緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

水曜日, 3月 31, 2021

ケヤキ 巨樹 No,421

 ケヤキ ニレ科 落葉高木

別名=ツキ

本州、四国、九州、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。

各地に天然記念物に指定された巨樹や名木がある。

日本一とされるのは山形県東根市の大ケヤキで、高さ25㍍、幹周り12.6㍍あり、樹齢1500年以上と言われている。

丘陵地や山地、川岸、海岸のなどの水辺に多く自生する。

公園や街路樹として多く植えられていますが、枝が横に張り出さないほっそりしたホウキ状の樹形になる「むさしの1号」という品種は、スペースを取らないので街路樹などに利用されている。

屋敷の周りに防風、防火樹として植えられ建築材としても利用された他、お盆、漆器の木地、家具や楽器、彫刻材として利用されている。

また、桃山時代から江戸時代には社寺の建築材としても使われていました。




✣生育環境

肥沃な深層土が適し、水はけの良いことが感じんです。
感想を嫌うので注意が必要です。

風には強いが、大気汚染や潮風に弱い傾向がある。

✻肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などを寒肥として施す。

✫雌雄同株で、4月から5月頃に葉の展開と同時に開花する。

若木な葉は成木に比べて大きい。

✿殖やし方

実生と接ぎ木で殖やせる。
種子を秋に採取し、適度に乾燥させて保存した後、翌春に播きます。
播く前にベンレート消毒をするとよい。

✣種類

葉の表面や裏面、葉柄に毛が密生するものをメゲヤキといい、日本海側に多く分布する。

枝が枝垂れるものをシダレケヤキといい、まれに見られる。

その他に、葉に斑が入る斑入りケヤキもある。





✻東根の大ケヤキ (樹齢1500年以上)
1957年(昭和32年9月11日)に国指定特別天然記念物に指定された。
南北朝時代1347年頃、小田島長義が築いた東根城内に植栽されていたものとされる。

山形県東根市本丸北1丁目1-1
所在施設=東根市立東根小学校



                「群馬県、原町の大ケヤキ」


厳しい環境の中で樹勢が衰え続けた結果、現在の姿は昔の面影もない状態となってしまった。


                  「元気だった頃の原町の大ケヤキ」




              「山梨県、三恵の大ケヤキ」

✿東根の大ケヤキ、原町の大ケヤキ、三恵の大ケヤキは日本三大ケヤキと称されている。







火曜日, 3月 30, 2021

マグワ 桑の木 No,420

 マグワ クワ科 落葉高木

原産地=中国  別名=ヤマグワ、ササクワ

養蚕(ようさん)用にカイコに葉を食べさせるため、栽培されていたものが放置されやがて野生化した。

養蚕の歴史は古く、中国の黄河や揚子江流域で野生のクワコを家畜化したのが始まりと言われている。

今から5千年から6千年も前の事である。




初めは中国の宮廷内だけで秘密に行われていた養蚕も、紀元前千年前くらいになると、一般の農家にも養蚕を行わせるようになりました。


絹織物は異民族を支配するための褒美として使われ、絹の魅力は中近東へ拡がり、そしてローマで広まって行きやがて、この交易ルートが「シルクロード」絹の道と言われ、文化の交流に多くの役割を果たしました。


日本への養蚕技術が伝わったのは紀元前200年くらいで、稲作と一緒に中国から移住者(日本人の祖先の一つ)が伝えたと言われています。


その後養蚕は長い時代を経て発展し、1900年頃に日本は中国を抜いて、世界一の製糸輸出国となった。

日本の最大の輸出先はアメリカでした。
輸出で稼いだお金で、近代化の為の機械などを買っていた。

1929年、アメリカから広がった世界恐慌により、製糸が売れなくなった。

1940年には、最大の輸出先であるアメリカでナイロンが使われるようになり、その後その影響により低価格で、大量生産ができる化学繊維が開発されて行く。

48年前の頃には、農協の事業として養蚕、繭、製糸が行われていた所もあったが、その事業も無くなり、いつしか桑畑も消えてしまった。

そんな子ども頃の記憶が小生には残っている。

桑の実は子ども頃のおやつだった。


✿生育環境

土質はあまり選ばないが、日当たりの良い土地でも陰地でも育つ。

移植は3月頃と11月頃に行い、大きな木には根回しが必要で細根を出してから移植する。

鉢植えは、冬に防寒をした方が良い。

栽培すると実も葉も大きくなる傾向がある。
せん定は2月から3月頃に、強く刈り込んでも耐える。

✻肥料

冬期に油かす、鶏ふん、化成肥料を施す。

✣開花、果実

4月〜5月にかけて淡黄緑色の小花が穂状に咲く。

6月〜8月頃に赤色から次第に黒紫色になって熟す。
生食、ジャムなどに利用する。

✻害虫はアメリカシロヒトリ、ハマキムシの被害を受ける。
ディプレックスなどの薬剤散布で駆除する。

✿種類

観賞用にホソバグワ、フイリグワ、永稿フクログワ
盆栽用にヒメグワ
街路樹にトウグワなどがある。








月曜日, 3月 29, 2021

ネコヤナギ No,419

 ネコヤナギ      ヤナギ科 ヤナギ属

別名=タニガワヤナギ  猫柳  落葉低木

北海道、本州、四国、九州、ウスリー、朝鮮半島、中国東北部
に分布する。

ふっくらとした花穂を、猫の尻尾に例えて名付けられたと言われている。

各地方にコロコロ、チンコロ、ネコニャンニャンなど猫や犬に例えた可愛らしい方言名がある。

山野の水辺に最も普通に見ることができる柳で、小川から渓流まで様々な環境の水辺に生えることが多い。

ヤナギ科の植物はすべて雌雄異株で、雄株と雌株があり、それぞれに雄花と雌花を咲かせます。

ネコヤナギには、枝が立つ株立性(直立)と這う匍匐性(ほふくせい)のものがあります。

直立するものは高さ3㍍程になる。

特に土質は選ばず、どんな所でも比較的容易に育つが、湿地を好むことから乾燥を嫌う。





✫開花

2月から3月頃に白い絹毛を密生した花穂をつける。
雄花は黄色、雌花は白色

ヤマナラシ属、ケショウヤナギ属以外はすべて虫媒花で、花に腺体がある。

花が咲き、散ったあとから葉がでてくる。
種類によって葉の展開時期が異なる。

✻種類

クロメヤナギ(花穂毛が黒)、マガタマヤナギ(葉が巻く)
フイリネコヤナギなど数多くの種類がある。

ヤナギ科は世界に4属550種ほどあり、✫種間雑種が非常に多い。

✫種間雑種
種とは形態や生態が似通った一群を種という。
種と他の種は原則として交雑できないとされるが、しかし同属の種の組合せ(交雑)によって雑種ができる場合がある。


