などの品種が多く栽培されています。

◉外国原産の品種は育ちにくいため、国内で栽培されているクリは大半が日本原産のものです。

品種改良された日本のクリは、外国産のものと比べて渋皮が剥けにくいものの、実が大きいのが特徴です。

その他、変わったところは枝が垂れるシダレグリ、イガのトゲが短いトゲナシグリ、ひとつのイガに果実がたくさんできるハコグリなどの変種もあります。

性質、特徴、生育管理

自花不結実性の品種があるので、2品種以上を植える。

日陰には非常に弱いので、建物の陰になる場所は避ける。

早生種は8月末から収穫できるが、普通は9月から10月が収穫期である。

◆害虫が非常に多い。
カミキリムシの成虫と幼虫、ゴマダラノメイガ、クスサン、アブラムシ類、カイガラムシ、コガネムシなどが代表的な害虫です。


胴枯れ病=幼木期に発生する。

全国で栽培が可能ですが、寒地では、株元の凍結、暖地ではテッポウムシなどに注意。

植え付けはできるだけ広い場所を確保する。

植え付け時期は2月から3月の春植えです。

苗木には低つぎ苗と高つぎ苗がありますが、庭木の場合は、低つぎ苗は寒害を受けやすいため、高つぎ苗を選らんだ方が無難です。

雌雄異花で自家受粉しにくいため、植えつけに際しては開花時期が近い別の品種を1~2本、同時に植えます。

結実を促すには有機肥料を多く必要とします。

植え付け時の元肥のほか、12月~3月にかけて寒肥をたっぷり施すのが基本です。

また、7月~9月の果実が肥大する時期によく観察し、必要に応じて追肥します。

◆クリのせん定

放任すると大木になるので、庭植えでは樹高3~4メートルほどで樹芯を止めて大きさを保つ事が大切です。

苗木から3~4年経つと、充実した前年枝の先端に花芽がつき、葉の付け根に雄花、雌花が咲きます。

冬期せん定の時にこの枝の先端を切り詰めない事が大切です。

樹形を保つには、春に間引きせん定をします。

日陰ができると枝枯れするので、日陰の枝が出来ないように間引きます。

◉クリの実の落果

クリの特徴として自然に実が落果してしまう、生理的落下現象が7下旬から8月上旬頃に見られます。

★クリの実の生理的落下の予防策
①土壌管理を見直し、排水や通気性をよくし、堆肥や腐葉土などをすきこむようにする。

②実の成る結果母枝を、正しく育てあげる。

③せん定で、木の内部まで日照がよくなるように手入れを行う。

④夏と秋に肥料切れにならないように、肥料管理をよくする。

⑤徒長枝が出たら早めに切り取る。





日曜日, 7月 14, 2019

ムクゲ(木槿) No.163

ムクゲ アオイ科  落葉広葉樹

別名/ハチス      「木槿」


中国、インド原産ですが近縁種が非常に多く、熱帯から温暖地帯にかけて二百種類を超える仲間がいます。

食用のオクラなどもムクゲの仲間です。

真夏の7月から9月にかけてちょっけい5~10センチになる紫紅色の5弁の花を咲かせます。

花は朝に開き、夕方にはしぼんでしまう1日花ですが、夏の間中次々と咲き続けます。

日本には奈良時代に胃腸薬として伝わりました。

◉韓国の国花でアジア一帯で広く親しまれている。

フヨウをはじめ、園芸用として栽培されている、類似種が非常に多いのも特徴です。
ハイビスカスやアメリカフヨウなどもムクゲの仲間です。

