緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

月曜日, 12月 23, 2019

セイヨウヒイラギ No.181

セイヨウヒイラギ

セイヨウヒイラギは園芸用に栽培される、モチノキ科モチノキ属の常緑樹

別名 セイヨウヒイラギモチ

ヨーロッパ西部、南部 アフリカ北西部、アジア南西部の原産


            「セイヨウヒイラギ」

若い枝や下の枝では、葉の縁が数ヵ所鋭く尖るが古い枝や上の枝では刺の数が少なく葉先が尖る。

縁はしばしば全縁になる。

モクセイ科のヒイラギは実が黒紫色に熟し、古株になると全縁になる全く別の植物である。

セイヨウヒイラギの果実は晩秋に熟すが、非常に苦いので冬の間も鳥に食べられることは少ない。

クリスマスの装飾の定番として使われる。

英語名からホーリー(Holly)とも呼ばれるが、(Holly)はモチノキ属の総称としても使われるので、区別するために(European holly  English holly)ともいう。

ドルイド(ドゥルイド)
ドルイド(Druid)は、ケルト人社会における祭司のこと。

日本語ではドゥルイドと表記する
女性形はドルイダス(Druidas)

ケルト人
中央アジアの民族のひとつ。

中央アジアの草原から馬と戦車、馬車を持ってヨーロッパに渡来した、インド、ヨーロッパ語族ケルト語派の言語を用いていた民族。

古代ローマでは、サトゥルヌスので、木とされサートゥルナーリア祭(農神祭)で知り合いへの贈り物と一緒にセイヨウヒイラギの枝を添えて渡していたものを、その直後に当たる12月25日の冬至祭でキリスト教徒が真似たため、後にクリスマスにつきものの装飾となっていったと云われている。



  (セイヨウヒイラギ斑入り)


キリスト教では、キリストの足元から初めて生えた植物とされている。

トゲトゲの葉や赤い実はキリストの流した、血と苦悩を表すとされている。

また、セイヨウヒイラギは魔力があると信じられていて、キリスト教にもその事が取り入れられ、同じように魔力を持つと信じられていてた。

アイビーとともにクリスマスの飾り付けに用いられる。

悪魔や妖精がクリスマスの期間に悪いことをしないように民家やお店、教会や墓地などに飾り付けられたと云われている。

◉セイヨウヒイラギは、ヨーロッパ以外でもアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで栽培されたものが野生化している。

◆類似種にはアメリカ原産のアメリカヒイラギモチ(アメリカヒイラギ)中国原産のヒイラギモチ(シナヒイラギ、ヤバネヒイラギモチ)があり、これらも園芸、装飾用に用いられる。

日本では特にヒイラギモチを用いる事が多い。


◉生育場所
半日以上は日が当たり、風通しのよい場所に植える。

日光が足りないと、花が少くなり実が少くなる。

実の色づきも悪くなる。

ただし、夏の直射日光が強すぎると葉焼けしてしまうので注意。

鉢植えでも育てられないことはありませんが、どちらかと言うと地植えに適した木です。

◆用土
極端な乾燥を嫌いますが、湿った土を好みます。

水はけ、水もちの両方がよい土が適しています。

鉢植えの場合は、乾燥に弱いので特に夏場の水切れに注意。

★肥料
肥料が足りないと樹の勢いが衰えます。

寒肥として油粕、堆肥などを株から少し離れた所に与えます。

※病害虫
病害虫には強い方ですが、カイガラムシがつくことがあります。

◆剪定
生長は遅くあまり剪定をしないで育てます。

風通しが悪くなったり、混みあった枝などの剪定にとどめます。

花芽は10月~3月にかけて形成され、4月から5月に白い花が開花します。

その後秋に実が赤く色づきます。

花後11月頃に実がなるので、どの時期に剪定したとしても花芽(実)を落としてしまうことになります。

生け垣の場合は年に2回、3月~4月と9月に刈り込んで、生け垣が乱れないように管理していきます。


★植え替え、鉢替え

鉢植えは2~3年に一回植え替えをします。



火曜日, 11月 05, 2019

植物の栄養障害 No.180

植物の栄養障害

チッソ、カリウム、リン酸の必須3要素の過不足


◉チッソ

植物の生育、養分の吸収、同化作用を盛んにする働きチッソ欠乏
葉の色が薄く黄色くなって小型になる。

葉緑素の形成も悪くなり生育不良になる。

✣チッソ過剰

葉の色が濃くなり茂りすぎになる。

組織が軟弱になったり成熟が遅れたりして、病害虫に侵入されやすくなる。

球根腐敗病を誘発しやすくなる。

花芽分化が阻害され、花が咲きにくく結実しにくくなる。

✻リン酸

植物の生育や根の伸長を促したり
開花、結実を良くする働き。

✻リン酸欠乏

花が咲きにくくなり、結実しにくくなる。

葉の艶がなくなって暗緑色となり、葉の緑や裏側は赤紫がかった色になることがある。

葉は小さくなって下葉から枯れてくる。

茎の上の方が異常に細かくなって花が少なくなり、根の発達も悪くなる。

✻リン酸過剰

一般的に症状はあまり現れないが、セントポーリアの葉は固くなって波打つ。

亜鉛、鉄、マグネシウムなどの吸収を妨げる場合がある。

✣カリウム

光合成、炭水化物の蓄積を促します。

球根を肥大させて品質を良くする働きがあります。

病害虫に対する抵抗性を持っている。

✻カリウム欠乏

葉の中心部が暗緑色、葉の先端や縁が黄色くなり、そのうち褐色に変わる。

葉の先端や周辺組織が壊死することもある。

植物体は軟弱になって、下葉から枯れあがる。

茎の伸びが悪く、折れたり倒れたりしやすくなる。

根が発育不良になり、耐寒性、耐暑性も低下する。

✻カリウム過剰

カリウム、マグネシウムの吸収を妨げる。

✫栄養障害微量要素の過不足

✻カリウム

根の発達を盛んにし、細根をたくさん発根させます。

酸性土壌を中和する効果があります。

✻カリウム欠乏

成長組織の発育不全、とくに芽の先端部は枯死することがある。

根の細根が少なくなる。
新しい葉が奇形になる。

稲ではクロロシス(白化)や枯死が起こる。

果樹類の若葉の枯死、トマトの尻腐れ、白菜の縁腐れ、キュウリやメロンの芯どまりなど。

✻カリウム過剰

障害はあまりないがマグネシウム
カリウム、リン酸の吸収を妨げる。

✣マグネシウム

葉緑素を構成する要素で、リン酸の吸収や移行に役立ちます。

✻マグネシウム欠乏

生育が遅延したり不良になったりする。

下葉の葉脈が黄色くなり徐々に上葉におよぶ。

葉全体が黄化すると落葉する。

麦類では縞(しま)やじゅずだま模様に黄化することがある。

✻マグネシウム過剰

土壌中のカルシウムに対してマグネシウムが多すぎるとカルシウム欠乏になる。

✣鉄

✻鉄欠乏

土壌がアルカリ性になると植物が吸収できないので、欠乏し若葉が黄化する。

とくに葉脈の間は激しく黄化し、ほとんど白くなってします。

葉脈部は比較的緑色が残る場合が多い。

✣その他の微量要素

マンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、塩素などの微量要素は
土壌中に含まれているのでほとんど欠乏する。

プランターや鉢植えの場合に、土以外の培地を利用して化学肥料を与えていると、欠乏症が発生することがあります。

◉欠乏

おもに葉のいろが退化したり、葉脈が黄化する。

また生育不良なども起きる。



月曜日, 11月 04, 2019

植物の生理障害の原因 No179

生理障害は伝染病じゃない

生理障害の原因は天候、土壌、外的なストレス。

これらの原因がいくつか重なったり複雑に絡み合うことによって、植物が生理的に変調を起こしたり障害が現れたりします。

植物の異常

病原菌感染による伝染病
害虫による障害
生理障害

◉生育環境

気温が高過ぎたり低すぎたりする
湿度が多すぎたり乾燥し過ぎたりする。

日照が多すぎたり少なすぎたりする。

風が強い、霜が降りるなど。

◉用土

通気性が悪い。
土壌のPH適性が合わない。

◉管理方法

水やりが多すぎたり少なすぎたりする。

肥料が多すぎたり少なすぎたりする。

植え替え方法の失敗(根づまり)

◉その他

薬害
煙害
有害物質、公害など
葉と葉との接触など

気温

植物によってそれぞれの成長の過程で、それぞれの生育に適した温度があります。

それがうまくかみ合わないと高温障害、低温障害となって現れてきます。

症状

✻花芽がつかない。
(花芽分化期の気温が不敵)

✻花が咲いても早く萎れてしまう。
(高温)
✻実がつかない。
(異常低温、高温)

✻果実の巣上がり症=果肉の水分がなくなってパサパサになる。
(冬期の低温)

鉢巻症=果実に薄い褐色の鉢巻部分ができる(冬期の低温)

葉やけ=(夏の高温)

ブドウの萎縮病=眠り病=発芽がたいへん遅くなる。
(凍害)