✪せん定

3月頃、開花後に強剪定しても良いので、高さを保つように徒長枝は6月に半分から3分の2、切り落とします。

✻肥料

よく育つが2月から3月頃に少量の有機肥料を施す。
与え過ぎると枝が伸び過ぎるので控えめにします。

✣病気

ウドン粉病が発生する事がある。
発生初期にベンレート水和剤を散布する。


ネコヤナギは庭に植えてはいけない?
ネコヤナギはあの世とこの世を繋ぐと言う事で「縁起でもない」とされている。

庭に植えることで、霊界への入り口を作ってしまうからとする迷信的な事が言われています。

昔、柳の枝でお盆に使うお箸を作っていたとされる事にも関係するのだろう。

柳の木の向こうにはあの世があったとされる。

庭に植えてはいけないとされる樹木には、竹のように地下茎根で殖える植物、ゆずのように強いトゲがある木、高木と呼ばれ大木になる樹木、桜のように虫を呼び寄せる花木、アイビー(ヘデラ)のようなツル性植物などありますが、つまり、管理が大変である事や育てる上で殖え過ぎたりして、手がつけられない状態になってしまうからではないだろうか。

管理が出来ない人にしてみれば、庭に何かを植えたとしても、管理できないので植えたいと思わない。

植えてはいけない、縁起のない悪い木になってしまいます。

風水や家相方位学を除けば、そういう事になるのではないでしょうか。





日曜日, 3月 28, 2021

海を渡ったウバメガシ No,418

 ウバメガシ ブナ科  常緑高木

別名=イマメガシ、ウマメガシ

本州(神奈川県以西の太平洋側)四国、九州、沖縄、中国、台湾
「姥目樫」

海岸の岩場や沿海の山地に生える。

材は堅く硝子に傷をつけるほどで、その材質しから高級品と言われる備長炭の原料として利用され、炭は固くて火持ちが良い。

現在は、輸入品が多い。

多くの植物は染料植物として利用されることが多い中で、ウマメガシは魚網の染料の原料として使われていた。

理由として、染料が塩分に強いことからであるが、船艇の船底に赤く塗ってある塗料成分にも使われていたと思われる。

なぜ、船の船低の部分が赤いのかと言う事には、意味があって、トコブシなどがくっついてしまうと船の航行に支障が出るため、そうならないための成分が塗料の中に含まれているからなのです。


いずれは塗料が剥がれ落ちてくるので船の船低は、定期的にドック入りしてその赤い部分を塗り替えているのです。

これは余談ですが小生は、十代の頃巻き網漁船の甲板員でした。

このブログでは、ウマメガシの樹の物語?を紐解いて見たいと思います。

長崎県の五島列島、現新上五島町に「五島青方のウバメガシ」と言う天然記念物があります。


                     「五島青方のウバメガシ」

昭和53年8月22日、長崎県指定天然記念物に指定。

このウバメガシの説明によれば、3百数十年前に紀州の漁民が青方(あおかた)に移住する際、紀州から移植したものと伝えられていると記されている。

紀州から(1597年)持参してこの地に植えた人物は法村氏、道津氏とされている、同級生にどちらの苗字もいます。

ウバメガシは漁具材に利用する目的で植えられたとされている、しかしそれだけだったのかと疑問を呈したい。

何故なら、このウバメガシは他の場所に見当たらない。

他の場所にたくさんあっても不思議でないと思うのです。

絶えてしまう様な環境地ではないはずです。

このウバメガシがその時代を物語るシンボルとして、大事にされてきた事は間違いない事だと思います。

もしも取り残されたウバメガシが他にも、植えられ存在するならば、老樹となっていることだろう。

ウバメガシは地元紀州では、「紀州ガシ」の名で知られ、現在では和歌山県の県木となっている。

五島には自生しないウバメガシの樹が、五島青方に植えられたのは
何かしらの証を後世に、残したかったのではないかとも思います。

当時の時代まで遡ると五島列島の捕鯨に辿り着きます。

五島列島はその昔、捕鯨で賑わった島でした。

子どもの頃、(1970年)三王山の麓にクジラのアゴの骨の鳥居がありました。(ナガスクジラ)

その骨にはヤリでついた跡がいくつもついていましたが、当時の捕獲は突き取りだった事が、古い文献からも分かります。

その鳥居は今はそこにありません。
いつ、無くなってしまったのか、人の目にもあまりふれない山の麓にあった鳥居は、1990年にはすでにありませんでした。




五島列島の捕鯨の歴史は古く、1626年に有川村の名主、江口甚左衛門正明と紀州古座三郎太郎が鯨組を組織し、鯨漁を行ったのが始まりだとされています。

江口甚左衛門正明かを有川湾で捕鯨を始めたのは1598年の事です。

紀州古座三郎太郎は和歌山県古座村出身と考えられ、青方のウバメガシが青方の地に植えられた時代と当てはまってきます。

紀州からウバメガシを移植したとされる漁民は、捕鯨を行う漁民だったに違いありません。


どんな思いでウバメガシを植えたのだろう。

もし、自らがその時代に居たならば想像ができる事なのかもれ知れません。

思いを馳せ、五島の地に植えた人の思いは叶えられたのかも知れません。

青方ウバメガシがある大曽地区の坂道を登りつめると、船崎の海水浴場が左手に見えてくる。

下り坂の向こうには、五島うどんの発祥地である船崎地区が見えてくる。

五島の捕鯨の長い歴史は現在も受け継がれ、五島列島の文化として残っている。

捕鯨文化の歴史は水産庁により、歴史的文化財の中でも「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選」に選ばれるほど、歴史的価値も高く珍しいものとなっています。