◆フヨウなど他の類似種は、冬に太い幹、枝を残して地上部が枯れてしまうのに対し、ムクゲは耐寒性があり、冬でも株が枯れずに残ります。



強せん定にもよく耐えるので、この種の仲間の中では最も育てやすいと言えるでしょう。




◉病害虫

新芽が伸びはじめた頃から、アブラムシが発生します。

夏にはテッポームシ(カミキリムシの幼虫)の発生。

コガネムシが葉を食べる事があります。

また、つぼみがアオムシに食害され、つばみが落下してしまう。

これについての報告をあまり聞かないが、被害は大きい。

次から次と拡大します。

◆ムクゲの生育管理

日光を好み、日当たりさえよければ乾燥ぎみでも、かなり湿気の多いところでも土質を選びません。

ただし、長期間花を楽しむには、よく肥えた保水力に富んだ場所に植えたいものです。

ムクゲは生長がとても早いので、施肥は生育の具合を確認しながら行う必要があります。

★一般的には、冬期に堆肥や腐葉土を株元周りに、6月上旬、9月上旬に油かすなどを少量与えるようにします。

肥料の与えすぎに注意しましょう。

◉せん定

自然樹形を生かした整姿が一般的ですが、放任すると、3~4メートルほどの高さになってしまうので、大きくなった株は春先(2~3月)に太い枝の部分から切り戻します。

常に2メートル前後に樹高を保ちながら花を楽しむことができるでしょう。

花は、長く伸びた新梢の先につくので、夏に花が左記おわったら、新梢の根元から20センチほど残して切り、肥料を与えるともう一度咲きます。
一重咲きと八重咲きがある。

生け垣の場合は、晩秋から翌春までの間に、前年枝をすべて刈り込みます。






金曜日, 7月 12, 2019

キウイのせん定 No.162

キウイのせん定について

実ものの中でも、特に枝が伸びすぎて困る事が多いキウイ。


キウイは、日光をたいへん好み大柄な木になるツル性の果樹で、生長力がとても強く、半年で2~3メートル伸びることも珍しくありません。

冬にかなり思いきったせん定をしても、梅雨明け頃までには、新梢がうっそうと茂ってきます。

そのままにしておくと、枝葉が込み合い、日照不足で黄ばむ葉が増え、落葉してしまうものもあります。

当然、果実も十分に大きくならないので、品質も悪くなります。

また、6年に実をつける結果母枝も充実しないので、翌年の収穫にも影響が出ます。

その為、キウイは夏場のせん定が欠かせません。

まだ実が成らない苗木、幼木の場合も、成木になった時の樹形を考えたせん定を行う必要があります。


①結果枝(実がなっている枝)のせん定

一メートル以上の長い枝は、5~6個の果実を残して弱いものは摘果した後、果実の上の葉を8枚ほど残して先端を切ります。

葉を残した部分が翌年の結果母枝になります。

中程度の長さの枝は、同様に摘果した後、先の方の絡まった枝葉を切り落とします。

50㎝未満の短い枝は、1~2果残して摘し、せん定はしません。


 「結果枝のせん定」

②発育枝(実がついていない枝)のせん定

結果枝と同時期に伸びた発育枝は、翌年の結果枝にするため、付け根から14~15枚の葉を残した部分で先端を切ります。

結果枝より後から伸び、大きく伸びた発育枝は徒長枝ですから、付け根から切り取ります。