対策

それぞれの植物にとっての適温を考えてやる。

果樹では果実に袋をかけてやったり、暖かい場所に植え替え。

凍害を防ぐためには、樹を徒長させないように気をつける。

葉やけには夏の西日を避けるために日除けをしてやる


日照

植物の成長には日光が必要不可欠、植物によって日照の量の好みがちがう。

日照不足の病状


花芽がつかない
葉や花の色が悪い(日焼け)
実を結ぶがうまく育たない、色が悪い
下枝が枯れる
枝の徒長
枝や幹の枯死や変形(夏の直射日光による熱死)

湿度と土壌

湿度

根が吸収する水の過不足や、空気の湿度が植物の生育に大きな影響をあたえます。

症状

✻葉の縁が縮れてくる。
(空気の乾燥)
✻葉が萎れたり枯れたりする。
(水不足、空気の乾燥)
✻葉の色が悪い。
(水不足、過湿の乾燥)
✻花芽はつくがつぼみが咲かない。(冬の水不足)
✻花弁にシワがよる、早くしおれる(乾燥)
✻実を結ぶがうまく育たない。
(水不足)
✻実が小さい、実にシワがよる。
(乾燥)
✻葉の先が枯れる、幹や太い枝が枯れる。
(過湿による根いたみ)

対策

土の表面が乾いたら水やりをしましょう。

水やりが多すぎると水分過剰のために、土壌中の酸素が不足し根が呼吸困難になって腐る。

土壌の排水性と通気性

植物の生育にとって良い土とは、水と空気を十分に含んだ土。

水については適度な保水性と排水性。

空気については通気性が必要。

症状

土壌の排水性と通気性が悪いと、水のやりすぎと同様に根腐れを起こして下枝が枯れたり、枝葉の伸びが悪いなどの障害が現れてきます、枯れることもある。

対策

排水性、通気性を良くするために土壌改良する。







木曜日, 9月 05, 2019

イチョウ「銀杏、公孫樹」No.178


イチョウ 落葉高木

別名=ギンナン、コウソンジュ

恐竜時代の太古から現存する歴史的樹種。

二億年前のジュラ紀から、現存するたいへん古い樹種当時は日本にも自生していましたが、古い時代の内に滅んだと考えられています。

日本で見られるイチョウは、中国浙江(せっこう)省の原産と言われ、飛鳥時代(593年~710年)の仏教伝来と共にもたらされ、初めは寺社を中心に植えられました。

室町時代(1338年~1573年)以降、一般に広まりました。

耐暑性、耐寒性ともに強く、北海道から南西諸島に至る全国に分布

樹高は30~40メートル

刈り込みに耐え、大気汚染にも強く、耐火性も高いことから寺院庭園樹、街路樹、防火樹、環境緑化樹に利用される。

その他、盆栽樹としても親しまれています。

太平洋戦争の大空襲で、焼け野原となった東京に最初に芽生えたのもイチョウで、東京都の樹木に指定されています。

イチョウは雌雄異株で、4月から5月にかけて開花します。

雄花は房状に下垂し、比較的目立ちますが、雌花は先端に2つの丸い膨らみ(これが後にぎんなんになる)を持つ小さなY字型の花で注意して見ないとよく分かりません。


                              (雄花)


                            (雌花)


イチョウは、扇形の葉が特徴的ですが、この形が鴨の足形に似ていることから鴨脚(おうきゃく)の中国読みである「イーチャオ」が転訛して、イチョウとなったと言われています。

尚、鴨脚はいちょうと読むこともできます。

秋に美しく黄葉することで知られますが、南西諸島などの暖地では黄葉しません。

雌株の果実は9月から11月に黄色く熟し、種子を銀杏(ぎんなん)として食用にするのは周知の通りです。

※「銀杏」という漢字は実を指す言葉です。

木材はまな板の高級品として使われる他、基盤などにも利用されます。

中国では、乾燥した果実を白果(はくか)と呼び、鎮咳去痰
(ちんがいきょたん=せきをしずめながらたんを取り除くこと)

葉を銀杏葉(ぎんようは)と呼び、血圧安定などの生薬として古くから用いています。

20世紀後半からドイツを中心に、イチョウ葉の研究が進み主成分であるフラボノイド、ギンコライド、ビロバノイドなどに優れた薬効があることが証明されました。

こんにちでは痴ほう症、耳鳴り、めまいなどに効く医薬品として、世界55ヵ国以上で認定されています。

イチョウには園芸種(変種)として、葉に黄色い斑が入るフイリイチョウ、葉の上に結実するオハツキイチョウ、葉が円筒状になるラッパイチョウなどがあります。


雌雄異株

雄の木と雌の木の見分け方は、開花時期になってから雄花か雌花かを見ないと判断出来ません。

街路樹の場合、実が落ちて臭くなることがないように実が落ちない、実が出来ない雄の木だけを選んで植えています。

雄の木だけを選別し、接ぎ木や挿し木で株を殖やしています。

イチョウは、花粉が運ばれて数キロ、雄、雌の木が離れていても受精することができます。

これを「風媒花=ふうばいか」といいます。

風媒花とは、花粉媒介を風に頼る形の花のことで、目立たない花をつけるものが多いヒノキやスギと同じように、風で花粉が運ばれるのです。

例えば、庭に雌の木だけを植えていても、飛んでくる花粉で受精し、結実するということがあります。

相手が全くいないように見える状況でも、結実する可能性があると言うことで、まるで遠距離恋愛のようである。

実が地上に落ちて、種になり自然に生えるものは実が出来るまで25年くらいと言われています。

当然接ぎ木や挿し木の方が、枝自体がもともと年数を経ているわけなので、実が早くなると言うことです。

実が出来るには雌の木5本くらいに対し雄の木は1本で十分で、遠距離かつ、ハーレム?なのである。

長く生き続けるイチョウの生命力の強さを感じるものです。

ギンナン食中毒?

ギンナンを食べて食中毒になることがあります。

ギンナン食中毒を引き起こす原因はビタミンB6の欠乏だと言われています。

ギンナンには、ビタミンB6に似た毒性物質が含まれていて調理などでこれを分解することが出来ません。

この物質が体内のビタミンB6の作用を低下させビタミンB6欠乏症を引き起こすことで、健康な人でも
ギンナン食中毒を起こす可能性があります。

その時々の体調によって、引き起こされる可能性があるものです。

体内のビタミンB6の状態を、把握することは困難です。

その為、防ぐには大量摂取しない。

少量でも、継続して摂取しないことが重要です。

子どもはさらに注意が必要です。
ギンナンを食べることは避けるべきと思います。



昭和20年8月の水戸空襲の際に、黒焦げになりながらも、生き残ったと言われている水戸駅北口側にある銀杏の木。


イチョウの生育管理

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みます。

土質は特に選びません。

極端な乾燥地でなければ、やせ地でもよく育ちます。

ただし、潮風にはやや弱い傾向があります。

半日陰でも育ちますが、十分な日照がないと側枝が徒長しやすくなり、扱いにくくなってしまいます。

移植はかなりの大木になっても可能です。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土をすき込んで高植えにします。

大木もそのまま植え替えが可能ですが一般の庭では幹を途中で切って植え付け、活着するまでワラやコモなどで幹巻きして保護します。

適期は3月から4月、暖かい地方では11月も可能この時期であれば、根鉢の土が落ちても活着します。

肥料は余程のやせ地でない限り必要ありません。

やせ地や枝葉を充実させたい場合は、リン酸、カリ分の多い肥料を寒肥として与えます。

病害虫の心配はほとんどないでしょう。

せん定

放任すると大木になるので、一般家庭では強せん定が必要になります。

好みの高さで樹芯を切り、太い枝も切り詰めます。

芽吹きがよくすぐに短い枝が出るので、毎年整理して枝数を殖やします。

葉は葉柄が長く、短い枝に密に互生するので美しい葉姿を楽しめるでしょう。

また、脇枝が分枝している部分でせん定を繰り返すとコブ状になりますが、この独特の樹形を楽しむのもひとつの方法です。

殖やし方

実生、挿し木で殖やします。実生は果肉を取り除き、赤玉土(小粒)にそのまま蒔くか、翌春に蒔きます。

ギンナンは3月~4月に蒔くのが一般的ですが、秋に採り蒔きした方が発芽しやすい。

挿し木は、前年枝を20センチほどに切って挿し穂とし、赤玉土などの暖地さし床に挿します。

いずれも十分に灌水し、ピートモスなどを薄く敷いて乾燥に注意しながら管理します。

庭木からギンナンを採取するには雌木が必要ですが、公孫樹(こうそんじゅ)の名が示すように40年以上もかかります。

従って、結実年数に入った木から得た接ぎ穂を接いだ(実成りイチョウ)の苗木を求めて植えることです。


◉イチョウ関連ブログ
イチョウ葉の薬効 No,579
太古から現存するイチョウの木 No,521
銀杏(ギンナン)の実生で盆栽を作りたい。
No,66





土曜日, 8月 31, 2019

複色(ふくしょく)という色 No.177

複色(ふくしょく)について

複色とは、ひとくちで赤、ピンクとは言えないひとつのお花の中に、複数の色が含まれている色を表現するときに使われている、花業界独特の色の名前です。

一つの花の中に2つ以上の色があることを複色と呼んでいます。

複色の花色を表現する言葉として
バイカラー(二色花) トリカラー(三色花)などがよく使われますが、複色の花は2つ以上の色彩がいろいろなパターンで組合わさった模様を作り花色が複雑になることも多く、この場合にはこれらの複色をうまく表現するのが、難しい場合もあって困ることもあります。