おりしも数日前、小生は和歌山県古座川で100年ぶりに新種のサクラが見つかり認定された事を書いていました。


 五島列島と紀州が捕鯨で繋がっていた事も知らずに、、これは不思議な事で、何らかの導きだったに違いありません。


✿五島青方のウバメガシ
所在地=長崎県南松浦郡新上五島町青方郷2329
大曽=恵比寿神社のそば















土曜日, 3月 27, 2021

クスノキ No,417

クスノキ クスノキ科       常緑高木

別名=クス  楠、樟

本州(関東地方以西)四国、九州の暖地に分布するが、古くから植えられたために真の自生範囲が明確ではない。

アジアの熱帯から温帯に広く分布し、32属250種ほどが知られている。




環境庁のデータによるとスギの巨木は1万3千本、クスノキは5千本で数では杉の木に負けるが、一対一ならクスノキに軍配が上がる。

葉や樹皮を防虫剤の樟脳の原料として利用するために、かつては植林もされた。

材は、家具材、彫刻材などに利用される有用な樹種が多い。

大木になる代表的な木で、古くから神社などに植えられ、天然記念物に指定された銘木や巨木、老樹も各地に多くある。

樹高は、40〜50㍍以上で径2〜7㍍以上にも達する常緑樹で、葉は互生し薄い革質で表面に光沢があり、葉をちぎると特に強い芳香がある。

これは、昆虫等から食害されないための防衛と考えられる。

5月から6月にかけて錐花序を出し、はじめは白色の淡黄色となる小花をつける。

花は広い鐘形で6裂し、雌しべ1、雄しべ2を持つ、果実は径8㍉程の球形で11〜12月に黒く熟す。

耐寒性に劣るが、暖かい日当たりの良い土地を好む。

変種に葉の丸い「マルバクス」がある。

✻肥料
寒肥として化成肥料、油かすを施す。


✿代表的な銘木

日本最大の「蒲生の大クス」
鹿児島県蒲生町上久徳2259-1





福岡県新宮町立花口
国の特別天然記念物
「立花山クスノキ原始林」



旅の思い出のひとつに、巨木を訪ねる旅はいかがですか。

もしかしたらパワーを貰えるかも、、、知れません🙆






メタセコイア命名80年企画展 No,417-1

 生きている化石  メタセコイア

「生きている化石」と呼ばれるヒノキ科の針葉樹「メタセコイア」

植物学者三木茂博士によって命名されて80年を迎えた企画展が、東京、上野の国立科学博物館で4月4日まで開かれている。


1941年の命名当初、化石しか発見されていなかったため、絶滅危惧種とされていました。

しかしその後、1945年に中国で自生種が発見され、戦後、日本に導入され現在では身近な落葉樹で黄葉の季節には人々の目を癒やし、賑わう名所も全国各地にある。




企画展では、発見の物語や、かつて北半球の広い範囲に分布したメタセコイアが日本から姿を消し、アジアの一部地域だけに残った謎を紹介しています。


✣メタセコイア関連ブログ
メタセコイア化石の木 No,359






金曜日, 3月 26, 2021

地球上での植物の役割り No,416

 地球上での植物の役割り

樹木や草花などの植物は、非常に高い山の峰や北極、南極などの極地を除いて自然界のほとんど、あらゆる所に育ちそれぞれの寿命に従って、生性生殖、栄養生殖など様々な方法で子孫を残して死んで行きます。

その死骸は自然の生態系の中で、地中の小動物や菌類などによって分解され、生きている植物を育てる栄養源となります。

植物は以上のようなサイクルで一生を終えますが、その生育の過程で人間を始め、地球上のすべての動物の生活に様々な恵みを与えてくれている。




✿光合成による恵み 
植物は光合成という働きを通じて、地球上のあらゆる生命体が生きていく上で、絶対に必要なエネルギー(源デンプンなどの糖)を作り出してくれています。

糖は植物自体を成長させる栄養源ですが、同時に植物体に含まれる当分は形を変えて菌類、虫、小動物や草食動物及び人間の栄養源ともなります。

同じ光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を作り出します。

動物は大気を浄化して美しい空気を供給してくれるのです。

成長した樹木は材木として、人間の生活に無くてはならない道具や住居の材料を提供してくれます。

また、情報社会を支える紙の原料にもなります。

植物は乾燥して燃料の焚き木として利用されます。

また、現代文明の発達に必要不可欠である石油、石炭などの化石燃料は、植物や動物の死骸から長い年月をかけて作られてきたものです。

✿森、森林の恵み、役割り

天然ダムと言われる森林は、豊富な水を蓄えて洪水を防ぐいだり、雨水が地中に浸透するのを助けたりしています。

また、山崩れや土砂の流出を防ぐ働きをしてくれます。

樹木や草花は人間にやすらぎを与えてくれます。

色とりどりの花や春の新緑、秋の紅葉は目を楽しませてくれます。

森林浴は、人間の心を爽やかにしてくれるものです。

もしかしたら動物たちにも、、、そう思います。

原生林は自然が長い時間をかけて蓄積してきた財産です。

現在、開発のためや樹木の利用のために急激に伐採が進んでいますが、一度伐採してしまうと同様の森林資源を得るためには未来へ向けて同じだけの時間が必要です。

全地球規模で環境問題の一つとなっている二酸化炭素による温暖化現象は、化石燃料の燃焼だけでなく、地球上の森林の減少も大きな原因となっていると言われています。

豊かな緑の環境は、私達が健康で快適な生活を送るためになくてはならないものです。

このように大切な緑を守り育てる事が、今ほど重要になっている時代はなかったでしょう。

子どもたちに美しい自然を残してやるために、樹木や草花に愛情を持って接してほしいものです。








木曜日, 3月 25, 2021

アセロラ No,415

 アセロラ   キントラノオ科     常緑小低木

別名=バルバドチェリー、西インドチェリー

原産地=アメリカ南部からカリブ海の諸島、南アメリカ北部

カリブ海に浮かぶ西インド諸島では、遥か昔から食べられていたとされる。

15世紀の頃に、スペイン人やイギリス人によって世界に広がって行った。

15世紀とは、いわゆる大航海時代のことである。
ヨーロッパ人によるアフリカ、アジア、アメリカ大陸への大規模な航海が行われた時代である。

15世紀中から17世紀中まで続いたとされ、主にポルトガルとスペインにより行われた。

いわゆるアメリカ大陸を発見した時代を言う。


日本へは、沖縄がアメリカの統治下にあった1958年に、ヘンリー仲宗根さんが8本のアセロラの挿し木を持ち込んだ事が、アセロラ栽培の始まりでした。

戦後の沖縄復興のため、彼はアセロラの他にもパパイヤやパインなど、6つの果実種を持ち込みました。

しかし、アセロラは栽培方法が難しく、果実が熟しても日持ちがしないなどいつしか忘れ去られていた植物でした。

その後、研究の果てにアセロラの効能が注目され、本格的に栽培されることになり、その効能が知れ渡って行ったのです。

✻ヘンリー仲宗根
のちに沖縄熱帯果樹の父と呼ばれたヘンリー仲宗根は1947〜1948年に当時の琉球政府からの要請で来日し、以来、政府の委託を受けて沖縄に熱帯果樹、花木、野菜の普及促進に尽力した。

持ち込んだ8本の挿し木を、名護農業試験場に植えたのが始まりとされる。

✿アセロラの効能

ビタミンCを摂取することで、コラーゲンの減少を防ぎ、肌を美しく保ってくれます。

アセロラに含まれるポリフェノールの一種のアントシアニンは活性酸素を除去するが、強い抗酸化作用があります。

そのため、活性酸素が多量に発生すると生じやすい日焼け、しみ、そばかすを防いでくれます。

ナトリウムの排出を促進するカリウムも比較的多く含まれ、高血圧や動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果にも期待できる。





✿果実

果実はビタミンCに富み、アセロラ飲料としても知られています。

甘酸っぱく、生食でき、飲料の他にジャムやシャーベットなどに利用されます。

果実は初め緑色で熟すと赤くなりますが、熟した果実は日持ちが悪く、フルーツショップなどでも見かける事があまりありません。


✣樹形

常緑樹で大きくなっても5㍍くらいで、枝は細長く垂れ下がる傾向があります。

葉は対生、長さ2〜7cm程で先が少し尖る楕円形、あるいは披針形で全縁。
表面は濃い緑色で光沢がある。


✿花

雌雄同株の花は淡紅色で、花腋から散形状に3〜5個ずつ着きます。
原産地では年に5回程度の開花が見られる。

✻生育環境、植栽

果実の収穫を獲るには、日当たりの良い事が大切です。
土壌は水はけが良ければあまり選びません。

乾燥には強い方である。

刈り込んだ整形的な利用もできますが、果実や花は少なくなります。

風当たりの強い所では、葉や樹形が乱れ、傷みやすいので風よけが必要です。

目安として0℃以上であれば越冬できますが、0℃以下になる所では温室や日当たりがある室内に取り込み管理します。

結実を確実的にさせるには、開花した花にその日の内にジベレリン(植物ホルモン)を散布します。

(50〜1000ppm)=50㎎〜1000㎎を散布。

✻水1㍑辺り
ppm                         %                           mg

1ppm                       0.0001 %                  1mg
10ppm                     0.001%                      10mg
100ppm                   0.01%                       100mg
1000ppm                 0.1%                         1000mg