                       「発育枝のせん定」
        ✻発育枝= 実がついていない枝                           

③誘引

せん定が終わった枝は、重ならないように棚面に誘引します。


       枝が重ならないように棚面に誘引


④ポール仕立て、鉢植えのせん定


ポール仕立てや鉢植えなど、小ぶりに仕立てた成木のせん定は、果実の先に3~4枚葉を残して、先端を切り詰めます。



また、新梢が支柱に巻き付いてうるさくなった場合は、巻き付いた先端を切ります切り取るか、巻き付いていない枝の部分で切り戻します。

夏期せん定後に伸びる新芽は、その都度、支柱に誘引します。

◉夏のせん定は、切りすぎると日焼けなど樹勢を弱める原因になります。

あくまでも果実の日照、通風をよくするために行い、極端に切りすぎないように注意しましょう。

◆キウイを楽しみたいが庭が狭いという方には、キウイのように枝が暴れることが少ないサルナシの品種がお勧めです。

小ぶりの果実はキウイそっくりで、味もほとんど同じです。


※参考ブログ
キウイ No.75 
キウイの新梢の誘引 No,139






サルビアの葉が枯れ始めた No.161

サルビア

別名 ヒゴロモソウ


梅雨明けたら、サルビアの株が元気がない。

葉が黄色くなって枯れ始めた。

◉夏の暑さで弱ったところに、ハダニが発生したためと思われます。

サルビアの仲間は、どの種類も丈夫で花つきがよく、比較的育てやすい草花です。

しかし、花壇用のスプレンデンスのように高温多湿の環境を苦手とするものも少なくありません。

◆スプレンデンスは梅雨が明け30℃以上の高温と強い日差しを受けると、生育が悪くなるだけではなく、病害虫の被害を受けやすくなります。

なかでも深刻なのは、ハダニの被害です。

気温が上がり乾燥しやすくなると、いつの間にか葉裏に発生し、あっという間に被害が広がり、葉が黄色く変色し、枯れ始めるものも出てきます。




これを放っておくと、被害がいっそうひどくなるので出来るだけ早めに、殺ダニ剤を散布して駆除に努めるとともに、用土の加湿に気をつけて水やりをし、乾燥しやすい時期には葉水なども与え、乾燥を少しでも防ぐようにしましょう。


★サルビアはシソ科サルビア属の一年草または宿根草です。

開花時期は6月から10月。

初夏から晩秋にかけて、茎や枝を伸ばし、次々と花を咲かせ続けます。

10月下旬から室内で管理すると冬を越すことができます。

※夏の対策として、8月に切り戻します。

敷きわらまたはピートモスで乾燥を防ぐ(マルチング)

※殺ダニ剤を早めに散布する。






火曜日, 7月 09, 2019

ハイビスカス🌺熱帯花木  No.160

ハイビスカス 

和名(ブッソウゲ、仏桑)

カラフルな大輪の花が咲く熱帯花木

アオイ科フヨウ属

インド洋南部のマスカレン諸島とハワイ諸島に7~8種ずつの野生種がある。

マスカレン諸島の原種の改良種「バタフライタイプ」がハワイの原種と交配され、現在の改良品種「ハワイアン·ハイビスカス」が誕生しました。

その後、改良が進み大輪の豪華な「ニュータイプ」が作られ、これらは「オールドタイプ」と呼ばれています。

ハイビスカスはこの仲間の学名です。

 