                               (アンネのバラ)

新しく出てくる花は、複色のものがとても多い傾向にあります。

単色の花も素敵ですが、微妙な色合いの複色カラーは合わせる花色によって、まったく見え方が違ったり、色合わせをするのが楽しくなる花色でもあります。


代表的な複色の花

アジサイ、アサガオ、アストロメリア、アザレア(ニコレット)

アマリリス、カーネーション、ペチュニア、チューリップ

ビオラ、フロックス、ナデシコ、ユリ、バラ等その他多数

咲き進むと花色が変化していくもの、これを「色変わり」と言いますが、これも複色の一つと言っていいでしょう。

その他、複色と言える代表的なもの

絞り(しぼり)

「絞り」は布を糸でしばるなどして、染まらない部分を作る染色の技法ですが、花びらに現れた不規則な模様に似ていることから「絞り」と呼んでいます。


                                          (ツバキ)

また、絞りを細かく分類すると
大絞り(おおしぼり) 絞りが大きく入る大小絞り(だいしょうしぼり)大小の絞りが花弁に入る小絞り(しょうしぼり)細かい点がはいる荒絞り(あらしぼり)おおざっぱな絞りが入る竪絞り(たてしぼり)花弁に明瞭な縦筋が入る伊達絞り(だてしぼり)一つの花に大絞り、竪絞りが入るこれは一部の分類であり、他にも多数あります。

覆輪(ふくりん、ピコティ、斑入りの一種)

花びらを縁取るように、縁だけに別の色が載る模様の花を「覆輪」と呼びます。

中には縁取りの幅が狭く、ほぼ「線」くらいの細さになっているものを「糸覆輪」と呼ぶこともあります。


                          (クリスマスローズ)

その他、白覆輪、紅覆輪等がある。

ブロッチ

花の中央に地色(グランドカラー)と異なった色の大きな斑点が入る模様を「ブロッチ」と呼びます。

パンジーの花の真ん中にある斑紋が代表的です。


         (ビオラ)






アガパンサス No.176

宿根草 アガパンサス

別名=ムラサキクンシラン ユリ科

ギリシャ語で「愛の花」という意味のアガパンサス。

花色 紫、白、複色

水はけの良い土に元肥を与えて植え付け、日なたでも半日陰でもよく育ちますが、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。




5月と9月の上旬には、株回りに固形肥料を与えてます。

開花時期は5月頃から9月上旬頃まで。


花が咲き終わったら花茎の根元から切りとり、寒い地方では冬に、室内に取り込んで管理します。

切り花にする場合は、切り口をきれいに洗い、水揚げをよくします。

春(3月)と秋(9月)に株分けして殖やすことができます。

植え付け時期

3月~5月 9月~10月






火曜日, 8月 20, 2019

アベリア「花園衝羽根空木」No.175

アベリア

夏から晩秋にかけて長期間、花が楽しめる。

刈り込みにも強く、和風にも洋風にもマッチする。

◆スイカズラ科アベリア属(ツクバネウツギ属)

アベリアの仲間は、主にメキシコや中国南部を原産地とするものが大半を占めますが、一般に「アベリア」と呼ばれているのは、中国原産のアベリア·シナンシス(シナツクバネウツギ)とアベリア·ユニフローラを交配して作った園芸品種「アベリア·グランディフローラ」です。

ハナゾノツクバネウツギと言うこと和名がありますが、和名で呼ばれることは稀です。

東京以西の暖地では常緑ですが、寒地では冬に落葉します。

◉生育管理

日当たりのよい場所を好みますが、土質は特に選びません。

日照が不足すると徒長枝が伸びて樹形が乱れやすくなるほか、花つきも若干悪くなります。









火曜日, 8月 06, 2019

真夏の花、サルスベリ咲くNo.174

サルスベリ(百日紅)

今年も元気に花を咲かせてくれた、樹齢40年のサルスベリ。


「移植して17年」




日曜日, 8月 04, 2019

よい土?悪い土?No.173

よい土は見た目もきれい

土を購入して、袋を開けたら?なにこの土?なんてことはありませんか?

よい土は粒がそろい、さらさら、ふかふかしていかにも気持ちが良さそうです。

一方悪い土は、カビが生えていたり、じめじめと湿った感じで
、見た目も悪いものが多いようです。

土を購入するときは、購入時にパッケージの上から、カビや藻、水滴の有無をよく確認することが大切です。


臭いをチェックしましょう

袋を開けたとき、見た目と同時に、臭いもチェックしましょう。

完熟堆肥を使用している土は、ほとんど臭いがありませんが、未熟な堆肥などを使用していると、アンモニア臭やカビのような臭いがします。

よい土はみじん(粉)が少ない

よい土とは、みじんが少なく粒状で、通気性、水はけのよい土のことです。

土の袋を持ったとき、重すぎるつちは大抵みじんが多く含まれていると思っていいでしょう。

みじんが多いと水やりのたびに、底部にみじんが集積して、水が抜けにくくなるので、根腐れを起こす原因にもなります。

みじんの多い土を購入してしまった場合は、篩(ふるい)にかけてみじんを取り除くか、腐葉土を混ぜて改良します。

よい土は粒ぞろい

よい土のもうひとつの条件として、土の粒の大きさが揃っていることも重要になります。

土の粒の大きさが揃っていると、土の中に均一な隙間ができて水はけがよくなり、新鮮な空気が隙間にとどまるので、根の生育がよくなります。

根の呼吸がよくなり、早く根が伸びて生育します。

粒の大きさは、赤玉土の小粒程度で揃っていると理想的てす。

また、粒の大きさがまちまちだと、均一なすき間ができず、大きなすき間にみじんや腐葉土の細かい粉が入り込んで、すき間を埋めてしまうので、かえって水はけや空気の通りが悪くなるので注意しましょう。

水はけ、水持ちの違い

鉢植えの場合、水やりの時によい土、悪い土の差がてきめんにでます。

よい土は水が均一にしみ込んで、鉢底穴からすぐに水が流れ出します。

ピートモスが多く、水分量があまりにも少ないと、乾き過ぎたピートモスが水をはじくため、水やりすると土が浮きます。

鉢底穴から水は流れ出ますが、土に水が浸透していないことが多い。

このままにしておくと、根が水分を吸収出来ずに根の先が傷み、やがて枯れてしまいます。

このようにピートモスが多く、乾燥した土は、植物を植える前に土に少し水を与え、水分を含ませてから使用します。

また、みじんが多く、水はけが非常に悪い土は、すぐに水はけのよい新しい土か、腐葉土などを3割程度混ぜて植え直します。

未熟な堆肥が入った土は要注意

市販の培養土は、改良用土として腐葉土のほかに、バーク堆肥などが配合されたものが多くあります。

堆肥は熟度にばらつきがあるので、品質が不安定になりがちです。

培養土の中の堆肥の配合割合が多いほど、ばらつきの幅が大きい。
未熟な堆肥が混入されていると、植え付けて数日で枯れてしまうこともあります。

少ない土で植物を育てる鉢栽培では、未熟な堆肥入りの培養土は特に注意が必要です。

堆肥が含まれているかは、品質表示で確認できるほか、土の中に樹皮が含まれていたら、バーク堆肥入りと判断できるでしょう。

堆肥入りの培養土を使う場合は、熟度の高い堆肥であることが重要になります。

熟度の高いものほど色が濃い茶色から黒色。

臭いがほとんどない。

木くずなどが含まれず、粒の大きさが揃っている。

みじんが少ない。
鉢底から流れ出る水がきれい。
じめじめとしていない。
カビがはえていない。

肥料入りの土

肥料入りの場合は、植え付け時の元肥は不要ですが、土によっては、植物の生育度合いにかなりの差が出ます。

これは、配合されている元肥の肥料効果期間の違いによるものです。

肥料入りの培養土でも、植え付けて2~3週間たったら追肥をします。

これは、2~3週間ほどすると、根が新しい土になじみ始め、縦に伸び出して生育を始めるためです。

土をはしでつつくのはダメ🆖?