✻せん定

果実を結実させるには、枝が込み過ぎないように細長い枝を切り戻します。

花は当年枝の葉腋に着くので果実を実らせるためには、新しい枝を切り詰め過ぎない事が大切です。

✫殖やし方

挿し木が主体ですが実生は初芽率がよくありません。


✻病害虫

主な病気では古い葉に黒い斑点ができるウイルスによる、炭疽病(たんそびょう)がありますが、ジネブ剤やトッブジンM水和剤などを散布し防除します。

✻害虫
カイガラムシ類、ネコブセンチュウなどが発生することがあります。
カイガラムシ類は冬期にマシン油乳剤を散布し防除します。
被害数が少なければ剥ぎ取って捕殺する。

❆ネコブセンチュウについては別枠で記しています。

ネコブセンチュウ(土壌線虫)No,411-1






水曜日, 3月 24, 2021

府馬の大クス No,414

 府馬の大クス

黒部川沿いの標高47㍍の✣丘陵地にある宇賀神社の、鳥居を潜った右側に大クスの巨樹はある。

✣丘陵地(きゅうりょうち)とは、多数の丘が連続して存在している所で、地形学では高度や起伏が山より小さく、台地より大きいものを指す。

国指定の天然記念物として指定されたのは大正15年10月20日の事で、当時はクスノキとして登録されたが昭和44年の文化財新規専門委員による調査で、クスノキではなくタブノキであることが明らかになりました。

樹齢は明らかではないが1300年とも1500年とも言われ、幹の太さや高さはタブノキとしては国内最大級の大きさである。




樹の根際には正德元年(1711年)の銘が刻まれた石柱が樹木によって覆い尽くされる形で見える。

正德時代は1711年から1716年までの期間を指し、江戸幕府将軍は徳川家宣、徳川家継の時代である。

その当時は府馬城が有ったとされる。


 
「 奥に見えるのが主幹で手前の幹は枝だったもの」

主幹から北側に約7㍍離れた位置にある幹は、枝が地上に垂れ下がりやがて根を張り成長したもので、大クスと繋がっていた枝(幹)は小グスと呼ばれる。

以前主幹と繋がっていたであろう枝は、長い時の流れとともに腐ってなくなってしまった。

説明されなければ枝だった事にも全く気づかないことだが、それだけこの大クスがいか巨木だったか伺い知れる。


                                     「宇賀神社」

関東地方にはタブノキの巨木が多く茨城県の波崎の大タブ、東京都の古 里附のイヌグス、埼玉県の滝の人のタブノキなどがある。




 
✿府馬の大クス
所在地=千葉県香取市府馬2395
宇賀神社






火曜日, 3月 23, 2021

椿油と五島うどんのルーツ No,413

 椿油と五島うどんのルーツ

「椿油」はツバキ科の「ヤブツバキ」の種子から採取される植物性油脂である。
ユチャ、チャノキの種子から取れた油など、ヤブツバキ以外のツバキ属の種子から採取された「椿油」は椿油とは区別する意味で産業界では「カメリア油」と呼ばれます。

不乾性油

酸化されにくい「オレイン酸」を多く含むため、他の食用の油脂に比べて、酸化されにくく固まりにくい性質を持つ。

椿油の利用としての歴史は古く、✣「続日本紀」には777年✫渤海国の使いが帰る時に海石榴(つばき)油を所望したので、贈ったとする記述がある。

✣続日本紀(しょくにほんぎ)とは、平安時代初期に✻編纂された
勅撰史書、略称は続紀(しょっき)

✻編纂(へんさん)とは、材料を集めて本にまとめる事。

✫渤海国=(ぼっかいこく)とは、現中国東北部から朝鮮半島北部、現ロシアの沿海地方にかけてかつて存在した国家のこと。

★ヤブツバキ(藪椿)

日本の代表的原料植物で、伊豆大島や利島、伊豆、な長崎県五島列島の福江市、佐渡島の物が有名。



                                                    「ヤブツバキ」



✫サザンカ(山茶花)

長崎県諫早地方では、ヤブツバキよりサザンカの種子から採油するのが一般的で、この地方ではツバキ類の種実を「カタシ実」、サザンカのことを「ヒメカタシ」と呼ぶので椿油を「カタシ油」と呼びます。


✪ユチャ=英名(油茶)

中国の代表的原料植物。
湖南省、江西省、広西省などで生産されている。

中国では炒め油に使うほか、医薬品の原料としても使われる。

✫チャノキ(茶之木)

飲用にするチャノキだが、中国では種から搾油(さくゆ)にも使用されている。

✿搾油製法

✫圧搾(あっさく)
加圧によって種子から液状の油分を分離する製法で、本来の味や成分がより保持される。
コールドプレスともいう。

✻溶剤抽出
粉砕した種子と有機溶剤を混ぜて、油分を溶剤に溶かし込んで後に、蒸留して溶剤を再分離させる。

圧搾よりも効果よく搾油することができる。

いずれも粗油を得た後、精製工程を経て精製品となる。


✿五島うどんのルーツ

自ら中国に渡って調査された、旧上五島町の教育長を務めた吉村政徳氏によれば、中国には400もの麺の種類があるそうです。

折江省温州市近郊の永嘉県に索麺(さくめん)と言う麺がある。

この麺の製法が「五島うどん」と何から何まで同じである。
その地域はうどんを作らない家庭がないほど、村全体がうどんの里という感じで気候も五島と非常に近い。

大陸から伝わった麺は、中通島の現新上五島町船崎という地区から広まり、現在の五島うどんになりました。



「海辺の静かな地域、五島うどん発祥地船崎」


うどん博士で知られる国学院大学の加藤有次名誉教授は、うどんは中国から遣唐使船が伝え、その製法は五島から全国に広まったこと、そしてそのルーツは中国の「索麺」にあると言っていたという。

加藤氏は自ら中国に渡り調べていたのです。

遣唐使の時代といえば、7世紀から9世紀の頃になりますが、今から千年以上前から、五島の人はうどんを作っていた事になります。

中国からやって来る遣唐使船には、一艘に何百人もの人が乗っており、大陸の文化が寄港地である五島にもたらされたと言うのは、ごく自然の流れである。

大陸の食文化が五島へ1番に伝わるという事は決して不思議ではありません。

五島には古くからうどんがありました。

うどん造りの工程で「椿油」を使うのが、五島うどんの特徴ですがそれは五島の人の間だけで食べられていました。

麺の特性から他の地には広まりにくかったのです。

これが「幻のうどん」と呼ばれる由縁である。

日本を代表するうどんとしては、讃岐うどん(香川)、稲庭うどん(秋田)、水沢うどん(群馬)が有名ですが、五島うどんを「日本三大うどん」のひとつにあげる声もあります。

しかし、どのうどんを「三大」に数えるのかはちゃんとした定義もありません。

うどんに関する研究はまだ途中段階で、発祥地を限定するには至っていません。

この事を小生は7年前に記していますが、明らかになったのか不明である。

古き時代に思いを馳せ、うどんを食べてみるのも良いかもしれません。




◉加藤有次国学院大学名誉教授
うどん博士、植物館学の第一人者。
2003年11月11日永眠  享年71歳

うどん博士と呼ばれたのは、うどんの歴史研究を学問的に追求されたり、全国各地のうどんの文化を紹介したりと功績が大きい。

また、うどん打ちを生涯のテーマとし、武蔵野手打ちうどん保存普及会(会長)を結成して、地元小平市を中心に手打ちうどん講習会を続けられた。

著書には「男のうどん学」「わが家はうどん主義」などがある。























船崎地区には現在の集落より北側にも集落(樽見)があった。
約45年前頃に道は途絶えた。子どもの頃、立ち入る事はできなかったが、近くで船崎の同級生(貞司)と遊んだ思い出が懐かしい。
船崎には現在も五島うどんの製麺所(犬塚製麺所)がある。
同級生に犬塚初美と橋口貞司がいた。