1917年、ハワイ農業試験場の登録がすでに2000品種あり、現在ではさらに膨大な品種が市場に出回っています。


ハイビスカスは、陽性植物といって、太陽を好む種類で日照不足だと下葉やつぼみも黄色くなって落ちてしまうので、できるだけ日当たりのよい場所で育てます。

◆種類と品種

一般にハイビスカスと呼んでいますが、雑種植物なので品種によって性質はかなり異なります。

〈在来系〉
花は小型で赤、ピンク、オレンジ、黄色など、性質は強く3~5℃まで越冬します。

〈ハワイ系〉
花は大輪か巨大輪、花は在来種のほかにパステル調の色合いが加わり大変美しい。

ハワイで改良され、在来種に比べ生育が遅く耐寒性は弱い。

オールドタイプ、ニュータイプ、矮性=わいせいタイプ、バタフライタイプなど。

〈タヒチアン系〉
中小輪で多花性、繁殖容易。

〈インドアハイビスカス〉
サニーシティーシリーズ…室内での開花可能な極多花性。

〈ヨーロッパ系〉
在来種同様、花も木も小型。



◆生育温度

最近は熱帯以上に暑いといわれる日本の真夏では、亜熱帯性のハイビスカスは夏バテぎみで、生育が緩慢になり花つきも悪くなってしまいます。

生育適温は20~25℃、生育可能温度は10~30℃ですが、越冬温度は15℃以上が好ましい。


★植え替えと鉢上げ

適温では生育が良いため根が鉢いっぱいになり、成長が鈍り花つきが悪くなるので、時に植え替えが必要になります。

5月~9月の間が植え替え時期で、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢に植えます。

最初から大きな鉢に植えるよりも、年に一度植え替えの時に、徐々に鉢を大きくしていく方がよく育ちます。

株や鉢を小さくしたい場合は、根を崩し地上部も相当にせん定して植え替えます。

根を乾燥させないように注意しながら作業しましょう。

暖効性の肥料を元肥として混ぜ込んで植え付けます。



◉置き場所

植え付け後の一週間を除き日当たりの良いところに置きます。

夏は風通しの良い涼しい所で管理します。

秋霜(野外温度が10~15以下)の降りる前には室内に入れ、日の当たる窓辺に置いてガラス越しの光線を当てます。

温度は15~20℃ぐらいあれば十分てす。

◆水やり

水切れさせないように注意し、天気のよい日は1日2回水やりをします。

成長期には十分与え、13℃以下になると根の活動は鈍く乾きが遅くなるので、乾いたら与えるようにします。


★肥料

芽出し肥を3月~4月のせん定時に与えます。

追肥は、成長期の5月~10月の間にチッ素分が少なくリン酸が多く、カリ分も含んだ肥料を週に一回、または月に一回油かす、骨粉の発酵済み固形肥料か暖効性化成肥料を続けます。

※10月から3月の低温期は肥料を吸収しないので施す必要はありません。

◉せん定

植え替えの時(7月)に込んでいる枝、弱い枝などを切り取ります。

全体に日当たり、風通しを良くします。

あまり大きくしたくない場合は、伸び過ぎた枝、強くて伸びそうな枝を切り詰めて、低く枝数を増やすようにします。

夏の高温期に株を休ませるために梅雨明け頃にせん定します。

秋の入室時の10月から11月に伸びた枝を切り戻します。

★挿し木

4月~9月に、日当たりの良い場所で育った充実した枝や切り戻した枝を使い挿し木します。

頂芽や、手で簡単に曲がってしまうような柔らかい枝は不向きです。






月曜日, 7月 08, 2019

ムラサキシキブの実がならない No.159

ムラサキシキブの実がならないのはなぜ

せん定時期の誤り、肥料の与えすぎなどが考えられます。


ムラサキシキブの花芽は春から伸びる新梢の節にできます。

その為、春以降に枝を切り戻すと花芽を落としたしまい、開花、結実は望めません。

樹形を整えるせん定は、秋から初冬にかけて行います。

ただし、強くせん定しすぎると若木に更新され、花芽のつきが悪くなります。



◆株の生長が旺盛だと花芽がつきにくい傾向があります。


特にチッ素肥料が多いと枝葉の生長に養分をとられ、花つきが悪くなります。

樹勢の強い株は肥料を控え、場合によっては根切りをして花芽の生長を促します。

ムラサキシキブは株が十分に生長してから、花芽がつくようになります。

苗木から植えてから開花までは3年はかかります。

◉別種のコムラサキは植え付けた年から開花します。






日曜日, 7月 07, 2019

ナツツバキが発芽しない No.158

ナツツバキのとりまき

昨年の秋にとりまきしたが、今年の夏になっても芽がでない。

◉ナツツバキの実生は、種をまいてから発芽するまでに2年から3年かかることも珍しくありません。

乾燥に気をつけて管理すれば翌年以降に発芽する可能性があります。

鉢にまくと発芽までの期間が長いため、乾燥しやすくなります。

できるだけ庭に直接まき、場所が分かるようにプレートを立てて管理します。

まき床は20~30センチの深さまで耕し、腐葉土や完熟堆肥を入れた上に種をまきます。


種の直径の2倍から3倍の厚みで土をかけ、さらに敷きワラや腐葉土などで覆って乾燥を防ぎます。

秋にすぐに採り蒔きにすることもできますが、発芽までの期間が長いので乾燥しないように貯蔵し、翌年の春にまくようにした方がよいでしょう。



金曜日, 7月 05, 2019

桃の幼果実が落果するのは?No.157

桃の果実が落ちる

生育が盛んで枝もよく伸びているのに?なぜ落果するの?