草花や花木、果樹などを鉢植えする際に、鉢土をはしでつつくと、赤玉土などの粒をつぶしてしまい、みじんを増やしてしまいます。

水はけ、通気性を悪くするので、おすすめできる方法とは言えません。

ただし、シンビジウムの植え替えなどで、バークチップや軽石などのつぶれにくい植え込み材料をはしで突きながら植え付けるのは、植え込み材料と根の密着度を高めるため、水や養分の吸収に効果的です。

また、植物を鉢に植え付けた後に、指などで土の表面を強く押さえ過ぎると、水はけを悪くする原因になります。

鉢をトントンと軽く地面に叩いてならす程度で十分です。

尚、焼き物の鉢等は割れないように注意が必要です。








土曜日, 8月 03, 2019

薬剤を使わない害虫駆除 ⑤アブラムシ No.172

アブラムシは牛乳が苦手


アブラムシはスギ、イチョウ、ヒカゲカズラなどのごく一部の植物を除くほぼ全ての樹種に発生し、植物の汁液を吸います。

そのため、苗の生育が悪くなったり、葉が変型して色が悪くなるなどの影響が現れます。

アブラムシの種類はとても多く、野菜類や草花類に寄生するものだけで30種類以上あるといわれています。

季節によって規制する樹種を変えるものも多く、大発生するとなかなか厄介な相手です。




アブラムシを見つけたら、発生しているところに牛乳を噴霧器で散布します。

アブラムシの体についた牛乳が乾くと、体表に薄く牛乳の皮膜ができ、気門からの呼吸ができなくなって窒息死してしまいます。

植物に悪影響を及ぼす心配はありません。

ぜひ試してみたい駆除方法です。

他にはラベンダーなどのハーブ茶を散布したり、石鹸水を散布したり、木酢液を土や葉裏にかけても有効です。

また、アブラムシは光るものが苦手です。

丈の低い草花や野菜類のある花壇、畑では、光を反射するシルバーフィルムなどを地表に敷いても効果的です。






薬剤を使わない害虫駆除④ヨトウムシ No.171

ヨトウムシは夜行性


厳密にはヨトウガの幼虫をヨトウムシといいますが、園芸用語では夜間活動して葉を食害するハスモンヨトウやシロシタヨトウなども含めて「ヨトウムシ」と総称しています。

「夜盗虫」の名の通り、昼間は茂みや土中に丸くなって隠れて、夜間に活動し草花や野菜類の葉を食害します。

ひどい場合は葉脈を残してすべて食べてしまい、野菜だと食用にする部分がなくなってしまうこともあります。?

卵は葉裏にまとめて産み付けられ、ふ化直後は群棲(ぐんせい)し、大きくなるにしたがって分散します。

サナギは土中で越冬します。

◆ヨトウムシはコーヒーに弱い

ヨトウムシは光りが苦手なので、昼間はほとんど活動出来ません。

昼間の間に土を掘り起こしたり、入れ換えて処分することも可能ですが、植物にとっても負担のかかることになります。

ヨトウムシはコーヒーが苦手です。

レギュラーコーヒーを入れた後のカスをヨトウムシのいる土中に混ぜておくと、撃退することができます。

ふ化したばかりの葉裏に群棲している幼虫にコーヒー液を直接スプレーしても効果的です。

また、農家ではトウガラシを焼酎などにつけた浸出液をヨトウムシ退治に古くから利用しています。









薬剤を使わない害虫駆除③アリ No.170

アリは水攻めで退治する


アリは直接植物を食害することはありませんが、大量発生すると家の中にまで入ってくることもあり、あまり気持ちのいいものではありません。

共生関係にあるアブラムシを天敵から守るので、間接的には害虫と言えないこともありません。

樹木の株元に蔦など絡まっていたりすると、巣を作り、株元の樹皮の中まで巣を広げアリの幼虫が育ちます。

樹木も衰えて行くので、その点から考えると僕自身はアリも立派な害虫だと思います。


アリを完全に退治するためには、巣穴を見つけて薬剤を注入しなくてはなりませんが、室内の鉢などについたアリ、又は鉢の中に巣を作ったアリもいるので、その場合は水を張ったバケツの中に鉢を一晩つけておけば、アリは溺死するので退治することができます。


ただし、駆除した後は鉢をバケツの水から取り出しておくことが大切です。






金曜日, 8月 02, 2019

薬剤を使わない害虫駆除②ハダニ No.169

ハダニは水に弱い

ハダニは一ミリに満たない小さな虫なので、少量の発生だとすれば肉眼ではわからない場合があります。

虫眼鏡を使うとはの裏側や付け根ふきんで動き回っている様子を確認でます。

あるいは、葉にほこりのようなものがついていたら、紙の上に落とし、軽く息を吹きかけてみます。

わさわさと動いている様子がうかがえたら、ハダニがついている証拠です。


ハダニは高温乾燥を好み、梅雨明け後から真夏にかけて発生します。

湿気を嫌うので、庭木の場合は勢いの強い水を葉裏に散水することでかなり駆除できます。


小ぶりの鉢植え植物などの場合は、あまり水の勢いが強いと植物自体を傷めてしまうので、ジョウロなどを使い、葉の裏を洗い流すようにします。

また、噴霧器で霧水をかけるだけでも効果があります。

鉢植えは乾燥しやすいのでハダニには特に注意しましょう。

※サツキ、ツツジ類は特にハダニがつきやすいので注意。






薬剤を使わない害虫駆除①ナメクジ No.168

ナメクジは夜間に活動する


ナメクジは新芽や若い葉、花のつぼみを食害します。

最悪の場合は花が咲かなくなってしまうので早めに対処するようにしましょう。

ナメクジの姿は見えなくても葉や茎に這い回った後が白く光るので、他の害虫の食害と明確に区別することができます。

ナメクジが這った後の白い筋は、水で洗い落とすことができます。

日中は、落ち葉や土の中などに潜んでいて、夕方から夜間にかけて活動し始めます。

植物なら枯れ葉でもなんでも食べますが、特に好んで食べるのが新芽や花のつぼみ、花弁などです。


◉好物のビールで誘殺する

ナメクジはビールの臭いが大好きです。

夕方にナメクジが出没する場所にコップなどの容器にビールを入れて置きます。

夜の間にビールの臭いに誘われたナメクジが中に入り、そのまま溺死します。

ビールそのものに殺虫硬化はないので、ビールの中にナメトックスなどの誘殺剤を混ぜておくとより効果的ですが、庭でペットなどを飼っている場合は、誤飲がないように注意が必要です。


ナメクジの卵は10日前後でふ化し、2ヶ月ほどで成虫になるので、駆除は一定期間をおいて繰り返し行うと効果的です。


★確実な方法は捕殺

いちばん確実なのは夜などに庭で直接ナメクジを割り箸などで捕まえて、ビニール袋、容器などに入れ塩水をかけて処分。

日中、鉢底などに潜んでいるので見つけ次第捕殺します。

カタツムリもナメクジと同様の食害をするので、数が多い時や、被害がある時には捕殺します。

その他、ナメクジを殺虫するには、お酢、ハイター、マジックリンなどの洗剤なども効果的です。

ナメクジにお酢をかけると死にます。

薄めたお酢の中に入れると確実です。

薄めたお酢をスプレーで吹きかけると駆除できます。






キョウチクトウ(夾竹桃) No.167

キョウチクトウ

原産地はインドで、日本には中国を経由して江戸時代に渡来しました。当時から庭木として幅広く親しまれていました。

キョウチクトウの名は中国名に由来しており、葉が竹の葉のように細く、花は桃の花に似ていることによります。

高温乾燥に強く、大気汚染にも強いことから、都市の緑化樹としてもよく利用されます。

また、原爆で被災した広島市では、復興につれて盛夏の花として市内各所に植えられるようになり、原爆犠牲者への慰霊の意も込めて昭和48年に市の花に選定されました。

基本種はピンクの一重咲きですが、白花、淡黄色、八重咲きのものなど園芸種も豊富です。

樹高は5メートルほどに達しますが、小庭に向く樹高1.5メートルほどの矮性(わいせい)タイプもある。




花期は6月中旬~9月までが一般的ですが、本来は四季咲き性です。日当たりのよい暖地では通年咲き続ける事ができます。


◉キョウチクトウの花、葉や樹皮、根に含まれる白い液にはオレアンドリン、ネリインと言う強心性の有毒物質が含まれています。

漢方では、葉、樹皮を乾燥させ「夾竹桃葉」と言う生薬にします。強心薬、利尿薬、打撲の湿布薬などに用いますが、素人には取り扱いが難しいので注意が必要です。


キョウチクトウの生育管理

できるだけ日当たりのよい、やや乾燥した場所を好みます。

冬期も葉の蒸散が多いので、冬の冷たい乾いた風に当てないように注意が必要です。

暖地性ですが、成木になるとある程度の耐寒性がつくので、東北南部ぐらいまでは庭植えが可能です。

ただし、苗木や若木は寒さに弱く、関東南部より北の地方では防寒対策が必要です。

根が粗く細根が少ないので、大株は移植に強くありません。

植え付けは小さな苗木のうちに行うようにしましょう。

土壌から養分を吸収する吸肥力がとても強いので、肥料は特に必要ありません。

やせ地の場合は、3月頃に株の周りに完熟堆肥をすき込み、夏に鶏ふんなどの有機肥料を一株につき2握りほど与えるようにするとよいでしょう。

★黄橙色のキョウチクトウだけに発生するアブラムシがいます。

スミチオン乳剤、マラソン乳剤の1000倍液などで駆除します。

◉せん定

株立ちが自然樹形です。

若木のうちは特に整姿しないで、ある程度の大きさになるまで自然に育てます。

せん定では、枝を中途半端なところから切らない。

枝の途中で切ると、そこから小枝が密生し、かえって樹形を乱すだけでなく、花つきも悪くなります。

枝は必ず根元から切る「枝すかし」が基本です。

秋に徒長枝やこみ枝を軽くすかし、思いきったせん定は春に行います。

古枝は株元から切り除き、ひこばえは株を大きくしたい場合を除き、早めに切り取ります。

生け垣の場合は6月頃に徒長枝が目立ってくるので刈り込みます。

※切り口には有毒成分が含まれているので、素手で樹液に触れないように注意します。







日曜日, 7月 28, 2019

小さな盆栽の管理について No.166

小さな盆栽(小品盆栽)