✿五島うどん発祥地

長崎県南松浦郡新上五島町船崎










月曜日, 3月 22, 2021

フサザクラ No,412

 フサザクラ     フサザクラ科    落葉高木

別名=タニグワ、コウヤマンサク、サワグワ
総桜、房桜

ヒマラヤ、中国、日本に3種が分布する。
分布=本州、四国、九州、日本固有 1科1属

パイオニア植物のひとつで、谷筋や崩壊地、やせ地、山地の沢沿いなどの湿り気の多い場所に多く生える。

生長が早く、萌芽によって個体を維持し続ける。

葉が桑の葉に似ている事から、タニグワなどのクワのつく地方名が多い。

ヤマグルマやカツラ科などと類縁関係があり、花の様子が似ている。




花、果実

3月に山歩きをすると沢沿いに暗紅色の裸花が目を引く。
花の後の編円形の大きな葉も清々しい。

両性花で雌しべも多いが雄しべが特に目立つ花である。

葉が出る前に開花し、花には花弁がなく赤い雄しべが房のように垂れ下がる。

短枝の先に5〜12個の花が集まって咲く。
花が散ってから忘れた頃に葉が伸び出してくる。

果実は翼果で10月頃、黄褐色に熟すと風によって飛ばされる。
翼果の中には種子が1個入っている。 


肥料

寒肥として油かす、鶏ふん、化成肥料などを与える。

せん定

萌芽力もあるが、野趣を重んじて、湿り気の多い所で自然仕立ての方が向いている。
日当たりが良くても半日陰でも十分育つ。

✫種類
葉の裏が粉を吹いたような白い色をしている、ウラジロフサザクラの品種が本州に産している。



花には花弁がなく赤い雄しべが目立つ。







日曜日, 3月 21, 2021

ネコブセンチュウ (土壌線虫)No,411-1

 ネコブセンチュウ 土壌線虫

ネコブセンチュウの被害は、太根及び細根に多数の小さな「虫こぶ」ができる。

被害の株は、地上部の生育が悪くなり、樹高は低くて花たちも少なくなる。

虫こぶを切断して拡大鏡で調べると、内部にケシ粒大の白ないし半透明の丸い虫が見つかり、また土壌検査をすると多数の幼虫や線形の雄が見つかる。

根の虫こぶ内の球形のものは雌である。

一生を土壌中ですごし、根に寄生して養分を吸収する。

成虫は卵を土中に産み、やがて孵化した幼虫は根の先端付近から根に侵入して、寄生生活を始める。

やがて雌は成熟すると体は球形、または洋梨形に膨らんで肉眼でも確認出る様なコブとなる。

春から秋まで繁殖を続けて多くの場合は卵で越冬する。

地温が18℃前後に達すると孵化して根に侵入する。

このセンチュウの好適生活条件下では、25〜30日で1世代を完了し、年間、数世代を営む。

雌は500〜600の卵を産み、卵はゼリー状の分泌物で包まれて尾端についている。

センチュウ自体の移動力はほとんどないが、苗木の流通や移動によって各地に運ばれ、新地植栽によって定住して繁殖を繰り返す。
よって、苗木での寄生に注意し、徹底的な防除を行う必要がある。


          「ネコブセンチュウの寄生による根のコブ」


◉防除法

実生の台木はセンチュウのいない圃場で育成する。

栽培畑(圃場ほじょう)の土壌消毒はクロルピクリンやドロクロール、アドバンテージ、D-D油剤、ディトラペックス、バスアミドなどの土壌くん蒸剤(殺線虫剤)を使用する。

掘り上げた苗木は46℃で60分、48℃で30分、または50℃で10分の温湯処理によって防除する。

✻寄生する主な樹種

モモ、ヤナギ、アカシヤ、アセロラ、クレマチス、サザンカ
ツバキ、バラ、サクラ、ウメ、ナンテン、他

酸性土壌環境下において、防除剤を処理してから2時間後には半数程度のネコブセンチュウが不動化状態になり、ある程度の防除効果は得られているが、アルカリ性の土壌下状態においては不動化率が低く、ネコブセンチュウが植物の根に寄生する可能性が高い。


アワユキセンダングサの抽出物と、木酢液とテルミナリア·チェブラ果実の抽出物を、有効成分とする防除剤を用いることによって、あらゆるpHを有する土壌環境においても、更に迅速にネコブセンチュウを防除可能であるとしている。



                       「アワユキセンダングサ」


アワユキセンダングサの煮沸抽出で、センチュウの不動化がある。
植物体を乾燥させた状態では18ヶ月、抽出液では12ヶ月間の高い抗線虫活性を維持できる事が明らかになっている。



                     「テルミナリア·チェブラ」

テルミナリア·チェブラの果実の抽出物を有効成分とする。

✫主な線虫防除剤
ネマトリンエース粒剤、ビーラム粒剤、フォース粒剤
オルトラン粒剤、他






キブシ No,411

 キブシ    キブシ科

別名=マメブシ、マメヤナギ
「木附子、木五倍子」

果実を五倍子(ふし)の代用として使うのでこの名がある。



                                                                           「キブシ」

実はタンニンが多く含まれ、黒色染料にする。

雌雄異株の落葉低木で、山地に生えて3㍍程の高さになる。

地域ごとに変異の多い種類で、海岸付近に生える花が大きい「エノシマキブシ」と呼ばれる種がある。


                                                                    「エノシマキブシ」

花の内部を見ないと雌雄の違いがわからないが、一般的に雄花は黄色みが強く、雌花は緑色を帯びる傾向にある。

五倍子とは、「ヌルデ」の若芽や若茎などにアブラムシが寄生してできる虫こぶのこと。


江戸時代では「ふしかね」と言われ、お歯黒に用いられたほか、薬品や染料として利用されてきた。

藍で下染めして塩化クロムで発色すると、青灰色を得ることができる。

✻ヌルデ

ウルシ科の落葉高木でウルシほどではないが、まれにかぶれる人もいる。


                                                                 「ヌルデ」


ヌルデの名はかつて幹を傷つけて白い汁を採り、塗料として使った事に由来するとされる。

別名フシノキは生薬の「ふし」が採れる木の意味である。

キブシは耐寒性があり、早春と10月〜11月が植え付けの適期です。

湿気が多少ある日当たりのよい所が適しています。
自然樹形が理想で、痩せた土地を嫌います。

肥料

寒肥として油かす、鶏ふんなどを与えると花つきが良くなります。

開花

3月から4月に葉が出るより先に淡黄色の花穂を下垂させる。

✻変種にマルバキブシ、ヒメキブシ、ケキブシなどがある。




                 