★樹勢が強いのに自然落果が多いのは、樹冠内部の日照不足が最大の原因と考えられます。

生育がよいため徒長枝が伸び、込み合った枝が交差して樹冠のなかまで、十分に日光が当たらなくなっている。

このままだと、枝枯れを起こしたり、残った果実も十分に肥大しないなどの原因になります。


樹冠内部の日照を妨げている枝や翌年の結実枝として利用できない枝は、早めに切り取ることが大切です。

樹冠内から発生する徒長枝は、付け根から2~3節を残して切り取ります。

ただし、近くに翌年の結実枝になる適当な枝がない場合は、切らずに捻枝(ねじ曲げ)します。

捻枝した枝は伸びが抑えられ、炭水化物が多く蓄積されるので花芽が多くつき、翌年の結実もよくなります。

捻枝は、枝が木質化すると折れやすくなるので、新梢がまだ柔らかいうちに行います。

★参考ブログ
※桃 No.183


木曜日, 7月 04, 2019

ハイドランジア(西洋アジサイ)せん定 No.156

ハイドランジアの整姿、せん定

ハイドランジアは、翌年も花を楽しむために早めのせん定をします。

花が終わったら、地際から2~3節残して、上部を知り戻します。

腋芽(わきめ)が伸び、夏から秋にかけてその先端に花芽が形成されます。


★秋以降にせん定すると花が咲かない。

また、せん定で切り落とした枝は、さし穂にして挿し木するとよいでしょう。

◉ハイドランジアは日本のアジサイよりも日光を好みます。

夏の強い西日は避けますが、日当たりのよい所で管理するとよいでしょう。


✣関連ブログ
アジサイ No,152



イチジクの摘心、摘果(家庭果樹) No.155

イチジクの摘心、摘果

7月上旬までに基部から15~17節のところで、先端を摘心します。

新梢は結実枝になるので、摘心で生長を抑えることで、大きな果実を収穫することが出来るようになります。

★摘心後に伸びた副枝についた果実や、樹勢の弱い枝の頂部についた果実、傷ついた果実なども同様に摘み取ります。


1節に二個から三個の果実がついている場合も、1果を残して生長の悪いものは摘み取り、品質のよい果実の肥大を促します。


✣関連ブログ
イチジク No,77






ブドウの摘粒(果粒)家庭果樹 No.154

ブドウの摘粒


ブドウの品種によって多少の時期がはずれますが、ブドウはおおむね5月下旬から6月中旬にかけて開花します。

秋にオオツブノ果実を収穫するためには、開花前に摘房(房の数を調整する)を行った後、6月下旬から7月にかけて果粒を間引く摘粒を行います。

◆詳しくはイラストを参照してください。


品種によって若干異なりますが、副穂を切り大きい房は上部の支梗を切るのが基本です。



水曜日, 7月 03, 2019

ザクロ(石榴) No.153

ザクロ ザクロ科ザクロ属

種が多いことから子孫繁栄、豊穣のシンボルとして古くから親しまれている。


原産地は西アジアで、イランやアフガニスタンに多数自生し、紀元前から果樹として栽培されていました。

漢の時代に中国に伝来し、日本に渡来したのは平安初期といわれています。

はじめは果実の皮や根を乾燥させたものが、漢方薬(安石榴=あんせきりゅう)として伝来。

栽培植物として樹木が伝わったのは平安末期と考えられています。




特徴的な花と、熟すと種子が見える果実を観賞木として楽しむようになったのは、江戸時代中期以降で、中国から導入された花ザクロを元に品種改良が盛んに行われた。

日本種は熟すと果皮が裂けて顆粒が見え、主に観賞用として植えられます。