植物は、どんな環境下に育つ種類かによって、置き場所(管理場所、飾る場所)等が変わります。

木も草も自生地によって、日当たりを好むものや日陰を好むものなど、いろんなタイプがあります。

もちろん季節によっても置き場所は変わってきます。

管理するには、植物の名前や性質がわからないと管理も難しいものになります。

店頭に並べられた植物に名札が付いていないものも少なくありません。

そこで、名前やどんな性質なのか、店の人にある程度聞く必要があります。

どこに置けばよいのか、暑さや寒さには強いのか弱いのかなど、草なら一年草なのか、多年草なのか聞いてみましょう。

多年草の中には、落葉性で冬の間はまったく葉がなくなってしまう種類も少なくありません。

枯れてしまった、駄目になってしまったと思い、捨ててしまうといったことがないようにしたいものです。

毎年のように、クレマチスを買っていた人が、枯れたと思い、毎年捨てて、新しくクレマチスを買っていた人がいました。

なお、店の人が名前もわからないと言う場合は、購入を控えましょう。
やはり、信頼性のないお店では、商品管理もおろそかになりがちです。せめて、植物の科目、属種くらいは理解して欲しいものです。

また、自分自身で調べることも重要です。一段と興味がわき、育てる楽しみも増すことでしょう。

◉室内に飾る期間を短くしましょう。

ほとんどの植物は日当たりと風通しのよい場所を好みます。
半日陰や日陰に生える植物は北側や午前中だけ日の当たる場所が適します。


春から秋の観賞期は1日飾ったら、2、3日戸外に置く、と言うように室内に飾る期間をなるべく短くします。

冬の休眠期は、軒下などに置きますが、玄関や無暖房の部屋などに飾っておいた盆栽は、天気のよい日を選んで、1~2週間に一度位は外気に当てたいものです。

◆小さな盆栽はすぐ乾いてしまいます。

通常、水やりは生育期の春から秋には、鉢土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷり与えるのが原則です。

鉢の大きさや用土にもよりますが、春と秋は1日1回、夏は朝夕2回、冬は数日に一回が一般的な水やりです。

手のひらに乗るような小さな盆栽は、用土も少ないので乾きやすい。
数日留守にする時は、器に湿らせた砂を入れ、その上に鉢を乗せておくなど、工夫しましょう。また、4~5日の留守の場合は、湿らせた砂などの中に鉢ごと埋めておくとよいでしょう。鉢の縁まで埋めるとよいでしょう。


★手のひらに乗るような小さな盆栽は乾きやすいので、ひどく乾いていたら水の中につけて、鉢土にしっかり水を吸わせます。

また、水をやり過ぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。植物は根からも酸素を吸収します。
根が常に湿っていては健康に育ちません。水はなるべく乾いてから与えるようにしましょう。




苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165

苔玉~美しい緑を保つために

植物は光がなければ生きていけません。

しかし、苔は屋外でも室内でも直射日光に、長時間当てるのはよくありません。

苔の葉は、断面で細胞一層(他の植物は何層にもなっている)なので弱い光でも十分、光が届くからです。


苔は小さな個体が集まって適度な湿気を保っています。

湿り気のある所に直射日光が当たり、温度が高くなると蒸れてしまいます。


室内では窓のそばに置きます。

直射日光は、レースのカーテンで遮り、それが無理なら1日に一回でも、明るい場所に移動するようにします。

2~3日、室内で飾ったら、戸外の半日陰で外気に当てます。

ただし、苔の湿り気が飛ばされてしまうような、風通しがよすぎる場所は避けるようにしましょう。

複数の苔玉があれば、代わる代わるにいつも苔玉を飾り、楽しめることでしょう。




◉水やり=控えめに

湿り気が必要だからと、水をやり過ぎて失敗することが多いようです。

水浸しでも苔は大丈夫ですが、時間が経って水が腐るとコケも腐ってしまいます。

植物にもよりますが、苔と一緒に植えてある植物も水分が多すぎると根腐れしてしまいます。

苔は葉が乾いて縮れていると、光が当たっていても自分で養分をつくることが出来ません。

観葉植物では普通、用土の表面が乾いていることを目安にして水を与えますが、コケは葉が縮れていたり、触ってみて乾いていたら水を与えます。

水やりする時間としては、日が当たる時間、つまり早朝がよいでしょう。

ただし、置き場の環境でも、乾燥の度合いが違うので、注意しましゃう。

鉢植えのものは、鉢が小さいと乾きやすくなります、水やりとは別に時々霧吹きで水を吹きかけてあげましょう。

苔玉はバケツに水を入れ、数分間沈めて吸水させます。

気泡がなくなる状態が目安になります。




★どうしても乾燥しやすい場所に置かなければならない場合や、長期間留守にする時は、受け皿に水を十分含ませた軽石を敷き、その上に鉢や苔玉を置くなど工夫しましょう。


◉肥料=百害あって一利なし

コケには根がなく、土中から養分を吸収しないので肥料は不要です。

カビや藻類が生える原因になってしまいます。

★病害虫

葉が変色したり、カビ(白カビなど)が見えたら、早めにその部分を取り除きます。

時間はかかりますが、症状が軽ければ元の状態に回復します。

室内ばかりで長期間置いた状態が続くと、白カビが発生する事があります。

定期的に外気に当てましょう。

◉参考ブログ
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※花のない植物コケ胞子隠花植物 No.187






月曜日, 7月 15, 2019

クリ(栗)  No.164

クリ ブナ科クリ属 落葉高木

縄文時代から栽培されていた歴史ある果樹

全国の山地に自生する。

日本、中国、ヨーロッパ、アメリカなど、北半球の温帯地域を中心に世界で10種類ほどの原生種が知られています。

6月に黄白色の細長い花をつけ、9月頃にトゲのある総包(イガ)に包まれた果実がなります。

中国の天津甘栗、ヨーロッパのマロングラッセなどの菓子類でも知られるように、古くから各地で果実を食用に用いていました。

日本でも青森県の三内丸山遺跡の発掘により、縄文時代からすでにクリの木が栽培されていたことがわかっています。

中世には果実を干した「カチグリ」が保存食、非常食として重宝され、その名前から、戦に勝つための儀式にも使われました。

★樹皮、果実、葉を乾燥したものは、胃腸薬やかぶれ、火傷などに効く薬草トシテモ利用されていました。




タンニンを多く含む赤褐色の木材は、固くて水に濡れても腐りにくく、しかも加工しやすいと言う優れた性質があり、古くから建築材として土台や柱に使われる他、線路の枕木にも使われていました。

クリの名前は「黒実=クロミ」が転化したものと言われて「栗」という字を当てますが、これは本来、中国原産のクリを指し、日本産のクリはシバグリ、ニホングリと呼ばれる小粒の別種てす。