土曜日, 3月 20, 2021

レンギョウ No,410

 レンギョウ モクセイ科

別名=イタチハゼ
レンギョウウツギ   
落葉低木「連翹」

原産地=日本、中国、朝鮮半島
東ヨーロッパ

モクレン科レンギョウ属の総称。

地面から茂み状の株になり、垂れ下がる枝にびっしりと鮮やかな黄色の花が咲く。

①中国原産=レンギョウ、シナレンギョウ

②朝鮮原産=チョウセンレンギョウ

③バルカン半島原産=セイヨウレンギョウ

④日本原産=ヤマトレンギョウ、ショウドシマレンギョウ

レンギョウの中でも、チョウセンレンギョウがよく栽培されています。

チョウセンレンギョウは樹形が整いやすく、色々な形に仕立てられるので、生け垣や庭の植え込みなど様々な用途に使われます。

江戸時代に渡来し、当時は主に観賞用として栽培されていました。





学名の「Forsythia」は、19世紀初頭にイギリスの王立植物園の監督官を務めた、スコットランドの園芸家ウィリアム·フォーサイスに因んで付けられた。

(ウイリアム·フォーサイス1737〜1804年)
王立園芸協会を設立した人物である。

ウィリアム·フォーサイスは25歳でロンドンに出て、サイオン·パークの公園庭師となり、1763年にチェルシー薬草園で園長のフィリップ·ミラーのもとで訓練を受けました。

その後、ミラー氏の死後監督官を務めた。

菌類による樹木被害を防ぐための、腐朽菌などの侵入を防止するための方法の実験を行い、良質な木材を確保するための功績を遺している。

牛ふんや石灰などを調合した、「フォーサイス塗布剤」の成分を発表した際、1500ポンドの報奨金を与えられている。

✣植え付け
2月から4月又は9月から10月頃に行います。

元肥には石灰と堆肥などを混ぜたものを与える。

日当たりのよい肥沃な土地を好む。

生育力が強く日陰でも育ちます。
また、耐暑性や耐寒性も高く悪環境にも耐えます。

土質も特に択びませんが排水の良い方が適しています。

✫せん定

レンギョウは半つる性の樹で、庭植えのまま放任して置くと大きくなり過ぎるので、毎年せん定を行います。

花後すぐに行い、不要な枝や徒長枝の整理を中心に樹形を整え、新枝を伸ばすと花つきが良くなる。

レンギョウの自然樹形は株立ちで、株元から数本の枝が生えます。

このうち、古い枝は間引いて根元付近で切り取ります。

せん定の適期は1月から2月、5月
12月

✻肥料
樹勢が強いので肥料は少なめに与えます。

寒肥として油かすに骨粉を混ぜたものを埋め込みます。

花後4月から6月まで、化成肥料を少し与える。

8月には追肥として化成肥料を根元にばら撒きします。

✣品種
シナレンギョウは葉が少し出てから花が咲き始める。

チョウセンレンギョウは大形で葉の色が濃い。

日本産のヤマトレンギョウもあるが、花つきがまばらなのであまり知られていない。

開花期は3月から4月頃で、長い花弁の黄色い花をつける。

✫殖やし方

新枝のまだ芽を活動しない2月に切り取り、3月まで土の中に保管しておいてから挿し木する。

枝元の方がよく発根する。

株分けは3月上旬〜4月上旬に行います。

病気

褐斑病
病原体の殆どはカビです。

洋ランのデンドロビウムの褐斑病だけは病原体がバクテリアです。

病にかかったは葉や、病気になって落ちた葉の上で越冬し、翌年の春に風や風に含まれる水滴などに運ばれ、他の植物に水媒感染します。

他に水媒感染のように雨水に病原体が溶け込み、その水が跳ね返ることによって感染することもあります。

発生する時期は5月から10月頃で、特に夏の初めの高温多湿時に多発します。

病気にかかった葉は見つけ次第取り除き処分します。

病葉には直接水をかけないよう気をつけます。

薬剤は発生期から10月頃までダイセン、ダコニール、ベンレートなどを月2回くらいの割合で散布します。

連作したり、管理が悪いと発生しやすくなる。
多湿を防ぐためにいらない古株を冬の間に処分し、せん定して風通しをよくし日がよく当たるようにします。


枝枯れ病
病原体はカビです。
病菌はせん定などで枝を切った切り口や接ぎ木のつなぎ目、枝の傷などから組織に入り込み発病します。

特に徒長枝や柔らかい若枝に発生することが多いのが特徴です。

多湿時に黒い粒状の繁殖器官から胞子を吹き出し、それが風に運ばれ空気感染します。

病気にかかった枝を見つけ次第切り取って処分します。

切り取ったあとの切り口にはトップジンM、石灰硫黄合剤などを塗り、乾いてから墨汁やツナギロウを塗っておきます。

徒長枝や生育不良の枝はせん定します。
他の病気の予防を兼ねて、生育期にマンネブダイセン、エムダイファーを散布するのも効果的です。

害虫

ルビーロウムシ(カイガラムシ)
種類が多く同じカイガラムシでも様々な形態をしています。

樹液吸汁害だけでなく、カイガラムシの排泄物により「すす病」を併発します。

幼虫の時期なら殻がまだまだ出来上がっていないので、スミチオンなどを散布して駆除します。

成虫になると薬剤は浸透しにくいため、効果があまり出ないので捕殺します。

また、冬場なら冬期使用限定薬剤のマシン油乳剤が使えるので、成虫でもこれで駆除できます。

カイガラムシは風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので、普段から適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると害虫減るのですす病の発生も無くなる。