西洋種は、果皮が裂けず甘味が強く、果汁はグレナデンシロップの名で親しまれている。

◉ザクロには実の成る花ザクロと、実がならず花を観賞する花ザクロがある。

ともに多くの園芸品種がある。

★実ザクロの花は一重咲き




★花ザクロは八重咲きもあり、花色も赤、朱色、白、白とピンクの模様など多岐にわたります。





果実は従来、酸味が強かったものですが、今では甘味の強い物も多く、健康食として知られています。

◆ザクロは暖地性の植物ですが、耐寒性が強く、マイナス10℃以下にならない他方であれば庭植えが可能です。 


◉変種のヒメザクロ(チョウセンザクロ、ナンキンザクロ)は枝が細く、葉、花、果実とも小ぶりで、鉢植えにも適します。

この品種の耐寒性はやや弱い傾向があります。

★ザクロの由来

ザクロは出産、育児の供え物としても古くから知られています。

これは子どもを次から次に食べる鬼子母神に、お釈迦様が子どもの代わりにザクロの実を食べるように勧め、その結果、子どもを守る天女に変身したという逸話に由来しています。

◉ザクロの生育管理

日当たり、水はけのよい場所を好みます。

酸性土壌や湿潤地を除いて土質は特に選びませんが、日照が悪いと開花、結実しない場合があるので注意が必要です。

★ヒメザクロは寒さに弱いので、冬期は凍結させないように注意します。

肥料は普通の土質であれば特に必要ありませんが、与える場合はチッ素分の少ないリン酸カリ肥料を2月から3月頃に株の周囲にすき込みます。


◉ザクロのせん定

庭木としては自然な樹形を楽しむのが一般的です。

枝葉が込みすぎた場合に枝抜きし、通風、日照をよくすることです。

時期は4月頃で、ふところの徒長枝、込みすぎた枝を元から切ります。

枝先を切ると花つき、実つきが悪くなるので注意が必要です。

枝と枝の間がすけて見える程度がよいてしょう。

結実して垂れ下がった枝は切り取り更新させます。

地際からひこばえがよく出るので、見つけ次第早めに切り取るようにしましょう。

※枝が暴れて極端に樹形が乱れた場合は、12月から3月に刈り込んで整理します。

ただし、刈り込み後、2年から3年は結実は望めません。

❆受粉

自家受粉で結実しますが、開花期が梅雨の時期に重なるため、花が多い割に結実数が少ない事があります。

鉢植えは開花期に雨に当たらない場所へ移動させ管理します。

庭植えは、晴れた日に筆先などで人工受粉させてやると、結実数が安定します。

✻摘果、収穫

1箇所に2~3果、結実することがありますが、その場合は結実が確実になった頃、良いものを1果残して他は摘果します。

果皮が黄赤色に熟し、裂果しかかった時が収穫時期です。

✻殖やし方

実生、さし木、とり木で殖やします。

✫実生は10~11月頃、果実を取ってそのまま陰干しにして、翌年5月にタネを取り出し、水洗いしてぬるま湯に一晩浸けてから赤玉土小粒のまき床に播きます。

2ヶ月ほどで赤玉土7、腐葉土3の混合土に鉢上げし、9月上旬頃に4号鉢に定植します。


❆さし木の適期は3~4月の春ざしです。
前年伸びた太めの枝を選び、15cmほどの挿し穂を作ります。

赤玉土、鹿沼土、川砂などの土に挿します。

2ヶ月ほどで3号鉢に植え、2~3年ほどで開花、結実します。


✻とり木は枝の太さと同じくらいの幅で環状剥皮し、水ゴケなどで剥皮部分をくるみます。

9~10月には初根するので切り離して鉢植えにします。

霜に当てないように管理し、1~2年ほどで開花、結実します。

とり木の適期は5月です。