江戸時代から品種改良が行われるようになり「丹波」などの品種が作られ、大正時代に入ってから各地で盛んに園芸種が栽培されるようになりました。

その後、昭和16年に発生した、クリタマバチという害虫によって全国的な被害を受けた。

現在ではこの害虫に強い品種、丹沢、森早生、豊多摩早生、筑波、伊吹、日本産と中国産の一代雑種「利平」などの品種が多く栽培されています。

◉外国原産の品種は育ちにくいため、国内で栽培されているクリは大半が日本原産のものです。

品種改良された日本のクリは、外国産のものと比べて渋皮が剥けにくいものの、実が大きいのが特徴です。

その他、変わったところは枝が垂れるシダレグリ、イガのトゲが短いトゲナシグリ、ひとつのイガに果実がたくさんできるハコグリなどの変種もあります。

性質、特徴、生育管理

自花不結実性の品種があるので、2品種以上を植える。

日陰には非常に弱いので、建物の陰になる場所は避ける。

早生種は8月末から収穫できるが、普通は9月から10月が収穫期である。

◆害虫が非常に多い。
カミキリムシの成虫と幼虫、ゴマダラノメイガ、クスサン、アブラムシ類、カイガラムシ、コガネムシなどが代表的な害虫です。


胴枯れ病=幼木期に発生する。

全国で栽培が可能ですが、寒地では、株元の凍結、暖地ではテッポウムシなどに注意。

植え付けはできるだけ広い場所を確保する。

植え付け時期は2月から3月の春植えです。

苗木には低つぎ苗と高つぎ苗がありますが、庭木の場合は、低つぎ苗は寒害を受けやすいため、高つぎ苗を選らんだ方が無難です。

雌雄異花で自家受粉しにくいため、植えつけに際しては開花時期が近い別の品種を1~2本、同時に植えます。

結実を促すには有機肥料を多く必要とします。

植え付け時の元肥のほか、12月~3月にかけて寒肥をたっぷり施すのが基本です。

また、7月~9月の果実が肥大する時期によく観察し、必要に応じて追肥します。

◆クリのせん定

放任すると大木になるので、庭植えでは樹高3~4メートルほどで樹芯を止めて大きさを保つ事が大切です。

苗木から3~4年経つと、充実した前年枝の先端に花芽がつき、葉の付け根に雄花、雌花が咲きます。

冬期せん定の時にこの枝の先端を切り詰めない事が大切です。

樹形を保つには、春に間引きせん定をします。

日陰ができると枝枯れするので、日陰の枝が出来ないように間引きます。

◉クリの実の落果

クリの特徴として自然に実が落果してしまう、生理的落下現象が7下旬から8月上旬頃に見られます。

★クリの実の生理的落下の予防策
①土壌管理を見直し、排水や通気性をよくし、堆肥や腐葉土などをすきこむようにする。

②実の成る結果母枝を、正しく育てあげる。

③せん定で、木の内部まで日照がよくなるように手入れを行う。

④夏と秋に肥料切れにならないように、肥料管理をよくする。

⑤徒長枝が出たら早めに切り取る。





日曜日, 7月 14, 2019

ムクゲ(木槿) No.163

ムクゲ アオイ科  落葉広葉樹

別名/ハチス      「木槿」


中国、インド原産ですが近縁種が非常に多く、熱帯から温暖地帯にかけて二百種類を超える仲間がいます。

食用のオクラなどもムクゲの仲間です。

真夏の7月から9月にかけてちょっけい5~10センチになる紫紅色の5弁の花を咲かせます。

花は朝に開き、夕方にはしぼんでしまう1日花ですが、夏の間中次々と咲き続けます。

日本には奈良時代に胃腸薬として伝わりました。

◉韓国の国花でアジア一帯で広く親しまれている。

フヨウをはじめ、園芸用として栽培されている、類似種が非常に多いのも特徴です。
ハイビスカスやアメリカフヨウなどもムクゲの仲間です。

◆フヨウなど他の類似種は、冬に太い幹、枝を残して地上部が枯れてしまうのに対し、ムクゲは耐寒性があり、冬でも株が枯れずに残ります。



強せん定にもよく耐えるので、この種の仲間の中では最も育てやすいと言えるでしょう。




◉病害虫

新芽が伸びはじめた頃から、アブラムシが発生します。

夏にはテッポームシ(カミキリムシの幼虫)の発生。

コガネムシが葉を食べる事があります。

また、つぼみがアオムシに食害され、つばみが落下してしまう。

これについての報告をあまり聞かないが、被害は大きい。

次から次と拡大します。

◆ムクゲの生育管理

日光を好み、日当たりさえよければ乾燥ぎみでも、かなり湿気の多いところでも土質を選びません。

ただし、長期間花を楽しむには、よく肥えた保水力に富んだ場所に植えたいものです。

ムクゲは生長がとても早いので、施肥は生育の具合を確認しながら行う必要があります。

★一般的には、冬期に堆肥や腐葉土を株元周りに、6月上旬、9月上旬に油かすなどを少量与えるようにします。

肥料の与えすぎに注意しましょう。

◉せん定

自然樹形を生かした整姿が一般的ですが、放任すると、3~4メートルほどの高さになってしまうので、大きくなった株は春先(2~3月)に太い枝の部分から切り戻します。

常に2メートル前後に樹高を保ちながら花を楽しむことができるでしょう。

花は、長く伸びた新梢の先につくので、夏に花が左記おわったら、新梢の根元から20センチほど残して切り、肥料を与えるともう一度咲きます。
一重咲きと八重咲きがある。

生け垣の場合は、晩秋から翌春までの間に、前年枝をすべて刈り込みます。






金曜日, 7月 12, 2019

キウイのせん定 No.162

キウイのせん定について

実ものの中でも、特に枝が伸びすぎて困る事が多いキウイ。


キウイは、日光をたいへん好み大柄な木になるツル性の果樹で、生長力がとても強く、半年で2~3メートル伸びることも珍しくありません。

冬にかなり思いきったせん定をしても、梅雨明け頃までには、新梢がうっそうと茂ってきます。

そのままにしておくと、枝葉が込み合い、日照不足で黄ばむ葉が増え、落葉してしまうものもあります。

当然、果実も十分に大きくならないので、品質も悪くなります。

また、6年に実をつける結果母枝も充実しないので、翌年の収穫にも影響が出ます。

その為、キウイは夏場のせん定が欠かせません。

まだ実が成らない苗木、幼木の場合も、成木になった時の樹形を考えたせん定を行う必要があります。


①結果枝(実がなっている枝)のせん定

一メートル以上の長い枝は、5~6個の果実を残して弱いものは摘果した後、果実の上の葉を8枚ほど残して先端を切ります。

葉を残した部分が翌年の結果母枝になります。

中程度の長さの枝は、同様に摘果した後、先の方の絡まった枝葉を切り落とします。

50㎝未満の短い枝は、1~2果残して摘し、せん定はしません。


 「結果枝のせん定」

②発育枝(実がついていない枝)のせん定

結果枝と同時期に伸びた発育枝は、翌年の結果枝にするため、付け根から14~15枚の葉を残した部分で先端を切ります。

結果枝より後から伸び、大きく伸びた発育枝は徒長枝ですから、付け根から切り取ります。


                       「発育枝のせん定」
        ✻発育枝= 実がついていない枝                           

③誘引

せん定が終わった枝は、重ならないように棚面に誘引します。


       枝が重ならないように棚面に誘引


④ポール仕立て、鉢植えのせん定


ポール仕立てや鉢植えなど、小ぶりに仕立てた成木のせん定は、果実の先に3~4枚葉を残して、先端を切り詰めます。



また、新梢が支柱に巻き付いてうるさくなった場合は、巻き付いた先端を切ります切り取るか、巻き付いていない枝の部分で切り戻します。

夏期せん定後に伸びる新芽は、その都度、支柱に誘引します。

◉夏のせん定は、切りすぎると日焼けなど樹勢を弱める原因になります。

あくまでも果実の日照、通風をよくするために行い、極端に切りすぎないように注意しましょう。

◆キウイを楽しみたいが庭が狭いという方には、キウイのように枝が暴れることが少ないサルナシの品種がお勧めです。

小ぶりの果実はキウイそっくりで、味もほとんど同じです。


※参考ブログ
キウイ No.75 
キウイの新梢の誘引 No,139






サルビアの葉が枯れ始めた No.161

サルビア

別名 ヒゴロモソウ


梅雨明けたら、サルビアの株が元気がない。

葉が黄色くなって枯れ始めた。

◉夏の暑さで弱ったところに、ハダニが発生したためと思われます。

サルビアの仲間は、どの種類も丈夫で花つきがよく、比較的育てやすい草花です。

しかし、花壇用のスプレンデンスのように高温多湿の環境を苦手とするものも少なくありません。

◆スプレンデンスは梅雨が明け30℃以上の高温と強い日差しを受けると、生育が悪くなるだけではなく、病害虫の被害を受けやすくなります。

なかでも深刻なのは、ハダニの被害です。

気温が上がり乾燥しやすくなると、いつの間にか葉裏に発生し、あっという間に被害が広がり、葉が黄色く変色し、枯れ始めるものも出てきます。




これを放っておくと、被害がいっそうひどくなるので出来るだけ早めに、殺ダニ剤を散布して駆除に努めるとともに、用土の加湿に気をつけて水やりをし、乾燥しやすい時期には葉水なども与え、乾燥を少しでも防ぐようにしましょう。


★サルビアはシソ科サルビア属の一年草または宿根草です。

開花時期は6月から10月。

初夏から晩秋にかけて、茎や枝を伸ばし、次々と花を咲かせ続けます。

10月下旬から室内で管理すると冬を越すことができます。

※夏の対策として、8月に切り戻します。

敷きわらまたはピートモスで乾燥を防ぐ(マルチング)

※殺ダニ剤を早めに散布する。






火曜日, 7月 09, 2019

ハイビスカス🌺熱帯花木  No.160

ハイビスカス 

和名(ブッソウゲ、仏桑)

カラフルな大輪の花が咲く熱帯花木

アオイ科フヨウ属

インド洋南部のマスカレン諸島とハワイ諸島に7~8種ずつの野生種がある。

マスカレン諸島の原種の改良種「バタフライタイプ」がハワイの原種と交配され、現在の改良品種「ハワイアン·ハイビスカス」が誕生しました。

その後、改良が進み大輪の豪華な「ニュータイプ」が作られ、これらは「オールドタイプ」と呼ばれています。

ハイビスカスはこの仲間の学名です。

 

1917年、ハワイ農業試験場の登録がすでに2000品種あり、現在ではさらに膨大な品種が市場に出回っています。


ハイビスカスは、陽性植物といって、太陽を好む種類で日照不足だと下葉やつぼみも黄色くなって落ちてしまうので、できるだけ日当たりのよい場所で育てます。

◆種類と品種

一般にハイビスカスと呼んでいますが、雑種植物なので品種によって性質はかなり異なります。

〈在来系〉
花は小型で赤、ピンク、オレンジ、黄色など、性質は強く3~5℃まで越冬します。

〈ハワイ系〉
花は大輪か巨大輪、花は在来種のほかにパステル調の色合いが加わり大変美しい。

ハワイで改良され、在来種に比べ生育が遅く耐寒性は弱い。

オールドタイプ、ニュータイプ、矮性=わいせいタイプ、バタフライタイプなど。

〈タヒチアン系〉
中小輪で多花性、繁殖容易。

〈インドアハイビスカス〉
サニーシティーシリーズ…室内での開花可能な極多花性。

〈ヨーロッパ系〉
在来種同様、花も木も小型。



◆生育温度

最近は熱帯以上に暑いといわれる日本の真夏では、亜熱帯性のハイビスカスは夏バテぎみで、生育が緩慢になり花つきも悪くなってしまいます。

生育適温は20~25℃、生育可能温度は10~30℃ですが、越冬温度は15℃以上が好ましい。


★植え替えと鉢上げ

適温では生育が良いため根が鉢いっぱいになり、成長が鈍り花つきが悪くなるので、時に植え替えが必要になります。

5月~9月の間が植え替え時期で、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢に植えます。

最初から大きな鉢に植えるよりも、年に一度植え替えの時に、徐々に鉢を大きくしていく方がよく育ちます。

株や鉢を小さくしたい場合は、根を崩し地上部も相当にせん定して植え替えます。

根を乾燥させないように注意しながら作業しましょう。

暖効性の肥料を元肥として混ぜ込んで植え付けます。



◉置き場所

植え付け後の一週間を除き日当たりの良いところに置きます。

夏は風通しの良い涼しい所で管理します。

秋霜(野外温度が10~15以下)の降りる前には室内に入れ、日の当たる窓辺に置いてガラス越しの光線を当てます。

温度は15~20℃ぐらいあれば十分てす。

◆水やり

水切れさせないように注意し、天気のよい日は1日2回水やりをします。

成長期には十分与え、13℃以下になると根の活動は鈍く乾きが遅くなるので、乾いたら与えるようにします。


★肥料

芽出し肥を3月~4月のせん定時に与えます。

追肥は、成長期の5月~10月の間にチッ素分が少なくリン酸が多く、カリ分も含んだ肥料を週に一回、または月に一回油かす、骨粉の発酵済み固形肥料か暖効性化成肥料を続けます。

