緑のお医者の徒然植物記

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火曜日, 6月 30, 2020

夏から秋の植物管理 No.228

充実期の植物管理

春から夏にかけて植物は目覚ましい生長をします。

6月から7月に十分な手入れを行わなかった庭木は、うっとうしいほど枝葉が繁ってしまいます。

この時期には樹種の性質に応じた手入れで、植物が厳しい夏を過ごせるようにすることが重要です。

春から生長した新芽は、6月から7月には外見上の伸びが止まり、緑が色濃くなります。

全ての木々が青々と枝葉を茂らせる時期です。

外見上、生長が止まったように見えても、光合成が活発に行われ養分(炭水化物)が生産されています。

これらは枝から幹へと伝えられ、冬に備えて蓄積されます。

根も肥料や水分、養分を盛んに吸い上げます。

充実期、肥大生長期と呼ばれる時期です。

十分な光合成を促すために、樹冠内の日照や風通しをよくすることや、根を傷めないように土の乾燥を防ぎ、土壌環境を適切に保つ事が、この時期の管理の重要なところです。

日頃からこまめに手入れを行っている場合は、夏を迎えるまでにマツのみどり摘みをはじめとする、針葉樹類の芽摘みや春咲きの花木の花後剪定、お礼肥や樹形を維持する為の雑木類の枝すかしなど、一連の庭の作業を終えている時期です。

暑さの厳しい真夏は、基本的には大掛かりとなる様な整姿や剪定は行いません。

しかし、梅雨明けまでに作業を行わなかった場合は、更に放置しておくと樹形が大きく乱れてしまい、庭の見栄えが悪くなるだけではなく、高温多湿の樹冠内は様々な病害虫の発生の原因にもなってしまいます。

そのような事からも、樹形を程よく保ち、夏を植物たちが健全に過ごせるように、できる限りの手入れをする必要があるのです。






月曜日, 6月 01, 2020

苗木の繁殖方法  No.227

有性繁殖

①実生苗(種まきから育てたもの)
実生(みしょう)苗は生長に時間がかかり、花木や果樹は楽しむまでに年数を要しますが、樹齢が長くまた大きく生長します。

根張りのしっかりしたものを選びます。

★実生
最も簡単で自然な繁殖方法で、他の繁殖方法に比べて寿命が長く、生長力も強く、病害虫に対する抵抗力にも優れている。

一度たくさんの苗を作りたい時にも適している。

ただし花木や果樹を実生で繁殖すると、発芽した芽は親株よりも樹勢が劣ると言われている。

◉種子の選び方

種は比重が大きい(重い)もの、種皮のきれいな充実したものを選んで蒔きます。

※比重の小さい種は発芽率がよくありません。

また、市販されているもを購入する場合は、表記されている注意事項を確認しましょう。

★発芽条件

種が発芽するためには、水分、温度、酸素の3つの条件を過不足なく満たす必要があります。

◆水分

種子は、水分を吸収することで(水分12%を超える)発芽し、生育を始めます。

発芽するための活動を始めた後で、乾燥すると種子は死んでしまいます。

◉温度

発芽に必要な温度は樹種によって異なりますが、一般に15℃~20℃くらい(3~5月の気温)と言われています。

★酸素

発芽には酸素も重要な要素になります。

団粒構造のしっかりした用土を使用していれば、土中に十分な酸素が含まれていますので、実際にはまず問題ありません。