花つきが悪くなる原因

花つきが悪くなる原因の多くは、せん定時期の誤りと考えられます。

レンギョウの開花までの年間サイクルは、花後の4月下旬から新梢を伸ばし、7月から8月頃に新梢に花芽を形成し、翌春に花を咲かせるというものです。

当然秋以降に刈り込めば翌春の花は減ります。

しかし、生育力が強く大きくなり過ぎるため、無計画に刈り込んで花つきを悪くすることが多いようです。

せん定は花後を中心として行い、秋以降は徒長枝や弱い枝を切る程度にします。

また、レンギョウのような株立ち性の樹は、株が古くなると花つきが悪くなるのでこのような場合は、株元まで切り戻して株を更新します。

レンギョウの薬効

果実は芳香があり舐めるとわずかに渋みがある。

果実は完熟する前の秋に採取され、茶褐色になるまで日干ししたものが生薬のレンギョウです。

シナレンギョウの成熟果実とともに生薬レンギョウには、チフス菌、パラチフス菌、大腸菌、緑膿菌などのグラム陰性菌、その他グラム陽性菌に対して強い抗菌作用がある。

また、消炎や利尿、解毒薬など吹出物、皮膚病などに応用されている。

花を日干ししたものを煎じて服用すると、利尿、高血圧などの予防に良いと言われている。

漢方薬の原料にも利用されています。




金曜日, 3月 19, 2021

ミツマタ No,409

ミツマタ   ジンチョウゲ科

別名=オウズイコウ
落葉低木

7月頃、新しい枝の先が3本に分かれて伸びる事から「三叉」と呼ばれるようになった。

黄金色の花の外面は白いうぶ毛で覆われ、まるで自ら光を放っているかのようである。


                                                     「ミツマタ」

和紙の原料にするため、山間の畑などで栽培していたものが野生化し、今では人も立ち入らない山地にまで自生している。

お札の原料としても樹皮が使われる。

製紙ように赤木、青木、カギマタなどが栽培されていました。

日向でも半日陰でもよく育つ。

やや湿り気のある肥沃な土地を好む。

仲間のジンチョウゲほど移植は難しくない。



                      「三つ叉に分枝するのが特徴」

肥料

よく花をつけるには寒肥として油かす、鶏ふん、化成肥料を与える。

開花

3月から4月頃に白色の絹毛に覆われた、30個ほどの黄色の花が枝先に集まってボール状に咲く。

花の色は黄色が普通ですが、観賞用に赤い花の園芸品種「ベニバナミツマタ」などが作られている。

花が散ったあとから葉が伸び出してくる。

せん定

4月から5月
萌芽力はあるが、せん定は混み合った所を間引く程度にする。

移植

3月から4月頃に湿り気のある土地に移植する。

幼木は直射日光を嫌う。





木曜日, 3月 18, 2021

クマノザクラ No,408

 クマノザクラ

新種桜の発見

2018年、「クマノザクラ」は約100年ぶりの新種と判明した桜です。

紀伊半島南部が原産の日本固有種のサクラで、日本に自生する10種、もしくは11種のサクラ属。

基本野生種の内の1つ。

日本国内の野生の桜としては、100年ぶりとなる。

                       「発表当時のクマノザクラ」

和歌山県田辺市本宮町(ほんぐうちょう)を中心として熊野地域の山間部や串本町、那智勝浦町の海岸部などに生える。

「クマノザクラ」はヤマザクラやソメイヨシノよりも早い、2月から3月頃に花を咲かせます。

「クマノザクラ」は個体差もあり、同じクマノザクラでも花びらの色が違うこともある。

まだまだわかっていない事も多い桜です。


                             「クマノザクラ」

田辺市本宮町は、熊野三山の中心である熊野本宮大社や、江戸時代の温泉番付では✫勧進元とされ、別格扱いされるほどに名を知られた湯の峰温泉、河原を掘ると温泉が湧く川湯温泉などがある。

✫勧進元(かんじんもと)
何か事を発起してその世話をする主催者のこと。

和歌山県古座川町には、多くの個体が自生していることが確認されている。

池野山地区には、新種として学名を記載した論文を発表するにあたり、正基準標本が採取されたタイプ木があります。

古座川町ではクマノザクラを町花として制定しました。

この地域ではごく普通に咲いていた桜ですが、まさか「100年ぶりの新種発見」という事ですが、これは極希な出来事です。

クマノザクラは、森林総合研究所多摩森林学園の勝木俊雄農学博士によって新種が確認されました。


                            「クマノザクラ」

古座川町は、紀伊半島南方の山間部に位置する町で、林業も盛んな所です。

また、天然記念物や文化財にも指定されている貴重な、自然景観や観光スポットが多い町です。










水曜日, 3月 17, 2021

アイ (藍)No,407

 藍     タデ科      イヌタデ科

一年草 別名=インジゴチン タデアイ
原産地=東南アジア

古くから藍染めの染料原料として知られる植物。

藍の歴史はとても古く、紀元前3000年まで遡ります。


                                「タデアイ」

✻「インダス文明」の遺跡から、藍染めの染織槽跡が発見されたと言う記録が、藍の存在が世界で初めて確認された時期と言われています。

✻インダス文明
紀元前2500年から1800年頃に繁栄した文明とされているが、インダス文明の文字は未だに解読されていない。

その事から、繁栄していた時代が正しいのか疑問は残る。

紀元前300年頃になると、シルクロードを通じて文明の交流が始まり、藍染めの布製品が盛んに行き来していたとされ、インドやエジプトを中心に世界各地に藍が流通して行きました。


日本の藍の歴史は、奈良時代に遡ると言われています。

当時の唐から、朝鮮半島を経て伝わったと言われ、法隆寺や正倉院に当時の藍で染められた布類が今も多数保存されています。

その藍こそが「タデ藍」で「出雲族」が最初に栽培されたと言われている。

✣出雲族とは
古代出雲地方に存在したと言う説のある種族。

出雲とは現在の島根県東部を指す。

出雲神話の担い手として想定されている出雲族は、鉄器文明を持つ
「ツングース」であるとする説がある。

✻ツングースとは
出雲女は朝鮮、満州、蒙古(もうこ、モンゴル)の遺伝子があり、その民族を北東アジアに住む「ツングース」という。


出雲地域からは大量の✫銅鐸(どうたく)や銅剣などが出土した遺跡もあり、実際に古代に何らかの勢力が存在したとされている。

朝鮮、満州、蒙古から出土するものと、出雲の地下から出土する弥生式の土器はほぼ同じである。

✫銅鐸は青銅製の弥生時代後半期の遺物で、もとは楽器らしくのちに祭器に使われた。

「天孫族」に屈しまいとした出雲族の一部は東北に逃れ蝦夷(えぞ)となって最後まで戦ったとする説がある。


❆天孫族(てんそんぞく)とは
日本神話において降臨したヤマト王権をつくったとする古代勢力の総称。

また「新撰姓氏録」では天照大神などの子孫を神別の「天孫」としている。

新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)とは、平安時代初期の815年
(弘仁6年)に集成された、日本古代名鑑で氏族の実態や、姓氏家系を調べる上で欠かせない文献。


蝦夷とは、古代、関東以北に住んでいた人々でえみしとも言う。
北海道の古称。
北陸、関東北部から東北地方にかけて住み、朝廷に服従していなかった人々のこと。

また、出雲方言と東北方言が同じ「ズーズー弁」であるのもその証であるとされている。


江戸時代になると木綿の普及に伴い、藍染めが幅広く使用されるようになった。

阿波の国、現在の徳島県が最大の生産地だった。

徳島の「すくも」藍染めの染料は、高品質な「阿波藍」として別格の扱いを受けていた。

明治中頃には、全国の市場を席巻きするほどで、生産もピークを迎えた。


    「藍染め」


第二次世界大戦で栽培が禁止されたため、藍の生産は途絶える寸前まで行ったが、徳島の藍師が戦争中もタネを守り、副業をしながらも藍作りを続けてきた事で、現在でもその伝統が生き続けている。

現在は徳島をはじめ、北海道、青森県など、いくつかの地域で栽培されています。


「タデアイ」は古くから薬用植物として、解毒、解熱、消炎などの目的で利用されていました。

タデアイは日本に自生していない。

日本の一部の地方では、「タデアイ」はタデ酢などの食品原料としても利用されています。

食物繊維とミネラルも豊富に含まれている事から、藍の青汁や藍のサプリメントなどが商品化され、健康食品としても注目を浴びている。

✿藍特有のフラボノイド

ポリフェノール(フラボノイド)はブルーベリーの約4倍とも言われている。

トリヒドロキシ、メチレンジオキシフラボンを骨格とするフラボノイド化合物であり、藍の主要な物質群。

藍はコレステロールの低減に有効な素材である可能性がある。

藍のフラボノイド化合物は、いずれも還元酵素の阻害活性を示し、その活性は高脂血症治療薬である「ロバスタチン」とほぼ同等レベルの阻害活性を示す。


✿藍の抗酸化能

藍は昔から健康維持目的で利用されていました。

様々な疾病は、活性酸素によって引き起こされると考えられています。

藍は高い「抗酸化能」があり、活性酸素消去能が優れていると言える。

藍には、抗酸化物質や抗菌物質が含まれている事が確認されている。








火曜日, 3月 16, 2021

シナノキ No,406

 シナノキ シナノキ科

科の木
原産地=日本

北海道から九州にかけて山地に分布する。


落葉高木で、ヨーロッパなどに自生するボダイジュ類と混同して、「菩提樹」と呼ばれる事がありますが、和名としては「シナノキ」が使われます。

名前の由来は、樹皮が「シナシナしている」からとする説と、アイヌ語で「縛る、結ぶ」を意味する「シナ」からとする2説などがある。

長野県の古名である信濃は古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからではないかとも言われている。