※10月から3月の低温期は肥料を吸収しないので施す必要はありません。

◉せん定

植え替えの時(7月)に込んでいる枝、弱い枝などを切り取ります。

全体に日当たり、風通しを良くします。

あまり大きくしたくない場合は、伸び過ぎた枝、強くて伸びそうな枝を切り詰めて、低く枝数を増やすようにします。

夏の高温期に株を休ませるために梅雨明け頃にせん定します。

秋の入室時の10月から11月に伸びた枝を切り戻します。

★挿し木

4月~9月に、日当たりの良い場所で育った充実した枝や切り戻した枝を使い挿し木します。

頂芽や、手で簡単に曲がってしまうような柔らかい枝は不向きです。






月曜日, 7月 08, 2019

ムラサキシキブの実がならない No.159

ムラサキシキブの実がならないのはなぜ

せん定時期の誤り、肥料の与えすぎなどが考えられます。


ムラサキシキブの花芽は春から伸びる新梢の節にできます。

その為、春以降に枝を切り戻すと花芽を落としたしまい、開花、結実は望めません。

樹形を整えるせん定は、秋から初冬にかけて行います。

ただし、強くせん定しすぎると若木に更新され、花芽のつきが悪くなります。



◆株の生長が旺盛だと花芽がつきにくい傾向があります。


特にチッ素肥料が多いと枝葉の生長に養分をとられ、花つきが悪くなります。

樹勢の強い株は肥料を控え、場合によっては根切りをして花芽の生長を促します。

ムラサキシキブは株が十分に生長してから、花芽がつくようになります。

苗木から植えてから開花までは3年はかかります。

◉別種のコムラサキは植え付けた年から開花します。






日曜日, 7月 07, 2019

ナツツバキが発芽しない No.158

ナツツバキのとりまき

昨年の秋にとりまきしたが、今年の夏になっても芽がでない。

◉ナツツバキの実生は、種をまいてから発芽するまでに2年から3年かかることも珍しくありません。

乾燥に気をつけて管理すれば翌年以降に発芽する可能性があります。

鉢にまくと発芽までの期間が長いため、乾燥しやすくなります。

できるだけ庭に直接まき、場所が分かるようにプレートを立てて管理します。

まき床は20~30センチの深さまで耕し、腐葉土や完熟堆肥を入れた上に種をまきます。


種の直径の2倍から3倍の厚みで土をかけ、さらに敷きワラや腐葉土などで覆って乾燥を防ぎます。

秋にすぐに採り蒔きにすることもできますが、発芽までの期間が長いので乾燥しないように貯蔵し、翌年の春にまくようにした方がよいでしょう。



金曜日, 7月 05, 2019

桃の幼果実が落果するのは?No.157

桃の果実が落ちる

生育が盛んで枝もよく伸びているのに?なぜ落果するの?


★樹勢が強いのに自然落果が多いのは、樹冠内部の日照不足が最大の原因と考えられます。

生育がよいため徒長枝が伸び、込み合った枝が交差して樹冠のなかまで、十分に日光が当たらなくなっている。

このままだと、枝枯れを起こしたり、残った果実も十分に肥大しないなどの原因になります。


樹冠内部の日照を妨げている枝や翌年の結実枝として利用できない枝は、早めに切り取ることが大切です。

樹冠内から発生する徒長枝は、付け根から2~3節を残して切り取ります。

ただし、近くに翌年の結実枝になる適当な枝がない場合は、切らずに捻枝(ねじ曲げ)します。

捻枝した枝は伸びが抑えられ、炭水化物が多く蓄積されるので花芽が多くつき、翌年の結実もよくなります。

捻枝は、枝が木質化すると折れやすくなるので、新梢がまだ柔らかいうちに行います。

★参考ブログ
※桃 No.183


木曜日, 7月 04, 2019

ハイドランジア(西洋アジサイ)せん定 No.156

ハイドランジアの整姿、せん定

ハイドランジアは、翌年も花を楽しむために早めのせん定をします。

花が終わったら、地際から2~3節残して、上部を知り戻します。

腋芽(わきめ)が伸び、夏から秋にかけてその先端に花芽が形成されます。


★秋以降にせん定すると花が咲かない。

また、せん定で切り落とした枝は、さし穂にして挿し木するとよいでしょう。

◉ハイドランジアは日本のアジサイよりも日光を好みます。

夏の強い西日は避けますが、日当たりのよい所で管理するとよいでしょう。


✣関連ブログ
アジサイ No,152



イチジクの摘心、摘果(家庭果樹) No.155

イチジクの摘心、摘果

7月上旬までに基部から15~17節のところで、先端を摘心します。

新梢は結実枝になるので、摘心で生長を抑えることで、大きな果実を収穫することが出来るようになります。

★摘心後に伸びた副枝についた果実や、樹勢の弱い枝の頂部についた果実、傷ついた果実なども同様に摘み取ります。


1節に二個から三個の果実がついている場合も、1果を残して生長の悪いものは摘み取り、品質のよい果実の肥大を促します。


✣関連ブログ
イチジク No,77






ブドウの摘粒(果粒)家庭果樹 No.154

ブドウの摘粒


ブドウの品種によって多少の時期がはずれますが、ブドウはおおむね5月下旬から6月中旬にかけて開花します。

秋にオオツブノ果実を収穫するためには、開花前に摘房(房の数を調整する)を行った後、6月下旬から7月にかけて果粒を間引く摘粒を行います。

◆詳しくはイラストを参照してください。


品種によって若干異なりますが、副穂を切り大きい房は上部の支梗を切るのが基本です。



水曜日, 7月 03, 2019

ザクロ(石榴) No.153

ザクロ ザクロ科ザクロ属

種が多いことから子孫繁栄、豊穣のシンボルとして古くから親しまれている。


原産地は西アジアで、イランやアフガニスタンに多数自生し、紀元前から果樹として栽培されていました。

漢の時代に中国に伝来し、日本に渡来したのは平安初期といわれています。

はじめは果実の皮や根を乾燥させたものが、漢方薬(安石榴=あんせきりゅう)として伝来。

栽培植物として樹木が伝わったのは平安末期と考えられています。




特徴的な花と、熟すと種子が見える果実を観賞木として楽しむようになったのは、江戸時代中期以降で、中国から導入された花ザクロを元に品種改良が盛んに行われた。

日本種は熟すと果皮が裂けて顆粒が見え、主に観賞用として植えられます。

西洋種は、果皮が裂けず甘味が強く、果汁はグレナデンシロップの名で親しまれている。

◉ザクロには実の成る花ザクロと、実がならず花を観賞する花ザクロがある。

ともに多くの園芸品種がある。

★実ザクロの花は一重咲き




★花ザクロは八重咲きもあり、花色も赤、朱色、白、白とピンクの模様など多岐にわたります。





果実は従来、酸味が強かったものですが、今では甘味の強い物も多く、健康食として知られています。

◆ザクロは暖地性の植物ですが、耐寒性が強く、マイナス10℃以下にならない他方であれば庭植えが可能です。 


◉変種のヒメザクロ(チョウセンザクロ、ナンキンザクロ)は枝が細く、葉、花、果実とも小ぶりで、鉢植えにも適します。

この品種の耐寒性はやや弱い傾向があります。

★ザクロの由来

ザクロは出産、育児の供え物としても古くから知られています。

これは子どもを次から次に食べる鬼子母神に、お釈迦様が子どもの代わりにザクロの実を食べるように勧め、その結果、子どもを守る天女に変身したという逸話に由来しています。

◉ザクロの生育管理

日当たり、水はけのよい場所を好みます。

酸性土壌や湿潤地を除いて土質は特に選びませんが、日照が悪いと開花、結実しない場合があるので注意が必要です。

★ヒメザクロは寒さに弱いので、冬期は凍結させないように注意します。

肥料は普通の土質であれば特に必要ありませんが、与える場合はチッ素分の少ないリン酸カリ肥料を2月から3月頃に株の周囲にすき込みます。


◉ザクロのせん定

庭木としては自然な樹形を楽しむのが一般的です。

枝葉が込みすぎた場合に枝抜きし、通風、日照をよくすることです。

時期は4月頃で、ふところの徒長枝、込みすぎた枝を元から切ります。

枝先を切ると花つき、実つきが悪くなるので注意が必要です。

枝と枝の間がすけて見える程度がよいてしょう。

結実して垂れ下がった枝は切り取り更新させます。

地際からひこばえがよく出るので、見つけ次第早めに切り取るようにしましょう。

※枝が暴れて極端に樹形が乱れた場合は、12月から3月に刈り込んで整理します。

ただし、刈り込み後、2年から3年は結実は望めません。

❆受粉

自家受粉で結実しますが、開花期が梅雨の時期に重なるため、花が多い割に結実数が少ない事があります。

鉢植えは開花期に雨に当たらない場所へ移動させ管理します。

庭植えは、晴れた日に筆先などで人工受粉させてやると、結実数が安定します。

✻摘果、収穫

1箇所に2~3果、結実することがありますが、その場合は結実が確実になった頃、良いものを1果残して他は摘果します。

果皮が黄赤色に熟し、裂果しかかった時が収穫時期です。

✻殖やし方

実生、さし木、とり木で殖やします。

✫実生は10~11月頃、果実を取ってそのまま陰干しにして、翌年5月にタネを取り出し、水洗いしてぬるま湯に一晩浸けてから赤玉土小粒のまき床に播きます。

2ヶ月ほどで赤玉土7、腐葉土3の混合土に鉢上げし、9月上旬頃に4号鉢に定植します。


❆さし木の適期は3~4月の春ざしです。
前年伸びた太めの枝を選び、15cmほどの挿し穂を作ります。

赤玉土、鹿沼土、川砂などの土に挿します。

2ヶ月ほどで3号鉢に植え、2~3年ほどで開花、結実します。


✻とり木は枝の太さと同じくらいの幅で環状剥皮し、水ゴケなどで剥皮部分をくるみます。

9~10月には初根するので切り離して鉢植えにします。

霜に当てないように管理し、1~2年ほどで開花、結実します。

とり木の適期は5月です。







金曜日, 6月 28, 2019

アジサイ(紫陽花) No.152

アジサイ ユキノシタ科


別名シチヘンゲ テマリバナ ハイドランジア

他の花が育ちにくい梅雨期に鮮やかな花を咲かせる。

日本の各地で自生し、古くから親しまれている。

元々はガクアジサイを改良して作られた。

ガクアジサイの他、ハイドランジアという鉢花向きの西洋種も人気がある。

ハイドランジア(ハイドランジャー)は、日本のアジサイが欧米で改良され、逆輸入されたもの。




 アジサイの植え付けは、落葉期に行いますが、もともとが暖地性で寒さに弱いので、できるだけ秋植えはさけ、春になって気候が安定してから行います。




土壌は、湿潤で腐植質のものを好み、適度の日当たりも必要です。

土質がアルカリ性の場合は紅色。

酸性の場合は、青色になります。

青を長く保つものが最高とされていますので、肥料で調整して管理します。

移植は、花の終わった6月下旬でも可能です。



◉肥料

有機質を主体に、堆肥やけい糞、牛糞などを混ぜて、成長期の6月から7月頃に株のまわりに穴を掘って埋め込みます。

★成木の場合で、堆肥をスコップで1~2杯。


      「カシワバアジサイの花」


   「カシワバアジサイの花芽5月10日」


       「カシワバアジサイ」


      「カシワバアジサイ」

けい糞などは500㌘~1㎏以内、少量のカリン酸を混ぜてもよい。

★強い化成肥料などは、与えない方がよい植物ですので注意しましょう。

◉アジサイの施肥は、外国産のハイドランジアはやや多めに、日本産のものは少なめにすることがコツです。



※関連ブログ
アジサイの花が終わったらNo.141
アジサイ No,152






カルミアの花数が減った、元気がない。No.151

カルミア

花数減少、元気がない要因




カルミア

ツツジ科 別名アメリカシヤクナゲ、マウンテンローレル

◆盃のような、独特の形をした花を咲かせる、北アメリカ原産。

こんぺいとうのような形のつぼみも、とても愛らしいもので、開花前でも十分観賞価値があります。

◉カルミアの花数が減った原因として考えられること。

カルミアで失敗する原因で最も多いのは、花後せん定を怠って、結実させてしまったり、花を多く咲かせ過ぎてしまうことです。

カルミアは、実がなりやすく、結実させると新梢が伸びにくくなります。

翌年の開花が悪くなるだけでなく、樹勢が弱って枯死の原因にもなります。

◆すべての花が咲き終わる前に花柄を摘み取り、油カスなどの有機肥料を株元にまいておきます。

10月頃には本年枝の先端に房状のつぼみをつけますので、すべての枝のつぼみを半分程度つけ根から切り落とし、翌年の開花が多すぎないように調整します。

★その他として
排水不良、乾燥による根の傷み、土壌の不適合なども原因として考えられます。

※排水路をきちんと確保する。

※根元に落ち葉やワラなどを敷いて乾燥を防ぐ。

◉カルミアは弱酸性土壌を好むので、アルカリ化していると樹勢が衰えます。

この場合、肥料を弱酸性に調整してやる必要があります。

夏場は生長が止まっているので、肥料は与えないようにします。

極端な暑さ寒さには弱いので、真夏と冬の管理には注意が必要です。

新芽が出にくくなるので、せん定や切り戻しはしません。

自然の樹形で育てることが基本です。

植え付け時期は2月~3月、元肥を与えて植え付けた後は、開花前の4月~5月と花後に固形肥料を追肥します。






水曜日, 6月 26, 2019

ビワ茶(葉に秘められたすごいパワー) No.150

ビワ茶に秘められパワー

びわ茶について

ビワはバラ科の植物で、秋の暮れから初冬にかけて白い花を咲かせます。

実がなるのは初夏。

この実を口に含むと、汁が溢れ実に美味しい。

また、実はせき止めや胃の具合をよくする薬効もあります。

ところがビワの葉はもっとすごいのである。

薬効価値は非常に高く、ビワ茶の記録も古くからあります。

◆ビワの葉の成分は、精油、サポニンビタミンB1、ブドウ糖、クエン酸タンニン糖質など

◉古来、疲労回復、食欲増進、せき止めぜんそく、暑気あたり、胃病、糖尿病、妊婦のつわりなど、漢方として数々の薬効が伝えられています。

★ビワはさらに驚くほどの薬効が
医学的確認されている。

①成分アミグダリ(ビタミンB17)は
ガン治療薬(22カ国以上で臨床応用)

②腰痛、肩こり、冷え性、皮膚炎症状がなくなる。

③高血圧、糖尿病、リウマチやガンなどに効果

④血液浄化

❆ガン細胞を殲滅するアミグダリンの秘密

成分アミグダリンをガン治療薬として臨床応用

ビワの種子、葉には青酸配糖体アミグダリンが含まれています。

「原色和漢図鑑」には清涼飲料的な効果は、アミグダリンの分解で生じたベンツアルデヒドによるものとあります。

更に鎮咳効果もあります。

アミグダリンの成分は桃、アンズなどの種子にも含まれます。

アンズを常食している✫フンザの人々には、殆どガンがみられない、と言う事実に着目して、アメリカの生化学者、E.T.クレブス博士は、アンズ種子から薬効成分アミグダリンを抽出、結晶化に成功し、ガン治療薬として開発しました。

「ビタミンB17」とも呼ばれ、22カ国でガン治療薬に認可されて、臨床的に用いられています。

当然、この抗がん物質は、ビワ葉抽出物であるビワ茶にも含まれています。

つまり、ビワ茶を常飲する事は、フンザの人々がアンズを常食する事と同じガン予防に繋がるのです。

✫桃源郷フンザ

パキスタン北西部に位置するフンザは、平均寿命が90歳を超える秘境の村。

フンザはアンズの栽培が盛んで、白や薄紅色の花が咲き誇る4月は、日本の桜の季節を思わせる。

アンズの実は収穫され、種を取り出し、干されて乾燥アンズになる。

また、自家製の果樹酒を楽しむお年寄りも多い。

都会からやって来た旅行者たちに、桃源郷と呼ばれている。


◆乾燥ビワ茶を作ってみよう!
※ビワの葉(濃緑)を摘み取り、葉の表裏をよく洗う。

葉の裏には綿毛があるので、丁寧にタワシで取り除きよく洗う。



★乾燥させるので葉は二センチ以内の幅で切ります。



◆切り終わったら最後によく洗い乾燥されます。




※一週間ほど日光に当て乾燥します。


             (一週間ほど乾燥させた茶葉)

◉水1.2~1.5㍑で約2.5~3.0㌘のビワ茶葉を水の状態から入れ、沸騰したら弱火で約7分ほど煎じます。

濃さは好みで茶葉の量を調整してください。

火を止め、しばらく置いてからポットに入れます。

自然の恵みのアルカリ飲料の完成です。



夏場は冷やして、麦茶がわりに好みによってハチミツなどを入れると、さらに美味しいでしょう。

◉他の民間茶とブレンドするのもよいでしょう。
ヨモギ、スギナ、オオバコなど。

※参考ブログ
ビワの効能 No.55