よく似たボダイジュと同じく蜜源植物で、香りの良い花からハチミツが採れる。

山地に生え大木になるが、15年ほどのサイクルで伐採され、古くから樹皮の繊維などが利用されていた。

樹皮の繊維質が強いので昔は布を織ったり、縄を編んだりするのに使われた。

シナノキの樹皮は、古くから野良仕事着など、生活用品として利用され、古くは全国で生産された「しな布」の原料です。

三大古代織り布の1つで、その他に「芭蕉布」と「葛布」がある。

現在は、帯、のれん、バック、帽子など、工芸品として生産されている。

現在、主な「しな布」の生産地は、新潟県村上市や山形県鶴岡市の2地域のみとされる。


                          「シナノキ」


                                  「しな布」


✣芭蕉布(ばしょうふ)
芭蕉布は多年草「イトバショウ」から採取した繊維を使って織られた布で「蕉沙」とも呼ばれる。

沖縄県及び奄美群島の特産品。

                            「イトバショウ」

                                    「芭蕉布」

✣葛(くず)布
植物のクズの繊維を紡いだ糸から作られた織り布。

静岡県掛川市の伝統工芸。

                                       「クズ」

                                       「葛布」


✫類似種

オオバボダイジュは葉の径が10cmを超える大型の葉で、山地で見られます。

ヨーロッパ原産のフユボダイジュ、ナツボダイジュ類は、数品種が日本に導入されています。


✻生育環境

若木は日陰に耐えますが、高さ3㍍前後を超えると、日当たりの良い事が大切です。

やや湿り気がある土壌が最適で、水はけが良いことが大切です。

寒さに強い樹種で寒冷地にも適します。

風当たりが強い所では、葉が傷んで秋の黄葉が楽しめません。


❆病害虫

暖地では、カミキリムシ類に幹や枝を食害されやすい傾向があります。

ヨーロッパ系のボダイジュ類では、葉を傷めるハマキムシに注意します。

実生、挿し木で殖やします。







月曜日, 3月 15, 2021

植物の生理障害 No,405

 植物の生理障害について

生理障害とは、植物が生育する上で受ける様々な障害のうち、病気や害虫以外による障害の事です。

生理障害を大きく分けると、栄養の過不足が原因となる栄養障害と、水分や光、温度などが原因となる環境障害の2つがあります。

害虫やカビ、キノコなどがないのに生育が衰えている場合は、こうした生理障害を調べるようにします。

✪主な栄養障害

植物が健康に生育するには、適度の栄養分が必要になります。

この栄養分が不足すると障害が発生します。

また、養分によっては多過ぎても発生する事があるので注意します。

植物の栄養のうち、元素では窒素(N)リン酸(P)カリウム(K)が三大要素です。

この他、微量要素として鉄(Fe)やマグネシウム(Mg)カリウム(Ca)硫黄(S)などがあります。

✻窒素(N)

葉緑素やタンパク質を作るのに欠かせない元素ですが、不足すると生育が衰え、葉が小さくなって黄色くなります。

葉の色が黄色くなるのは、植物体の上部より下部で目立つことが特徴です。

窒素が多過ぎると葉が多くなって花が少なくなるので、果樹では果実の量(収穫量)が少なくなるなどの弊害が出ます。

          「チッ素不足のジンチョウゲ」

✪リン酸(P)

植物体内の整理作用を良くする働きがあります。

不足すると花の着き方が少なくなったり、葉が暗緑色に変化したりします。

特に、火山灰土のようなリン酸を含む肥料を与えても、植物に利用される分が少なくなりがちな土壌では注意が必要です。

✫カリウム(K)

植物体内の新陳代謝を良くする効果があります。

不足すると、葉の周辺部が黄色くなり果実の肥大成長を、妨げるなどの障害がでます。


✻環境障害

水分の過不足
鉢植えや排水が悪い土壌などでは、水が多過ぎると根腐れを起こす事があります。

逆に少な過ぎると葉や枝が萎れ、限度を超えてしまうとやがて枯れてしまいます。


✣光障害

植物のほとんどは成長するために、特に、庭木や園芸用の植物は光が必要です。

この障害は通常の栽培では起こりにくいですが、鉢やプランターなどの室内で栽培していたものを直射日光に当てると、急に光の量が増えることによって、葉焼けを起こすことがあります。

このような障害を「光障害」といいます。


              「葉焼けしたクンシラン」

❆温度障害

低温や高温により生育が衰えたり枯れることがあります。

特に、低温については植物ごとに耐えられる最低気温が違うので、注意が必要です。







日曜日, 3月 14, 2021

ユリノキ 百合の木 No,404

 ユリノキ モクレン科

別名=ハンテンボク、レンゲボク
英名=チューリップ·ツリー
落葉高木

北アメリカ東部に隔離分布することで知られ、中国と北アメリカにそれぞれ1種がある。

テネシー州、ケンタッキー州
インディアナ州のシンボルツリー

日本へは明治時代初期に渡来し、各地に植えられている。

本州以南での植栽が可能です。

✫名前の由来
学名は「チューリップのようなユリノ木」という意味。

葉の形が半纏に似ている事から「ハンテンボク」とも呼ばれる。

❆半纏(はんてん)
日本の伝統的な綿が入った防寒着のこと。




大きく育つと直立した幹から大枝を広げ、雄大な卵形状の樹冠を見せます。

ただ、強い風や積雪に対して枝が折れやすく、樹形を乱す事があります。

大木になるため庭木よりも、公園や街路樹などに利用される事が多い樹種です。

互生の葉は両面とも無毛。
葉柄は3〜10cmと長く、秋には黄葉する。

5月から6月頃、葉が展開してから新しく伸びた枝先に花が開きます。

花の形はチューリップに似ていて、黄緑色で付け根の部分にオレンジ色が混じります。

果実は翼果が上向きに多数集まった松かさ状の集合果。

10月頃に熟し、裂片状に剥がれます。

晩秋から初冬にかけて最も外側の翼果が、コップ状に残っている事が多い。

✫品種
葉に斑が入る「ミヤビ」や「オーレオ·ギアータム」などの品種がある。

公園や街路樹などの利用が一般的ですが、庭木として利用する時は自然樹形を基本に切り戻しを行って、高さ、枝幅とともに5㍍以内ぐらいを目安に育てます。

✫生育環境

日当たりが良く肥沃な土壌が最も適しています。

枝が折れやすいことから、雪が多い地域や風が強い場所には適しません。

✪病害虫
アメリカシロヒトリが葉を食害する事があります。

スミチオンなどの殺虫剤で、見つけ次第早めに駆除します。

✣殖やし方
実生、挿し木によりますが挿し木の活着率はあまりよくありません。